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行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用

審査請求の規定が、再審査請求に準用されないもの

下記内容は審査請求のルールですが、下記審査請求のルールは再審査請求には適用されません。

第9条第3項 審理員指名の例外機関への除外規定
第18条
第1項・2項
審査請求期間
第19条第3項 不作為についての審査請求書の記載事項
第19条第5項
1号・2号
再調査請求の年月日
決定を経ないことについての正当な理由
第22条 誤った教示をした場合の救済
第25条第2項 執行停止
第29条2~5項 弁明書の提出
第30条第1項 反論書の提出
第41条第2項
第1号イ及びロ
審理手続の終結
弁明書の未提出、反論書の未提出
第43条 行政不服審査会等への諮問
第45条 処分についての審査請求の却下又は棄却
第46条 処分についての審査請求の認容
第47条 事実上の行為についての審査請求の認容
第48条 不利益変更の禁止
第49条 不作為についての審査請求の裁決
第50条
第1項・2項
裁決の方式

審査請求の規定が、再審査請求に準用されるもの

再審査庁が、審理員指名の例外機関(例えば内閣府等)である場合には、下記規定は適用されます。

第17条 審理員となるべき者の名簿
第40条 審理員による執行停止の意見書の提出
第42条 審理員意見書
第50条第2項 諮問を要しない場合の裁決書への審理員意見書の添付

(審査請求に関する規定の準用)
行政不服審査法第66条 第二章(第9条第3項、第18条(第3項を除く。)、第19条第3項並びに第5項第1号及び第2号、第22条、第25条第2項、第29条(第1項を除く。)、第30条第1項、第41条第2項第1号イ及びロ、第四節、第45条から第49条まで並びに第50条第3項を除く。)の規定は、再審査請求について準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 再審査庁が前項において準用する第九条第1項各号に掲げる機関である場合には、前項において準用する第17条、第40条、第42条及び第50条第2項の規定は、適用しない。

<<行政不服審査法65条:再審査請求の認容の裁決 | 行政不服審査法82条:不服申立てをすべき行政庁等の教示>>

行政不服審査法41条:審理手続の終結

審査請求の大まかな流れは下記の通りです。下記6の反論書の提出まで終わり、処分庁と審査請求人・参加人の意見を聴いて、必要な審理を終えたと認めるときは、審理員は審理手続を終結します。このページでは、審理手続を終える場面についての行政書士試験のポイントをお伝えします。

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求人は審理員に反論書を提出します。

審理手続の終結

どのような場合に審理手続を終結するか?

  1. 審理員は、必要な審理を終えたと認めるとき
  2. 弁明書、反論書、意見書、証拠書類等が、相当期間内に提出されなかったとき
  3. 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき

審理手続を終結したら何をするのか?

審理員が審理手続を終結したときは、審理員は、速やかに、審理関係人(審査請求人、参加人、処分庁)に対し、審理手続を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を審査庁に提出する予定時期を通知しなければなりません。当該予定時期を変更したときも、同様に通知が必要です。

(審理手続の終結)
行政不服審査法第41条 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。
2 前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。
一 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。
イ 第29条第二項 弁明書
ロ 第30条第一項後段 反論書
ハ 第30条第二項後段 意見書
ニ 第32条第三項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件
ホ 第33条前段 書類その他の物件
二 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
3 審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条第二項及び第四十三条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

<<行政不服審査法40条:審理員による執行停止の意見書の提出 | 行政不服審査法42条:審理員意見書>>

差止めの訴え(抗告訴訟の一種)

行政事件訴訟法の類型でも勉強した通り、主観訴訟の中の抗告訴訟の一つに「差止めの訴え」があります。

主観訴訟とは、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して違法でないかと不服がある場合の訴訟です。

差止めの訴えとは?

差止めの訴え(差止め訴訟)とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟を言います。

上記「処分や裁決がされようとしている場合」に行う訴訟なので、処分や裁決がされる前に提起するものだということです。行政書士の試験ではここが非常に重要です。

例えば、Aが建物を建築したが、甲県が「この建物は違法建築物です。直してくれませんか?」という行政指導をAに対して行った。しかし、Aは違法建築物ではないと思っていた。このまま放っておくと、除去命令の処分をされかねません。そのためAは甲県に対して、除去命令をしないように差止めの訴えを提起することができます。

差止め訴訟の訴訟要件

差止め訴訟を提起できる要件は下記3つです。すべて満たした場合に適法となり審理されます。いずれか一つでも満たさない場合は、不適法として却下されます。

※非申請型の義務付け訴訟と同じ訴訟要件です。

  1. 一定の処分や裁決がなされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること
  2. その損害を避けるため他に適当な方法がないこと
  3. 行政庁が一定の処分をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者であること

差止め訴訟の勝訴要件

差止め訴訟で原告が勝訴するためには下記2つのいずれかを満たす必要があります。

  1. 行政庁がその処分をすべきでないことが明らかであること
  2. 行政庁がその処分をすることが裁量権の逸脱・濫用となると認められること

上記のいずれかを満たせば、認容判決(原告勝訴)となり、どちらも満たさない場合は棄却判決(原告敗訴)となります。

<<義務付けの訴え | 仮の義務付け・仮の差止め>>

行政不服審査法58条:再調査の請求の却下又は棄却の決定

再調査の請求が法定の期間を過ぎた場合(不適法である場合)、処分庁は、決定により却下します。

再調査請求について、理由がない場合、処分庁は、決定で棄却します。

再調査請求について、結論を出すことを「決定」という文言を使います。

審査請求について、結論を出すことは「裁決」でしたね!

却下と棄却の違い

この2つの違いについてよく行政書士試験で出題されるので必ず頭に入れておきましょう!

却下 手続の不備など、不適法な場合に、審理をせずに門前払いをすること
棄却 手続の不備はなく適法に行われているため、審理はするが、請求に理由がないとして請求などを退けること

(再調査の請求の却下又は棄却の決定)
行政不服審査法第58条 再調査の請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を却下する。
2 再調査の請求が理由がない場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を棄却する。

<<行政不服審査法57条:三月後の教示 | 行政不服審査法59条:再調査の請求の認容の決定>>

行政手続法38条:意見公募手続(命令等を定める場合の一般原則)

意見公募手続

意見公募手続きとは、簡単に言えば、「国民の意見を聴く」手続きを言います。命令等を定める場合、国民の多様な意見を聴いて、それを考慮しながら最終的に命令等を定めていきます。

日本は民主主義国家なので、国民の意見を聴くことは重要ですね!

命令等とは?

意見公募手続きが必要な命令等とは、下記4つです。行政書士試験では、最重要用語です。絶対に覚えましょう!

  1. 法律に基づく命令または規則
  2. 審査基準
  3. 処分基準
  4. 行政指導指針

法律に基づく命令とは、政令(内閣が制定)や省令(大臣が制定)を指します。

>>政令や省令などの法規命令はこちら

そして、命令等を定める機関(命令制定機関)は、根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるよう命令を制定しなければなりません。

さらに、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の「実施状況」、「社会経済情勢の変化」等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければなりません。(努力義務なので、「必ず、適正を確保しなければならない」わけではない)

第六章 意見公募手続等
(命令等を定める場合の一般原則)
行政手続法第38条 命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2 命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。

<<行政手続法37条:届出 | 行政手続法39条、40条、41条、42条、43条、45条:意見公募手続の流れ>>

取消訴訟の訴えの利益(狭義)

狭義の訴えの利益とは?

(狭義の)訴えの利益とは、訴訟を行う意味(実益)があるのか?訴訟を維持する意味(実益)があるのか?という、処分を取り消すことの必要性を指します。

処分を取り消すことにより、原告に何らかの利益の回復が得られるのであれば、訴えの利益はあり、ないのであれば訴えの利益は否定され、不適法として却下されます。

例えば、処分性や原告適格の要件を備えていたとしても、訴えの利益がなければ却下判決を下されます。

※「広義の訴えの利益」とは、原告が取消訴訟を行うにあたって法律上の利益を有していることを意味します。つまり、訴訟要件のうちの「原告適格」のことです。

訴えの利益を肯定した判例

  1. 運転免許取消し(最判昭40.8.2)
  2. 公務員の免職(最判昭40.4.28)
  3. 土地改良事業の施行認可処分(最判平4.1.24)
  4. 公文書の非公開決定(最判平14.2.28)
  5. 優良運転者である旨の記載がない処分を受けた者(最判平21.2.27)

運転免許取消処分(最判昭40.8.2)

運転免許の取消処分に対する取消訴訟の係属中に免許の有効期間が経過した場合でも、取消処分が取り消されば、免許の更新手続きにより免許を維持できるため、訴えの利益は失われないとしています。つまり、「運転免許の取消処分に対する取消訴訟」に訴えの利益はあるということです。

【詳細解説】 Aは、運転免許取消処分を受けた。
Aは、処分を不服に思って取消訴訟を提起した。
裁判をしている間に、当初の免許の有効期間が経過した。

この場合、免許の有効期間が過ぎているので、
Aに訴えの利益がなくなるのでは?と思うかもしれませんが

もし、免許取消処分が取り消されたら
有効期間中に更新申請できたわけなので(利益があったので)
免許取消処分を取り消す利益はある

公務員の免職処分(最判昭40.4.28)

懲戒免職を受けた公務員がその処分を取消訴訟中に本人が議員に立候補した場合、立候補するとその時点で自動的に失職しますが、懲戒処分が取り消されれば、公務員時代の給料や退職金はもらえるため、訴えの利益は失われない。

※懲戒処分は給料や退職金はもらえないが、議員立候補による失職の場合は、それまでの給料や退職金はもらえる

【詳細解説】 公務員Aが懲戒免職を受けた(クビになった)
クビという処分に不服があるため、取消訴訟を提起。
裁判中に、Aは議員に立候補

公務員は、議員に立候補するとその時点で自動的に失職するというルールがある(公職選挙法90条)。
そのため、Aは、立候補した時点でクビ処分の取消訴訟の訴えの利益がなくなるのでは?と思うかもしれませんが

もし、クビ処分が取り消されたら「
公務員時代の給料や退職金はもらえる」という利益が存在するため、訴えの利益は失われません。

土地改良事業の施行認可処分(最判平4.1.24)

土地改良事業における事業施工認可処分により、工事が開始され、工事が完了すると、社会通念上元に戻すことが不可能です。しかし、社会通念上元に戻すことが不可能であっても、事業施工の認可処分を取消せば、換地処分など他の法的効力にも影響するため訴えの利益は残るため、訴えの利益は失われません。

公文書の非公開決定(最判平14.2.28)

公文書公開条例に基づき公開請求された公文書の非公開決定がされた後、当該公文書が書証(裁判の中で証拠書類)として提出された。証拠書証として出されても、誰もが見ることができる訳ではないし、コピーを取ることもできません。そのため、上記非公開決定を取り消した場合、請求した公文書を閲覧したり、公文書のコピーを受け取ることを求める法律上の利益があるから、上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しません。

優良運転者である旨の記載がない処分を受けた者(最判平21.2.27)

客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上、一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は、上記の法律上の地位を否定されたことを理由として、これを回復するため、同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するというべきものである。

『最判平21.2.27:「優良運転者である旨の記載の有無」と「訴えの利益」』の詳細はこちら>>

訴えの利益を否定した判例

  1. 皇居外苑使用の不許可処分(最判昭28.12.23)
  2. 生活保護の変更決定(最判昭42.5.24)
  3. 土地収用にける明渡裁決(最判昭48.3.6)
  4. 運転免許停止処分(最判昭55.11.25)
  5. 保安林指定の解除処分(最判昭57.9.9)
  6. 建築確認(最判昭59.10.26)
  7. 保育所廃止条例の制定(最判平21.11.26)
  8. 衆議院議員選挙(最判平17.9.27)

皇居外苑使用の不許可処分(最判昭28.12.23)

公会堂使用及び皇居外苑使用の不許可処分の取消訴訟の係属中に、使用する特定日が経過した場合、たとえ不許可処分をしたとしても、その特定日に使用できないから訴えの利益は失われます。

生活保護の変更決定(最判昭42.5.24:朝日訴訟)

生活保護処分に関する裁決の取消訴訟に対して、取消処分を求めた。その後、被保護者が死亡すると、保護受給権も消滅し、相続されることもないため、取消しを訴える利益は消滅します。

※生活保護受給権は一身専属権であり、他の者に譲渡することもできないし、相続されることもない。

土地収用にける明渡裁決(最判昭48.3.6)

土地収用に基づく明渡裁決があると、一定期間内に土地を明け渡す義務が発生します。そして、いったん土地の明渡しが完了すれば、明渡裁決の効果として土地の占有者の義務はなくなります。つまり、代執行の完了(明渡し完了)をした後に、上記明渡裁決を取り消しても意味がないので、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

運転免許停止処分(最判昭55.11.25)

運転免許停止処分がなされて、免許停止期間の経過後、無事故無違反で1年経過すると、免許停止処分がなかったことになり、また、免許停止処分を受けたことがあることにより、何らかの不利益を受けるといった法令はありません。そのため、上記1年を経過した後に、運転免許停止処分の取消しを求めたとしても、処分を受けた者に利益はないので、訴えの利益は認められません。

保安林指定の解除処分(最判昭57.9.9)

保安林指定解除処分があると、周辺住民は、洪水や渇水の危険性が増します。そのため、当該解除処分を取り消すことについては訴えの利益はあります。しかし、保安林に代わる代替施設の設置があれば、上記洪水や渇水の危険が解消され、保安林の存続の必要性がなくなります。つまり、保安林指定解除処分を取り消しても周辺住民に何ら利益はないので、訴えの利益は失います。

建築確認(最判昭59.10.26)

建築確認があった後、建物の建築工事が完了した場合、その後、建築確認を取り消したとしても、既に建物は完成しているため、取消ししても意味がありません。そのため、工事完了によって建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われます。
建築確認は、建築工事を開始してよいと伝えるだけ。この建築確認を取り消しても、建物を除去するまでの効力はない。

保育所廃止条例の制定(最判平21.11.26)

保育園廃止処分を受けた者(原告)について、保育の実施期間が満了すると、その後、保育園に入ることはないため、上記期間満了後に保育園廃止処分を取り消しても、原告に利益はないため、保育園廃止処分の取消しを求める訴えの利益は失われます。

衆議院議員選挙(最判平17.9.27)

衆議院選挙があり、その後、解散があると本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと考えられています。そのため、衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は、衆議院の解散によって、その訴えの利益を失います。

<<取消訴訟の原告適格 | 取消訴訟の被告適格>>

行政不服審査法43条:行政不服審査会等への諮問

このページでは、行政不服審査会への諮問(しもん)について解説します。まず、審査請求からの裁決の下記流れをご覧ください。今回は8の諮問の内容です。この流れは行政書士試験で合格するために重要な流れなので、必ず頭に入れましょう!

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求人は審理員に反論書を提出します。
  7. 審理員は審査庁に審理員意見書を提出


行政不服審査会等への諮問

審査庁が審理員意見書の提出を受けたときは、行政不服審査会等に諮問(しもん)しなければなりません。諮問とは、意見を尋ね求めることです。

この手続きは、審査庁が裁決をする前に、行政不服審査会等の第三者機関に対してお伺いを立てて、その意見を踏まえた上で最終的な判断を下すためです。

これは、客観的で公正な判断を下すためのルールで、平成26年の法改正により設けられました。

※審査庁が「合議制の機関(例えば〇〇委員会)」である場合等は、行政不服審査会への諮問は不要です。

諮問機関(誰に諮問するか?)

上図では、「行政不服審査会」となっていますが、審査庁が地方公共団体の長である場合、地方公共団体に設置された付属機関に諮問することになります。

(行政不服審査会等への諮問)
行政不服審査法第43条 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体の長(地方公共団体の組合にあっては、長、管理者又は理事会)である場合にあっては第81条第1項又は第2項の機関に、それぞれ諮問しなければならない。
一 審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)の議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て当該処分がされた場合
二 裁決をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるものの議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決をしようとする場合
三 第46条第3項又は第49条第4項の規定により審議会等の議を経て裁決をしようとする場合
四 審査請求人から、行政不服審査会又は第81条第1項若しくは第2項の機関(以下「行政不服審査会等」という。)への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人から、行政不服審査会等に諮問しないことについて反対する旨の申出がされている場合を除く。)
五 審査請求が、行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合
六 審査請求が不適法であり、却下する場合
七 第46条第1項の規定により審査請求に係る処分(法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分及び事実上の行為を除く。)の全部を取り消し、又は第47条第1号若しくは第2号の規定により審査請求に係る事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することとする場合(当該処分の全部を取り消すこと又は当該事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
八 第46条第2項各号又は第49条第3項各号に定める措置(法令に基づく申請の全部を認容すべき旨を命じ、又は認容するものに限る。)をとることとする場合(当該申請の全部を認容することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
2 前項の規定による諮問は、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければならない。
3 第1項の規定により諮問をした審査庁は、審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人)に対し、当該諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければならない。

<<行政不服審査法42条:審理員意見書 | 行政不服審査法44条:裁決の時期>>

行政不服審査法20条:口頭による審査請求

行政不服審査法20条「口頭による審査請求」の内容は、簡単な内容なので覚えてしまいましょう!ただ、行政書士試験ではあまり出題されない部分です。ただし、難しくないので出題されたら必ず得点できるようにしましょう!

口頭で審査請求をする場合、行政不服審査法19条の「処分における審査請求書の記載内容」と「不作為における審査請求書の記載内容」を陳述し(口頭で伝え)、行政庁は、その内容を記録します。記録が終わったら、陳述人(口頭で話した者)に読み聞かせを行い、誤りがないかを確認させなければなりません。

(口頭による審査請求)
行政不服審査法第20条 口頭で審査請求をする場合には、前条第2項から第5項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認しなければならない。

<<行政不服審査法19条:審査請求書の提出 | 行政不服審査法21条:処分庁等を経由する審査請求>>

国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員

係争処理手続

①国と地方公共団体との間に、または②都道府県と市町村との間に争いが生じた場合、公平・中立な第三者機関によって紛争の解決を図り、違法行為については、高等裁判所の判断によって解決を図ります。これが地方自治法における係争処理手続です。

そして、①国と地方公共団体との間での争いについては、国地方係争処理委員会が第三者機関として紛争解決に努め、②都道府県と市町村との間に争いについては自治紛争処理委員が第三者機関として紛争解決に努めます。

国地方係争処理委員会

  1. 国が地方公共団体に関与します。
  2. 国が地方公共団体に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、国地方係争処理委員会に対して、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた国地方係争処理委員会は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  4. 違法な関与にも関わらず、国地方係争処理委員会の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

国地方係争処理委員会が処理する対象

  • 国による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 国の不作為
  • 法令に基づく国との協議

国地方係争処理委員会の委員

  • 国地方係争処理委員会は、委員5人で組織され、委員は、非常勤とする。
    ただし、そのうち2人以内は、常勤とすることができる。
  • 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。

自治紛争処理委員

  1. 都道府県が市町村に関与します。
  2. 都道府県が市町村に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、総務大臣に、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた総務大臣は、自治紛争処理委員を任命します。
  4. 自治紛争処理委員は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  5. 違法な関与にも関わらず、自治紛争処理委員の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

自治紛争処理委員が処理する対象

  • 都道府県による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 都道府県の不作為
  • 法令に基づく都道府県との協議

自治紛争処理委員の委員

  • 自治紛争処理委員は3人で組織され、委員は、非常勤とする。
  • 委員は、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事がそれぞれ任命する。
  • 委員は、事件終了によって失職する。

関与(助言・勧告、是正要求、是正勧告、是正指示、代執行)

まず、基本的な考え方として、国と地方公共団体は対等・協力の関係があります。

対等ではあるのですが、国の政策を行っていく上で、地方公共団体の事務についても、国の一定の関与が必要となることもあります。

しかし、どんな場合においても関与できるとなると、それは地方自治体の自主性や自立性を壊してしまうので、関与を行うには、法律又はこれに基づく政令の根拠が必要となります(法定主義)。

また、関与をする場合、その目的を達成するために必要最小限のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性および自立性に配慮しなければなりません(比例原則)。

また、その構成・透明性を確保するため、書面の交付、審査基準・標準処理期間の設定等、行政手続法に似た内容を義務付けています(公正・透明の原則)。

関与の形態

関与は、国が都道府県や市町村に関与したり、都道府県が市町村に関与したりします。

そして、関与の形態については、行政書士で重要なものは下記5つです。

  1. 技術的な助言および勧告、資料の提出の要求
  2. 是正の要求
  3. 是正の勧告
  4. 是正の指示
  5. 代執行

1が一番緩い関与で、2、3、4の順に関与がきつくなり、5が一番きつい関与です。

技術的な助言および勧告、資料の提出の要求

各大臣は、都道府県・市町村に対して
都道府県は、市町村に対して
自治事務・法定受託事務の運営について適切と認める技術的な助言や勧告をすることができ、また、当該助言・勧告・情報提供をするため必要な資料の提出を求めることができます。

是正の要求

是正要求は、地方公共団体の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

そして、各大臣は、都道府県・都道府県の執行機関・市町村に対して是正要求が行えますが、是正要求できる対象となる事務が異なります。

  • 都道府県に対しては、都道府県の自治事務
  • 都道府県の執行機関に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務
  • 市町村に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務

そして、是正要求は、法的拘束力があるため、是正要求を受けた地方公共団体は、是正又は改善のための必要な措置を講じなければなりません。もし、是正要求に不服があれば、国地方係争処理委員会や自治紛争処理委員による係争処理手続きを行うことができます。

是正の勧告

是正勧告は、市町村の自治事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に都道府県の執行機関が、市町村に対して行う関与です。

この是正勧告は、法的拘束力がないので、国地方係争処理委員会や自治紛争処理委員による係争処理手続きを行うことができません。

是正の指示

是正指示は、地方公共団体の法定受託事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

誰から誰に是正指示ができるかは下記の通りです。

  1. 各大臣→都道府県
  2. 都道府県の執行機関→市町村
  3. 各大臣→都道府県の執行機関(第1号法定受託事務に限る)
  4. 各大臣→市町村(第1号法定受託事務に限る)

代執行

代執行とは、地方公共団体の事務の処理が法令違反のとき、または事務の処理を怠っているときに、是正のための措置を、各大臣が都道府県や市町村に代わって行うことを言います。

そして、代執行の対象となるのは、長の法定受託事務に限られます。(自治事務については代執行できない)

代執行の流れ

  1. 各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の処理に違反がある場合、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正するよう勧告することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の勧告を行うことができる。
  2. 各大臣は、都道府県知事が上記期限までに勧告に従わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の指示を行うことができる。
  3. 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
    都道府県も同様、高等裁判所に請求できる。
  4. 高等裁判所が、各大臣(都道府県)の請求を認めるときは、各大臣(都道府県)は代執行を行える。