民法の過去問

平成26年・2014|問32|民法・債務引受

債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:4

【解説】

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

ア・・・妥当ではない

免責的債務引受の契約方法は下記3つです。

  1. 債権者、債務者、引受人の3者で契約
  2. 引受人と債権者との契約(債権者が債務者に対して通知した時に、効力を生じる)(民法472条2項)
  3. 債務者、引受人とのの契約債権者の承諾(民法472条3項)

本肢は、「三者間の契約でしなければならない」が妥当ではありません。

免責的債務引受の詳細は、個別指導で解説します!

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

イ・・・妥当

併存的(重畳的)債務引受の契約方法は下記3つです。

  1. 債権者、債務者、引受人の3者で契約
  2. 引受人と債権者との契約民法470条2項)
  3. 債務者と引受人との契約(債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる)

上記2のとおり、債務者(原債務者)の意思は関係なく、債権者と引受人のみの契約でなすことができます。

よって、妥当です。

併存的債務引受の詳細は、個別指導で解説します!

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

ウ・・・妥当ではない

併存的(重畳的)債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担します(民法470条1項)。

つまり、分割債務ではないので、本肢は妥当ではありません。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

エ・・・妥当

契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転します(民法539条の2)。

つまり、売主の地位や買主の地位の譲渡は、相手方の承諾が必要で、

相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じません。

よって、妥当です。

本肢は具体例があった方が分かりやすいので、個別指導で具体例を解説します!

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

オ・・・妥当ではない

不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(民法605条の3)。

つまり、賃貸人の地位を他に譲渡するとき、賃借人の承諾は不要なので
本肢は妥当ではありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問30|民法・物上代位

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  2. 対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。
  3. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  4. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  5. 抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】

1.対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

1・・・正しい

判例によると、
「抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる」としています(最判平10.1.30)。

よって、対抗要件を備えた抵当権者は、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、物上代位権を行使することができるので、正しいです。

この点はしっかり理解しておかないと、本試験で失点します。

なので、個別指導で詳しく解説します!

2.対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。

2・・・正しい

判例によると、
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない」としています(最判平13.3.13)。

本肢の場合、当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後の話なので、
その後、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、第三債務者は抵当権者に対抗することはできません。

よって、本肢は正しいです。

本肢もしっかり理解すべき問題なので、個別指導で詳しく解説します!

3.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

3・・・誤り

判例によると、
動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない」としています(最判平17.2.22)。

よって、本肢の場合、
「動産売買の先取特権に基づく物上代位」を、「譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた」後に行うので、先取特権が負けます・

よって、当該動産の元来の売主(先取特権)は、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができないので、誤りです。

本肢は、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

4.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

4・・・正しい

判例によると、
「請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができる」としています(最決平10.12.18

したがって、本肢の場合、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるので

本肢は正しいです。

本肢も、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

5.抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

5・・・正しい

抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができます民法304条)。

また、判例によると、
「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」としています(最決平12.4.14)。

したがって、本肢は正しいです。

本肢も、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問27|民法・権利能力なき社団・組合

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
  2. X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。
  3. X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
  4. X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。
  5. X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

1.X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。

1・・・正しい

権利能力なき社団は、いわゆる「任意団体」のことで、社会人サークルや、老人会、町内会などです。

これらの権利能力なき社団は、法人格を持たないので、不動産はX会名義では登記できません

そのため、代表者A個人の名義で所有権の登記をすることができます最判昭47.6.2)。

よって、正しいです。

関連ポイントは個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

2.X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。

2・・・正しい

組合において、損失・利益の分け方については、
当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定めます民法674条)。

よって、本肢は正しいです・

本肢も、関連ポイントは個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。

3・・・誤り

判例によると、
「権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、
社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない」としています(最判昭48.10.9)。

つまり、本肢の
X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し」
という部分は正しいです。

また、「X会の社団財産がその債務のための責任財産になる」も正しいです。

一方、「構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う」が誤りです。

個人は連帯責任を負いません

具体例は、個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

4.X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。

4・・・正しい

組合の財産は、共有の中の「合有」に当たります。

そのため、X会の組合財産につき持分権を有します。

しかし、組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができません。(民法676条3項)

よって、本肢は正しいです。

この辺りはしっかり整理しておかないと凡ミスで失点するので、整理の仕方について個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

5.X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

5・・・正しい

判例によると、
『「権利能力なき社団」の財産は、実質的には社団を構成する総社員の所謂総有に属するものであるから、総社員の同意をもつて、総有の廃止その他右財産の処分に関する定めのなされない限り、現社員及び元社員は、当然には、右財産に関し、共有の持分権又は分割請求権を有するものではない』としています(最判昭32.11.14)。

権利能力なき社団の財産については、各社員(メンバー)は、持分権を有さず、また、社団財産について分割請求もできません

よって、正しいです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問29|民法・共有

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. ア・オ
  4. イ・ウ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:4(イウが妥当でない)

【解説】

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

ア・・・妥当

各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(民法253条1項)。

そして、共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(同条2項)。

よって、本肢は妥当です。

詳細解説は、個別指導で行います!

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

イ・・・妥当ではない

判例によると、
「不動産の共有者の1人は、共有不動産について実体上の権利を有しないのに持分移転登記を了している者に対し、その持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる」としています(最判平15.7.11)。

したがって、AおよびBは、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできるので、妥当でありません。

きちんと考え方を理解する必要があるので、個別指導で解説します!

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

ウ・・・妥当ではない

土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません(民法282条1項)。

つまり、共有者は、自分の持分についてのみ、地役権を消滅させることはできないので妥当ではありません。

これは地役権のイメージを知っていれば、関連問題も簡単に解けるようになります。

そのため、個別指導では、このイメージも解説します!

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

エ・・・妥当

判例によると、
「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、他の共有者に帰属する」としています(最判平元.11.24)。

つまり、共有者Cが死亡したときは、Cの財産の帰属先については、

「①相続人→②特別縁故者→③他の共有者(A・B)」

という優先順位となります。
(①がいないとき、②に帰属し、①②がいないとき③に帰属する)

よって、本肢は妥当です。

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

オ・・・妥当

法定地上権の成立要件は下記3つです(民法388条)。

抵当権設定当時に建物が存在していた

抵当権設定当時、土地と建物が同一の所有者に帰属していた

土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定され、それが抵当権の実行によって、それぞれ別々の所有者に帰属することになった

本肢の場合はすべてが満たされるから、法定地上権は成立すします。

よって、本肢は妥当です。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問28|民法・意思表示

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。(民法改正により複数回答可)

  1. AはBの強迫によって本件売買契約を締結したが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
  2. AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。
  3. AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。
  4. AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
  5. Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1と4

【解説】

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

1.AはBの強迫によって本件売買契約を締結したが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

1・・・妥当

取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅sし、また、行為の時から20年を経過したときも、同様に時効によって消滅します(民法126条)。

そして、本肢の場合、「畏怖の状態が続いている状況」は「追認することができるとき」ではありません。

「畏怖の状態が終わったとき」=「追認することができるとき」です。

そのため。本肢の場合、まだ、取り消すことができるので、妥当です。

注意点は、個別指導で解説します!

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

2.AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。

2・・・妥当ではない

詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗することができません民法96条3項)。

つまり、第三者Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がないだけで、CはAに対して甲土地の所有権の取得を主張することができます。

本肢は、「対抗要件を備えていなければならない」が妥当ではありません。

対抗要件を備えていなくても、Cは善意無過失であれば保護されます。

本肢は対比ポイントがあるので、個別指導で解説します!

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

3.AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。

3・・・妥当ではない

第三者Dが強迫した場合、相手方Bの善意・悪意、過失の有無に関係なく、強迫を受けた本人Aは売買契約を取り消すことができます(民法96条1項)。

そのため、相手方Bが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、強迫を受けた本人Aは、Dの強迫を理由として売買契約を取り消すことができます。

よって、妥当ではありません。

本肢は対比ポイントがあるのでは、個別指導で解説します!

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

4.AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

4・・・妥当

相手方Bに対する意思表示について第三者Eが詐欺を行った場合においては、相手方Bがその事実を知り(悪意)、又は知ることができた(有過失の)ときに限り、その意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。

よって、本肢は妥当です。

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

5.Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。

5・・・妥当ではない

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。

そして、判例によると、制限行為能力者であることを黙秘することのみでは詐術にあたらないとしています(最判昭44.2.13)。

よって、本肢の場合、「黙秘は詐術にあたる」「取り消すことはできない」の2つが誤りで、

正しくは、「黙秘のみのときは、詐術にあたらず」「取消しできる」です。

本肢は判例をしっかり理解しないといけないので、個別指導で解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問46|民法 40字問題

以下の[設例]および[判例の解説]を読んで記述せよ。

[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。
[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。

上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:

(背信的悪意者は、)登記の欠缺を主張することが信義則に反して許されないが、AC間の売買自体は有効であるから。(44文字)


【解説】
[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。
[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。

上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40字程度で記述しなさい。

【状況】

Aは、BとCの二者に譲渡した状況です。

A→B

A→C→D

Cは、Bを害する目的で買っているので、背信的悪意者です。

Dは、背信的悪意者からの譲受人です。

【質問内容】

Cは背信的悪意者に該当するが、背信的悪意者からの転得者Dについては、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗できる理由を質問しています。

「①背信的悪意者の意義」を踏まえつつ「DがBに対抗できる理由」を40字にまとめればよいです。

【①背信的悪意者の意義】について

判例(最判昭44.1.16)によると、

『実体上物権変動があった事実を知りながら当該不動産について利害関係を持つに至った者において、右物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであって、民法177条にいう「第三者」にあたらないものと解すべき』

としています。

つまり、「背信的悪意者の意義」とは、「背信的悪意者とはどういった人か?」ということです。

「背信的悪意者」とは、「登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないもの」です。

判例(最判平8.10.29)によると、

『Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならない。また、背信的悪意者が正当な利益を有する第三者にあたらないとして民法177条の「第三者」から排除されるゆえんは、第一譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第一譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第一譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである』

としています。

A→B

A→C→D

上記の「AC間の売買自体の無効を来すものではなく」とは、AC間の売買契約自体、無効でない=有効ということです。

【40字にまとめると】

(背信的悪意者は、)登記の欠缺を主張することが信義則に反して許されないが、AC間の売買自体は有効であるから。(44文字)

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問45|民法 40字問題

Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

>解答と解説はこちら


【答え】:

Aは、BがCの詐欺を知り、又は知ることができたときに限り、契約を取り消すことができる。(43字)


【解説】
Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

Aは、Cに騙されているので、「詐欺」のルールが適用されることが分かります。

そして、売買契約はAB間で行われているので、Aは、第三者Cから詐欺を受けています。

【第三者詐欺】

相手方Bがその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。

このルールを40字程度でまとめればよいです。

Aは、BがCの詐欺を知り、又は知ることができたときに限り、契約を取り消すことができる。(43字)

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問34|民法

医療契約に基づく医師の患者に対する義務に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は、医療機関の特性等によって異なるべきではなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる。
  2. 医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。
  3. 医師は、治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法については、その実施状況や当該患者の状況にかかわらず、説明義務を負うものではない。
  4. 医師は、医療水準にかなう検査および治療措置を自ら実施できない場合において、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない。
  5. 精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する薬の副作用については、その薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は、医療機関の特性等によって異なるべきではなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる。

1・・・妥当ではない

まず、「臨床医学」とは、実際に患者さんに接して診断・治療を行う領域を指します。

そして、判例(最判平8.1.23)によると、

「人の生命及び健康を管理すべき医業に従事する者は、危険防止のため実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるとはいえ、診療に従事する個々の医師につき、その専門分野、医療環境の如何を問わず、常に世界最高水準の知見による診療を要求するのは実際的でなく、そのため診療行為に当たる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には、診療当時の「いわゆる臨床医学の実践における医療水準」であるとされるのであり、更に右の医療水準も必ずしも全国一律の絶対的基準とされるものでなく、当該医師の専門分野、その所属する診療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等が考慮されるべきであるということとなろう」

としている。

つまり、臨床医学の実践における医療水準は、必ずしも全国一律の絶対的基準とされるものでないので、本肢は妥当ではありません。

臨床医学の実践における医療水準は、「当該医師の専門分野、その所属する診療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等」が考慮されるべき、としています。

2.医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。

2・・・妥当

「医療慣行」とは、医者の一般的な診断(判断)です。例えば、細菌感染しているから、抗生物質を処方する。熱が出ているから、ロキソニンを処方するといった慣習です。

そして、判例(最判平8.1.23)によると、

「医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行ってい
る医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。」

と判示しています。

したがって、医療水準は、医療慣行と必ず一致するとは限らないので、医師が、医療慣行に従った医療行為を行っても、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない、ということです。

よって、本肢は妥当です。

3.医師は、治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法については、その実施状況や当該患者の状況にかかわらず、説明義務を負うものではない。

3・・・妥当ではない

判例(最判平13.11.27)によると、

「少なくとも、当該療法(術式)が少なからぬ医療機関において実施されており、相当数の実施例があり、これを実施した医師の間で積極的な評価もされているものについては、患者が当該療法(術式)の適応である可能性があり、かつ、患者が当該療法(術式)の自己への適応の有無、実施可能性について強い関心を有していることを医師が知った場合などにおいては、たとえ医師自身が当該療法(術式)について消極的な評価をしており、自らはそれを実施する意思を有していないときであっても、なお、患者に対して、医師の知っている範囲で、当該療法(術式)の内容、適応可能性やそれを受けた場合の利害得失、当該療法(術式)を実施している医療機関の名称や所在などを説明すべき義務がある」

としています。

よって、「医療水準として未確立の療法については、説明義務を負うものではない」というのは、妥当でないです。

詳細な判例の理解の仕方については個別指導で解説します!

4.医師は、医療水準にかなう検査および治療措置を自ら実施できない場合において、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない。

4・・・妥当ではない

判例(最判平15.11.11)によると、

「この重大で緊急性のある病気のうちには、その予後が一般に重篤で極めて不良であって、予後の良否が早期治療に左右される急性脳症等が含まれること等にかんがみると、【要旨1】被上告人は、上記の事実関係の下においては、本件診療中、点滴を開始したものの、上告人のおう吐の症状が治まらず、上告人に軽度の意識障害等を疑わせる言動があり、これに不安を覚えた母親から診察を求められた時点で、直ちに上告人を診断した上で、上告人の上記一連の症状からうかがわれる急性脳症等を含む重大で緊急性のある病気に対しても適切に対処し得る、高度な医療機器による精密検査及び入院加療等が可能な医療機関へ上告人を転送し、適切な治療を受けさせるべき義務があったものというべきである」

としています。

つまり、本肢は「その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない」が妥当ではないです。

重大で緊急性のある病気のうちには、その予後が一般に重篤で極めて不良であって、予後の良否が早期治療に左右される急性脳症等が含まれること等を照らして合わせて考えると
病名が特定できなくても、それに対応できる医療機関へ患者を転送し、適切な治療を受けさせるべき義務があるということです。

5.精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する薬の副作用については、その薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる。

5・・・妥当ではない

「向精神薬」とは、「うつ状態」や「不安」を和らげる効果がある薬です。

判例(最判平14.11.8)によると、

「精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する向精神薬の副作用については、常にこれを念頭において治療に当たるべきであり、向精神薬の副作用についての医療上の知見については、その最新の添付文書を確認し、必要に応じて文献を参照するなど、当該医師の置かれた状況の下で可能な限りの最新情報を収集する義務があるというべきである。」

としています。

つまり、精神科医は、向精神薬の副作用については、最新の添付文書を確認して、必要に応じて文献を参照するなど、医師の置かれた状況の下で可能な限り最新情報を収集する義務がある、ということです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問35|民法

特別養子制度に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。

イ.特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。

ウ.すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。

エ.特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。

オ.特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。

ア・・・誤り

家庭裁判所は、一定要件を満たしたときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(特別養子縁組)を成立させることができます(民法817条の2第1項)。

上記を補足すると、「家庭裁判所が審判により」特別養子縁組を成立させます。

よって、実父母と養父母の間で合意したことを届け出ることでは、成立しません。

したがって、誤りです。

特別養子縁組については、個別指導で解説します。

イ.特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。

イ・・・正しい

特別養子縁組において養親となる夫婦の少なくともどちらか一方は、25歳以上で、もう一方が20歳以上であることが要件です(民法817条の4)。

よって、本肢は正しいです。

例えば、養父が25歳で、養母が20歳であれば、上記要件は満たします。

ウ.すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。

ウ・・・誤り

特別養子となる者が15歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が必要です(民法817条の5第2項)。

言い換えれば、特別養子になる人が15歳未満なら同意は不要なので、誤りです。

エ.特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。

エ・・・正しい

養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します(民法817条の9本文)。

よって、本肢は正しいです。

オ.特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。

オ・・・誤り

次の一号・二号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができます(民法817条の10第1項)。

一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。

二 実父母が相当の監護をすることができること。

上記を言い換えると、一号・二号のどちらか一方でも満たさない場合は、離縁(養子縁組を解消)することができません。

本肢は「または、」という記述が誤りです。

正しくは「かつ」です。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問33|民法

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。
  2. 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。
  3. Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。
  4. 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。
  5. 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

1.本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。

1・・・妥当

賃貸借の対抗要件を備えた場合、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転します(民法605条の2)。

つまり、賃貸人たる地位は、Aから譲受人C(土地の新所有者)に移転します。

よって、本肢は妥当です。

例えば、アパートの賃貸借契約をしていて、アパートのオーナーがAからCに変われば、賃貸人もAからCに変わるということです。

これを、業界用語で「オーナーチェンジ」と言います。

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

2.乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

2・・・妥当ではない

判例(最判昭47.6.22)によると、

「土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもって対抗することができない」

としています。

つまり、「土地の賃借人がB」で、「借りた土地の上にある建物の登記の名義が妻D」の場合(=土地の借主と、借地上の建物の登記名義人が異なる場合)、新しい土地の買主Cに対して、土地の賃借権を主張できない、ということです。

よって、妥当ではないです。

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

3.Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

3・・・妥当

賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができません(民法605条の2第3項)。

つまり、土地の新所有者Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、賃貸人であることを主張できない(賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない)ので、本肢は妥当です。

簡単に言えば、
土地の新所有者Cが、賃借人Bに対して賃料の支払いを請求するには、登記が必要、ということです。

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

4.本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

4・・・妥当

この問題文の「乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したとき」という部分について「乙建物なのに、なぜ、土地賃貸人Cが負担するの?」と疑問に思うかもしれませんが、この点については理解が必要なので、個別指導で解説します!

こういった問題文の理解が、合否に結び付くので、理解学習をすることが行政書士試験の合格の近道になります!

では、本肢の解説に入ります!

賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます(民法608条)。

そして、本肢の場合

賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転しているため、

賃借人Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、

Bは、新賃貸人Cに対して、直ちにその償還を請求することができます。

よって、妥当です。

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

5.本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

5・・・妥当

賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、「費用の償還債務」及び「敷金の返還債務」は、譲受人又はその承継人が承継します(民法605条の2第4項)。

したがって、敷金の返還債務は、新賃貸人Cが引き継ぐので、賃借人Bは、新賃貸人Cに対して、敷金の返還を請求できます。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略