行政法の過去問

令和元年・2019|問11|行政手続法

行政指導についての行政手続法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものが当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、何人も、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。
  2. 行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいい、その相手方が特定か不特定かは問わない。
  3. 地方公共団体の機関がする行政指導のうち、その根拠が条例または規則に置かれているものについては、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はないが、その根拠が国の法律に置かれているものについては、その適用がある。
  4. 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
  5. 行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。

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【答え】:4
【解説】
1.法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものが当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、何人も、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。
1・・・誤り
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の「相手方」は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2本分)。上記「行政指導の中止等の求め」は、行政指導を受けた「相手方のみ」できるのであって、「何人も(誰でも)」できるわけではありません。よって、本肢は誤りです。
2.行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいい、その相手方が特定か不特定かは問わない。

2・・・誤り

「行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため「特定の者」に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6項)。

行政指導の相手方は「特定の者」です。

本肢の「相手方が特定か不特定かは問わない」は誤りです。

3.地方公共団体の機関がする行政指導のうち、その根拠が条例または規則に置かれているものについては、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はないが、その根拠が国の法律に置かれているものについては、その適用がある。
3・・・誤り
地方公共団体の機関する処分(その根拠となる規定が条例または規則におかれているものに限る)及び行政指導、地方公共団体の機関がする届出並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、2章から6章までの規定は適用しない(行政手続法3条3項)、つまり、地方公共団体の機関がする行政指導は、「根拠が国の法律に置かれていたとしても」行政手続法の規定の適用除外です。そのため、本肢は誤りです。

ここはきちんと整理する必要があるので、この点は個別指導で解説します!

4.行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
4・・・正しい
行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければなりません(行政手続法35条3項)。よって、本肢は正しいです!どういうことを言っているのかは個別指導で解説します!
5.行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。
5・・・誤り
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間(意見提出期間)を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条)。

ここでいう「命令等」とは、「法律に基づく命令」「法律に基づく規則」「処分基準」「審査基準」「行政指導指針」です(行政手続法2条8号)。したがって、本肢は誤りです。

本問の意味はしっかり理解しましょう!

理解できない方は個別指導で解説します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問9|行政法

内閣法および国家行政組織法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 各省大臣は、国務大臣のうちから内閣総理大臣が命ずるが、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできない。
  2. 各省大臣は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督するが、その機関の所掌事務について、命令または示達をするため、所管の諸機関および職員に対し、告示を発することができる。
  3. 各省大臣は、主任の行政事務について、法律または政令の制定、改正または廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。
  4. 各省大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として規則その他の特別の命令を発することができる。
  5. 各省大臣は、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理するものとされ、内閣総理大臣が行政各部を指揮監督することはできない。

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【答え】:3
【解説】
1.各省大臣は、国務大臣のうちから内閣総理大臣が命ずるが、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできない。
1・・・誤り
各省大臣は、国務大臣のうちから、内閣総理大臣が命じます。ただし、内閣総理大臣が自ら当たることを妨げません(国家行政組織法5条3項)。つまり、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできるので誤りです。
2.各省大臣は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督するが、その機関の所掌事務について、命令または示達をするため、所管の諸機関および職員に対し、告示を発することができる。

2・・・誤り

各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができます(国家行政組織法14条)。

本肢は「告示」となっているので誤りです。
正しくは、「訓令又は通達」です。

3.各省大臣は、主任の行政事務について、法律または政令の制定、改正または廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。
3・・・正しい
各省大臣は、主任の行政事務について、法律又は政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければなりません(国家行政組織法11条)。よって、本肢は正しいです。
4.各省大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として規則その他の特別の命令を発することができる。
4・・・誤り
各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。一方、各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができます(同法13条)。

よって、本肢は「各省大臣」に関する問題なので、「規則その他の特別の命令」を発することができないので誤りです。

5.各省大臣は、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理するものとされ、内閣総理大臣が行政各部を指揮監督することはできない。
5・・・誤り
各省の長は、それぞれ各省大臣とし、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理します(国家行政組織法5条)。よって、この点は正しいです。

内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督します(内閣法6条)。

この点が誤りです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問8|行政法

行政上の義務の履行確保手段に関する次の記述のうち、法令および判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。
  2. 直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。
  3. 行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。
  4. 行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。
  5. 道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。

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【答え】:4
【解説】
1.即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。
1・・・誤り
即時強制とは、義務を命じる余裕のない緊急の必要がある場合に、行政機関が、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に実力行使することを言います。つまり、本肢の「行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合」というのは誤りです。詳細解説は、個別指導で行います!
2.直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。

2・・・誤り

直接強制とは、行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が、義務者の身体又は財産に実力を加えて、義務の履行があったとみなす行為を言います。

そして、直接強制の手続は行政代執行法に規定されていません。

したがって、「代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている」は誤りです。

3.行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。
3・・・誤り
法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができます(行政代執行法2条)。本肢の「条例は含まれない」は誤りです。「法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)」の通り、条例も含まれます。
4.行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。
4・・・正しい
行政上の秩序罰とは、形式的で軽微な行政上の義務違反に対して課される過料のことです。例えば、届出義務や登録義務、通知義務に違反した場合です。そして、国の法律違反に対する秩序罰は、非訟事件手続法に基づいて、裁判所が科します。よって、本肢は正しいです。
5.道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。
5・・・誤り
判例によると
「道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。
もしそうでなく、右のような抗告訴訟が許されるものとすると、本来刑事手続における審判対象として予定されている事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続との関係について複雑困難な問題を生ずるのであつて、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない。」としています(最判昭57.7.15)。よって、納付通知の取消訴訟を提起することはできないので誤りです。

上記判例の内容が分からない方は、個別指導で解説します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問43|行政法

次の文章は、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等が違法であるとして、当該懲罰を受けた議員が提起した国家賠償請求訴訟に関する最高裁判所の判決の一節である(一部修正してある)。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ ]に当たり、適法というべきである。

もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。

普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。

したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が[ エ ]の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。

(最一小判平成31年2月14日民集73巻2号123頁)

1.公法上の地位 2.一般市民法秩序 3.直接民主制 4.既得権 5.地方自治の本旨 6.知る権利 7.制度改革訴訟 8.行政立法 9.立法裁量 10.議会の内部規律 11.私法上の権利利益 12.統治行為 13.公法上の当事者訴訟 14.道州制 15.権力分立原理 16.当不当 17.自己情報コントロール権 18.法律上の争訟 19.抗告訴訟 20.司法権

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【答え】: ア:11:私法上の権利利益、イ:18:法律上の争訟、ウ:5:地方自治の本旨、エ:10:議会の内部規律【解説】

本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア:私法上の権利利益 ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ:法律上の争訟 ]に当たり、適法というべきである。もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。

普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ:地方自治の本旨 ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ:議会の内部規律 ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が[ ア:私法上の権利利益 ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。

したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の[ ア:私法上の権利利益 ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が[ エ:議会の内部規律 ]の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。

 

【ア】 本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり

ア・・・11:私法上の権利利益

「ア」の侵害=名誉を毀損され、精神的損害を被った

ということなので、アには「私法上の権利利益」が入ります。

詳細解説は個別指導で解説します。

 

【イ】 法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ ]に当たり、適法というべきである

イ・・・18:法律上の争訟

「法律上の争訟」とは、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②法律を適用することにより終局的に解決することができるものを言います。

「法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえない」という記述から、上記を思い浮かべて、「法律上の争訟」を入れることになります。

分かりやすい解説は個別指導で解説します。

 

【ウ】 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ ]に基づき自律的な法規範を有する

ウ・・・5:地方自治の本旨

憲法92条において「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と規定しています。

よって、ウには「地方自治の本旨」が入ります。

「地方自治の本旨」の解説は個別指導で解説します。

 

【エ】 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ:地方自治の本旨 ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。

エ・・・10:議会の内部規律

「議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当」と書いてあるので、「議会内部の問題」については、議会で処理するのが適当ということです。

また、その前に「自律的な法規範」という記述があるので、エには「議会の内部規律」が入ります。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問44|行政法 40字問題

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。

Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。

この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認訴訟を提起すべきである。(43字)


【解説】

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。

Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。

この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。

【誰を被告とするか?】

本問では、Xは、換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えています。

したがって、訴える相手(被告)は、組合となります。

※土地区画整理事業の認可処分について取消しを求める場合、被告はA県となります。

【どのような行為を対象とするか】

Xは、換地処分の配分が違法であることを求めているので、対象となる行為は、「換地処分」です。

【どのような訴訟をすべきか】

通常、換地処分について取消訴訟を提起すればよいのですが、「取消訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した」と書いてあるので、取消訴訟は提起できません。

できることとなると「無効等確認の訴え(無効確認訴訟)」です。これであれば、出訴期間はありません。

【40字にまとめると】

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認訴訟を提起すべきである。(43字)

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政指導とは、相手方の任意ないし合意を前提として行政目的を達成しようとする行政活動の一形式である。

行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し、行政指導に関する幾つかの条文を規定している。例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ ]手続の対象となることを定める規定がある。

行政指導は、一般的には、法的効果をもたないものとして処分性は認められず抗告訴訟の対象とすることはできないと解されているが、行政指導と位置付けられている行政活動に、処分性を認める最高裁判決も出現しており、医療法にもとづく[ イ ]について処分性を認めた最高裁判決(最二判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁)が注目されている。

1.通知 2.通達 3.聴聞 4.所掌事務 5.告示 6.意見公募 7.担当事務 8.基準 9.勧告 10.命令 11.弁明 12.審理 13.担任事務 14.告知 15.自治事務 16.指針 17.要綱 18.規則 19.所管事務 20.指示

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:4:所掌事務、イ:9:勧告、ウ:16:指針、エ:6:意見公募

【解説】

行政指導とは、相手方の任意ないし合意を前提として行政目的を達成しようとする行政活動の一形式である。

行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア:所掌事務 ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ:勧告 ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し、行政指導に関する幾つかの条文を規定している。例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ:指針 ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ:意見公募 ]手続の対象となることを定める規定がある。

行政指導は、一般的には、法的効果をもたないものとして処分性は認められず抗告訴訟の対象とすることはできないと解されているが、行政指導と位置付けられている行政活動に、処分性を認める最高裁判決も出現しており、医療法にもとづく[ イ:勧告 ]について処分性を認めた最高裁判決(最二判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁)が注目されている。

【ア、イ】 行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し

ア・・・4:所掌事務
イ・・・9:勧告

行政指導の定義を覚えていれば解けます。

行政指導とは、行政機関がその任務又は「所掌事務」の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、「勧告」、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号)。

これは覚えていくべき条文です。

キーワードは、
「所掌事務、特定の者、一定の作為又は不作為、勧告、助言、処分に該当しないもの」
なので、これらはすべて覚えておきましょう!

【ウ】 例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し

ウ・・・16:指針

上記内容は、「行政指導指針」に関する内容です。

行政指導指針とは、同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいいます(行政手続法2条8号ニ)。

キーワードは
「同一の行政目的、複数の者、行政指導、共通」です。

【エ】 例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ:指針 ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ ]手続の対象となることを定める規定がある。

エ・・・6:意見公募

「行政指導指針」と「●●手続」がキーワードです。

命令等制定機関は、命令等(法律に基づく命令、審査基準、処分基準、行政指導指針)を定めようとする場合には、意見公募手続きをとらなければなりません(行政手続法39条1項)。

したがって、行政指導指針は意見公募手続の対象です。

意見公募手続とは、具体的には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間(意見提出期間)を定めて広く一般の意見を求めることです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問26|行政法

自動車の運転免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。
  2. 道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。
  3. 運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。
  4. 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。
  5. 都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。

1・・・正しい

自動車等を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません(道路交通法84条1項)。

また、都道府県公安委員会は合議制の機関です。

2.道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。

2・・・誤り

免許停止期間が終了した際に、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っているのであれば、運転免許停止処分を争う利益はあるので、免許停止期間が終了したとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅しません。

関連する判例については個別指導で解説します。

3.運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。

3・・・誤り

「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、運転免許の「有効期限」なので、附款のうち「期限」に該当します。

「条件」ではないので誤りです。

4.自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。

4・・・誤り

本肢は「特許」が誤りです。正しくは、「許可」です。

「許可」とは、禁止されている行為を、特定の場合に解除して、適法に特定の行為を行わせる行為です。

自動車の運転は、本来誰でも行うことができるのですが、それをいったん法律で禁止して、学科試験や実務試験に合格した人に限って、禁止を解除して、運転できるようにしています。

5.都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

5・・・誤り

本肢は「都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たる」が誤りです。

都道府県公安委員会は、都道府県知事の所轄の下に置かれる機関です(警察法38条1項)。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問25|情報公開法

情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。
  2. 行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。
  3. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
  4. 条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。
  5. 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

(注)* 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

1・・・妥当

判例(最判平11.11.19)によると、

「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はない」

と判示しています。

つまり、通知書に理由を記して非公開の決定をした後、裁判となった場合、当初の理由以外を主張することもOKということです。

よって、本肢は妥当です。

2.行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。

2・・・妥当でない

判例(最判平26.7.14)によると

「開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては、その取消しを求める者(原告)が、当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う」

としています。

よって、本肢は「主張立証責任は、被告が負う」となっているので誤りです。

なぜ原告が立証請求を負うのかについては、個別指導で解説します。

3.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

3・・・妥当でない

判例(最判平14.2.28)によると、

「愛知県公文書公開条例に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合であっても、上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。」

としています。

訴えの利益が消滅しない理由については、個別指導で解説します!

4.条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。

4・・・妥当でない

判例(最判平18.4.20)によると

「条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件決定を行った場合、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける」

と判示しています。

よって、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるわけではないので、妥当ではないです。

5.条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

5・・・妥当でない

那覇市が、市の情報公開条例に基づいて、自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書付属資料を市民団体の請求に対して開示決定をしたので、「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案で

判例(最判平13.7.13)によると、

『公開されることで、本件建物の内部構造などが明らかになり、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されるため「法律上の争訟に当たる」』

としました。

よって、「法律上の争訟に該当しない」というのは妥当ではないです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問10|行政法,地方自治法

普通地方公共団体が締結する契約に関する次の記述のうち、地方自治法の定めに照らし、妥当なものはどれか。

  1. 売買、賃借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのほか、条例で定める方法によっても締結することができる。
  2. 売買、賃借、請負その他の契約を、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結することができるのは、政令が定める場合に該当するときに限られる。
  3. 一般競争入札により契約を締結する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高または最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとされており、この点についての例外は認められていない。
  4. 随意契約の手続に関し必要な事項は、当該普通地方公共団体が条例でこれを定める。
  5. 契約を締結する場合に議会の議決を要するのは、種類および金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものを締結するときであって、かつ指名競争入札による場合に限られる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
1.売買、賃借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのほか、条例で定める方法によっても締結することができる。
1・・・妥当ではない
売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結します(地方自治法234条1項)。
「条例で定める方法」で契約締結することができるとする規定はないので妥当ではありません。
2.売買、賃借、請負その他の契約を、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結することができるのは、政令が定める場合に該当するときに限られる。

2・・・妥当
売買、賃借、請負その他の契約は、原則、一般競争入札です。
「指名競争入札、随意契約又はせり売り」は、政令で定める場合に該当するときに限り、行うことができます(地方自治法234条2項)。

よって、本肢は妥当です。

3.一般競争入札により契約を締結する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高または最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとされており、この点についての例外は認められていない。

3・・・妥当ではない

普通地方公共団体は、一般競争入札に付する場合においては、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとします(地方自治法234条3項)
ただし、例外として、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができます(3項ただし書き)

つまり、一般競争入札は、原則「最高又は最低の価格」で申し込んだ人と契約しますが、例外として、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については「最低の価格以外」で申し込んだ人と契約をしてもよいということです。

これは理解した方が良いので、個別指導で解説します。

4.随意契約の手続に関し必要な事項は、当該普通地方公共団体が条例でこれを定める。
4・・・妥当ではない
随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、「政令」で定めます(地方自治法234条6項)。つまり「条例」で定めるわけではないので妥当ではありません。
5.契約を締結する場合に議会の議決を要するのは、種類および金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものを締結するときであって、かつ指名競争入札による場合に限られる。

5・・・妥当ではない

普通地方公共団体が契約締結をする場合、普通地方公共団体の議会は、『その種類及び金額について政令で定める基準に従い「条例で定める契約」を締結すること』を議決しなければなりません(地方自治法96条1項5号)。
この「条例で定める契約」は、指名競争入札だけでなく、その他の「一般競争入札、随意契約又はせり売り」による場合も含みます。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問9|行政法

行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
  2. 行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。
  3. 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。
  4. 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
  5. 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

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【答え】:1
【解説】
1.処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
1・・・妥当
判例(最判昭36.3.7)によると、「瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から、誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものと解すべきである」としています。
よって、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るもの(一目で分かるもの)であるかどうかにより決すべきということなので妥当です。
2.行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。

2・・・妥当ではない
判例(最判昭29.8.24)によると、「行政庁の処分は、特定の規程のない限り、意思表示の一般的法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時に、その効果を生ずるものと解すべき」としています。
つまり、本肢の「行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である」というのは妥当ではありません。
「発信されたとき」ではなく、「到達した時」です。

3.課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。

3・・・妥当ではない

本肢は「当該瑕疵に明白性が認められなければ」が妥当ではありません。

判例(最判昭48.4.26)によると、「課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である」としています。

よって、課税処分が当然に無効となる要件が上記の判例と問題文では異なるので妥当はありません。

この点の詳細解説は個別指導で行います!

4.相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
4・・・妥当ではない
本肢は「定められていなければ、適法にすることはできない」が妥当ではありません。
「定められていなくても、適法にすることができる」が妥当です。

判例(最判昭和63.6.17)によると、
「指定医師の指定の撤回によって上告人(医師)の被る不利益を考慮しても、なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるから、法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定医師の指定の権限を付与されている被上告人医師会は、その権限において上告人(医師)に対する右指定を撤回することができる」としています。

つまり、撤回すべき公益上の必要性が高い場合、「撤回できる」という規定が明文化されていなくても(法令上の根拠がなくても)、処分の権限があれば、その権限で撤回できるということです。

5.旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

5・・・妥当ではない

本肢は、色々理解すべき部分があるので、詳細解説は個別指導で解説します!

本肢は「取り消すことを妨げない(取り消すことができる)」が妥当ではありません。
「原則、取り消すことはできない」が妥当です。

判例(最判昭29.1.21)によると、
「旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、「行政機関は、終審として裁判を行うことができない」のであって、終審としては、裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わせることは、何等差支えないのである。
本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするのでるから行政処分に属するわけである。
かかる(このような)性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。」としている。

つまり、訴願裁決を出した後に、裁決庁が自分でその裁決を取り消すことは原則できないということです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略