2010年過去問

平成22年・2010|問36|会社法・取締役

取締役の法令違反行為につき、株主が行使しうる権利に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主は、取締役の任務懈怠を理由とする責任追及を行うために、当該会社に対して、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる。
  2. 監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主であって一定の数の株式保有する株主は、当該会社の業務の執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときには、当該会社の業務および財産の状況を調査させるために、検査役の選任を監査役または監査委員に請求することができる。
  3. 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の法令違反行為によって、当該会社に著しい損害が生じるおそれがあるときには、当該取締役に対して当該行為をやめることを請求することができる。
  4. 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の行為に法令に違反する重大な事実があるときには、当該会社を代表して、直ちに責任追及の訴えを提起することができる。
  5. 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主であって一定の数の株式を保有する株主は、取締役が法令違反行為を継続して行っているときには、直ちに当該取締役を解任する訴えを提起することができる。
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【答え】:3 【解説】
1.監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主は、取締役の任務懈怠を理由とする責任追及を行うために、当該会社に対して、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる。
1・・・誤り 監査役設置会社又は指名委員会等設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、下記請求をすることができる(会社法371条3項)。
  • 取締役会議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
  • 取締役会議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
つまり、「営業時間内であれば、いつでも」が誤りで、正しくは「裁判所の許可を得て」です。本問は、すべての選択肢について、きちんと整理することが重要なので個別指導で詳しく解説します!
2.監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主であって一定の数の株式保有する株主は、当該会社の業務の執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときには、当該会社の業務および財産の状況を調査させるために、検査役の選任を監査役または監査委員に請求することができる。
2・・・誤り 株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます(会社法358条1項)。
  1. 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主
  2. 発行済株式(自己株式を除く。)の100分の3以上の数の株式を有する株主
本肢は「監査役または監査委員」が誤りで、正しくは「裁判所」です。
3.監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の法令違反行為によって、当該会社に著しい損害が生じるおそれがあるときには、当該取締役に対して当該行為をやめることを請求することができる。
3・・・正しい 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(会社法360条1項、2項)。 よって、本肢は正しいです。
4.監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の行為に法令に違反する重大な事実があるときには、当該会社を代表して、直ちに責任追及の訴えを提起することができる。
4・・・誤り 非公開会社の株式会社の株主は、株式会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人の責任追及等の訴えの提起を請求することができます会社法847条1項2項)。本肢は「当該会社を代表して、直ちに責任追及の訴えを提起することができる」が誤りで、正しくは「株式会社に対して、責任追及の訴えの提起を請求することができる」です。つまり、株主が、直接訴えを提起できるのではなく、まず、会社に対して、訴えるように請求する、ということです。
5.監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主であって一定の数の株式を保有する株主は、取締役が法令違反行為を継続して行っているときには、直ちに当該取締役を解任する訴えを提起することができる。
5・・・誤り 役員の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき等は、一定の株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができます(会社法854条1項2項)。本肢は「直ちに」が誤りで、「当該株主総会の日から30日以内」が正しいです。
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問34|民法・親族

A男と、B女が出産したCとの関係に関する次の記述のうち、民法の規定または判例に照らし、誤っているものはどれか。
  1. AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。
  2. Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。
  3. Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。
  4. Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。
  5. Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。
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【答え】:3 【解説】
A男と、B女が出産したCとの関係について、 1.AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。
1・・・正しい 判例によると、 「嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によって受理されたときは、その各届は、認知届としての効力を有する」としています(最判昭53.2.24)。 つまり、本肢は正しいです。 関連ポイントを含めた解説は、個別指導で行います!
A男と、B女が出産したCとの関係について、 2.Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。
2・・・正しい 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されます(民法772条2項)。 本肢は、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合なので、「Cは推定されない嫡出子」です。 この場合に、父が父子関係が存在しないことを争うには、「親子関係不存在確認の訴え」によらなければなりません(大判昭15.9.20)。 よって、正しいです。 本肢を理解するためには、基礎知識が必要なので、個別指導で詳しく解説します!
A男と、B女が出産したCとの関係について、 3.Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。
3・・・誤り 婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されます(民法772条2項)。 つまり、「Cは推定される嫡出子」です。 推定される嫡出子について、夫が親子関係を否定する場合、原則、「嫡出否認の訴え」をしなければなります。 ただし、夫が刑務所に収容されていた等の理由で性交渉不可能などの状況がある場合出産した子は夫の子と推定されず、「親子関係不存在確認の訴え」をすることができます(最判昭44.5.29)。 よって、本肢は誤りです。
A男と、B女が出産したCとの関係について、 4.Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。
4・・・正しい 夫が成年被後見人であるときは、嫡出否認の訴えの出訴期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければなりません(民法777条778条)。 よって、本肢は正しいです。
A男と、B女が出産したCとの関係について、 5.Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。
5・・・正しい 嫡出否認については、子又は親権を行う母に対する「嫡出否認の訴え」によって行います。 そして、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければなりません。 したがって、未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方として嫡出否認の訴えを提起します。 よって、正しいです。
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問35|民法・相続

Aは、海外出張に出かけたが、帰国予定の日に帰国しないまま長期間が経過した。その間、家族としては関係者および関係機関に問い合わせ、可能な限りの捜索をしたが、生死不明のまま出張から10年以上が経過した。そこで、Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.BがAの出張前にAから誕生日に宝石をプレゼントされていたときは、Aの相続開始とされる時においてAが有していた財産の価額に、その宝石の価額を加えたものを相続財産とみなし、Bの相続分の中からその宝石の価額を控除した残額をもってBの相続分とする。

イ.Aの相続についての限定承認は、BとCが共同してのみ家庭裁判所に申述することができる。

ウ.Aの遺言が存在した場合に、その遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生ずる。

エ.CがAの失踪宣告前にAの無権代理人としてA所有の土地および建物をDに売却した場合に、BがCと共同して追認をしないときでも、当該無権代理行為は有効となる。

オ.Aについて失踪宣告がなされた後にBはD男と婚姻したが、その後、失踪宣告が取り消された場合に、A・B間の婚姻とB・D間の婚姻は、戸籍の上では共に存在することになるが、両者の婚姻は、当然には無効とならず、共に重婚を理由として取り消し得るにすぎない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3
【解説】

Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。

Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる。

ア.BがAの出張前にAから誕生日に宝石をプレゼントされていたときは、Aの相続開始とされる時においてAが有していた財産の価額に、その宝石の価額を加えたものを相続財産とみなし、Bの相続分の中からその宝石の価額を控除した残額をもってBの相続分とする。

ア・・・誤り

誕生日プレゼント(高額なものは除く)」は相続財産には含まれません

よって、本肢の「宝石の価額を加えたものを相続財産とみなし」は妥当ではありません。

Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。

Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる。

イ.Aの相続についての限定承認は、BとCが共同してのみ家庭裁判所に申述することができる。

イ・・・正しい

相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができます(民法923条)。

つまり、限定承認をする場合、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があるので、本肢は妥当です。

Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。

Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる。

ウ.Aの遺言が存在した場合に、その遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生ずる。

ウ・・・正しい

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます985条1項)。

そして、不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができ、上記7年を経過した時に、死亡したものとみなします30条1項、31条)。

よって、遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生ずるので妥当です。

Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。

Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる。

エ.CがAの失踪宣告前にAの無権代理人としてA所有の土地および建物をDに売却した場合に、BがCと共同して追認をしないときでも、当該無権代理行為は有効となる。

エ・・・誤り

判例によると。
「無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない」としています(最判平5.1.21)。

よって、BがCと共同して追認をしないときは、当該無権代理行為は有効とはならないので、妥当ではりません。

Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。

Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる。

オ.Aについて失踪宣告がなされた後にBはD男と婚姻したが、その後、失踪宣告が取り消された場合に、A・B間の婚姻とB・D間の婚姻は、戸籍の上では共に存在することになるが、両者の婚姻は、当然には無効とならず、共に重婚を理由として取り消し得るにすぎない。

オ・・・誤り

失踪宣告後、再婚し、その後失踪宣告が取り消された場合の取り扱いについては下記の通りです。

  • 後婚(再婚)の両当事者が善意の場合、前婚が復活せず、後婚のみ有効となります(32条1項後段)。
  • 再婚した当事者の一方または双方が悪意の場合(Aの失踪宣告が事実と異なることを知っている場合)、前婚が復活して、重婚状態となります。そして、前婚については、離婚原因民法770条)となり、後婚は取消原因744条)となります。

よって、「共に重婚を理由として取り消し得る」は妥当ではありません。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問32|民法・委任契約・事務管理

AはBのためにある事務処理を行った。これが、①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合とに関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.Aは、①の場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができるのに対し、②の場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。

イ.Aは、①の場合には、事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求をすることができるのに対し、②の場合には、Bのために有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる。

ウ.Aは、①の場合には、Bを代理する権限が法律上当然には認められないのに対し、②の場合には、Bを代理する権限が法律上当然に認められる。

エ.Aは、①の場合には、事務を処理するにあたって受け取った金銭をBに引き渡さなければならないが、②の場合には、Bに対しそのような義務を負わない。

オ.Aは、①の場合には、委任の終了後に遅滞なくBに事務処理の経過および結果を報告しなければならないのに対し、②の場合には、事務管理を終了しても、Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:1
【解説】

①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合について、

ア.Aは、①の場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができるのに対し、②の場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。

ア・・・正しい

委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければなりません(民法649条)。

一方、
事務管理については、費用の前払請求はできません

よって、正しいです。

①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合について、

イ.Aは、①の場合には、事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求をすることができるのに対し、②の場合には、Bのために有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる。

イ・・・正しい

受任者は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。

また、受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用の償還を請求することができます(民法650条1項)。

一方、
事務管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができます(民法702条1項)。

よって、正しいです。

①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合について、

ウ.Aは、①の場合には、Bを代理する権限が法律上当然には認められないのに対し、②の場合には、Bを代理する権限が法律上当然に認められる。

ウ・・・誤り

委任契約がされているからといって、当然に代理する権限が法律上当然に認められるわけではありません
よって、この点は正しいです。

一方、事務管理については
判例によると、
事務管理者が本人の名でした法律行為の効果は、当然には本人に及ぶものではない」としています(最判昭36.11.30)。
つまり、事務管理についても、当然代理する権限が法律上当然に認められるわけではありません。
よって、この点が誤りです。

①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合について、

エ.Aは、①の場合には、事務を処理するにあたって受け取った金銭をBに引き渡さなければならないが、②の場合には、Bに対しそのような義務を負わない。

エ・・・誤り

受任者は、委任事務を処理するにあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければなりません民法646条1項)。
この点は正しいです。

また、事務管理でも、上記委任の規定を準用しています(民法701条)。

したがって、②の場合には、Bに対しそのような義務を負うので、この点が誤りです。

①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合について、

オ.Aは、①の場合には、委任の終了後に遅滞なくBに事務処理の経過および結果を報告しなければならないのに対し、②の場合には、事務管理を終了しても、Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない。

オ・・・誤り

受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければなりません(民法645条)。

また、事務管理でも、上記委任の規定を準用しています(民法701条)。
したがって、②の場合には、事務処理の結果を報告する義務を負うので、この点が誤りです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問33|民法・不当利得

AのBに対する不当利得返還請求等に関する次のア~オの記述のうち、判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。
ア.Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。 イ.Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。 ウ.Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕業務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。 エ.Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。 オ.Bは、Cから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ
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【答え】:2 【解説】
ア.Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。
ア・・・正しい 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができません民法705条)。 しかし、判例によると、 「居住家屋の賃料の支払義務のない者が、当該家屋の所有者から賃料支払の催告を受けたため、これを支払うべき筋合はないが賃料不払等とこじつけて家屋明渡訴訟を提起された場合の防禦方法として支払う旨とくに留保の表示をしたうえ、請求額を支払った等判示実関係のように、債務の不存在を知って弁済したことも無理からぬような客観的事情がある場合には、民法第705条の適用はない」としています(最大判昭40.12.21)。 つまり、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができるので正しいです。 どういうことを言っているかは、個別指導で解説します!
イ.Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。
イ・・・正しい 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができません(民法708条本文:不法原因給付)。 しかし、判例によると、 「不法原因給付の返還の特約に基く返還義務の履行のため振り出された手形の請求には、民法708条は適用がない」としています(最判昭28.1.22)。 不法な原因(賭博で負けたことが理由)で渡した骨董品は、原則、返還請求できないです。 しかし、契約で返還請求できる契約をすることはできるので、本肢は正しいです。 本肢は理解する必要があるので、 個別指導で解説します!
ウ.Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕業務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。
ウ・・・正しい 判例によると、 「甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られる」としています(最判平7.9.19)。 つまり、契約全体から見て、第三者が対価を受けずに利益を得た場合、不当利得として返還しなければならないということです。 よって、本肢は正しいです。 本肢は理解が必要なので、個別指導で解説します!
エ.Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。
エ・・・誤り 判例によると、 「建物は未登記のものであって、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したものと解される」としています(最判昭45.10.21)。 つまり、未登記の建物は「引き渡し」があれば「給付」したことになるため、返還請求できません。 よって、誤りです。 本肢は関連ポイントも含めて勉強した方がよいので、個別指導で解説します!
オ.Bは、Cから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる。
オ・・・誤り 判例によると、 「BがCの強迫により消費貸借契約の借主となり貸主Aに指示して貸付金をDに給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消したが、BとDとの間には事前に何らの法律上又は事実上の関係はなく、BがCの言うままにAに対して貸付金をDに給付するように指示したなど判示の事実関係の下においては、AからBに対する不当利得返還請求について、Bが右給付によりその価額に相当する利益を受けたとみることはできない」としています(最判平10.5.26)。 よって、Bは利益を受けていないため、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができません。 詳細解説は、個別指導で解説します!
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問31|民法・保証

保証に関する1~5の「相談」のうち、民法の規定および判例に照らし、「可能です」と回答しうるものはどれか。

  1. 私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
  2. 私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。
  3. 私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3ヵ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
  4. 私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。
  5. 私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。

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【答え】:5
【解説】

1.私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

1・・・「可能です」と回答できない

判例によると、
「特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証の責に任ずる」としています(最大判昭40.6.30)。

つまり、「私(保証人)」は保証債務の履行を拒むことはできません。

どういうことを言っているかは、個別指導で解説します!

2.私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。

2・・・「可能です」と回答できない

判例によると、
「 物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない」としています(最判平2.12.18)。

私(物上保証人)はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使することはできないです。

3.私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3ヵ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

3・・・「可能です」と回答できない

個人根保証契約は、極度額を定めない場合、無効です(民法465条の2第2項)。

一方、保証人が法人の場合は、極度額のない根保証契約も有効です。

したがって、会社甲は、極度額のない根保証契約をしたら有効なので、が保証債務の履行を拒むことはできません。

4.私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

4・・・「可能です」と回答できない

保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを含みます民法447条)。

よって、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償について、私(保証人)は保証債務の履行を拒むことはできません。

5.私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。

5・・・「可能です」と回答できる

保証人は、自己の負担部分(200万円)を超える弁済をすれば、自己の負担部分を超える部分について他の保証人に求償できます。

つまり、「私」が400万円を弁済したのであれば、「私」は、200万円をCに求償できます。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問30|民法・抵当権

A銀行はBに3,000万円を融資し、その貸金債権を担保するために、B所有の山林(樹木の生育する山の土地。本件樹木については立木法による登記等の対抗要件を具備していない)に抵当権の設定を受け、その旨の登記を備えたところ、Bは通常の利用の範囲を超えて山林の伐採を行った。この場合に、以下のア~オの記述のうち、次の【考え方】に適合するものをすべて挙げた場合に、妥当なものの組合せはどれか。なお、対抗要件や即時取得については判例の見解に立つことを前提とする。
【考え方】:分離物が第三者に売却されても、抵当不動産と場所的一体性を保っている限り、抵当権の公示の衣に包まれているので、抵当権を第三者に対抗できるが、搬出されてしまうと、抵当権の効力自体は分離物に及ぶが、第三者に対する対抗力は喪失する。
ア.抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却された場合には、A銀行は第三者への木材の引渡しよりも先に抵当権の登記を備えているので、第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。 イ.抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却され、占有改定による引渡しがなされたとしても、第三者のために即時取得は成立しない。 ウ.Bと取引関係にない第三者によって伐採木材が抵当山林から不当に別の場所に搬出された場合に、A銀行は第三者に対して元の場所へ戻すように請求できる。 エ.Bによって伐採木材が抵当山林から別の場所に搬出された後に、第三者がBから木材を買い引渡しを受けた場合において、当該木材が抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っているときは、当該第三者は木材の取得をA銀行に主張できない。 オ.第三者がA銀行に対する個人的な嫌がらせ目的で、Bをして抵当山林から伐採木材を別の場所に搬出させた後に、Bから木材を買い引渡しを受けた場合において、A銀行は、適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情のない限り、第三者に対して自己への引渡しを求めることができない。
  1. ア・イ・ウ・エ
  2. ア・イ・ウ・オ
  3. ア・イ・エ
  4. ア・ウ・エ
  5. イ・ウ・オ
>解答と解説はこちら
【答え】:2 【解説】 本肢の【考え方】を整理すると 伐採木材が、「①抵当不動産上にある場合」と「抵当不動産から搬出された場合」の2つに分けて考えています。
  • ①伐採木材が抵当不動産上にある場合 ⇒ 抵当権の効力は伐採材木にも及び、抵当権を第三者に対抗できる
  • ②伐採木材が抵当不動産から搬出された場合 ⇒ 抵当権の効力は伐採材木にも及ぶが、抵当権を第三者に対抗できない
ア.抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却された場合には、A銀行は第三者への木材の引渡しよりも先に抵当権の登記を備えているので、第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。
ア・・・適合する 本肢は「抵当山林上に伐採木材がある段階」なので①です。 そのため、木材がBから第三者に売却された場合でも、銀行は、抵当権により第三者に対抗できます。 よって、第三者の搬出行為の禁止を求めることができます。 したがって、本問の考え方と適合します。
イ.抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却され、占有改定による引渡しがなされたとしても、第三者のために即時取得は成立しない。
イ・・・適合する 本肢は「抵当山林上に伐採木材がある段階」なので①です。 よって、抵当権は伐採木材にも及び、第三者に対抗できます。 そして、占有改定による引渡しがなされたとしても、占有改定では、即時取得は成立しません最判昭35.2.11)。 したがって、本問の考え方と適合します。
ウ.Bと取引関係にない第三者によって伐採木材が抵当山林から不当に別の場所に搬出された場合に、A銀行は第三者に対して元の場所へ戻すように請求できる。
ウ・・・適合する 本肢は「伐採木材が抵当山林から不当に別の場所に搬出された場合」なので②です。 この場合、抵当権の効力は伐採材木にも及ぶが、抵当権を第三者に対抗できないです。 本肢の第三者は、「Bと取引関係にない第三者」は無権利者です。 よって、上記「抵当権を対抗できない第三者」には含みません。 言い換えると、A銀行は第三者(無権利者)に対して元の場所へ戻すように請求できます。 したがって、本問の考え方と適合します。
エ.Bによって伐採木材が抵当山林から別の場所に搬出された後に、第三者がBから木材を買い引渡しを受けた場合において、当該木材が抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っているときは、当該第三者は木材の取得をA銀行に主張できない。
エ・・・適合しない 本肢は「Bによって伐採木材が抵当山林から別の場所に搬出された後」なので②です。 そして、「第三者がBから木材を買い引渡しを受けた場合」なので、A銀行は、当該第三者に対して抵当権を対抗できません。 言い換えると、当該第三者は木材の取得をA銀行に主張できます。 したがって、本問の考え方と適合しません。
オ.第三者がA銀行に対する個人的な嫌がらせ目的で、Bをして抵当山林から伐採木材を別の場所に搬出させた後に、Bから木材を買い引渡しを受けた場合において、A銀行は、適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情のない限り、第三者に対して自己への引渡しを求めることができない。
オ・・・適合する 本肢は「第三者がA銀行に対する個人的な嫌がらせ目的で、Bをして抵当山林から伐採木材を別の場所に搬出させた後に、Bから木材を買い引渡しを受けた場合」となっているので、当該第三者は「背信的悪意者」です。 したがって、A銀行は、第三者に対抗できます。 そして、判例によると、 「抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる」としています(最判平17.3.10)。 つまり、A銀行は、適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情のない限り、第三者に対して自己への引渡しを求めることができないので、本問の考え方と適合します。
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問29|民法・共有

A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ.甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3
【解説】

ア.各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

ア・・・誤り

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます。

ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることは可能です(民法256条1項)。

よって、「5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効」は妥当ではありません。

当該契約も有効です。

イ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

イ・・・正しい

共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)

そして、判例によると、
「数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法258条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される」としています(最大判昭62.4.22)。

よって、本肢内容は妥当です!

本肢がどういった内容なのかは、個別指導で解説します!

ウ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

ウ・・・正しい

共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)

そして、判例によると、
「多数の者が共有する物を民法258条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される」としています(最大判昭62.4.22)。

よって、本肢内容は妥当です!

本肢がどういった内容なのかは、個別指導で解説します!

エ.Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

エ・・・誤り

判例によると、
「当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、

当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、

かつ、

その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、

共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、

これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、
すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許される
としています(最判平8.10.31)。

本肢は、「方法をとらなければならない」となっているので誤りです。

正しくは「方法をとることができる」です。

必ずしも全面的価格賠償による必要はありません。

全面的価格賠償については、個別指導で解説します!

オ.甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

オ・・・誤り

判例によると、
「不動産の共有物分割訴訟においては、共有者間に持分の譲渡があっても、その登記が存しないため、譲受人が持分の取得をもって他の共有者に対抗することができないときは、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきである」としています(最判昭46.6.18)。

つまり、Aは、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができるので誤りです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問27|民法・制限行為能力者

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる。
  2. Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。
  3. この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。
  4. Aが、高額な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。
  5. Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした。

1.Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる。

1・・・誤り

成年被後見人は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」で、家庭裁判所が、「後見開始の審判」をした者をいいます(民法7条)。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるからといって、当然に成年被後見人とはならないので、妥当ではありません。

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした。

2.Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。

2・・・誤り

被保佐人が一定の重要な財産上の行為を行う場合、保佐人の同意を得なければなりません(民法13条1項)。

上記、同意がない場合、被保佐人や保佐人は譲渡契約の取り消しができます。

本肢の「動産の譲渡」については、「一定の重要な財産上の行為」に当たる場合と当たらない場合があります

そのため、「常に譲渡契約を取り消すことができる」とは限らないので、本肢は妥当ではありません。

詳細解説は、個別指導で解説します!

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした。

3.この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。

3・・・誤り

相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができます民法96条2項)。

本肢に当てはめると、
相手方Bが、鑑定人(第三者)の虚偽の鑑定について、知っている(善意)か、知ることができた(有過失)場合、本人Aは取り消せます。

よって、「事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない」は妥当ではありません。

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした。

4.Aが、高額な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。

4・・・正しい

意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、有効です(民法93条1項:心裡留保)。

よって、
贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効です。

本肢は妥当です。

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした。

5.Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。

5・・・誤り

虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができません民法94条2項)。

そして、第三者は、善意であれば足り、無過失であることを要しません(大判昭12.8.10)。

したがって、Cに過失があっても、Aは、善意のCに対して無効主張することはできません。

よって、妥当ではありません。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成22年・2010|問28|民法・時効

時効更新の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
  1. 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することはできない。
  2. 物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は更新する。
  3. 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
  4. 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の更新をすれば、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
  5. A所有の甲土地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはない。
>解答と解説はこちら
【答え】:4 【解説】
1.債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することはできない。
1・・・正しい 判例によると、 「物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することができない」としています(最判平7.3.10)。 つまり、本肢は正しいです。
2.物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は更新する。
2・・・正しい 時効の完成猶予や時効更新の手続は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の完成猶予又は更新の効力を生じません(民法154条)。 よって、本肢は、債務者Bに通知ているので、被担保債権についての消滅時効は更新します。 なので、正しいです。 どういうことを言っているのかは個別指導で解説します!
3.要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
3・・・正しい 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生じます民法292条)。 つまり、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶので、正しいです。 考え方については、個別指導で解説します!
4.甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の更新をすれば、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
4・・・誤り 共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じません民法284条2項)。 つまり、A・B・C全員に対して時効更新しないと、地役権は時効取得されてしまいます。 よって、本肢は誤りです。 本肢は考え方が変わるとスンナリ解けます! そのため、考え方については、個別指導で解説します!
5.A所有の甲土地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはない。
5・・・正しい 時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有します(民法153条1項)。 つまり、時効更新は相対効ということです。 AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはありません。 正しい記述です! 別途考えるべきポイントは、個別指導で解説します!
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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略