行政法の過去問

令和3年・2021|問44|行政法 40字問題

A私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、学校教育法15条1項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40字程度で記述しなさい。なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

(参照条文)
学校教育法
第15条第1項
文部科学大臣は、公立又は私立の大学及び高等専門学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。(以下略)

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【答え】:行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止等を求めることができる。(39字)【解説】
A私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、学校教育法15条1項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40字程度で記述しなさい。なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

【文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか】

「行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものを言います(行政手続法2条6号)。

つまり、文部科学大臣の勧告は、「行政指導」に当たります。

 

【誰に対して】【どのような手段をとることができるか】

学校教育法に基づき、勧告を受けた」という記述から、この勧告(行政指導)は、法律に根拠のある行政指導です。

そして、行政手続法36条の2第1項本文によると

法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」

と規定しています。

「行政指導をした行政機関」は、「文部科学大臣」です。

そして、できる手段は「行政指導(勧告)の中止その他必要な措置をとることを求めること」です。

よって、上記をまとめると

行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止その他必要な措置を求めることができる。(46字)

これだと少し長いので「当該勧告の中止その他必要な措置」を「当該勧告の中止等」に変えます。

【40字程度にまとめると】

行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止等を求めることができる。(39字)

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問42|行政法

感染症法*の令和3年2月改正に関する次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

教授A: 今日は最近の感染症法改正について少し検討してみましょう。

学生B: はい、新型コロナウイルスの感染症防止対策を強化するために、感染症法が改正されたことはニュースで知りました。

教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。

学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。

教授A: そのとおりです。この問題には決着がついていないようですので、これ以上は話題として取り上げないことにしましょう。では、改正のポイントについて説明してください。

学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。

学生B: はい、刑法総則が適用されるほか、制裁を科す手続に関しても刑事訴訟法が適用されます。

教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。

学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。

教授A: そうですね、制裁を科すとしても、その方法には様々なものがあることに注意しましょう。

(注) * 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

1. 罰金 2.過料 3.科料 4.死刑 5.公表 6.即時強制  7.行政代執行 8.仮処分 9.仮の義務付け 10.間接強制 11.課徴金 12.行政刑罰 13.拘留 14.損失補償 15.負担金 16.禁固 17.民事執行 18.執行罰 19.給付拒否 20.社会的制裁

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【答え】: ア:6.即時強制、イ:1. 罰金、ウ:12.行政刑罰、エ:2.過料【解説】

【ア】教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。

学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。

ア・・・6.即時強制

「入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置である」というのは、国民の身体に実力行使しているので、「即時強制」または「直接強制」となります。

直接強制は、アの後に記載されているので、アには「即時強制」が入ります。

即時強制と直接強制の違いについては、個別指導で解説します!

 

【イ】 当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

イ・・・1. 罰金

「懲役」と「100万円以下のイ」と並列で並んでおり、一般的には、「懲役」も「イ」も同じ「行政刑罰」である可能性が高いです。

そして、金銭納付を命じる行政刑罰には「罰金」と「科料」がありますが、

「科料」は「1,000円以上1万円未満」の間でしか定めることができません(刑法17条)。

「100万円」ととなると、「罰金」しかないの、イには「罰金」が入ります。

 

【ウ】学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。

ウ・・・12.行政刑罰

これは、選択肢イでも解説した通り、「懲役」も「罰金」も「行政刑罰」に分類されます。

よって、ウには「行政刑罰」が入ります。

【エ】教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。

学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。

エ・・・2.過料

「行政上の秩序罰」と言えば「過料」です。

よって、エには「過料」が入ります。

ちなみに「過料」は「行政刑罰」ではありません。

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問26|行政法

公立学校に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.公立高等専門学校の校長が、必修科目を履修しない学生を原級留置処分または退学処分にするに際しては、その判断は校長の合理的な教育的裁量に委ねられる。

イ.公立中学校の校庭が一般に開放され、校庭を利用していた住民が負傷したとしても、当該住民は本来の利用者とはいえないことから、その設置管理者が国家賠償法上の責任を負うことはない。

ウ.公立小学校を廃止する条例について、当該条例は一般的規範を定めるにすぎないものの、保護者には特定の小学校で教育を受けさせる権利が認められることから、その処分性が肯定される。

エ.市が設置する中学校の教員が起こした体罰事故について、当該教員の給与を負担する県が賠償金を被害者に支払った場合、県は国家賠償法に基づき、賠償金の全額を市に求償することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:2(アエが妥当)

【解説】
ア.公立高等専門学校の校長が、必修科目を履修しない学生を原級留置処分または退学処分にするに際しては、その判断は校長の合理的な教育的裁量に委ねられる。

ア・・・妥当

判例(最判平8.3.8)によると

『高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分又は退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきものではなく、校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くか又は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである』

と判示しています。

よって、本肢は妥当な内容です!

 

イ.公立中学校の校庭が一般に開放され、校庭を利用していた住民が負傷したとしても、当該住民は本来の利用者とはいえないことから、その設置管理者が国家賠償法上の責任を負うことはない。

イ・・・妥当ではない

判例(最判平5.3.30)によると

幼児が、テニスの審判台に昇り、その後部から座席部分の背当てを構成している左右の鉄パイプを両手で握つて降りようとしたために転倒した審判台の下敷きになつて死亡した場合において、当該審判台には、本来の用法に従つて使用する限り、転倒の危険がなく、右幼児の行動が当該審判台の設置管理者の通常予測し得ない異常なものであつたなど判示の事実関係の下においては、設置管理者は、右事故につき、国家賠償法2条1項所定の損害賠償責任を負わない

と判示しています。

つまり、国賠法上の責任を負わない理由は「当該住民は本来の利用者とはいえないから」ではありません。

「設置管理者の通常予測し得ない異常なものであれば」国賠法上の責任を負いません。

 

ウ.公立小学校を廃止する条例について、当該条例は一般的規範を定めるにすぎないものの、保護者には特定の小学校で教育を受けさせる権利が認められることから、その処分性が肯定される。

ウ・・・妥当ではない

判例(最判平14.4.25)によると

『本件条例(公立小学校を廃止する条例)は、東京都千代田区内に設置されていたすべての区立小学校を廃止し、新たに区立小学校 校を設置すること等をその内容とするものであるところ、原審が適法に確 8定した事実関係によれば、上告人(保護者)らの子が通学していた区立小学校の廃止後に新たに設置され就学校として指定を受けた区立小学校は、上告人らの子らにとって社会生活上通学することができる範囲内にないものとは認められない。これによれば、本件条例は一般的規範にほかならず上告人らは、被上告人東京都千代田区が社会生活上通学可能な範囲内に設置する小学校においてその子らに法定年限の普通教育を受けさせる権利ないし法的利益を有するが、具体的に特定の区立小学校で教育を受けさせる権利ないし法的利益を有するとはいえないとして、本件条例が抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる 』

と判示しています。

つまり、「保護者には、具体的に特定の区立小学校で教育を受けさせる権利はない」とし、本件条例は抗告訴訟の対象となる処分にはあたらないとして、処分性が否定されました。

 

エ.市が設置する中学校の教員が起こした体罰事故について、当該教員の給与を負担する県が賠償金を被害者に支払った場合、県は国家賠償法に基づき、賠償金の全額を市に求償することができる。

エ・・・妥当

判例(最判平21.10.23)によると

市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において,当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法1条1項,3条1項に従い上記生徒に対して損害を賠償したときは,当該都道府県は,同条2項に基づき,賠償した損害の全額を当該中学校を設置する市町村に対して求償することができるものと解するのが相当である』

と判示しています。

よって、本問は妥当です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問25|行政法

墓地埋葬法*13条は、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。」と定めているところ、同条の「正当の理由」について、厚生省(当時)の担当者が、従来の通達を変更し、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由として埋葬を拒否することは「正当の理由」によるものとは認められないという通達(以下「本件通達」という。)を発した。本件通達は、当時の制度の下で、主務大臣がその権限に基づき所掌事務について、知事をも含めた関係行政機関に対し、その職務権限の行使を指揮した
ものであるが、この通達の取消しを求める訴えに関する最高裁判所判決(最三小判昭和43年12月24日民集22巻13号3147頁)の内容として、妥当なものはどれか。

  1. 通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。
  2. 通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。
  3. 行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。
  4. 本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。
  5. 取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。

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【答え】:3
【解説】
1.通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。

1・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『元来、通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり、このような通達は右機関および職員に対する行政組織内部における命令にすぎないから、これらのものがその通達に拘束されることはあつても、一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合においても別段異なるところはない。←選択肢2

と判示しています。

よって、本問は「通達は、原則として、法規の性質をもつものであり」が妥当ではないです。

2.通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。

2・・・妥当ではない

選択肢1の判例の内容の通り、本問は「国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には法規の性質を有することとなり」が妥当ではないです。

正しくは「国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものであっても法規の性質を有さず」です。

 

3.行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分
の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。

3・・・妥当

判例(最判昭43.12.24)によると

通達は、元来、法規の性質をもつものではないから、行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではない。』

と判示しています。

よって、本問は妥当です。

 

4.本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該
通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。

4・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものではあるが、それはもつぱら知事以下の行政機関を拘束するにとどまるもので、これらの機関は右通達に反する行為をすることはできないにしても、国民は直接これに拘束されることはなく、従つて、右通達が直接に上告人の所論墓地経営権、管理権を侵害したり、新たに埋葬の受忍義務を課したりするものとはいいえない。』

と判示しています。

本問は「本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである」が妥当ではありません。

正しくは「本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものではない」です。

 

5.取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影
響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。

5・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『現行法上行政訴訟において取消しの訴えの対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達中所論の趣旨部分の取消を求める本件訴は許されないものとして却下すべきものである。 』

と判示しています。

よって、本問は「棄却」が妥当ではないです。

正しくは「却下」です。

本問の「通達」は、法規の性質はなく、直接国民を拘束するものではないので、行政処分ではないです(処分性がない)。そのため、取消訴訟の訴訟要件を満たさず、却下となります。

棄却と却下の違い個別指導で解説します!

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問10|行政法・行政立法

行政立法についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 国家公務員の退職共済年金受給に伴う退職一時金の利子相当額の返還について定める国家公務員共済組合法の規定において、その利子の利率を政令で定めるよう委任をしていることは、直接に国民の権利義務に変更を生じさせる利子の利率の決定という、本来法律で定めるべき事項を政令に委任するものであり、当該委任は憲法41条に反し許されない。
  2. 監獄法(当時)の委任を受けて定められた同法施行規則(省令)において、原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないと定めていることは、事物を弁別する能力のない幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効である。
  3. 薬事法(当時)の委任を受けて、同法施行規則(省令)において一部の医薬品について郵便等販売をしてはならないと定めることについて、当該施行規則の規定が法律の委任の範囲を逸脱したものではないというためには、もっぱら法律中の根拠規定それ自体から、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が明確に読み取れることを要するものというべきであり、その判断において立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断をすることは許されない。
  4. 児童扶養手当法の委任を受けて定められた同法施行令(政令)の規定において、支給対象となる婚姻外懐胎児童について「(父から認知された児童を除く。)」という括弧書きが設けられていることについては、憲法に違反するものでもなく、父の不存在を指標として児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を画することはそれなりに合理的なものともいえるから、それを設けたことは、政令制定者の裁量の範囲内に属するものであり、違憲、違法ではない。
  5. 銃砲刀剣類所持等取締法が、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止した上で、美術品として価値のある刀剣類の所持を認めるための登録の方法や鑑定基準等を定めることを銃砲刀剣類登録規則(省令)に委任している場合に、当該登録規則において登録の対象を日本刀に限定したことについては、法律によらないで美術品の所有の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該登録規則の規定は無効である。

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【答え】:2
【解説】
1.国家公務員の退職共済年金受給に伴う退職一時金の利子相当額の返還について
定める国家公務員共済組合法の規定において、その利子の利率を政令で定めるよう委任をしていることは、直接に国民の権利義務に変更を生じさせる利子の利率の決定という、本来法律で定めるべき事項を政令に委任するものであり、当該委任は憲法41条に反し許されない。

1・・・妥当ではない

判例(最判平27.12.14)によると

『国公共済法附則12条の12は、同一の組合員期間に対する退職一時金と退職共済年金等との重複支給を避けるための調整措置として、従来の年金額からの控除という方法を改め、財政の均衡を保つ見地から、脱退一時金の金額の算定方法に準じ、退職一時金にその予定運用収入に相当する額を付加して返還させる方法を採用したものと解される。

このような同条の趣旨等に照らすと、同条4項は、退職一時金に付加して返還すべき利子の利率について、予定運用収入に係る利率との均衡を考慮して定められる利率とする趣旨でこれを政令に委任したものと理解することができる

中略

したがって、国公共済法附則12条の12第4項及び厚年法改正法附則30条1項は、退職一時金に付加して返還すべき利子の利率の定めを白地で包括的に政令に委任するものということはできず憲法41条及び73条6号に違反するものではないと解するのが相当である。』

と判示しています。よって、本肢は「その利子の利率を政令で定めるよう委任をしていることは、直接に国民の権利義務に変更を生じさせる利子の利率の決定という、本来法律で定めるべき事項を政令に委任するものであり、当該委任は憲法41条に反し許されない。」が妥当ではありません。本問の政令に委任したことは、憲法に違反しません。

この点は、分かりづらい内容なので、個別指導で解説します!

 

2.監獄法(当時)の委任を受けて定められた同法施行規則(省令)において、原
則として被勾留者と幼年者との接見を許さないと定めていることは、事物を弁別する能力のない幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効である。

2・・・妥当

判例(最判平3.7.9)によると

『旧監獄法50条は、「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」と規定し、命令(法務省令)をもって、面会の立会、場所、時間、回数等、面会の態様についてのみ必要な制限をすることができる旨を定めている。

そして、命令によって接見許可の基準そのものを変更することは許されない。

ところが、規則120条は、「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」と規定し、旧監獄法施行規則124条は「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」と規定している。

これによれば、規則120条が原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないこととする一方で、規則124条がその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。

しかし、これらの規定は、たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法50条の委任の範囲を超えるものといわなければならない。』

と判示しており、「法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効」です。

よって、本問は妥当です。

 

3.薬事法(当時)の委任を受けて、同法施行規則(省令)において一部の医薬品
について郵便等販売をしてはならないと定めることについて、当該施行規則の規定が法律の委任の範囲を逸脱したものではないというためには、もっぱら法律中の根拠規定それ自体から、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が明確に読み取れることを要するものというべきであり、その判断において立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断をすることは許されない。

3・・・妥当ではない

判例(最判平25.1.11)によると

『旧薬事法の下では違法とされていなかった郵便等販売に対する新たな規制は,郵便等販売(医薬品のネット販売)をその事業の柱としてきた者の職業活動の自由を相当程度制約するものであることが明らかである。これらの事情の下で,厚生労働大臣が制定した郵便等販売を規制する新施行規則の規定が,これを定める根拠となる新薬事法の趣旨に適合するもの(行政手続法38条1項)であり,その委任の範囲を逸脱したものではないというためには立法過程における議論をもしんしゃくした上で,新薬事法36条の5及び36条の6を始めとする新薬事法中の諸規定を見て,そこから,郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が,上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要するものというべきである。』

と判示しています。

よって、本問の「その判断において立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断をすることは許されない」というのは妥当ではありません。

正しくは「その判断において立法過程における議論を考慮した上で判断する」です。

 

4.児童扶養手当法の委任を受けて定められた同法施行令(政令)の規定において、支給対象となる婚姻外懐胎児童について「(父から認知された児童を除く。)」という括弧書きが設けられていることについては、憲法に違反するものでもなく、父の不存在を指標として児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を画することはそれなりに合理的なものともいえるから、それを設けたことは、政令制定者の裁量の範囲内に属するものであり、違憲、違法ではない。

4・・・妥当ではない

判例(最判平14.1.31)によると

『施行令1条の2第3号が「父から認知された婚姻外懐胎児童」を本件括弧書により児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは、法の委任の趣旨に反し本件括弧書は法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。そうすると,その余の点について判断するまでもなく、本件括弧書を根拠としてされた本件処分は違法といわざるを得ない。』

と判示しています。

よって、本問は『児童扶養手当法の委任を受けて定められた同法施行令(政令)の規定において、支給対象となる婚姻外懐胎児童について「(父から認知された児童を除く。)」という括弧書きが設けられていることについては、憲法に違反ものでもなく』となっており、妥当ではないです。憲法違反です。

 

5.銃砲刀剣類所持等取締法が、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止した上で、美
術品として価値のある刀剣類の所持を認めるための登録の方法や鑑定基準等を定めることを銃砲刀剣類登録規則(省令)に委任している場合に、当該登録規則において登録の対象を日本刀に限定したことについては、法律によらないで美術品の所有の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該登録規則の規定は無効である。

5・・・妥当ではない

判例(最判平2.2.1)によると

『規則が文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、前記のとおり美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定め、この基準に合致するもののみを我が国において前記の価値を有するものとして登録の対象にすべきものとしたことは、法一四条一項の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。』

と判示しています。

よって、本問は「法律によらないで美術品の所有の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該登録規則の規定は無効である」は妥当ではありません。

正しくは「法律の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問8|行政法

法の一般原則に関わる最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、当該施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されないから、当該施策の変更は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それにより損害を被る者との関係においては、違法となる。
  2. 租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用がなされることはなく、租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。
  3. 法の一般原則として権利濫用の禁止が行政上の法律関係において例外的に適用されることがあるとしても、その適用は慎重であるべきであるから、町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。
  4. 地方自治法により、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利につきその時効消滅については援用を要しないとされているのは、当該権利の性質上、法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが地方公共団体の事務処理上の便宜および住民の平等的取扱の理念に資するものであり、当該権利について時効援用の制度を適用する必要がないと判断されたことによるものと解されるから、普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は、極めて限定されるものというべきである。
  5. 国家公務員の雇傭関係は、私人間の関係とは異なる特別の法律関係において結ばれるものであり、国には、公務の管理にあたって公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮する義務が認められるとしても、それは一般的かつ抽象的なものにとどまるものであって、国家公務員の公務上の死亡について、国は、法律に規定された補償等の支給を行うことで足り、それ以上に、上記の配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うことはない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、当該施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されないから、当該施策の変更は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それにより損害を被る者との関係においては、違法となる。

1・・・妥当ではない

判例(最判昭56.1.27:宜野座工場誘致事件)によると
『地方公共団体の施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたつて継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴つて変更されることがあることはもとより当然であつて、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。』
としています。

つまり、問題文の「施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されない」が妥当ではありません。

詳細解説は個別指導で解説します!

 

2.租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合
する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用がなされることはなく、租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。

2・・・妥当ではない

判例(最判昭62.10.30)によると

『租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。』

よって、問題文の後半部分「租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。」が妥当ではありません。

正しくは「租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることがある」です。

 

3.法の一般原則として権利濫用の禁止が行政上の法律関係において例外的に適用
されることがあるとしても、その適用は慎重であるべきであるから、町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。

3・・・妥当ではない

「トルコぶろ」とは、いわゆる「ソープランド」です。

判例(最判昭和53.6.16)によると

『本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたか
にすることを目的とする施設なのであるから、児童遊園設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿つてなされるべきものであつて、前記のような、被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とするa町のb児童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない』として児童遊園設置認可処分は違法とされました。

つまり、本問の「町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。」は妥当ではありません。

正しくは下記の通りです。

「町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものである場合当該処分が違法とされる。」

 

4.地方自治法により、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利につきそ
の時効消滅については援用を要しないとされているのは、当該権利の性質上、法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが地方公共団体の事務処理上の便宜および住民の平等的取扱の理念に資するものであり、当該権利について時効援用の制度を適用する必要がないと判断されたことによるものと解されるから、普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は、極めて限定されるものというべきである。

4・・・妥当

「健康管理手当の支給認定を受けた被爆者」が、外国へ出国したことに伴いその支給を打ち切られたため未支給の健康管理手当の支払を求めた事案において、

判例では、「支給義務者が地方自治法236条所定の消滅時効(5年で時効消滅すること)を主張することが信義則に反し許されない」と判示しました。

判例(最判平19.2.6)によると

『権利の時効消滅につき当該普通地方公共団体による援用を要しないこととしたのは,上記権利については,その性質上,法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが,当該普通地方公共団体の事務処理上の便宜及び住民の平等的取扱いの理念(同法10条2項参照)に資することから,時効援用の制度(民法145条)を適用する必要がないと判断されたことによるものと解される。このような趣旨にかんがみると,普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は,極めて限定されるものというべきである。』

よって、本肢は妥当です。

この点は理解が必要なので、個別指導で解説します!

5・・・妥当ではない

判例(最判昭50.2.25)によると

『国と国家公務員(以下「公務員」という。)との間における主要な義務として、法は、「公務員が職務に専念すべき義務」並びに「法令及び上司の命令に従うべき義務」を負い、

国がこれに対応して公務員に対し「給与支払義務」を負うことを定めているが、国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、・・・「安全配慮義務」を負つているものと解すべきである。』

つまり、本問は後半部分が妥当ではなく、正しくは「国家公務員の公務上の死亡について、国は、法律に規定された補償等の支給を行うことで足りず、それ以上に、上記の配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うこともある。」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問9|行政法

行政裁量に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.教科書検定の審査、判断は、申請図書について、内容が学問的に正確であるか、中立・公正であるか、教科の目標等を達成する上で適切であるか、児童、生徒の心身の発達段階に適応しているか、などの観点から行われる学術的、教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣(当時)の合理的な裁量に委ねられる。

イ.国家公務員に対する懲戒処分において、処分要件にかかる処分対象者の行為に関する事実は、平素から庁内の事情に通暁し、配下職員の指揮監督の衝にあたる者が最もよく把握しうるところであるから、懲戒処分の司法審査にあたり、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される。

ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定は、水俣病の罹患の有無という現在または過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。

エ.生活保護法に基づく保護基準が前提とする「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものであるから、保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。

オ.学校施設の目的外使用を許可するか否かについては、原則として、管理者の裁量に委ねられており、学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについては、集会の自由の保障の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:1

【解説】
ア.教科書検定の審査、判断は、申請図書について、内容が学問的に正確であるか、中立・公正であるか、教科の目標等を達成する上で適切であるか、児童、生徒の心身の発達段階に適応しているか、などの観点から行われる学術的、教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣(当時)の合理的な裁量に委ねられる。

ア・・・妥当

判例(最判平5.3.16)によると

『(教科書)検定の審査、判断は、申請図書について、内容が学問的に正確であるか、中立・公正であるか、教科の目標等を達成する上で適切であるか、児童、生徒の心身の発達段階に適応しているか、などの様々な観点から多角的に行われるもので、学術的、教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣の合理的な裁量に委ねられるものというべきである。』

と判示しています。

よって、妥当です。

 

イ.国家公務員に対する懲戒処分において、処分要件にかかる処分対象者の行為に関する事実は、平素から庁内の事情に通暁し、配下職員の指揮監督の衝にあたる者が最もよく把握しうるところであるから、懲戒処分の司法審査にあたり、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される。

イ・・・妥当ではない

判例(最判昭52.12.20)によると

『公務員につき、国公法に定められた懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきである。

・・・中略・・・、懲戒権者が右の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。

したがつて、裁判所が右の処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである。』

と判示しています。

よって、本問は「懲戒処分の司法審査にあたり、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される」という部分が妥当ではないです。

「関連ポイント」や「分かりやすい解説」は個別指導で解説いたします!

 

ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定は、水俣病の罹患の有無という現在または過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。

ウ・・・妥当

判例(最判平25.4.16)によると

『上記の認定(水俣病の認定)自体は,・・・客観的事象としての水俣病のり患の有無という現在又は過去の確定した客観的事実を確認する行為であって,この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではないというべきであり・・』

としています。

つまり、本問の「水俣病の認定は、水俣病の罹患の有無という現在または過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。」という内容は妥当です。

 

エ.生活保護法に基づく保護基準が前提とする「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものであるから、保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。

エ・・・妥当ではない

判例(最判平24.2.28)によると

『生活保護法3条によれば,同法により保障される最低限度の生活は,健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないところ,同法8条2項によれば,保護基準は,要保護者(保護を必要とする者)の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって,かつ,これを超えないものでなければならない。

そうすると,仮に,老齢加算の一部又は全部についてその支給の根拠となっていた高齢者の特別な需要が認められないというのであれば,老齢加算の減額又は廃止をすることは,同項の規定に沿うところであるということができる。

もっとも,これらの規定にいう最低限度の生活は,抽象的かつ相対的な概念であって,その具体的な内容は,その時々における経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり,これを保護基準において具体化するに当たっては,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである

したがって,保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し,最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては,厚生労働大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるものというべきである。』

と判示しています。

よって、『「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものであるから、・・・最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。』は妥当ではありません。

正しくは『「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものではないから、・・・最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められる。』です。

 

オ.学校施設の目的外使用を許可するか否かについては、原則として、管理者の裁量に委ねられており、学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについては、集会の自由の保障の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。

オ・・・妥当ではない

判例(最判平18.2.7)によると

学校施設は、一般公衆の共同使用に供することを主たる目的とする道路や公民館等の施設とは異なり、本来学校教育の目的に使用すべきものとして設置され、それ以外の目的に使用することを基本的に制限されていることからすれば、学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。

すなわち、学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、そのような支障がないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく、行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。』

と判示しています。

よって、「集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについては、集会の自由の保障の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。」は妥当ではありません。

正しくは「集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについても、申請を拒否することができる。」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問23|地方自治法

地方自治法が定める地方公共団体の事務に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 自治事務とは、自らの条例またはこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理することとした事務であり、都道府県、市町村および特別区は、当該条例または規則に違反してその事務を処理してはならない。

イ 第一号法定受託事務とは、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものである。

ウ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

エ 各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正または改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。

オ 各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の法定受託事務の執行が法令の規定に違反する場合、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告し、さらに、指示することができるが、当該都道府県知事が期限までに当該事項を行わないときは、地方裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア 自治事務とは、自らの条例またはこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理することとした事務であり、都道府県、市町村および特別区は、当該条例または規則に違反してその事務を処理してはならない。
ア・・・誤り
自治事務とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。
つまり、法定受託事務以外の事務はすべて自治事務になるわけです。
そして、自らの条例や規則を定めて、事務を処理することも可能です。
イ 第一号法定受託事務とは、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものである。
イ・・・正しい
この法律において「法定受託事務」とは、下記2つの事務をいいます(地方自治法2条9項)。
  1. 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(第1号法定受託事務
  2. 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(第2号法定受託事務

本肢は第1号法定受託事務の内容です。

ウ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
ウ・・・正しい
各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求める(是正勧告)ことができます(地方自治法245条の5第1項:是正の要求)。
したがって、本肢は正しいです。
エ 各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正または改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
エ・・・正しい
各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができます(地方自治法245条の7第1項:是正指示)。
オ 各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の法定受託事務の執行が法令の規定に違反する場合、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告し、さらに、指示することができるが、当該都道府県知事が期限までに当該事項を行わないときは、地方裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
オ・・・誤り
本肢は「地方裁判所」が誤りです。
正しくは「高等裁判所」です。
各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が、
①法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は
②当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、
(1)その是正を図ることが困難であり、かつ、
(2)それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、
文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができます(地方自治法245条の8第1項)。
そして、勧告に従わない場合、各大臣は、都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができます(同条2項)。
さらに、指示にも従わない場合、各大臣は、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができます(同条3項:代執行)。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問13|行政法・行政審判

次の手続のうち、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものの組合せはどれか。

ア.海技士等に対する懲戒処分を行うための海難審判所における審判・裁決の手続

イ.不当労働行為に係る救済命令のための労働委員会における審問・命令の手続

ウ.免許取消しのために実施される電波監理審議会における意見聴取手続

エ.特許無効審判が請求された場合に行われる特許庁における審判・審決の手続

オ.暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分のための公安審査委員会における審査手続

  1. ア・イ
  2. イ・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3
【解説】
ア.海技士等に対する懲戒処分を行うための海難審判所における審判・裁決の手続
ア・・・私人間の紛争ではない
私人間紛争とは、「民間×民間」の紛争です。私人間の紛争ではない場合については「行政×民間」や「行政×行政」の紛争があります。

本肢、「海技士等に対する懲戒処分」についての争いなので
海技士(民間の人)×行政機関(行政)」との争いに対する審判です。

よって、私人間の紛争ではないです。

イ.不当労働行為に係る救済命令のための労働委員会における審問・命令の手続
イ・・・私人間の紛争
「不当労働行為に係る救済命令のための労働委員会における審問・命令」は
労働者(民間の人)と会社・使用人(民間会社)」との争いに対する審判です。よって、私人間の紛争です。
ウ.免許取消しのために実施される電波監理審議会における意見聴取手続
ウ・・・私人間の紛争ではない
「免許取消し」は「免許を受けたい民間と行政機関」との争いなので、
「免許取消しのために実施される電波監理審議会における意見聴取手続」は
民間と行政」との争いに関する審判です。よって、私人間の紛争ではないです。
エ.特許無効審判が請求された場合に行われる特許庁における審判・審決の手続
エ・・・私人間の紛争
特許無効審判が請求とは、「特許を取ろうとしている人」が「他人の特許について、これは無効だ!」と請求することです。つまり、「民間と民間」の争いです。

よって、私人間の紛争です。

オ.暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分のための公安審査委員会における審査手続
オ・・・私人間の紛争ではない
「暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分」は、「民間団体と行政」との争いです。よって、私人間の紛争ではありません。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問20|国家賠償法

権限の不行使と国家賠償責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたとしても、当該免許制度は業者の人格・資質等を一般的に保証するものとはにわかに解しがたく、免許権者が更新を拒否しなかったことは、被害を受けた者との関係において直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  2. 医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  3. 国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
  4. 鉱山労働者を保護するための省令が後に科学的知見に適合しない不十分な内容となったとしても、制定当時の科学的知見に従った適切なものである場合には、省令を改正しないことが、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  5. 犯罪被害者が公訴の提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないので、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。

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【答え】:4
【解説】
1.宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたとしても、当該免許制度は業者の人格・資質等を一般的に保証するものとはにわかに解しがたく、免許権者が更新を拒否しなかったことは、被害を受けた者との関係において直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
1・・・正しい
判例によると「免許制度も、究極的には取引関係者の利益の保護に資するものではあるが、・・・
免許を付与した宅建業者の人格・資質等を一般的に保証し、ひいては当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的とするものとはにわかに解し難く、かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきであるから、知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たるものではないというべきである。」

と判示しています。

2.医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
2・・・正しい
判例によると「医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、厚生大臣が当該医薬品の副作用による被害の発生を防止するために前記の各権限を行使しなかったことが直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるものではなく、副作用を含めた当該医薬品に関するその時点における医学的、薬学的知見の下において、前記のような薬事法の目的及び厚生大臣に付与された権限の性質等に照らし、右権限の不行使がその許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使は、副作用による被害を受けた者との関係において同項の適用上違法となるものと解するのが相当である。」と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

3.国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
3・・・正しい
判例によると「国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である」と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

4.鉱山労働者を保護するための省令が後に科学的知見に適合しない不十分な内容となったとしても、制定当時の科学的知見に従った適切なものである場合には、省令を改正しないことが、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
4・・・誤り
選択肢3と同様の判例によると「炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において、炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて、じん肺法が成立した。

しかし、そのころまでには、さく岩機の湿式型化によりじん肺の発生の原因となる粉じんの発生を著しく抑制することができるとの工学的知見が明らかとなっており、さく岩機の湿式型化を図ることに特段の障害はなかったのに、同法成立の時までに、鉱山保安法に基づく省令の改正を行わず、さく岩機の湿式型化等を一般的な保安規制はしなかった。

上記のようにじん肺法が成立した後、通商産業大臣が鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。」

と判示しています。

よって、本肢は誤りです。

5.犯罪被害者が公訴の提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないので、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
5・・・正しい
判例によると「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではない。また、告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、検察官の職権発動を促すものにすぎない。

よって、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないというべきである。」

と判示しています。

したがって、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえません

よって、本肢は正しいです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略