憲法の過去問

令和2年・2020|問7|憲法

憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判所判決*について、次のア~オの記述のうち、法廷意見の見解として、正しいものをすべて挙げた組合せはどれか。

ア.第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。

イ.かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。

ウ.被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。

エ.被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。

オ.刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。

(注)* 最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・オ
  4. ア・イ・ウ
  5. ア・エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

ア.第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。

ア・・・誤り
本問(ア~オ)は、密輸しようとした被告人(密輸人)が捕まった際に、密輸船にあった「第三者の所有物」が「被告人の所有物」と一緒に没収された事件についての判例(最大判昭37.11.28)です。

この判例によると、
「第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者(第三者)に対し、何ら告知、弁解、防御の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、憲法の容認しないところであるといわなければならない。
けだし(なぜなら)、憲法29条1項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同31条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、
所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防御の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである」
と判示しています。

つまり、「第三者の所有物を没収する場合、その第三者にも告知、弁解、防禦(防御)の機会を与えることが必要で、その機会を与えないで没収することは、適正な法律手続をしないで財産権を侵害することになる」ということです。

よって、本肢は正しいです。

イ.かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。

イ・・・正しい

アと同じ判例によると、「かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然であるのみならず(選択肢イ)、

被告人としても没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用、収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである(選択肢ウ)」
と判示しています。
つまり、第三者の所有物の没収を言い渡された被告人は、それが被告人に対する附加刑である以上、没収するという裁判は違憲だということを理由に上告できます。

※「附加刑」とは、 独立して科することができず、主刑に付随してだけ科することのできる刑罰で、「没収」が「附加刑」に当たります。

ウ.被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される(さらされる)等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。

ウ・・・正しい
選択肢イの判例をご覧ください。

被告人は、没収されてその物の所有権がなくなった第三者から賠償請求等をされる危険があるなど、利害関係があることは明らかであるから、上告して救済を求めることができます。

エ.被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。
エ・・・誤り
選択肢ウの解説の通り、被告人自身も、第三者の所有物が没収されることで、第三者から賠償請求等をされる可能性があるなど「現実の具体的不利益」を被っています。
よって、本肢は「不利益を蒙っていない」が誤りで、忠育は「不利益を蒙っている」です。

※ 「蒙っている(こうむっている)」とは「被っている」と同じ意味です

オ.刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。
オ・・・誤り
本肢は「侵害されていない」が誤りで、正しくは「侵害される」です。

判例によると、「憲法29条1項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同31条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものである」と判示しています。

つまり、
第三者の所有物の没收は、被告人に対する附加刑として言い渡されて、その刑事処分の効果が第三者に及びます。

したがって、没収の裁判で第三者の所有権は侵害されるので誤りです。

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憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判所判決*について、次のア~オの記述のうち、法廷意見の見解として、正しいものをすべて挙げた組合せはどれか。
ア.第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。 イ.かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。 ウ.被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。 エ.被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。 オ.刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。 (注)* 最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁
  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・オ
  4. ア・イ・ウ
  5. ア・エ・オ
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【答え】:4 【解説】
ア.第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。
ア・・・誤り 本問(ア~オ)は、密輸しようとした被告人(密輸人)が捕まった際に、密輸船にあった「第三者の所有物」が「被告人の所有物」と一緒に没収された事件についての判例(最大判昭37.11.28)です。 この判例によると、 「第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者(第三者)に対し、何ら告知、弁解、防御の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、憲法の容認しないところであるといわなければならない。 けだし(なぜなら)、憲法29条1項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同31条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、 所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防御の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである」 と判示しています。 つまり、「第三者の所有物を没収する場合、その第三者にも告知、弁解、防禦(防御)の機会を与えることが必要で、その機会を与えないで没収することは、適正な法律手続をしないで財産権を侵害することになる」ということです。 よって、本肢は正しいです。
イ.かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。
イ・・・正しい アと同じ判例によると、「かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然であるのみならず(選択肢イ)、 被告人としても没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用、収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである(選択肢ウ)」 と判示しています。 つまり、第三者の所有物の没収を言い渡された被告人は、それが被告人に対する附加刑である以上、没収するという裁判は違憲だということを理由に上告できます。 ※「附加刑」とは、 独立して科することができず、主刑に付随してだけ科することのできる刑罰で、「没収」が「附加刑」に当たります。
ウ.被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される(さらされる)等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。
ウ・・・正しい 選択肢イの判例をご覧ください。 被告人は、没収されてその物の所有権がなくなった第三者から賠償請求等をされる危険があるなど、利害関係があることは明らかであるから、上告して救済を求めることができます。
エ.被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。
エ・・・誤り 選択肢ウの解説の通り、被告人自身も、第三者の所有物が没収されることで、第三者から賠償請求等をされる可能性があるなど「現実の具体的不利益」を被っています。 よって、本肢は「不利益を蒙っていない」が誤りで、忠育は「不利益を蒙っている」です。 ※ 「蒙っている(こうむっている)」とは「被っている」と同じ意味です
オ.刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。
オ・・・誤り 本肢は「侵害されていない」が誤りで、正しくは「侵害される」です。 判例によると、「憲法29条1項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同31条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものである」と判示しています。 つまり、 第三者の所有物の没收は、被告人に対する附加刑として言い渡されて、その刑事処分の効果が第三者に及びます。 したがって、没収の裁判で第三者の所有権は侵害されるので誤りです。
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令和2年・2020|問6|憲法

衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
  2. 内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。
  3. 最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
  4. 衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
  5. 天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】

1.衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
1・・・妥当ではない
衆議院議員総選挙は、「衆議院議員の任期が満了した場合」と「衆議院が解散された場合」に行われます。
実際のところ、任期満了に伴う総選挙」は、これまでで1回だけ(昭和51年12月)であり、それ以外は「衆議院の解散に伴う総選挙」です。

2.内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。

2・・・妥当ではない
内閣による衆議院の解散についての判例(最大判昭35.6.8)によると
「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである。そして、この理は、本件のごとく、当該衆議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても同様であって、ひとしく裁判所の審査権の外にありといわなければならない」としています。
つまり、「内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、司法審査は及ばない」ということです。したがって、「解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き」が妥当ではありません。このような例外に関係なく、司法審査は及びません。

【対比ポイント】
「一見極めて明白に違憲無効」と認められる場合とはどんな場合か?
これは、砂川事件の判例(最判昭34.12.16)で記述されています。
この判例は、安全保障条約に司法審査が及ぶかが論点の一つとなっています。
ここでは、「本件安全保障条約は、主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであって、安全保障条約の内容が違憲か否かの法的判断は、その条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす。
それ故、右違憲か否かの法的判断は、司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである。
そして、本件安全保障条約は、違憲無効であることが一見きわめて明白であるとは到底認められないため、司法審査は及ばない。」と判示しています。

3.最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
3・・・妥当ではない
実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はあります。
例えば、1983年12月に行われた衆議院議員の総選挙では、その前の総選挙の投票価値の不均衡が是正されないまま行われました。

4.衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
4・・・妥当ではない
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、国会議員の総選挙の施行を公示します。(憲法7条4号)。
そのため、、天皇が公示するには、「内閣の助言と承認」を経ることが必要です。

5.天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。
5・・・妥当
天皇の国事行為は本来全て形式的儀礼的行為と考えられています。
この考え方すると、
内閣の助言と承認が必要な国事行為としての衆議院の解散の宣言があるが(憲法7条3号)、
内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできません。

実際、「内閣が解散権を有する」旨の憲法上の規定はありません。

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衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  1. 衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
  2. 内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。
  3. 最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
  4. 衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
  5. 天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。
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【答え】:5 【解説】
1.衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
1・・・妥当ではない 衆議院議員総選挙は、「衆議院議員の任期が満了した場合」と「衆議院が解散された場合」に行われます。 実際のところ、任期満了に伴う総選挙」は、これまでで1回だけ(昭和51年12月)であり、それ以外は「衆議院の解散に伴う総選挙」です。
2.内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。
2・・・妥当ではない 内閣による衆議院の解散についての判例(最大判昭35.6.8)によると 「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである。そして、この理は、本件のごとく、当該衆議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても同様であって、ひとしく裁判所の審査権の外にありといわなければならない」としています。 つまり、「内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、司法審査は及ばない」ということです。したがって、「解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き」が妥当ではありません。このような例外に関係なく、司法審査は及びません。 【対比ポイント】 「一見極めて明白に違憲無効」と認められる場合とはどんな場合か? これは、砂川事件の判例(最判昭34.12.16)で記述されています。 この判例は、安全保障条約に司法審査が及ぶかが論点の一つとなっています。 ここでは、「本件安全保障条約は、主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであって、安全保障条約の内容が違憲か否かの法的判断は、その条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす。 それ故、右違憲か否かの法的判断は、司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである。 そして、本件安全保障条約は、違憲無効であることが一見きわめて明白であるとは到底認められないため、司法審査は及ばない。」と判示しています。
3.最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
3・・・妥当ではない 実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はあります。 例えば、1983年12月に行われた衆議院議員の総選挙では、その前の総選挙の投票価値の不均衡が是正されないまま行われました。
4.衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
4・・・妥当ではない 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、国会議員の総選挙の施行を公示します。(憲法7条4号)。 そのため、、天皇が公示するには、「内閣の助言と承認」を経ることが必要です。
5.天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。
5・・・妥当 天皇の国事行為は本来全て形式的儀礼的行為と考えられています。 この考え方すると、 内閣の助言と承認が必要な国事行為としての衆議院の解散の宣言があるが(憲法7条3号)、 内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできません。 実際、「内閣が解散権を有する」旨の憲法上の規定はありません。
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令和2年・2020|問5|憲法

次の記述のうち、「議院の自律権」を前提としていないものはどれか。(改)

  1. 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
  2. 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
  3. 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
  4. 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
  5. 両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】

1.両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
1・・・議院の自律権を前提としている
議院の権能として「議院の自律権」と「国政調査権」の2つがあります。

議院の自律権

議院の自律権」とは、衆議院と参議院それぞれの自立性を尊重するために、各議院の自律権を認めて、内部的なことは、各議院が自主的に決定できるようにすること

具体的にどのような内容について自主的に決定できるのか、下記4つがあります。

  1. 議員の資格争訟裁判(55条)
  2. 役員の選任(58条1項)
  3. 議院の懲罰(58条2項)
  4. 議院規則の制定(58条2項)

国政調査権

憲法第62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

国政調査権とは、国会の持つ立法権や行政権が適切に行使されているかを監視・調査を行う権利です。これは、各議院それぞれに与えられています。

■本問の「表両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。」というのは、「議院規則の制定」です。
つまり、議院の自律権を前提とした権利です。

2.両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

2・・・議院の自律権を前提としていない
本肢の「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」は、「国政調査権」です。
「国政調査権」は「議院の自律権」に基づく権利ではありません。

3.両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
3・・・議院の自律権を前提としている
本肢の「両議院は、各々その議長その他の役員を選任する」は、「役員の選任」にあたります。
これは、「議院の自律権」に基づく権利です。
4.両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
4・・・議院の自律権を前提としている
本肢の「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する」は、「議員の資格争訟裁判」です。
これは、「議院の自律権」に基づく権利です。
5.両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。
5・・・議院の自律権を前提としている
本肢の「両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」は「議院の懲罰」にあたります。
これは、「議院の自律権」に基づく権利です。

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次の記述のうち、「議院の自律権」を前提としていないものはどれか。(改)
  1. 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
  2. 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
  3. 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
  4. 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
  5. 両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。
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【答え】:2 【解説】
1.両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
1・・・議院の自律権を前提としている 議院の権能として「議院の自律権」と「国政調査権」の2つがあります。

議院の自律権

議院の自律権」とは、衆議院と参議院それぞれの自立性を尊重するために、各議院の自律権を認めて、内部的なことは、各議院が自主的に決定できるようにすること。 具体的にどのような内容について自主的に決定できるのか、下記4つがあります。
  1. 議員の資格争訟裁判(55条)
  2. 役員の選任(58条1項)
  3. 議院の懲罰(58条2項)
  4. 議院規則の制定(58条2項)

国政調査権

憲法第62条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
国政調査権とは、国会の持つ立法権や行政権が適切に行使されているかを監視・調査を行う権利です。これは、各議院それぞれに与えられています。 ■本問の「表両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。」というのは、「議院規則の制定」です。 つまり、議院の自律権を前提とした権利です。
2.両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
2・・・議院の自律権を前提としていない 本肢の「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」は、「国政調査権」です。 「国政調査権」は「議院の自律権」に基づく権利ではありません。
3.両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
3・・・議院の自律権を前提としている 本肢の「両議院は、各々その議長その他の役員を選任する」は、「役員の選任」にあたります。 これは、「議院の自律権」に基づく権利です。
4.両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
4・・・議院の自律権を前提としている 本肢の「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する」は、「議員の資格争訟裁判」です。 これは、「議院の自律権」に基づく権利です。
5.両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。
5・・・議院の自律権を前提としている 本肢の「両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」は「議院の懲罰」にあたります。 これは、「議院の自律権」に基づく権利です。
[SPI name=■過去問一覧上の広告枠] [SPI name=令和2年度2020年度|行政書士試験の問題と解説]

令和2年・2020|問4|憲法

表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
  2. 表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
  3. 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
  4. 表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
  5. 表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】

1.表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
1・・・妥当
表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージの内容そのものを理由とした規制です。
次に書かれた「政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止」などが、表現の内容規制の具体例です。
よって、本肢は妥当です。
そして、表現内容に着目した規制は、あらゆるチャネルにおいてそのメッセージの伝達を禁ずることになるから、きわめて強度の規制となります。
そのため、厳格な基準の審査が適用されます。
これがどういうことを意味しているかは個別指導で解説します。

2.表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。

2・・・妥当

表現の内容を理由にした規制については、「高い価値の表現(例えば、政治的表現)」と「それ以外(たとえば、わいせつ的表現)」とを比べた場合、
高い価値の表現の内容規制については、非常に厳格に審査され、「それ以外(高い価値の表現以外)」については、緩やかな基準で審査されます。本肢の営利目的とした表現についても「それ以外」にあたります。
よって、妥当です。
この問題は、細かく解説しないと理解できないので、個別指導で解説します。

3.表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
3・・・妥当
表現内容中立規制とは、「特定の時・場所・手段における表現を一般的に規制すること」をいいます(内容自体には規制はかかっていない)。
【具体例】
屋外の公告物を、危険の防止や美観の維持を目的とした規制
内容中立規制においては、あるチャネル(時・場所・手段)における表現が規制されたとしても他のチャネルが確保されている限り表現は可能です。
本肢のように、「学校近くでの騒音の制限」であれば、学校以外の場所で、表現をすればよいです。
これらは、内容自体には直接規制がかかっていません。

4.表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
4・・・妥当
下記、最大判昭61.6.11の判例によると、「出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止め」は、憲法21条2項の検閲に該当しないと言っています。
よって、本肢は妥当です。

事前差し止めが検閲にあたるかについての判例(最大判昭61.6.11)によると、「仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであって、右判示にいう「検閲」にはあたらないものというべきである」としています。
さらに、同じ判例で
「出版物の頒布等の事前差止めは、このような事前抑制に該当するものであって、とりわけ、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが公共の利害に関する事項であるということができ、・・・その表現が私人の名誉権に優先する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることにかんがみると、当該表現行為に対する事前差止めは、原則として許されないものといわなければならない。ただ、右のような場合においても、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、当該表現行為はその価値が被害者の名誉に劣後することが明らかであるうえ、有効適切な救済方法としての差止めの必要性も肯定されるから、かかる実体的要件を具備するときに限って、例外的に事前差止めが許されるものというべきであり、このように解しても上来説示にかかる憲法の趣旨に反するものとはいえない」
としています。

5.表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。
5・・・妥当ではない

本肢は「許されない」が妥当ではないです。「許されることもある」とすれば妥当です。

最大判昭59.12.12の判例では、
「表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない」
としています。
つまり、表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈も場合によっては許されるので、本肢は妥当ではありません。
これは理解が必要なので、詳細解説は個別指導で行います!

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表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
  1. 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
  2. 表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
  3. 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
  4. 表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
  5. 表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。
>解答と解説はこちら
【答え】:5 【解説】
1.表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
1・・・妥当 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージの内容そのものを理由とした規制です。 次に書かれた「政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止」などが、表現の内容規制の具体例です。 よって、本肢は妥当です。 そして、表現内容に着目した規制は、あらゆるチャネルにおいてそのメッセージの伝達を禁ずることになるから、きわめて強度の規制となります。 そのため、厳格な基準の審査が適用されます。 これがどういうことを意味しているかは個別指導で解説します。
2.表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
2・・・妥当 表現の内容を理由にした規制については、「高い価値の表現(例えば、政治的表現)」と「それ以外(たとえば、わいせつ的表現)」とを比べた場合、 高い価値の表現の内容規制については、非常に厳格に審査され、「それ以外(高い価値の表現以外)」については、緩やかな基準で審査されます。本肢の営利目的とした表現についても「それ以外」にあたります。 よって、妥当です。 この問題は、細かく解説しないと理解できないので、個別指導で解説します。
3.表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
3・・・妥当 表現内容中立規制とは、「特定の時・場所・手段における表現を一般的に規制すること」をいいます(内容自体には規制はかかっていない)。 【具体例】 屋外の公告物を、危険の防止や美観の維持を目的とした規制 内容中立規制においては、あるチャネル(時・場所・手段)における表現が規制されたとしても他のチャネルが確保されている限り表現は可能です。 本肢のように、「学校近くでの騒音の制限」であれば、学校以外の場所で、表現をすればよいです。 これらは、内容自体には直接規制がかかっていません。
4.表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
4・・・妥当 下記、最大判昭61.6.11の判例によると、「出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止め」は、憲法21条2項の検閲に該当しないと言っています。 よって、本肢は妥当です。 事前差し止めが検閲にあたるかについての判例(最大判昭61.6.11)によると、「仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであって、右判示にいう「検閲」にはあたらないものというべきである」としています。 さらに、同じ判例で 「出版物の頒布等の事前差止めは、このような事前抑制に該当するものであって、とりわけ、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが公共の利害に関する事項であるということができ、・・・その表現が私人の名誉権に優先する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることにかんがみると、当該表現行為に対する事前差止めは、原則として許されないものといわなければならない。ただ、右のような場合においても、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、当該表現行為はその価値が被害者の名誉に劣後することが明らかであるうえ、有効適切な救済方法としての差止めの必要性も肯定されるから、かかる実体的要件を具備するときに限って、例外的に事前差止めが許されるものというべきであり、このように解しても上来説示にかかる憲法の趣旨に反するものとはいえない」 としています。
5.表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。
5・・・妥当ではない 本肢は「許されない」が妥当ではないです。「許されることもある」とすれば妥当です。 最大判昭59.12.12の判例では、 「表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない」 としています。 つまり、表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈も場合によっては許されるので、本肢は妥当ではありません。 これは理解が必要なので、詳細解説は個別指導で行います!
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令和元年・2019|問41|憲法

次の文章は、NHKが原告として受信料の支払等を求めた事件の最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

放送は、憲法21条が規定する表現の自由の保障の下で、国民の知る権利を実質的に充足し、健全な民主主義の発達に寄与するものとして、国民に広く普及されるべきものである。放送法が、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること」、「放送の不偏不党、真実及び[ ア ]を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」及び「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」という原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的として(1条)制定されたのは、上記のような放送の意義を反映したものにほかならない。

上記の目的を実現するため、放送法は、・・・旧法下において社団法人日本放送協会のみが行っていた放送事業について、公共放送事業者と民間放送事業者とが、各々その長所を発揮するとともに、互いに他を啓もうし、各々その欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受することができるように図るべく、[ イ ]を採ることとしたものである。そして、同法は、[ イ ]の一方を担う公共放送事業者として原告を設立することとし、その目的、業務、運営体制等を前記のように定め、原告を、民主的かつ[ ウ ]的な基盤に基づきつつ[ ア ]的に運営される事業体として性格付け、これに公共の福祉のための放送を行わせることとしたものである。

放送法が、・・・原告につき、[ エ ]を目的として業務を行うこと及び他人の営業に関する広告の放送をすることを禁止し・・・、事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしているのは、原告が公共的性格を有することをその財源の面から特徴付けるものである。

(最大判平成29年12月6日民集71巻10号1817頁)

1:国営放送制 2:党利党略 3:政府広報 4:特殊利益 5:良心 6:自由競争体制 7:品位 8:誠実 9:自律 10:二本立て体制 11:多元 12:国際 13:娯楽 14:全国 15:地域 16:部分規制 17:集中 18:免許制 19:自主管理 20:営利

>解答と解説はこちら

【答え】:  ア 9 / イ 10 / ウ 11 / エ 20
【解説】

放送は、憲法21条が規定する表現の自由の保障の下で、国民の知る権利を実質的に充足し、健全な民主主義の発達に寄与するものとして、国民に広く普及されるべきものである。放送法が、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること」、「放送の不偏不党、真実及び[ア:自律]を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」及び「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」という原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的として(1条)制定されたのは、上記のような放送の意義を反映したものにほかならない。

上記の目的を実現するため、放送法は、・・・旧法下において社団法人日本放送協会のみが行っていた放送事業について、公共放送事業者と民間放送事業者とが、各々その長所を発揮するとともに、互いに他を啓もうし、各々その欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受することができるように図るべく、[イ:二本立て体制]を採ることとしたものである。そして、同法は、[イ:二本立て体制]の一方を担う公共放送事業者として原告を設立することとし、その目的、業務、運営体制等を前記のように定め、原告を、民主的かつ[ウ:多元]的な基盤に基づきつつ[ア:自律]的に運営される事業体として性格付け、これに公共の福祉のための放送を行わせることとしたものである。

放送法が、・・・原告につき、[エ:営利]を目的として業務を行うこと及び他人の営業に関する広告の放送をすることを禁止し・・・、事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしているのは、原告が公共的性格を有することをその財源の面から特徴付けるものである。

ア.
放送法が、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること」、「放送の不偏不党、真実及び[ ア ]を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」及び「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」という原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的として(1条)制定されたのは、上記のような放送の意義を反映したものにほかならない。

ア・・・自律

『放送法が、・・・放送の[ ア ]を保障することによって、放送による表現の自由を確保する』
となっているので、放送による表現の自由を確保するために、放送の「何を」をするのかを考えます。

そうすれば、「自律」が入ります。

イ.
上記の目的を実現するため、放送法は、・・・旧法下において社団法人日本放送協会のみが行っていた放送事業について、公共放送事業者と民間放送事業者とが、各々その長所を発揮するとともに、互いに他を啓もうし、各々その欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受することができるように図るべく、[ イ ]を採ることとしたものである。

イ・・・二本立て体制

放送法はもともと、社団法人日本放送協会のみ(1社)が行っていた。

この放送事業を「公共放送事業者」と「民間放送事業者」が行うようになったのだから

「イには二本立て体制」が入ります。

ウ.
同法は、[イ:二本立て体制]の一方を担う公共放送事業者として原告を設立することとし、その目的、業務、運営体制等を前記のように定め、原告を、民主的かつ[ ウ ]的な基盤に基づきつつ[ア:自律]的に運営される事業体として性格付け、これに公共の福祉のための放送を行わせることとしたものである。

ウ・・・多元

ウは難しいです。

「原告」とは「NHK」です。

『原告(NHK)を、民主的かつ[ ウ ]的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体として性格付け、これに公共の福祉のための放送を行わせることとした』

多元が入りますが、分からなくても大丈夫です。

エ.
放送法が、・・・原告につき、[ エ ]を目的として業務を行うこと及び他人の営業に関する広告の放送をすることを禁止し・・・、事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしているのは、原告が公共的性格を有することをその財源の面から特徴付けるものである。

エ・・・営利

「放送法が、NHKに何を目的として業務を行うことを禁止しているか」を考えます。

すると、営利目的で業務を行うことを禁止しているので、「エには営利」が入ります。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問6|憲法

教科書検定制度の合憲性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 国は、広く適切な教育政策を樹立、実施すべき者として、また、子供自身の利益を擁護し、子供の成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当な範囲で教育内容についてもこれを決定する権能を有する。
  2. 教科書検定による不合格処分は、発表前の審査によって一般図書としての発行を制限するため、表現の自由の事前抑制に該当するが、思想内容の禁止が目的ではないから、検閲には当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。
  3. 教育の中立・公正、教育水準の確保などを実現するための必要性、教科書という特殊な形態での発行を禁ずるにすぎないという制限の程度などを考慮すると、ここでの表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度のものというべきである。
  4. 教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、検定制度は一定の場合に教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから、学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しない。
  5. 行政処分には、憲法31条による法定手続の保障が及ぶと解すべき場合があるにしても、行政手続は行政目的に応じて多種多様であるから、常に必ず行政処分の相手方に告知、弁解、防御の機会を与える必要はなく、教科書検定の手続は憲法31条に違反しない。

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【答え】:2
【解説】

1.国は、広く適切な教育政策を樹立、実施すべき者として、また、子供自身の利益を擁護し、子供の成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当な範囲で教育内容についてもこれを決定する権能を有する。
1・・・正しい
判例によると
「一般に社会公共的な問題について国民全体の意思を組織的に決定、実現すべき立場にある国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施すべく、また、しうる者として、憲法上は、あるいは子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有するものと解さざるをえない」としています(最大判昭和51.5.21旭川学力テスト事件)。よって、本肢は正しいです!

2.教科書検定による不合格処分は、発表前の審査によって一般図書としての発行を制限するため、表現の自由の事前抑制に該当するが、思想内容の禁止が目的ではないから、検閲には当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。

2・・・誤り

判例によると
「本件検定は、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の
規定に違反するものではない。」としています(最判平5.3.16第一次家永教科書事件)。

よって、本肢は「教科書検定による不合格処分は、発表前の審査によって一般図書としての発行を制限するため」が誤りです。

教科書検定による不合格処分を受けたからといって、一般図書としての発行を制限するわけではないです。

3.教育の中立・公正、教育水準の確保などを実現するための必要性、教科書という特殊な形態での発行を禁ずるにすぎないという制限の程度などを考慮すると、ここでの表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度のものというべきである。
3・・・正しい
判例によると
「普通教育の場においては、教育の中立・公正、一定水準の確保等の要請があり、これを実現するためには、これらの観点に照らして不適切と認められる図書の教科書としての発行、使用等を禁止する必要があること、その制限も、右の観点からして不適切と認められる内容を含む図書のみを、教科書という特殊な形態において発行を禁ずるものにすぎないことなどを考慮すると、本件検定による表現の自由の制限は、合理的で必要やむを得ない限度のものというべきであって、憲法21条1項の規定に違反するものではない。」としています(最判平5.3.16第一次家永教科書事件)。よって、本肢は正しいです。

4.教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、検定制度は一定の場合に教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから、学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しない。
4・・・正しい
判例によると
「教科書は、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、
普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、本件検定は、申請図書に記述された研究結果が、たとい執筆者が正当と信ずるものであったとしても、いまだ学界
において支持を得ていなかったり、あるいは当該学校、当該教科、当該科目、当該学年の児童、生徒の教育として取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど旧検定基準の各条件に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎない。そのため、本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しない」としています(最判平5.3.16第一次家永教科書事件)。よって、本肢は正しいです。

5.行政処分には、憲法31条による法定手続の保障が及ぶと解すべき場合があるにしても、行政手続は行政目的に応じて多種多様であるから、常に必ず行政処分の相手方に告知、弁解、防御の機会を与える必要はなく、教科書検定の手続は憲法31条に違反しない。
5・・・正しい判例によると
「行政処分については、憲法31条による法定手続の保障が及ぶと解すべき場合があるにしても、それぞれの行政目的に応じて多種多様であるから、常に必ず行政処分の相手方に告知、弁解、防御の機会を与えるなどの一定の手続を必要とするものではない。」としています(最判平5.3.16第一次家永教科書事件)。

よって、本肢は正しいです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問5|憲法

選挙権・選挙制度に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 国民の選挙権それ自体を制限することは原則として許されず、制約が正当化されるためにはやむを得ない事由がなければならないが、選挙権を行使するための条件は立法府が選択する選挙制度によって具体化されるものであるから、選挙権行使の制約をめぐっては国会の広い裁量が認められる。
  2. 立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持する上で、きわめて重要な基本的人権であることに鑑みれば、これに対する制約は特に慎重でなければならない。
  3. 一定の要件を満たした政党にも選挙運動を認めることが是認される以上、そうした政党に所属する候補者とそれ以外の候補者との間に選挙運動上の差異が生じても、それが一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達している場合に、はじめて国会の裁量の範囲を逸脱し、平等原則に違反することになる。
  4. 小選挙区制は、死票を多く生む可能性のある制度であることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、特定の政党のみを優遇する制度とはいえないのであって、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法といい得る。
  5. 比例代表選挙において、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて、政党等があらかじめ定めた当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果、すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点で選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、直接選挙といい得る。

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【答え】:1
【解説】

1.国民の選挙権それ自体を制限することは原則として許されず、制約が正当化されるためにはやむを得ない事由がなければならないが、選挙権を行使するための条件は立法府が選択する選挙制度によって具体化されるものであるから、選挙権行使の制約をめぐっては国会の広い裁量が認められる。
1・・・誤り
判例によると
「自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権について一定の制限をすることは別として,国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず,このような事由なしに国民の選挙権の行使を制限することは,憲法15条1項及び3項,43条1項並びに44条ただし書に違反するといわざるを得ない。」としています(最大判平17.9.14在外日本人選挙権訴訟)。よって、本肢の「選挙権行使の制約をめぐっては国会の広い裁量が認められる」は誤りです。選挙権行使の制約について、国会の裁量については広く認められていません。

2.立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持する上で、きわめて重要な基本的人権であることに鑑みれば、これに対する制約は特に慎重でなければならない。

2・・・正しい

判例によると
「立候補の自由は、
選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、
きわめて重要である。。このような見地からいえば、憲法一五条一項には、被選挙権者、特にその立候補の自由について、直接には規定していないが、これもまた、同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。

公職選挙における立候補の自由は、憲法15条1項の趣旨に照らし、基本的人権の一つとして、憲法の保障する重要な権利であるから、これに対する制約は、特に慎重でなければならない。」としています(最大判昭43.12.4)。

よって、本肢は正しいです。

3.一定の要件を満たした政党にも選挙運動を認めることが是認される以上、そうした政党に所属する候補者とそれ以外の候補者との間に選挙運動上の差異が生じても、それが一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達している場合に、はじめて国会の裁量の範囲を逸脱し、平等原則に違反することになる。
3・・・正しい
判例によると
「憲法は,各候補者が選挙運動の上で平等に取り扱われるべきことを
要求しているというべきであるが,合理的理由に基づくと認められる差異を設ける
ことまで禁止しているものではないから,国会の具体的に決定したところが裁量権
の行使として合理性を是認し得ない程度にまで候補者間の平等を害するというべき
場合に,初めて憲法の要求に反することになると解すべきである。そして、候補者と並んで候補者届出政党にも選挙運動を認めることが是認される
以上,候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に選挙運
動の上で差異を生ずることは避け難いところであるから,その差異が合理性を有す
るとは考えられない程度に達している場合に,初めてそのような差異を設けること
が国会の裁量の範囲を逸脱するというべきである。」としています(最大判平23.3.23)。よって、本肢は正しいです。
4.小選挙区制は、死票を多く生む可能性のある制度であることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、特定の政党のみを優遇する制度とはいえないのであって、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法といい得る。
4・・・正しい
判例によると
「小選挙区制の下においては死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、・・・小選挙区制は、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができる」
としています(最大判平11.11.10)。よって、本肢は正しいです。
5.比例代表選挙において、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて、政党等があらかじめ定めた当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果、すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点で選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、直接選挙といい得る。
5・・・正しい判例によると
「政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式(比例代表選挙における非拘束名簿式)は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。複数の重複立候補者の比例代表選挙における当選人となるべき順位が名簿において同一のものとされた場合には、その者の間では当選人となるべき順位が小選挙区選挙の結果を待たないと確定しないことになるが、結局のところ当選人となるべき順位は投票の結果によって決定されるのであるから、このことをもって比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項に違反するとはいえない」としています(最大判平11.11.10)。よって、本肢は正しいです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問4|憲法

家族・婚姻に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、当該規定が補充的に機能する規定であることから本来は立法裁量が広く認められる事柄であるが、法律婚の保護という立法目的に照らすと著しく不合理であり、憲法に違反する。
  2. 国籍法が血統主義を採用することには合理性があるが、日本国民との法律上の親子関係の存否に加え、日本との密接な結びつきの指標として一定の要件を設け、これを満たす場合に限り出生後の国籍取得を認めるとする立法目的には、合理的な根拠がないため不合理な差別に当たる。
  3. 出生届に嫡出子または嫡出でない子の別を記載すべきものとする戸籍法の規定は、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものであり、憲法に違反する。
  4. 厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間(100日)を超えて女性の再婚を禁止する民法の規定は、婚姻および家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超え、憲法に違反するに至った。
  5. 夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占める状況は実質的に法の下の平等に違反する状態といいうるが、婚姻前の氏の通称使用が広く定着していることからすると、直ちに違憲とまではいえない。

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【答え】:4
【解説】

1.嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、当該規定が補充的に機能する規定であることから本来は立法裁量が広く認められる事柄であるが、法律婚の保護という立法目的に照らすと著しく不合理であり、憲法に違反する。
1・・・誤り
判例によると
「法律婚主義の下においても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分をどのように定めるかということについては,事柄を総合的に考慮して決せられるべきものであり,また,これらの事柄は時代と共に変遷するものでもあるから,その定めの合理性については,個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され,吟味されなければならない。法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、・・・父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきで あるという考えが確立されてきているものということができる。立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。」
としています(最大決平成25年9月4日

つまり、本肢は「法律婚の保護という立法目的に照らすと著しく不合理であり」が誤りです。

「嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、憲法に違反する」という点は正しいです。

この点はしっかり理解をしないといけないので、個別指導で解説します!

2.国籍法が血統主義を採用することには合理性があるが、日本国民との法律上の親子関係の存否に加え、日本との密接な結びつきの指標として一定の要件を設け、これを満たす場合に限り出生後の国籍取得を認めるとする立法目的には、合理的な根拠がないため不合理な差別に当たる。

2・・・誤り

旧国籍法3条1項の規定では、日本国民である父の非嫡出子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した者に限り日本国籍の取得を認めていました。

この点について判例によると
「国籍法3条1項は,同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。このような目的を達成するため準正その他の要件が設けられ,これにより本件区別が生じたのであるが,本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである」
としています(最大判平成20年6月4日)。

よって、「嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものであり」が誤りです。

この点はしっかり理解をしないといけないので、個別指導で解説します!

3.出生届に嫡出子または嫡出でない子の別を記載すべきものとする戸籍法の規定は、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものであり、憲法に違反する。
3・・・誤り
判例によると
「出生の届出は、子の出生の事実を報告するものであって、その届出によって身分関係の発生等の法的効果を生じさせるものではなく、出生した子が嫡出子又は嫡出でない子のいずれであるか、また、嫡出でない子である場合にいかなる身分関係上の地位に置かれるかは、民法の親子関係の規定によって決せられるものである。本件規定それ自体によって、嫡出でない子について嫡出子との間で子又はその父母の法的地位に差異がもたらされるものとはいえない。したがって、本件規定は、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものとはいえず、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するものではない」としています(最判平成25年9月26日)。

本肢は「嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものであり」という点と「憲法に違反する」の2点が誤りです。

4.厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間(100日)を超えて女性の再婚を禁止する民法の規定は、婚姻および家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超え、憲法に違反するに至った。
4・・・正しい
判例によると
「本件規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は、憲法14条1項にも、憲法24条1項にも違反するものではない。一方、本件規定のうち100日超過部分については、民法772条の定める父性の推定の重複を回避するために必要な期間ということはできない(憲法違反)」としています(最大判平成27年12月16日)。つまり、100日超過部分については憲法に違反すると判断されたので本肢は正しいです。

5.夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占める状況は実質的に法の下の平等に違反する状態といいうるが、婚姻前の氏の通称使用が広く定着していることからすると、直ちに違憲とまではいえない。
5・・・誤り判例によると
「我が国において,夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めることが認められるとしても,それが,本件規定の在り方自体から生じた結果であるということはできない。
したがって,本件規定は,憲法14条1項に違反するものではない」としています(最大判平成27年12月16日)。よって、「実質的に法の下の平等に違反する状態といいうる」は誤りです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問3|憲法

議員の地位に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。
  2. 両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。
  3. 両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる。
  4. 地方議会の自律権は、議院の自律権とは異なり法律上認められたものにすぎないので、裁判所は、除名に限らず、地方議会による議員への懲罰について広く審査を行うことができる。
  5. 地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。

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【答え】:1
【解説】

1.衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。
1・・・正しい
衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙に係る繰上補充において、
衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者で、当選人とならなかったものにつき除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出が、文書で、これらの条に規定する事由が生じた日の前日までに選挙長にされているときは、これを当選人と定めることができない(公職選挙法98条3項)。

■選挙会・選挙長とは?

各選挙では、各開票管理者からの開票結果の報告を点検して各候補者・政党等の得票を計算し、当選人を決定する選挙会が置かれることとなっています。
この選挙会に関する事務を行うのが選挙長です。

そして、選挙長は、その選挙の有権者の中から、その選挙を管理する選挙管理委員会によって選任されます。

2.両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。

2・・・誤り

両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければなりません(憲法50条議員の不逮捕特権)。

そして、各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されません(国会法33条)。

つまり、院外における現行犯の場合、逮捕されます。

この辺りは、法律の構造をしっかり理解しましょう!
こういった基本を個別指導で解説します!

3.両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる。

3・・・誤り

両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の2/3以上の多数による議決を必要とします(憲法58条2項)。

これは、議院の自律権の内容で、議員除名について裁判所の審査ではなく、議員内部で問題解決をすることとなっています。

よって、裁判所は審査を行うことはできません。

4.地方議会の自律権は、議院の自律権とは異なり法律上認められたものにすぎないので、裁判所は、除名に限らず、地方議会による議員への懲罰について広く審査を行うことができる。
4・・・誤り
判例によると「地方議会のよる懲罰議決は、自律的な法規範をもつ社会ないしは団体の内部規律の問題として自治的措置に任せるべきものであって司法裁判権の対象の外におくを相当とする旨判示する」としています(最大判昭35.10.19)。よって、裁判所は、除名に限らず、地方議会による議員への懲罰について広く審査を行うことができるという記述は誤りです。■ちなみに、地方議会議員に対する出席停止処分(懲罰)は、裁判所は審査しません。一方、地方議会議員の除名処分は、裁判所が審査できます

5.地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。
5・・・誤り
両議院の議員(国会議員)は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われません(憲法51条)。上記は国会議員についてのルールですが、地方議会議員についても上記ルールが適用されるかが問題となります。この点について、判例では、「憲法51条をそのまま直ちに地方議会にあてはめ、地方議会についても、国会と同様の議会自治・議会自律の原則を認め、さらに、地方議会議員の発言についても、いわゆる免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない」としています(最大判昭42.5.24)。よって、本肢の「国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない」という記述は誤りです。

行政書士試験で一発合格を目指す!試験対策用の無料メルマガをお送りします!分かりやすい過去問解説が特徴です!

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問41|憲法・内閣

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

[ ア ]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、[ イ ]を代表して[ ウ ]を指揮監督する職務権限(七二条)を有するなど、[ イ ]を統率し、[ ウ ]を統轄調整する地位にあるものである。そして、[ イ ]法は、[ エ ]は[ ア ]が主宰するものと定め(四条)、[ ア ]は、[ エ ]にかけて決定した方針に基づいて[ ウ ]を指揮監督し(六条)、[ ウ ]の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このように、[ ア ]が[ ウ ]に対し指揮監督権を行使するためには、[ エ ]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[ エ ]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ ア ]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、[ ア ]は、少なくとも、[ イ ]の明示の意思に反しない限り、[ ウ ]に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。

(最大判平成7年2月22日刑集49巻2号1頁以下)

1:衆議院 2:閣議 3:政府 4:内閣官房長官 5:省庁 6:国民 7:内閣 8:特別会 9:事務次官会議 10:執政 11:国政 12:官僚 13:国会 14:内閣総理大臣 15:参議院 16:日本国 17:行政各部 18:天皇 19:事務 20:常会

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【答え】:ア:14、イ:7、ウ:17、エ:2
【解説】

ア:内閣総理大臣]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、[イ:内閣]を代表して[ウ:行政各部]を指揮監督する職務権限(七二条)を有するなど、[イ:内閣]を統率し、[ウ:行政各部]を統轄調整する地位にあるものである。そして、[イ:内閣]法は、[エ:閣議]は[ア:内閣総理大臣]が主宰するものと定め(四条)、[ア:内閣総理大臣]は、[エ:閣議]にかけて決定した方針に基づいて[ウ:行政各部]を指揮監督し(六条)、[ウ:行政各部]の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このように、[ア:内閣総理大臣]が[ウ:行政各部]に対し指揮監督権を行使するためには、[エ:閣議]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[エ:閣議]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ア:内閣総理大臣]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、[ア:内閣総理大臣]は、少なくとも、[イ:内閣]の明示の意思に反しない限り、[ウ:行政各部]に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。

ア.[ ア ]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、・・・を有する

ア・・・内閣総理大臣大臣を任命するのは、内閣総理大臣です(憲法68条1項)。

よって、「アには内閣総理大臣」が入ります。

イ.ウ.[ア:内閣総理大臣]は、・・・[ イ ]を代表して[ ウ ]を指揮監督する職務権限(七二条)を有する

[ イ ]法は、・・・

イ・・・内閣
ウ・・・行政各部
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督します(憲法72条)。さらに、[ イ ]法とあるので、「内閣法」もつじつまがあいます。よって「イには内閣」「ウには行政各部」が入ります。

エ.[イ:内閣]法は、[ エ ]は[ア:内閣総理大臣]が主宰するものと定め(四条)

[ア:内閣総理大臣]が[ウ:行政各部]に対し指揮監督権を行使するためには、[ エ ]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[ エ ]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ア:内閣総理大臣]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため

エ・・・閣議
内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとします(内閣法4条1項)。そして、閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰します(同条2項)。さらに、内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督します(内閣法6条)。

よって、「エには閣議」が入ります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略