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平成28年・2016|問7|憲法・法の下の平等

法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
  1. 憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。
  2. 選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。
  3. 法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反する。
  4. 尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。
  5. 父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反する。
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【答え】:4
【解説】
1.憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。
1・・・妥当 判例によると、 「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されることである。したがって、このような差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあっても、所論のように地域差の故をもって違憲ということはできない。」よって、本肢の内容は妥当です。
2.選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。
2・・・妥当 判例では、 「候補者届出政党の要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められる政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにふさわしいものであるとの認識の下に、政策本位、政党本位の選挙制度をより実効あらしめるために設けられたと解されるのであり、そのような立法政策を採ることには相応の合理性が認められ、これが国会の裁量権の限界を超えるとは解されない。」 と判示しています。衆議院の選挙制度は、政党本位の選挙制度を目指しているため、候補者の届出については、政党が行うことが原則と考えられています。この候補者の届出を行える政党については一定の要件があり、要件を満たさない場合、候補者届出政党として、候補者を届け出ることはできません。この要件を定めることは、国会の裁量の範囲内ということで、憲法に違反しないと判示しているわけです。
3.法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反する。
3・・・妥当 判例によると 「…遅くとも被相続人の相続が開始した当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。」 と判示しています。つまり、相続において「嫡出子(婚姻した男女の間の子)」と「非嫡出子(婚姻していない男女間の子)」を差別することは憲法違反だということです。この判決を受けて、民法は改正され、 「嫡出子」も「非嫡出子」も同等の法定相続分を有することとなりました。
4.尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。
4・・・妥当ではない 判例によると 『刑法200条では、「自己または配偶者」の直系尊属を殺した者について、無期懲役または死刑の刑に処されるとし、通常の殺人罪の刑罰規定よりも重いものになっていた。この刑法200条の立法目的は、 尊属殺は通常殺と比べて、一般に高度の社会的道徳的非難に値するものとして、これを厳重に処罰して、特に強く禁圧しようとすることにあり、不合理とは言えない。』 と判示しています。 つまり、通常殺と比べて重罰にすること自体は違憲ではないとしています。
5.父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反する。
5・・・妥当 判例によると 「本件規定(民法第733条)のうち100日を超えて女性の再婚禁止期間を設ける部分は憲法第24条第2項にいう両性の本質的平等に立脚したものでなくなっていたことも明らかである。そして、上記当時において、同部分は、憲法第14条第1項に違反するとともに、憲法第24条第2項にも違反するに至っていたというべきである。」と判示しています。よって、女性にのみ100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反です。ただし、国家賠償の観点では、 「本件立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない」として 国家賠償は否定しています。
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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略
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