養子に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 家庭裁判所の審判により後見に付されているAは、認知をするには後見人の同意が必要であるが、養子縁組をするには後見人の同意は必要でない。
- 16歳のBを養子とする場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要であるが、この場合には、Bの法定代理人が養子縁組の承諾をしなければならない。
- C・Dが夫婦である場合に、Cが、成年者Eを自己のみの養子とするときには、Dが同意について意思を表示することができないときを除いて、Dの同意を得なければならない。
- F(70歳)およびG(55歳)は夫婦であったところ、子がいないことからFの弟であるH(58歳)を養子とした場合に、この養子縁組の効力は無効である。
- Ⅰ・J夫婦が、K・L夫婦の子M(16歳)を養子とする旨の縁組をし、その届出が完了した場合、MとK・L夫婦との実親子関係は終了する。
【解説】
1・・・誤り
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意は不要です(民法780条)。
よって、この点が誤りです。
成年被後見人が婚姻や養子縁組をするとき、その成年後見人の同意は不要です(738条、799条)。
この点は正しいです。
3・・・正しい
配偶者のある者が縁組をするには、原則、その配偶者の同意を得なければなりません(民法796条) 。
分かりやすく言えば、婚姻している者が養親となる場合、又は、養子になる場合には、自分の配偶者の同意を得る必要があるということです。
よって、本肢は正しいです。
理由や注意点については、個別指導で解説します!
4・・・誤り
「尊属(父母や祖父母)」又は「年長者(自分より年齢が上の者)」を養子とすることができません(民法793条)。
つまり、「55歳のG」は「58歳のH」を養子にすることはできません。
このルールに違反して縁組を行った場合(例えば、年長者を養子とした場合)、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます(805条)。
よって、年長者を養子とする縁組は取消しされるまでは有効です。
違反しているから直ちに、無効とはなりません。
よって、本問は誤りです。
5・・・誤り
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
特別養子縁組の場合、養子となる者の年齢は「原則、15歳未満」です(民法817条の5)。
本問を見ると16歳のMを養子にしているので、特別養子縁組はできません。
よって、普通養子縁組です。
よって、 「養子M」と「実の父母(K・L)」との親族関係は終了しません。
平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 国民審査 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | プライバシー権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 国会 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 信教の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政裁量 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政事件訴訟法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政事件訴訟法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・公文書管理法 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |