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取消訴訟の訴えの利益(狭義)

狭義の訴えの利益とは?

狭義の)訴えの利益とは、訴訟を行う意味(実益)があるのか?訴訟を維持する意味(実益)があるのか?という、処分を取り消すことの必要性を指します。

処分を取り消すことにより、原告に何らかの利益の回復が得られるのであれば、訴えの利益はあり、ないのであれば訴えの利益は否定され、不適法として却下されます。

例えば、処分性や原告適格の要件を備えていたとしても、訴えの利益がなければ却下判決を下されます。

※「広義の訴えの利益」とは、原告が取消訴訟を行うにあたって法律上の利益を有していることを意味します。つまり、訴訟要件のうちの「原告適格」のことです。

訴えの利益を肯定した判例

  1. 運転免許取消し(最判昭40.8.2)
  2. 公務員の免職(最判昭40.4.28)
  3. 土地改良事業の施行認可処分(最判平4.1.24)
  4. 公文書の非公開決定(最判平14.2.28)
  5. 優良運転者である旨の記載がない処分を受けた者(最判平21.2.27)

運転免許取消処分(最判昭40.8.2)

運転免許の取消処分に対する取消訴訟の係属中に免許の有効期間が経過した場合でも、取消処分が取り消されば、免許の更新手続きにより免許を維持できるため、訴えの利益は失われないとしています。つまり、「運転免許の取消処分に対する取消訴訟」に訴えの利益はあるということです。

【詳細解説】 Aは、運転免許取消処分を受けた。
Aは、処分を不服に思って取消訴訟を提起した。
裁判をしている間に、当初の免許の有効期間が経過した。

この場合、免許の有効期間が過ぎているので、
Aに訴えの利益がなくなるのでは?と思うかもしれませんが

もし、免許取消処分が取り消されたら
有効期間中に更新申請できたわけなので(利益があったので)
免許取消処分を取り消す利益はある

公務員の免職処分(最判昭40.4.28)

懲戒免職を受けた公務員がその処分を取消訴訟中に本人が議員に立候補した場合、立候補するとその時点で自動的に失職しますが、懲戒処分が取り消されれば、公務員時代の給料や退職金はもらえるため、訴えの利益は失われない

※懲戒処分は給料や退職金はもらえないが、議員立候補による失職の場合は、それまでの給料や退職金はもらえる

【詳細解説】 公務員Aが懲戒免職を受けた(クビになった)
クビという処分に不服があるため、取消訴訟を提起。
裁判中に、Aは議員に立候補

公務員は、議員に候補するとその時点で自動的に失職するというルールがある(公職選挙法90条)。
そのため、Aは、立候補した時点でクビ処分の取消訴訟の訴えの利益がなくなるのでは?と思うかもしれませんが

もし、クビ処分が取り消されたら「
公務員時代の給料や退職金はもらえる」という利益が存在するため、訴えの利益は失われません。

土地改良事業の施行認可処分(最判平4.1.24)

土地改良事業における事業施工認可処分により、工事が開始され、工事が完了すると、社会通念上元に戻すことが不可能です。しかし、社会通念上元に戻すことが不可能であっても、事業施工の認可処分を取消せば換地処分など他の法的効力にも影響するため訴えの利益は残るため、訴えの利益は失われません

公文書の非公開決定(最判平14.2.28)

公文書公開条例に基づき公開請求された公文書の非公開決定がされた後、当該公文書が書証(裁判の中で証拠書類)として提出された。証拠書証として出されても、誰もが見ることができる訳ではないし、コピーを取ることもできません。そのため、上記非公開決定を取り消した場合、請求した公文書を閲覧したり、公文書のコピーを受け取ることを求める法律上の利益があるから、上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しません

優良運転者である旨の記載がない処分を受けた者(最判平21.2.27)

客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上、一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は、上記の法律上の地位を否定されたことを理由として、これを回復するため、同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するというべきものである。

『最判平21.2.27:「優良運転者である旨の記載の有無」と「訴えの利益」』の詳細はこちら>>

訴えの利益を否定した判例

  1. 皇居外苑使用の不許可処分(最判昭28.12.23)
  2. 生活保護の変更決定(最判昭42.5.24)
  3. 土地収用にける明渡裁決(最判昭48.3.6)
  4. 運転免許停止処分(最判昭55.11.25)
  5. 保安林指定の解除処分(最判昭57.9.9)
  6. 建築確認(最判昭59.10.26)
  7. 保育所廃止条例の制定(最判平21.11.26)
  8. 衆議院議員選挙(最判平17.9.27)

皇居外苑使用の不許可処分(最判昭28.12.23)

公会堂使用及び皇居外苑使用の不許可処分の取消訴訟の係属中に、使用する特定日が経過した場合、たとえ不許可処分をしたとしても、その特定日に使用できないから訴えの利益は失われます

生活保護の変更決定(最判昭42.5.24:朝日訴訟)

生活保護処分に関する裁決の取消訴訟に対して、取消処分を求めた。その後、被保護者が死亡すると、保護受給権も消滅し、相続されることもないため、取消しを訴える利益は消滅します。

※生活保護受給権は一身専属権であり、他の者に譲渡することもできないし、相続されることもない。

土地収用にける明渡裁決(最判昭48.3.6)

土地収用に基づく明渡裁決があると、一定期間内に土地を明け渡す義務が発生します。そして、いったん土地の明渡しが完了すれば、明渡裁決の効果として土地の占有者の義務はなくなります。つまり、代執行の完了(明渡し完了)をした後に、上記明渡裁決を取り消しても意味がないので、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

運転免許停止処分(最判昭55.11.25)

運転免許停止処分がなされて、免許停止期間の経過後、無事故無違反で1年経過すると、免許停止処分がなかったことになり、また、免許停止処分を受けたことがあることにより、何らかの不利益を受けるといった法令はありません。そのため、上記1年を経過した後に、運転免許停止処分の取消しを求めたとしても、処分を受けた者に利益はないので、訴えの利益は認められません

保安林指定の解除処分(最判昭57.9.9)

保安林指定解除処分があると、周辺住民は、洪水や渇水の危険性が増します。そのため、当該解除処分を取り消すことについては訴えの利益はあります。しかし、保安林に代わる代替施設の設置があれば、上記洪水や渇水の危険が解消され、保安林の存続の必要性がなくなります。つまり、保安林指定解除処分を取り消しても周辺住民に何ら利益はないので、訴えの利益は失います

建築確認(最判昭59.10.26)

建築確認があった後、建物の建築工事が完了した場合、その後、建築確認を取り消したとしても、既に建物は完成しているため、取消ししても意味がありません。そのため、工事完了によって建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われます
建築確認は、建築工事を開始してよいと伝えるだけ。この建築確認を取り消しても、建物を除去するまでの効力はない。

保育所廃止条例の制定(最判平21.11.26)

保育園廃止処分を受けた者(原告)について、保育の実施期間が満了すると、その後、保育園に入ることはないため、上記期間満了後に保育園廃止処分を取り消しても、原告に利益はないため、保育園廃止処分の取消しを求める訴えの利益は失われます

衆議院議員選挙(最判平17.9.27)

衆議院選挙があり、その後、解散があると本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと考えられています。そのため、衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は、衆議院の解散によって、その訴えの利益を失います

<<取消訴訟の原告適格 | 取消訴訟の被告適格>>

行政不服審査法43条:行政不服審査会等への諮問

このページでは、行政不服審査会への諮問(しもん)について解説します。まず、審査請求からの裁決の下記流れをご覧ください。今回は8の諮問の内容です。この流れは行政書士試験で合格するために重要な流れなので、必ず頭に入れましょう!

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求人は審理員に反論書を提出します。
  7. 審理員は審査庁に審理員意見書を提出


行政不服審査会等への諮問

審査庁が審理員意見書の提出を受けたときは、行政不服審査会等に諮問(しもん)しなければなりません。諮問とは、意見を尋ね求めることです。

この手続きは、審査庁が裁決をする前に、行政不服審査会等の第三者機関に対してお伺いを立てて、その意見を踏まえた上で最終的な判断を下すためです。

これは、客観的で公正な判断を下すためのルールで、平成26年の法改正により設けられました。

審査庁が「合議制の機関(例えば〇〇委員会)」である場合等は、行政不服審査会への諮問不要です

諮問機関(誰に諮問するか?)

上図では、「行政不服審査会」となっていますが、審査庁が地方公共団体の長である場合、地方公共団体に設置された付属機関に諮問することになります。

(行政不服審査会等への諮問)
行政不服審査法第43条 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体の長(地方公共団体の組合にあっては、長、管理者又は理事会)である場合にあっては第81条第1項又は第2項の機関に、それぞれ諮問しなければならない。
一 審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)の議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て当該処分がされた場合
二 裁決をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるものの議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決をしようとする場合
三 第46条第3項又は第49条第4項の規定により審議会等の議を経て裁決をしようとする場合
四 審査請求人から、行政不服審査会又は第81条第1項若しくは第2項の機関(以下「行政不服審査会等」という。)への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人から、行政不服審査会等に諮問しないことについて反対する旨の申出がされている場合を除く。)
五 審査請求が、行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合
六 審査請求が不適法であり、却下する場合
七 第46条第1項の規定により審査請求に係る処分(法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分及び事実上の行為を除く。)の全部を取り消し、又は第47条第1号若しくは第2号の規定により審査請求に係る事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することとする場合(当該処分の全部を取り消すこと又は当該事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
八 第46条第2項各号又は第49条第3項各号に定める措置(法令に基づく申請の全部を認容すべき旨を命じ、又は認容するものに限る。)をとることとする場合(当該申請の全部を認容することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
2 前項の規定による諮問は、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければならない。
3 第1項の規定により諮問をした審査庁は、審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人)に対し、当該諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければならない。

<<行政不服審査法42条:審理員意見書 | 行政不服審査法44条:裁決の時期>>

行政不服審査法20条:口頭による審査請求

行政不服審査法20条「口頭による審査請求」の内容は、簡単な内容なので覚えてしまいましょう!ただ、行政書士試験ではあまり出題されない部分です。ただし、難しくないので出題されたら必ず得点できるようにしましょう!

口頭で審査請求をする場合、行政不服審査法19条の「処分における審査請求書の記載内容」と「不作為における審査請求書の記載内容」を陳述し(口頭で伝え)、行政庁は、その内容を記録します。記録が終わったら、陳述人(口頭で話した者)に読み聞かせを行い誤りがないかを確認させなければなりません。

(口頭による審査請求)
行政不服審査法第20条 口頭で審査請求をする場合には、前条第2項から第5項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認しなければならない。

<<行政不服審査法19条:審査請求書の提出 | 行政不服審査法21条:処分庁等を経由する審査請求>>

行政不服審査法7条:適用除外

行政不服審査法7条は、下記事項は「2条・3条の規定を適用しない」としています。どういうことかというと、下記事項については、審査請求できないということです。

では、どういった場合に審査請求ができないのか?

審査請求ができない場合

  1. 国会若しくは地方議会の議決によってされる処分
  2. 裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
  3. 国会若しくは地方議会の議決又は同意等を経てされる処分
  4. 検査官会議で決すべきものとされている処分
  5. 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴え(形式的当事者訴訟)においてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
  6. 刑事事件に関する検察官等がする処分
  7. 国税又は地方税の犯則事件に関する処分
    金融商品取引の犯則事件に関する処分
  8. 学校講習所訓練所又は研修所で、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
  9. 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
  10. 外国人の出入国又は帰化に関する処分
  11. 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(例えば、行政書士試験の結果等)
  12. 行政不服審査法に基づいて行われる処分

この点については、行政手続法で適用除外になっているものと、行政不服審査法で適用除外になっているものの違いを覚えるとよいでしょう!

行政手続法と行政不服審査法の適用除外の違い

手続法のみ適用除外 ① 公務員の懲戒処分
② 利害の反する者の利害調整を目的とした処分
③ 難民認定
④ 報告または物件提出等の情報収集を目的とした処分
⑤ 公衆衛生・環境保全・防疫・保安のための処分
⑥ 不服申立て(審査請求・再調査請求)による裁決・決定
⑦ 聴聞・弁明の機会付与手続き(意見陳述の手続き)において法令に基づいてされる処分
不服審査法のみ適用外 形式的当事者訴訟によるべきとされている処分

行政不服審査法における国の機関または地方公共団体等の適用除外

「国の機関」又は「地方公共団体」その他の「公共団体」若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法の規定は、適用しません。

これは、行政手続法と同様に行政不服審査法も適用しないことを意味します。

イメージとしては、国の機関や地方公共団体に対する処分については、審査請求できないということです。

(適用除外)
第7条 次に掲げる処分及びその不作為については、第2条及び第3条の規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分
五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)

2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。

<<行政不服審査法6条:再審査請求 | 行政不服審査法8条:特別の不服申立ての制度>>

行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用

審査請求の規定が、再審査請求に準用されないもの

下記内容は審査請求のルールですが、下記審査請求のルールは再審査請求には適用されません

第9条第3項 審理員指名の例外機関への除外規定
第18条
第1項・2項
審査請求期間
第19条第3項 不作為についての審査請求書の記載事項
第19条第5項
1号・2号
再調査請求の年月日
決定を経ないことについての正当な理由
第22条 誤った教示をした場合の救済
第25条第2項 執行停止
第29条2~5項 弁明書の提出
第30条第1項 反論書の提出
第41条第2項
第1号イ及びロ
審理手続の終結
弁明書の未提出、反論書の未提出
第43条 行政不服審査会等への諮問
第45条 処分についての審査請求の却下又は棄却
第46条 処分についての審査請求の認容
第47条 事実上の行為についての審査請求の認容
第48条 不利益変更の禁止
第49条 不作為についての審査請求の裁決
第50条
第1項・2項
裁決の方式

再審査庁が、審理員指名の例外機関(例えば内閣府等)である場合には、下記規定は適用されます

第17条 審理員となるべき者の名簿
第40条 審理員による執行停止の意見書の提出
第42条 審理員意見書
第50条第2項 諮問を要しない場合の裁決書への審理員意見書の添付

(審査請求に関する規定の準用)
行政不服審査法第66条 第二章(第9条第3項、第18条(第3項を除く。)、第19条第3項並びに第5項第1号及び第2号、第22条、第25条第2項、第29条(第1項を除く。)、第30条第1項、第41条第2項第1号イ及びロ、第四節、第45条から第49条まで並びに第50条第3項を除く。)の規定は、再審査請求について準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 再審査庁が前項において準用する第九条第1項各号に掲げる機関である場合には、前項において準用する第17条、第40条、第42条及び第50条第2項の規定は、適用しない。

<<行政不服審査法65条:再審査請求の認容の裁決 | 行政不服審査法82条:不服申立てをすべき行政庁等の教示>>

国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員

係争処理手続

①国と地方公共団体との間に、または②都道府県と市町村との間に争いが生じた場合、公平・中立な第三者機関によって紛争の解決を図り、違法行為については、高等裁判所の判断によって解決を図ります。これが地方自治法における係争処理手続です。

そして、①国と地方公共団体との間での争いについては、国地方係争処理委員会が第三者機関として紛争解決に努め、②都道府県と市町村との間に争いについては自治紛争処理委員が第三者機関として紛争解決に努めます。

国地方係争処理委員会

  1. 国が地方公共団体に関与します。
  2. 国が地方公共団体に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、国地方係争処理委員会に対して、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた国地方係争処理委員会は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  4. 違法な関与にも関わらず、国地方係争処理委員会の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

国地方係争処理委員会が処理する対象

  • 国による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 国の不作為
  • 法令に基づく国との協議

国地方係争処理委員会の委員

  • 国地方係争処理委員会は、委員5人で組織され、委員は、非常勤とする。
    ただし、そのうち2人以内は、常勤とすることができる。
  • 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。

自治紛争処理委員

  1. 都道府県が市町村に関与します。
  2. 都道府県が市町村に対して関与し、その関与に不服があるときは、関与の日から30日以内に、総務大臣に、審査の申出をすることができます。
  3. 申出を受けた総務大臣は、自治紛争処理委員を任命します。
  4. 自治紛争処理委員は、審査の申出があった日から90日以内に、関与の妥当性と違法性を審査します。
  5. 違法な関与にも関わらず、自治紛争処理委員の判断に不服がある場合、高等裁判所に対し、違法な関与の取消し、または、不作為の違法確認の訴えを提起できます。(行政機関同士の争いなので、機関訴訟に該当)

自治紛争処理委員が処理する対象

  • 都道府県による是正要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの
  • 都道府県の不作為
  • 法令に基づく都道府県との協議

自治紛争処理委員の委員

  • 自治紛争処理委員は3人で組織され、委員は、非常勤とする。
  • 委員は、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事それぞれ任命する。
  • 委員は、事件終了によって失職する。

関与(助言・勧告、是正要求、是正勧告、是正指示、代執行)

まず、基本的な考え方として、国と地方公共団体は対等・協力の関係があります。

対等ではあるのですが、国の政策を行っていく上で、地方公共団体の事務についても、国の一定の関与が必要となることもあります。

しかし、どんな場合においても関与できるとなると、それは地方自治体の自主性や自立性を壊してしまうので、関与を行うには、法律又はこれに基づく政令の根拠が必要となります(法定主義)。

また、関与をする場合、その目的を達成するために必要最小限のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性および自立性に配慮しなければなりません(比例原則)。

また、その構成・透明性を確保するため、書面の交付、審査基準・標準処理期間の設定等、行政手続法に似た内容を義務付けています(公正・透明の原則)。

関与の形態

関与は、国が都道府県や市町村に関与したり、都道府県が市町村に関与したりします。

そして、関与の形態については、行政書士で重要なものは下記5つです。

  1. 技術的な助言および勧告、資料の提出の要求
  2. 是正の要求
  3. 是正の勧告
  4. 是正の指示
  5. 代執行

1が一番緩い関与で、2、3、4の順に関与がきつくなり、5が一番きつい関与です。

技術的な助言および勧告、資料の提出の要求

各大臣は、都道府県・市町村に対して
都道府県は、市町村に対して
自治事務・法定受託事務の運営について適切と認める技術的な助言勧告をすることができ、また、当該助言・勧告・情報提供をするため必要な資料の提出を求めることができます。

是正の要求

是正要求は、地方公共団体の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

そして、各大臣は、都道府県・都道府県の執行機関・市町村に対して是正要求が行えますが、是正要求できる対象となる事務が異なります。

  • 都道府県に対しては、都道府県の自治事務
  • 都道府県の執行機関に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務
  • 市町村に対しては、市町村の自治事務および第2号法定受託事務

そして、是正要求は、法的拘束力があるため、是正要求を受けた地方公共団体は、是正又は改善のための必要な措置を講じなければなりません。もし、是正要求に不服があれば、国地方係争処理委員会自治紛争処理委員による係争処理手続きを行うことができます。

是正の勧告

是正勧告は、市町村の自治事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に都道府県の執行機関が、市町村に対して行う関与です。

この是正勧告は、法的拘束力がないので、国地方係争処理委員会自治紛争処理委員による係争処理手続き行うことができません

是正の指示

是正指示は、地方公共団体の法定受託事務の処理が、「法令違反していると認めるとき」、又は「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」に行うことができます。

誰から誰に是正指示ができるかは下記の通りです。

  1. 各大臣→都道府県
  2. 都道府県の執行機関→市町村
  3. 各大臣→都道府県の執行機関(第1号法定受託事務に限る)
  4. 各大臣→市町村(第1号法定受託事務に限る)

代執行

代執行とは、地方公共団体の事務の処理が法令違反のとき、または事務の処理を怠っているときに、是正のための措置を、各大臣が都道府県や市町村に代わって行うことを言います。

そして、代執行の対象となるのは、長の法定受託事務に限られます。(自治事務については代執行できない

代執行の流れ

  1. 各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の処理に違反がある場合、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正するよう勧告することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の勧告を行うことができる。
  2. 各大臣は、都道府県知事が上記期限までに勧告に従わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
    都道府県は、市町村長に対して、同様の指示を行うことができる。
  3. 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
    都道府県も同様、高等裁判所に請求できる。
  4. 高等裁判所が、各大臣(都道府県)の請求を認めるときは、各大臣(都道府県)は代執行を行える。

一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売り

地方公共団体の行う売買、賃貸、請負その他の契約は、一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りの方法により締結します。

原則、一般競争入札で、例外として、政令の定める場合に限って、それ以外の方法で行えます。(一般競争入札の原則

一般競争入札 一定の資格を有する不特定多数の者が入札し、最も高い価格を提供した者と契約締結する方式
指名競争入札 資力・信用その他の特定の条件により発注者側が指名した者同士で競争入札をして契約者を決める方式
随意契約 競争によらずに、任意に特定の者を選んで契約を締結する方式
せり売り 買受人が、口頭または挙手により価格の競争を行うもの
動産の売り払い(競売)のみに認められる方式

地方公共団体の会計と予算、収入と支出、決算

会計年度

地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日~翌年3月31日までを指し、原則、各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければなりません。分かりやすく言うと、会計年度の歳入(収入)の中で、その年度の歳出(支出)をしなければならないということです。これを会計年度独立の原則と言います。この原則は、翌年に渡って支出を認めると、その年度における財務関係が不明確になることを防ぐためにあります。

ただし、例外として、継続費繰越明許費等は、翌年に渡ってもよいとしています。

継続費 公共事業等、事業が完了するまでに数年を要する費用
継続費は、予算を定めるところにより、数年度に渡って支出できる
繰越明許費 予算に計上したが、その後、非常事態などの特別な事情により、その年度内に支出が終わらなかった費用
繰越明許費は、翌年度に繰り越してその予算を使用することができる

会計の区分

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分されます。

一般会計とは、一般会計は「特別会計に属さないすべての会計」ですが、分かりやすく言うと、一般的な行政にかかる歳入(収入)と歳出(支出)です。

特別会計とは、特定の事業に関する歳入(収入)と歳出(支出)で、例えば、市営バス事業や市立病院事業、水道事業等が挙げられます。そして、特別会計は条例で設置することができます。

予算

予算とは、一般会計年度内の歳入(収入)と歳出(支出)の見積もりです。分かりやすく言うと、どれくらいの収入があり、どれくらいの支出がありそうかということをまとめたものです。

そして、会計年度内の一切の収入および支出はすべて予算に編入しなければなりません。これを総計予算主義と言います。これは、収支のバランスを把握するためです。

予備費の計上と支出

また、地方公共団体の一般会計には、必ず予備費を計上しなければなりません。特別会計には予備費を計上しないこともできます

予備費 予算外の支出又は予算超過の支出に充てるための費用。

予備費の支出は、議会の議決を必要とせず、長の権限で行うことができます。しかし、議会で否決したことに使うことはできません。

国の予算における予備費はこちら>>

予算の手続き(調整と執行)

普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければなりません。この場合において、普通地方公共団体の長は、年度開始前までに当該予算(予算案)を議会に提出するようにしなければなりません。

予算の提出を受けた議会は、予算案について、議会で修正することができます。
ただし、増額してこれを議決することはできますが、普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできません。また、減額して議決することは、規定されていませんが可能とされています。

地方公共団体の長は、政令で定める基準に従って予算の執行に関する手続きを定め、これに従って、予算を執行しなければなりません。

債務負担行為

債務負担行為とは、「歳出予算で計上した金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額」以外の将来にわたる債務を負担する行為を指します。分かりやすく言うと、将来に発生する見込みはあるけれど、今年中には支払う予定がない費用のことです。継続費と似ていますが、継続費は、各年度の支出がある程度確定している場合に使い、債務負担行為は、各年度の支出に変動が生じる可能性が高い場合に使います。例えば、大規模工事で、3年間で20億円の契約をしたとします。1年目に歳出5億円とした場合、債務負担行為15億円を計上します。2年目に歳出6億円とした場合、債務負担行為9億円(15-6億円)を計上します。3年目に歳出9億円とした場合、債務負担行為0円となります。

このように、債務負担行為も予算で定めなければなりません。

地方債と一時借入金

地方債 地方公共団体が、一定の経費を調達するための、地方公共団体の借入金で、その償還(債権者への返済)が会計年度を超えて行われるもの。
地方債を発行する場合、一定事項を予算で定める必要がある。
一時借入金 会計年度内に借入をして、その年度内に償還するもの。
借入れの最高限度は、予算で定めるものとされています。

収入と支出

収入

普通地方公共団体の収入には、地方税分担金使用料加入料手数料地方債があります。

分担金使用料加入料および手数料に関する事項は、条例で定めなければなりません。

一方、地方債については、予算で定めなければなりません。

支出

支出とは、歳出予算に基づいて、執行を命じる行為(お金を支払う行為)を支出と言います。支払いは、長の支出命令を受け、会計管理者がその適法性を確認した上で行います。

公金の収納・支払い

公金の収納とは、地方公共団体がお金を受け取ることを言い、公金の支払いは、地方公共団体が、お金を払うことを言います。

そして、地方公共団体は、公金の収納・支払いについて、都道府県と市町村で、金融機関の指定が必要かどうかが分かれます。

都道府県は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、都道府県の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせなければなりません(義務)。一方、市町村は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、市町村の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせることができます(任意)。

都道府県 金融機関を指定しなければならない(義務)
市町村 金融機関を指定することができる(任意)

決算

決算とは、毎会計年度の歳入と歳出について、執行の結果の実績を示した計算書です。分かりやすく言うと、実際のどれだけの収入があって、どれだけ支出したかを表示したものです。

そして、決算の手続きの流れが行政書士の勉強では重要なので、その点をお伝えします。

  1. 会計管理者は、毎会計年度、決算を調製し、出納の閉鎖後3か月以内に、一定の書類と併せて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない。
  2. 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。
  3. 普通地方公共団体の長は、上記監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。
  4. 普通地方公共団体の長は、議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。

条例と規則

条例と規則の大きな違いは、
条例は、地方公共団体(議会)が定めるルールで、
規則は、地方公共団体の長や委員会が定めるルールです。

条例

条例と国の法令との効力関係

国の法秩序は、憲法→法律→命令→条例の順に、階層構造を有しており、上位の法に抵触する下位の法は、その部分について無効となります。つまり、憲法や法令に違反する条例は無効となります。

都道府県の条例と市町村の条例の関係

都道府県と市町村は、原則として独立・対等な関係にあります。

ただし、都道府県と市町村の事務の配分上、市町村(特別区も含む)は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならず、違反して行った地方公共団体の行為は無効となります。

条例制定・改廃の流れ

  1. 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
  2. 普通地方公共団体の長は、上記条例の送付を受けた場合は、その日から20日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
  3. 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して10日を経過した日から、これを施行する。

条例案の発案

条例案は、①議員が発案と②長が発案と③住民による発案(直接請求)があります。

①議員による発案は、議員定数の12分の1以上の賛成が必要

③住民により条例制定を請求する場合、選挙権を有する者外国人は除く)の総数の50分の1以上の連署が必要

条例案の議決

条例は、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決めます(議会による議決:多数決の原則)。

また、例外的に、長の専決処分によって成立することもあります。

条例制定の限界

憲法94条では、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」としています。

そして、上記憲法を受けて、地方自治法14条1項では、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定しています。

条例による財産権の規制

条例により財産権を規制することも許される最大判昭38.6.26:奈良県ため池条例事件

条例による罰則

相当な程度に具合的であり、限定されていれば、条例で罰則を設けることもできる(最大判昭37.5.30:大阪市売春取締条例事件

そして、地方自治法14条3項で「普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる」と規定しています。

上乗せ条例

国の法令が規定している事項と同じ事項について、同一目的で、法令よりも厳しい規制にする条例を上乗せ条例と言います。

例えば、ある化学物質の排出基準について、法律で、10ppm以下とされている場合に、条例で、5ppm以下とする場合、法律よりも条例が厳しい規制になっています。

横出し条例

国の法令が規定している事項よりも、対象範囲を広げる条例を横出し条例と言います。

例えば、法律で、有害物質のホルムアルデヒドのみを対象としている場合に、条例で、ホルムアルデヒドのみならず、トルエンやキシレンといった物質も対象する場合、条例により規制対象が広がっています。

横出し条例の判例

河川法は、普通河川(比較的小さい河川)は、適用河川や準適用河川(比較的大きい河川)に対する管理よりも強力な河川管理は行わない趣旨の定めです。そのため、地方公共団体の条例で、普通河川の管理に関する定めをする場合、適用河川の管理の定め以上に
強力な河川管理の定めをすることは、河川法に違反し、許されない。(最判昭53.12.21)

規則

普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができます。

普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料(行政罰:秩序罰を科する旨の規定を設けることができます。

上記の通り、過料を定めることができるが、刑罰を定めることはできません

規則は、施行期日の定めがあるものを除き、公布の日から起算して10日を経過した日から施行されます。