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平成24年・2012|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。
  2. 地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。
  3. 都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。
  4. (旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。
  5. 地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。

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【答え】:5【解説】
1.医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。
1・・・妥当ではない
判例によると、
「病院開設中止の勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。よって、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。(つまり、処分性を有する)」
と判示しています。

したがって、処分性を有するので、本肢は妥当ではありません。

2.地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。
2・・・妥当ではない
判例によると、
「水道料金の改正条例は、旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではない。したがって、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。」
と判示しています。よって、本肢は妥当ではありません。
3.都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。
3・・・妥当ではない
判例によると、
「都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて効力を生ずると、当該地域内においては、一定の制限がかかってきます。しかし、この効果(制限)は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。(個別具体的な処分とは言えないので、処分性を有しない)」
としています。よって、行政処分に該当しないので妥当ではありません。
4.(旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。
4・・・妥当ではない
判例によると、
「税関長Yが行う関税定率法による通知は、その法律上の性質においてYの判断の結果の表明、すなわち観念の通知であるとはいうものの、もともと法律の規定に準拠してされたものであり、かつ、これにより上告人に対し申告にかかる本件貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものというべきであるから、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する
と判示しています。よって、本肢は妥当ではありません。
5.地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。
5・・・妥当
判例によると、
「地方公共団体の設置する保育所の廃止を定める改正条例は、
本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものである。そのため、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視することができる。よって、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる」
としています。

したがって、本肢は妥当です。

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平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

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