2010年過去問

平成22年・2010|問26|行政法

次の記述のうち、独立行政法人の説明として、正しいものはどれか。

  1. 民間の関係者が発起人となって自主的に設立する法人で、業務の公共性などの理由によって、設立については特別の法律に基づき主務大臣の認可が要件となっている法人。
  2. 法律により直接設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人であって、その新設、廃止等に関する審査が総務省によって行われるもの。
  3. 公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務等であって、国が直接に実施する必要のないもののうち、民間に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人。
  4. 特別の法律に基づき特定の行政事務を遂行するものとして行政庁により指定された民法上の法人であって、行政処分権限を付与されたもの。
  5. 構成員が強制的に法人への加入及び経費の支払いを義務付けられ、その設立及び解散に国の意思が介在し、かつ、国の監督の下で公権力の行使が認められた法人。

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【答え】:3
【解説】
1.民間の関係者が発起人となって自主的に設立する法人で、業務の公共性などの理由によって、設立については特別の法律に基づき主務大臣の認可が要件となっている法人。
1・・・誤り
本肢は「認可法人」の内容です。認可法人は、特別の法律により設立されるが、特殊法人と異なり民間関係者が発起人となって設立される法人です。例えば、商工会議所、商工会、平和記念事業特別基金などがあります。
2.法律により直接設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人であって、その新設、廃止等に関する審査が総務省によって行われるもの。
2・・・誤り
本肢は「特殊法人」の内容です。特殊法人とは、法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法第4条第15号の規定の適用を受けるものを言います。
例えば、NHKや日本年金機構、JRA(日本中央競馬会)等があります。公社、公団、事業団などその事業が国家的、あるいは公共的性格をもつために、特別の法律により設置される法人で、国から独立した行政主体として国の行政機能の一部を代行することを任務とします。
3.公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務等であって、国が直接に実施する必要のないもののうち、民間に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人。
3・・・正しい
本肢は「独立行政法人」の記述です。独立行政法人とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいいます(独立行政法人通則法2条1項)。
4.特別の法律に基づき特定の行政事務を遂行するものとして行政庁により指定された民法上の法人であって、行政処分権限を付与されたもの。
4・・・誤り
本肢は「指定法人」の内容です。指定法人は、認可法人や特殊法人のように特定の法人を指すのではなく、特定の行政事務について行政庁の指定を受けた法人をいいます。たとえば、指定確認検査機関は、国土交通大臣や知事から指定を受けて、建築確認の業務を行います。

また、(財)行政書士試験研究センターは、総務大臣指定を受けて、行政書士の業務及び行政書士資格にかかわる試験制度について調査研究を行い、その成果を普及するとともに、行政書士試験の実施等を行います。

5.構成員が強制的に法人への加入及び経費の支払いを義務付けられ、その設立及び解散に国の意思が介在し、かつ、国の監督の下で公権力の行使が認められた法人。
5・・・誤り
本肢は「公共組合」の内容です。公共的な性格を有する事業の遂行を目的として設立された,公法上の法人で、国民健康保険組合、農業共済組合、商工組合、土地区画整理組合等があります。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問25|行政法

国家公務員法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 懲戒処分の要件としては、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」などがある。
  2. 懲戒処分は、行政手続法上の不利益処分に関する手続を経た上で、任命権者の上申を経て、内閣がこれを行う。
  3. 職員は、公務員としての身分が保障されているので、定員の改廃等によって廃職又は過員が生じたとしても、そのことを理由として免職されることはない。
  4. 懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。
  5. 懲戒処分として停職が命じられた場合、停職処分を受けた公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失うが、停職期間終了後、復職を命ぜられることによって、公務員としての身分を回復する。
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【答え】:4 【解説】
1.懲戒処分の要件としては、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」などがある。
1・・・誤り 職員が、下記いずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができます(国家公務員法78条:分限処分)。
  1. 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
  2. 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
  3. その他その官職に必要な適格性を欠く場合
  4. 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合・・・選択肢3
上記内容は「分限処分」であり、本肢は「懲戒処分」となっているので誤りです。
2.懲戒処分は、行政手続法上の不利益処分に関する手続を経た上で、任命権者の上申を経て、内閣がこれを行う。
2・・・誤り 公務員の懲戒処分は、行政手続法が適用されません(行政手続法3条1項9号)。 よって、誤りです。そして、懲戒処分は、任命権者が行います(国家公務員法84条)。 よって、「内閣が行う」も誤りです。
3.職員は、公務員としての身分が保障されているので、定員の改廃等によって廃職又は過員が生じたとしても、そのことを理由として免職されることはない。
3・・・誤り 選択肢1の解説の4の通り、定員の改廃(定員の削減)または過員(定員オーバー)により、免職となることはあります。よって、誤りです。
4.懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。
4・・・正しい 懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができます(国家公務員法85条)。つまり、懲戒に関する事件について、刑事事件として裁判中であっても、別途、任命権者が懲戒処分を行うことは可能ということです。よって、本肢は正しいです。
5.懲戒処分として停職が命じられた場合、停職処分を受けた公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失うが、停職期間終了後、復職を命ぜられることによって、公務員としての身分を回復する。
5・・・誤り 停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しません(国家公務員法83条2項)。つまり、停職中であっても、公務員としての身分は持っています。よって、誤りです。 ただし、停職期間中は、給与を受けることができません。
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問24|地方自治法

地方自治法に定める住民訴訟に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。

イ.住民訴訟においては、住民監査請求と同様、公金支出の違法の問題のみならず不当の問題についても争うことができる。

ウ.他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。

エ.住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所に提起することとされている。

オ.違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:4
【解説】
ア.自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。
ア・・・誤り
普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合、裁判所に対し、住民監査請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって請求(=住民訴訟をすることができます地方自治法242条の2の1項)。上記の通り、住民訴訟は「住民監査請求を行った住民」のみです。自ら住民監査請求を行っていない住民は、住民訴訟を提起できません。
イ.住民訴訟においては、住民監査請求と同様、公金支出の違法の問題のみならず不当の問題についても争うことができる。
イ・・・誤り
住民訴訟は「裁判」なので、違法かどうかしか争うことができません。つまり、不当の問題について住民訴訟で争うことはできないということです。住民監査請求の場合、「不当の問題」「違法の問題」どちらも対象です。
ウ.他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。
ウ・・・正しい
住民訴訟が係属しているとき(裁判中のとき)は、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴(別の裁判)をもって同一の請求をすることができません地方自治法242条の2の4項)。例えば、ある事柄について、住民Aが住民訴訟を行っている場合、別の住民Bが同じ事柄で、住民訴訟を提起できないということです。これを可能にすると、住民訴訟の案件が増えすぎて、裁判所がパンクしてしまいます。
エ.住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所に提起することとされている。
エ・・・誤り
住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属します(地方自治法242条の2の5項)。本肢は「高等裁判所」が誤りです。正しくは「地方裁判所」です。
オ.違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。
オ・・・正しい
住民訴訟では、下記、4種類の請求のみ可能です(地方自治法242条の2の1項)。
  1. 差止めの請求
  2. 取消し又は無効確認の請求
  3. 怠る事実の違法確認の請求
  4. 相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める請求

本肢は上記4に当たります。よって、正しいです。

本肢は意外と理解していない方が多い部分です。なので、重要なポイントについては、個別指導で解説します!

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問23|地方自治法

「住民」にかかわる地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア.都道府県知事の被選挙権は、当該都道府県の住民ではなくとも、法定の年齢以上の日本国籍を有する者であれば認められる。

イ.地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する住民の中から市町村長によって選任される。

ウ.都道府県は、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならない。

エ.市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失っても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのために失職することはない。

オ.町村におかれる町村総会を構成するのは、当該町村の住民のうち選挙権を有する者である。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

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【答え】:2
【解説】
ア.都道府県知事の被選挙権は、当該都道府県の住民ではなくとも、法定の年齢以上の日本国籍を有する者であれば認められる。
ア・・・正しい
日本国民で年齢満30年以上のものは、別に法律の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権(立候補する権利)を有します(地方自治法19条2項)。
よって、知事に立候補する場合、当該都道府県の住民である必要はないです。
イ.地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する住民の中から市町村長によって選任される。
イ・・・正しい
地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任します(地方自治法202条の5第2項)。つまり、地域協議会の構成員は「住民」かつ「市長村長の選任」が必要です。
ウ.都道府県は、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならない。
ウ・・・誤り
市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければなりません(地方自治法13条の2)。実際、市町村は、住民基本台帳等で、住民に関する情報を整備しています。
エ.市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失っても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのために失職することはない。
エ・・・誤り
普通地方公共団体の議会の議員
  1. 被選挙権を有しない者であるとき
  2. 当該普通地方公共団体と請負契約を締結した請負業者の取締役等であるとき

は、その職を失います(失職する)(地方自治法127条1項)。

したがって、1の通り、市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失った場合、議員としての地位を失います(失職する)。

オ.町村におかれる町村総会を構成するのは、当該町村の住民のうち選挙権を有する者である。
オ・・・正しい
町村は、条例で、議会を置かず選挙権を有する者の「総会」を設けることができます(地方自治法94条)。つまり、町村総会を構成するのは、当該町村の住民のうち選挙権を有する者です。

よって、本肢は正しいです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問22|地方自治法

地方自治法が定める大都市制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 中核市は、指定都市と同様、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例でその区域を分けて区を設けることができる。
  2. 指定都市に置かれる区は、都に置かれる特別区と同様に、法人格が認められている。
  3. 指定都市の数が増加したことにともない、指定都市の中でも特に規模の大きな都市については、特に特例市として指定し、より大きな権限を認めている。
  4. 指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区の議会を置くことができる。
  5. 指定都市は、地方自治法において列挙された事務のうち、都道府県が法律またはこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部または一部で政令で定めるものを処理することができる。

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【答え】:5
【解説】
1.中核市は、指定都市と同様、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例でその区域を分けて区を設けることができる。
1・・・誤り
指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くものとします(地方自治法252条の20の1項)。これは、指定都市の内容で、中核市は「区」を置くことはできません
2.指定都市に置かれる区は、都に置かれる特別区と同様に、法人格が認められている。
2・・・誤り
「指定都市の区」に法人格はありません。よって誤りです。
「特別区」と「財産区」は特別地方公共団体なので法人格があります。
3.指定都市の数が増加したことにともない、指定都市の中でも特に規模の大きな都市については、特に特例市として指定し、より大きな権限を認めている。
3・・・誤り
特例市は、2014年の地方自治法改正により廃止されたため、本肢は誤りです。
4.指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区の議会を置くことができる。
4・・・誤り
指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区ごとに区地域協議会を置くことができます(地方自治法252条の20の7項)。したがって、「区の議会」は置くことはできません。

正しくは「区地域協議会」です。

5.指定都市は、地方自治法において列挙された事務のうち、都道府県が法律またはこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部または一部で政令で定めるものを処理することができる。
5・・・正しい
政令で指定する人口50万以上の市(指定都市)は、一定の事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができます地方自治法252条の19の1項)。一定事務とは、例えば「児童福祉に関する事務」「民生委員に関する事務「身体障害者の福祉に関する事務」「生活保護に関する事務」等があります。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問15|行政不服審査法

行政不服審査法における手続の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政不服審査制度には権利保護機能の他に行政統治機能があるため、審理員の同意がなければ、審査請求人は審査請求を取り下げることができない。
  2. 事実行為に関する審査請求を認容する場合、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる。
  3. 上級行政庁としての審査庁は、処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができず、処分庁の処分を取り消した上で、処分庁に当該処分の変更を命じなければならない。
  4. 処分についての審査請求は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月を経過したときは、することができない。
  5. 行政不服審査法には、それに基づく裁決について、行政事件訴訟法が定める取消判決の拘束力に相当する規定は設けられていない。

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【答え】:4
【解説】
1.行政不服審査制度には権利保護機能の他に行政統治機能があるため、審理員の同意がなければ、審査請求人は審査請求を取り下げることができない。
1・・・誤り
審査請求の取り下げについて、下記2つしか規定されていません(行政不服審査法27条)。
  1. 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる
  2. 審査請求の取下げは、書面でしなければならない。

したがって、「審理員の同意がなければ、審査請求人は審査請求を取り下げることができない」といった規定はないので、誤りです。

2.事実行為に関する審査請求を認容する場合、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる。
2・・・誤り
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言し、下記のとおり措置をとります(行政不服審査法47条)。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。
  1. 「処分庁以外の審査庁」の場合、審査庁は、当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずる
  2. 「処分庁である審査庁」の場合、審査庁は、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する。

よって、「審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる」は誤りです。
もし、審査庁が、1の通り、「処分庁以外の審査庁」の場合、自ら撤廃することはできないからです。できるのは、「処分庁に、撤廃しろ!」と命じることです。

3.上級行政庁としての審査庁は、処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができず、処分庁の処分を取り消した上で、処分庁に当該処分の変更を命じなければならない。
3・・・誤り
処分についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできません(行政不服審査法46条)。

「上級行政庁としての審査庁」は、上記原則の通り、処分庁の処分を変更する裁決ができます。

よって、「処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができず、・・・」は誤りです。

4.処分についての審査請求は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月を経過したときは、することができない。
4・・・正しい
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときは、することができません。
ただし、正当な理由があるときは、3か月を経過しても審査請求できます(行政不服審査法18条)。よって、本肢は原則の話なので、正しいです。
5.行政不服審査法には、それに基づく裁決について、行政事件訴訟法が定める取消判決の拘束力に相当する規定は設けられていない。
5・・・誤り
裁決は、関係行政庁を拘束します(行政不服審査法52条1項:拘束力)。また、処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束します(行政事件訴訟法33条1項:拘束力)。

つまり、裁決についても、取消判決同様、拘束力はあるので、本肢は誤りです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問21|地方自治法

公の施設に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的であれば、その区域外においても公施設を設けることができる。
  2. 公の施設の設置および管理に関する事項について、法律またはこれに基づく政令、特別の定めがない場合には、地方公共団体の長が規則でこれを定めなければならない。
  3. 公の施設の利用関係において、一定の地方税の負担をしているような「住民に準ずる地位にある者」には、住民と同様に、不当な差別的取扱いの禁止を定めた地方自治法244条3項の規律が及ぶ。
  4. 指定管理者に公の施設を管理させようとする場合、地方公共団体は条例でその旨を定めなければならず、長の規則によってこれを定めることはできない。
  5. 法改正により削除

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
1.地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的であれば、その区域外においても公施設を設けることができる。
1・・・正しい
普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができます地方自治法244条の3の1項)。例えば、A市が、B市に公の施設を設けることも可能ということです。よって、本肢は正しいです。
2.公の施設の設置および管理に関する事項について、法律またはこれに基づく政令、特別の定めがない場合には、地方公共団体の長が規則でこれを定めなければならない。
2・・・誤り
普通地方公共団体は、「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除く」ほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2の1項)。本肢は「地方公共団体の長が規則」が誤りです。正しくは「地方公共団体が条例」です。
3.公の施設の利用関係において、一定の地方税の負担をしているような「住民に準ずる地位にある者」には、住民と同様に、不当な差別的取扱いの禁止を定めた地方自治法244条3項の規律が及ぶ。
3・・・正しい
判例によると「普通地方公共団体が設置する公の施設を利用する者の中には、当該普通地方公共団体の住民ではないが、その区域内に事務所、事業所、家屋敷、寮等を有し、その普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者が存在することは当然に想定されるところである。そして、法の下の平等の原則を公の施設の利用関係につき具体的に規定したものであることを考えれば、上記のような『住民に準ずる地位にある者』による公の施設の利用関係に地方自治法244条3項の規律が及ばないと解するのは相当でない。これらの者が公の施設を利用することについて、当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは、同項(244条3項)に違反するものというべきである。」

地方自治法244条3項
普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

と判示しています。

つまり、本肢は正しいです。

4.指定管理者に公の施設を管理させようとする場合、地方公共団体は条例でその旨を定めなければならず、長の規則によってこれを定めることはできない。
4・・・正しい
普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に、当該公の施設の管理を行わせることができます(地方自治法244条の2の3項)。したがって、指定管理者に公の施設を管理させようとする場合地方公共団体は条例でその旨を定めなければならず長の規則によってこれを定めることはできません
5.法改正により削除
5・・・―

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問20|国家賠償法

道路の設置管理に関する国家賠償についての次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害とについては、道路管理者は、賠償責任を負わない。
  2. 土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる。
  3. 道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。
  4. ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う。
  5. 道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害とについては、道路管理者は、賠償責任を負わない。
1・・・誤り
判例によると、「一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により受けた被害について、社会生活上受忍すべき限度を超え、道路の設置又は管理には瑕疵があるとして、国家賠償請求できる
と判示しています。つまり、本肢は誤りです。
2.土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる。
2・・・誤り
判例によると、「国家賠償法2条1項の営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国および公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としないと解するを相当とする。そして、本件道路における防護柵を設置するとした場合、その費用の額が相当の多額にのぼり、上告人県としてその予算措置に困却するであろうことは推察できるが、それにより直ちに道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れうるものと考えることはできない」

と判示しています。

つまり、「予算措置が困難である場合であったとしても、直ちに道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れる」わけではない、と言っています。

よって、本肢は「道路管理者は、賠償責任を免れる」となっているので誤りです。

3.道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。
3・・・誤り
判例によると「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負っており、道路中央線付近に故障した大型貨物自動車が87時間にわたって放置されていたことは、本件事故発生当時、道路管理に瑕疵があった状態であり、国家賠償請求できる」
としています。上記判例から、
道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではない、とは言えないです。

場合によっては、道路管理の瑕疵を理由に、道路管理者が賠償責任を負うことはあるので、誤りです。

4.ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う。
4・・・誤り
判例によると「営造物の通常の用法に即しない行動の結果事故が生じた場合において、その営造物として本来具有すべき安全性に欠けるところがなく、右行動が設置管理者において通常予測することのできないものであるときは、右事故が営造物の設置又は管理の瑕疵によるものであるということはできない。」と判示しています。

本肢のように、ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負わない、ということなので、本肢は誤りです。

5.道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。
5・・・正しい
判例によると、「県道上に道路管理者の設置した掘穿工事中であることを表示する工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が倒れ、赤色灯が消えたままになつていた場合であっても、それが夜間、他の通行車によって引き起こされたものであり、その直後で道路管理者がこれを原状に復し道路の安全を保持することが不可能であったなど判示の事実関係のもとでは、道路の管理に瑕疵がなかつたというべきである。」と判示しています。

つまり、道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わなくてよいので、本肢は、正しいです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問19|国家賠償法

国家賠償請求訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 国家賠償を請求する訴訟は、民事訴訟であるから、その訴訟手続について行政事件訴訟法が適用されることはない。
  2. 処分の違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起するためには、事前に、当該処分についての取消判決により、その違法性を確定しておく必要がある。
  3. 処分に対する取消訴訟の出訴期間が経過して、処分に不可争力が生じた場合には、その違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起することはできない。
  4. 処分に対する取消訴訟に当該処分の違法を理由とする国家賠償を請求する訴訟を併合して提起することは許されない。
  5. 国家賠償を請求する訴訟の被告とされるのは国または地方公共団体に限られ、それ以外の団体が被告となることはない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1
【解説】
1.国家賠償を請求する訴訟は、民事訴訟であるから、その訴訟手続について行政事件訴訟法が適用されることはない。
1・・・正しい
国家賠償請求訴訟は、民事訴訟の一種というのが通説です。
よって、訴訟手続について行政事件訴訟法が適用されることはありません。
2.処分の違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起するためには、事前に、当該処分についての取消判決により、その違法性を確定しておく必要がある。
2・・・誤り
判例によると「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない

と判示しています。

よって、処分の違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起する場合、事前に、取消判決により、その違法性を確定しておく必要はありません。

したがって、本肢は誤りです。

3.処分に対する取消訴訟の出訴期間が経過して、処分に不可争力が生じた場合には、その違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起することはできない。
3・・・誤り
取消訴訟は、行政事件訴訟であり、国家賠償請求訴訟は、民事訴訟です。取消訴訟の出訴期間が経過すると、取消訴訟の提起はできなくなります(不可争力)。

しかし、国家賠償請求訴訟は民事訴訟なので、上記「取消訴訟の出訴期間が経過(行政事件訴訟法)」は関係ありません

民法上の時効期間で考えます。

したがって、本肢は誤りです。

4.処分に対する取消訴訟に当該処分の違法を理由とする国家賠償を請求する訴訟を併合して提起することは許されない。
4・・・誤り
取消訴訟には、関連請求に係る訴えを併合することができます(行政事件訴訟法16条1項)そして、本肢の「当該処分の違法を理由とする国家賠償を請求する訴訟」は、取消訴訟の関連請求にあたります(行政事件訴訟法13条1号)

そのため、「処分に対する取消訴訟」に「当該処分の違法を理由とする国家賠償を請求する訴訟」を併合して提起することは許されるので、誤りです。

5.国家賠償を請求する訴訟の被告とされるのは国または地方公共団体に限られ、それ以外の団体が被告となることはない。
5・・・誤り
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これの賠償責任を負います(国家賠償法1条1項)。この「公共団体」とは、地方公共団体だけに限りません。

例えば、公共組合(土地区画整理組合、国民健康保険組合)独立行政法人だけでなく、弁護士会も含まれます。

つまり、上記の者を被告として訴えることも可能なので、本肢は誤りです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問18|行政事件訴訟法

不利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した場合に、当該判決について生ずる効力に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない。

イ.判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対して、より厳しい内容の不利益処分を行うことができる。

ウ.不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない。

エ.判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:4
【解説】
ア.処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない。
ア・・・誤り
取消判決には拘束力があるため、行政庁は、判決の内容にしたがって、行動する義務があります。
ただし、取消訴訟において、取消判決が下されると、行政庁が処分(本肢の場合不利益処分)を取消すことなく、判決により、自動的に、行政庁の処分は初めからなかったものとされます(形成力)。したがって、本肢の「訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない」が誤りです。
イ.判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができる。
イ・・・正しい
判決には、拘束力があり、行政庁は判決の内容にしたがって行動する義務が発生します。
また、判決があると、同一理由に基づく同一処分をすることが出来なくなります。ただし、判決後別の理由があれば、その理由をもとに同一処分をすることは可能です。本肢は、「判決後に新たな処分理由が発生した場合」なので、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができます。
ウ.不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない。
ウ・・・誤り
処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束します(行政事件訴訟法33条1項)。したがって、「不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない」は誤りです。判決の拘束力は及びます。
エ.判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。
エ・・・正しい
判例によると「拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたる」と判示しています。

つまり、判決の拘束力が生じるのは主文だけでなく、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及びます

よって、正しいです。

どういうことかは、個別指導で解説します!

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略