普通選挙に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- アメリカでは、女性参政権に反対した南軍が南北戦争で敗れたため、19世紀末には男女普通選挙が実現した。
- ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていなかったが、ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現した。
- 日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。
- スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があり、現在まで女子普通選挙は行われていない。
- イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。
【答え】:3
【解説】
1・・・妥当ではない
アメリカ(当時のウィルソン大統領)は第一次世界大戦参戦(1914~1918年)のためには女性の協力が必要と考えたのですが、結果として、第一次世界大戦後の1920年に、女性の参政権を正式に認めたアメリカ合衆国憲法修正第19条が成立した。
よって、本肢は全体的に誤りです。
■南北戦争は、1861年から1865年にかけて、北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦です。
2.ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていなかったが、ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現した。
2・・・妥当ではない
ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていました。
よって、妥当ではありません。
■ドイツの帝政時代とは、1871年~1918年まで存続したドイツ帝国(プロイセン中心とした連邦制国家)です。
この時代では、二院制で、「上院に当たる連邦参議院」と「下院に当たる帝国議会」があり、帝国議会は成年男子による普通選挙で議員を選出するので、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていました。
後半は妥当です。ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現しました。
第一次世界大戦(1914~1918年)の敗北により、ドイツでは1918年11月12日、女性参政権を実現。 翌1919年1月19日、ワイマール共和国最初の国民議会選挙が実施され、ドイツで初めて女性が選挙に参加した。
3.日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。
3・・・妥当
日本では、1925年(大正14年)衆議院議員選挙法改正により、満25歳以上のすべての男子が選挙権を有することとなった。
1945年(昭和20年)衆議院議員選挙法改正により、女性の参政権を認め、満20歳以上のすべての国民が選挙権を有する「完全な普通選挙」が実現した。
第一次世界大戦(1914年~1918年)の後の1925年に日本で男子普通選挙(25歳以上の男が選挙権を持つ)が始まりました。
その後、第二次世界大戦(1939年~1945年9月)の後の1945年に、日本で男女普通選挙(20歳以上の「男女」が選挙権を持つ)が始まりました。
4.スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があり、現在まで女子普通選挙は行われていない。
4・・・妥当ではない
スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があることは妥当です。
そして、スイスは、他国よりも女性参政権が認められるのが遅かったです。
その理由は、当時のスイスでは「女性は政治以外のことをするために生まれてきた」という考えがあったからです。
その結果、スイスで、女性の参政権が連邦レベルで認められたのは、1971年で、他国よりも遅かったです。
5.イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。
5・・・妥当ではない
イギリスでは、「五次」にわたる選挙法改正が行われ、「20世紀初め」には男女普通選挙が実現していました。
第1次選挙法改正:1832年
・
・
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第5次選挙法改正:1928年に、すべての21歳以上の男女に選挙権が与えられました。
令和2年(2020年)過去問
問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基礎法学 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・社会 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・経済 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
問25 | 情報公開法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:物権 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |