行政事件訴訟法の過去問

令和2年・2020|問19|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。
  2. 行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。
  3. 義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。
  4. 処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。
  5. 義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。

1・・・誤り

申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、「拒否処分の取消訴訟」や「無効確認訴訟」と併合提起しなければなりません(行政事件訴訟法37条の3第3項2号)。

よって、「無効確認訴訟と併合提起することはできる」ので誤りです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

2.行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。

2・・・誤り

本肢のような規定はありません。よって、裁判所は、行政庁の代わりに処分を行うことはできないので、誤りです。

3.義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。

3・・・正しい

義務付け判決については、拘束力の規定(33条)は準用されますが、第三者効の規定(32条)は準用されていません。

よって、正しいです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

4.処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。

4・・・誤り

仮の義務付けのみを単独で申立てることはできないです。よって、誤りです。

仮の義務付けを申し立てるためには、事前に「義務付け訴訟」の提起が必要です(行政事件訴訟法37条の5第1項)。

5.義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。

5・・・誤り

義務付け訴訟は、申請型、非申請型の2つがあり、申請型の義務付け訴訟については「重大な損害を生じるおそれ」については要件ではありません。

非申請型の場合のみ「重大な損害を生じるおそれ」が要件となっています。

よって、誤りです。

この点は理解が必要なので、個別指導で解説します。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
  2. 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  3. 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  4. 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  5. 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。

1・・・誤り

取消訴訟は、「処分又は裁決があつたことを知った日から6ヶ月を経過したとき」または「処分又は裁決の日から1年を経過したとき」は、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条1項2項)。

本肢は「処分または裁決の日から6ヵ月」が誤りで、正しくは「処分または裁決を知った日から6ヵ月」です。

2.処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

2・・・正しい

「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」又は「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、「選択肢1の14条1項2項」の規定にかかわらず、これに対する「裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」又は「当該裁決の日から1年を経過」したときは、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条3項)。

よって、正しいです。

3.不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

3・・・誤り

本肢のような規定はないので、誤りです。

不作為の違法確認訴訟については、出訴期間はありません。
なぜなら、行政庁の不作為が継続しているということは、その間、ずっと行政庁の違法な状態が続いているということです。
そのため、その間はずっと、訴訟提起できます。

4.義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

4・・・誤り

義務付け訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

なぜ、出訴期間の規定がないかは個別指導で解説します!

5.差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

5・・・誤り

差止め訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

なぜ、出訴期間の規定がないかは個別指導で解説します!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問17|行政事件訴訟法

狭義の訴えの利益に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

イ.土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ウ.建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

エ.都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ア・・・誤り

判例(最判昭57.9.9:長沼ナイキ基地訴訟)によると、

「保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、右解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格を有する者ということができるけれども・・・本件におけるいわゆる代替施設の設置によって右の洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは本件保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは、もはやAと表示のある上告人らにおいて右指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われるに至ったものといわざるをえない」

と判示しています。

つまり、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、利益を侵害された者は原告適格を有します。

しかし、代替施設(例えば、ダム)の設置で、洪水や渇水(水不足)の危険が解消され、保安林を存続させる必要がなくなった場合、訴えの利益は失われます。

よって、誤りです。

詳細解説は個別指導で行います!

イ.土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

イ・・・正しい

判例(最判平4.1.24)によると、

「本件訴訟において、本件認可処分が取り消された場合に、本件事業施行地域を本件事業施行以前の原状に回復することが、本件訴訟係属中に本件事業計画に係る工事及び換地処分がすべて完了したため、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、右のような事情は、行政事件訴訟法31条の適用に関して考慮されるべき事柄であって、本件認可処分の取消しを求める上告人の法律上の利益を消滅させるものではないと解するのが相当である」

と判示しています。

つまり、土地改良事業の工事が完了して、原状回復が不可能となった場合でも、事業の施行認可処分の取消しを求める訴えの利益は消滅しません。

結果として、認可処分が違法と判断され、事実上原状回復できない場合は、「事情判決」となる可能性はあります。

詳細解説は個別指導で行います!

ウ.建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ウ・・・誤り

判例(最判昭59.10.26)によると、

「建築確認は、それを受けなければ建築工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。」

と判示しています。

つまり、建築確認を受けた建築物の建築工事が完了した場合、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われます。

よって、誤りです。

詳細解説は個別指導で行います!

エ.都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

エ・・・正しい

判例(最判平27.12.14)によると、

「市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し、当該工事の検査済証が交付された後においても、当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われないと解するのが相当である」

と判示しています。

つまり、市街化調整区域内にある土地を開発区域として、開発許可に関する工事が完了して、その工事の検査済証が交付された後でも、その開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われません。

よって、正しいです。

詳細解説は個別指導で行います!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める処分取消訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分をした行政庁が国または公共団体に所属する場合における処分取消訴訟は、当該処分をした行政庁を被告として提起しなければならない。
  2. 処分取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所または処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
  3. 処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合における処分取消訴訟は、法務大臣を被告として提起しなければならない。
  4. 裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、決定をもって、当該第三者を訴訟に参加させることができるが、この決定は、当該第三者の申立てがない場合であっても、職権で行うことができる。
  5. 処分取消訴訟は、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においては、特段の定めがない限り、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければこれを提起することができない。

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【答え】:4
【解説】
1.処分をした行政庁が国または公共団体に所属する場合における処分取消訴訟は、当該処分をした行政庁を被告として提起しなければならない。

1・・・誤り

処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項1号)。

一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体

よって、本問は「当該処分をした行政庁を被告として」が誤りです。正しくは「処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」です。

 

2.処分取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所または処分をした行政庁の所在
地を管轄する裁判所の管轄に属する。

2・・・誤り

取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属します(行政事件訴訟法12条1項)。

本肢は「原告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所」となっているので誤りです。正しくは「被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所」です。

 

3.処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合における処分取消訴訟は、法務大臣を
被告として提起しなければならない。

3・・・誤り

処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条2項)。

本問は「法務大臣」が誤りで、正しくは「処分をした行政庁」です。

 

4.裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、決定をもって、当該第三者
を訴訟に参加させることができるが、この決定は、当該第三者の申立てがない場合であっても、職権で行うことができる

4・・・正しい

裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法22条1項)。

つまり、「第三者の訴訟参加の決定」は、裁判所の職権で行うこともできるので、正しいです。

 

5.処分取消訴訟は、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合において
は、特段の定めがない限り、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければこれを提起することができない。

5・・・誤り

処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げません(直ちに訴えを提起できる)
ただし、「法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨」の定めがあるときは、直ちに訴えを提起することはできず、裁決を経た後出なければ訴えを提起することができません。(行政事件訴訟法8条1項)。

よって、上記の通り、「当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければこれを提起することができない」は誤りで、正しくは「直ちに提起することができる」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問19|行政事件訴訟法

取消訴訟の原告適格に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 地方鉄道法(当時)による鉄道料金の認可に基づく鉄道料金の改定は、当該鉄道の利用者に直接の影響を及ぼすものであるから、路線の周辺に居住し、特別急行を利用している者には、地方鉄道業者の特別急行料金の改定についての認可処分の取消しを求める原告適格が認められる。
  2. 文化財保護法は、文化財の研究者が史跡の保存・活用から受ける利益について、同法の目的とする一般的、抽象的公益のなかに吸収・解消させずに、特に文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしている規定を置いているため、史跡を研究の対象とする学術研究者には、史跡の指定解除処分の取消しを求める原告適格が認められ
    る。
  3. 不当景品類及び不当表示防止法は、公益保護を目的とし、個々の消費者の利益の保護を同時に目的とするものであるから、消費者が誤認をする可能性のある商品表示の認定によって不利益を受ける消費者には、当該商品表示の認定の取消しを求める原告適格が認められる。
  4. 航空機の騒音の防止は、航空機騒音防止法*の目的であるとともに、航空法の目的でもあるところ、定期航空運送事業免許の審査にあたっては、申請事業計画を騒音障害の有無および程度の点からも評価する必要があるから、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受ける空港周辺の住民には、免許の取消しを求める原告適格が認められる。
  5. 都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定は、事業地の周辺に居住する住民の具体的利益を保護するものではないため、これらの住民であって騒音、振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあるものであっても、都市計画事業認可の取消しを求める原告適格は認められない。

(注) * 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律

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【答え】:4
【解説】
1.地方鉄道法(当時)による鉄道料金の認可に基づく鉄道料金の改定は、当該鉄道の利用者に直
接の影響を及ぼすものであるから、路線の周辺に居住し、特別急行を利用している者には、地方鉄道業者の特別急行料金の改定についての認可処分の取消しを求める原告適格が認められる。

1・・・妥当ではない

判例(最判平元.4.13)によると

「地方鉄道法21条は、地方鉄道における運賃、料金の定め、変更につき監督官庁の認可を受けさせることとしているが、同条に基づく認可処分そのものは、本来、当該地方鉄道の利用者の契約上の地位に直接影響を及ぼすものではなく、このことは、その利用形態のいかんにより差異を生ずるものではない。

また、同条の趣旨は、もつぱら公共の利益を確保することにあるのであつて、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではなく、他に同条が当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することを目的として認可権の行使に制約を課していると解すべき根拠はない。

そうすると、たとえ上告人らがD鉄道株式会社の路線の周辺に居住する者であつて通勤定期券を購入するなどしたうえ、日常同社が運行している特別急行旅客列車を利用しているとしても、上告人らは、本件特別急行料金の改定(変更)の認可処分によつて自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということができず、右認可処分の取消しを求める原告適格を有しないというべきであるから、本件訴えは不適法である。」

と判示しています。

よって、本問は「鉄道料金の改定は、当該鉄道の利用者に直接の影響を及ぼすものであるから、認可処分の取消しを求める原告適格が認められる」は誤りです。

正しくは「鉄道料金の改定は、当該鉄道の利用者に直接の影響を及ぼすものではないから、認可処分の取消しを求める原告適格が認められない」です。

 

2.文化財保護法は、文化財の研究者が史跡の保存・活用から受ける利益について、同法の目的とする一般的、抽象的公益のなかに吸収・解消させずに、特に文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしている規定を置いているため、史跡を研究の対象とする学術研究者には、史跡の指定解除処分の取消しを求める原告適格が認められる。

2・・・妥当ではない

判例(最判平元.6.20)によると

本件条例及び法は、文化財の保存・活用から個々の県民あるいは国民が受ける利益については、本来本件条例及び法がその目的としている公益の中に吸収解消させ、その保護は、もつぱら右公益の実現を通じて図ることとしているものと解される。

そして、本件条例及び法において、文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしていると解しうる規定を見出すことはできないから、そこに、学術研究者の右利益について、一般の県民あるいは国民が文化財の保存・活用から受ける利益を超えてその保護を図ろうとする趣旨を認めることはできない

・・・

したがつて、上告人らは、本件遺跡を研究の対象としてきた学術研究者であるとしても、本件史跡指定解除処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有せず、本件訴訟における原告適格を有しないといわざるをえない。」

と判示しています。

よって、本問を正しくすると「文化財保護法は、文化財の研究者が史跡の保存・活用から受ける利益について、同法の目的とする一般的、抽象的公益のなかに吸収・解消させ、特に文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしている規定を置いておらず、史跡を研究の対象とする学術研究者には、史跡の指定解除処分の取消しを求める原告適格が認められない。」となります。

分かりやすくした解説個別指導で解説します!

 

■判例(最判平元.6.20)によると

「静岡県教育委員会は、県内の重要な記念物を県指定史跡等に指定することができ(29条1項)、県指定史跡等がその価値を失つた場合その他特殊の理由があるときは、その指定を解除することができる(30条1項)こととされている。

これらの規定並びに本件条例及び法の他の規定中に、県民あるいは国民が史跡等の文化財の保存・活用から受ける利益をそれら個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を明記しているものはなく、また、右各規定の合理的解釈によつても、そのような趣旨を導くことはできない。

そうすると、本件条例及び法は、文化財の保存・活用から個々の県民あるいは国民が受ける利益については、本来本件条例及び法がその目的としている公益の中に吸収解消させ、その保護は、もつぱら右公益の実現を通じて図ることとしているものと解される(国民が受ける権利は、公益の中に含まれる)。

そして、本件条例及び法において、文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしていると解しうる規定を見出すことはできないから、そこに、学術研究者の右利益について、一般の県民あるいは国民が文化財の保存・活用から受ける利益を超えてその保護を図ろうとする趣旨を認めることはできない学術研究者の利益は、県民・国民が文化財の保存・活用から受ける利益と同等であり、特段の配慮はない)。

文化財の価値は学術研究者の調査研究によつて明らかにされるものであり、その保存・活用のためには学術研究者の協力を得ることが不可欠であるという実情があるとしても、そのことによつて右の解釈が左右されるものではない。

また、所論が掲げる各法条は、右の解釈に反する趣旨を有するものではない。

したがつて、上告人らは、本件遺跡を研究の対象としてきた学術研究者であるとしても、本件史跡指定解除処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有せず、本件訴訟における原告適格を有しないといわざるをえない。」

と判示しています。

よって、本問を正しくすると「文化財保護法は、文化財の研究者が史跡の保存・活用から受ける利益について、同法の目的とする一般的、抽象的公益のなかに吸収・解消させ、特に文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしている規定を置いておらず、史跡を研究の対象とする学術研究者には、史跡の指定解除処分の取消しを求める原告適格が認められない。」となります。

 

3.不当景品類及び不当表示防止法は、公益保護を目的とし、個々の消費者の利益の保護を同時に目的とするものであるから、消費者が誤認をする可能性のある商品表示の認定によって不利益を受ける消費者には、当該商品表示の認定の取消しを求める原告適格が認められる。

3・・・妥当ではない

判例最判昭53.3.14によると

景表法の目的とするところは公益の実現にあり、同法1条にいう一般消費者の利益の保護もそれが直接的な目的であるか間接的な目的であるかは別として、公益保護の一環としてのそれであるというべきである。

してみると、同法の規定にいう一般消費者も国民を消費者としての側面からとらえたものというべきであり、景表法の規定により一般消費者が受ける利益は、公正取引委員会による同法の適正な運用によつて実現されるべき公益の保護を通じ国民一般が共通してもつにいたる抽象的、平均的、一般的な利益、換言すれば、同法の規定の目的である公益の保護の結果として生ずる反射的な利益ないし事実上の利益であつて、本来私人等権利主体の個人的な利益を保護することを目的とする法規により保障される法律上保護された利益とはいえないものである。

もとより、一般消費者といつても、個々の消費者を離れて存在するものではないが、景表法上かかる個々の消費者の利益は、同法の規定が目的とする公益の保護を通じその結果として保護されるべきもの、換言すれば、公益に完全に包摂されるような性質のものにすぎないと解すべきである。

したがつて、仮に、公正取引委員会による公正競争規約の認定が正当にされなかつたとしても、一般消費者としては、景表法の規定の適正な運用によつて得られるべき反射的な利益ないし事実上の利益が得られなかつたにとどまり、その本来有する法律上の地位には、なんら消長はないといわなければならない。

そこで、単に一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない」と判示しています。

よって、本問は「不当景品類及び不当表示防止法、・・・個々の消費者の利益の保護を同時に目的とする」「原告適格が認められる。」が誤りです。

正しくは、「不当景品類及び不当表示防止法は、公益保護を目的とし、個々の消費者の利益の保護を同時に目的とするものではないから、消費者が誤認をする可能性のある商品表示の認定によって不利益を受ける消費者には、当該商品表示の認定の取消しを求める原告適格が認められない。」です。

本問はわかりにくい部分があるので分かりやすくした解説個別指導で解説します!

■判例最判昭53.3.14によると

景表法の目的とするところは公益の実現にあり、同法1条にいう一般消費者の利益の保護もそれが直接的な目的であるか間接的な目的であるかは別として、公益保護の一環としてのそれであるというべきである。

してみると、同法の規定にいう一般消費者も国民を消費者としての側面からとらえたものというべきであり、景表法の規定により一般消費者が受ける利益は、公正取引委員会による同法の適正な運用によつて実現されるべき公益の保護を通じ国民一般が共通してもつにいたる抽象的、平均的、一般的な利益(つまり、一般消費者が受ける利益も公益の一部)、換言すれば、同法の規定の目的である公益の保護の結果として生ずる反射的な利益(間接的な利益)ないし事実上の利益(法律上保護された利益ではない)であつて、本来私人等権利主体の個人的な利益を保護することを目的とする法規により保障される法律上保護された利益とはいえないものである(一般消費者受ける利益は、法律上保護された利益ではなく、公益の一部としての利益に過ぎない)。

もとより、一般消費者といつても、個々の消費者を離れて存在するものではないが、景表法上かかる個々の消費者の利益は、同法の規定が目的とする公益の保護を通じその結果として保護されるべきもの、換言すれば、公益に完全に包摂されるような性質のものにすぎないと解すべきである。

したがつて、仮に、公正取引委員会による公正競争規約の認定が正当にされなかつたとしても、一般消費者としては、景表法の規定の適正な運用によつて得られるべき反射的な利益ないし事実上の利益が得られなかつたにとどまり、その本来有する法律上の地位には、なんら消長はないといわなければならない。

そこで、単に一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につき景表法10条6項による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできない」と判示しています。

よって、本問は「不当景品類及び不当表示防止法、・・・個々の消費者の利益の保護を同時に目的とする」「原告適格が認められる。」が誤りです。

正しくは、「不当景品類及び不当表示防止法は、公益保護を目的とし、個々の消費者の利益の保護を同時に目的とするものではないから、消費者が誤認をする可能性のある商品表示の認定によって不利益を受ける消費者には、当該商品表示の認定の取消しを求める原告適格が認められない。」です。

 

4.航空機の騒音の防止は、航空機騒音防止法の目的であるとともに、航空法の目的でもあるところ、定期航空運送事業免許の審査にあたっては、申請事業計画を騒音障害の有無および程度の点からも評価する必要があるから、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受ける空港周辺の住民には、免許の取消しを求める原告適格が認められる。

4・・・妥当

判例最判平元.2.17によると

「航空機騒音防止法が、定期航空運送事業免許の審査において、航空機の騒音による障害の防止の観点から、申請に係る事業計画が法101条1項3号にいう「経営上及び航空保安上適切なもの」であるかどうかを、当該事業計画による使用飛行場周辺における当該事業計画に基づく航空機の航行による騒音障害の有無及び程度を考慮に入れたうえで判断すべきものとしているのは、単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、

飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含むものと解することができるのである。

したがつて、新たに付与された定期航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。」

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

5.都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定は、事業地の周辺に居住する住民の具体的利益を保護するものではないため、これらの住民であって騒音、振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあるものであっても、都市計画事業認可の取消しを求める原告適格は認められない。

5・・・妥当ではない

判例最判平17.12.7によると

「都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定の趣旨及び目的、これらの規定が都市計画事業の認可の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば、

同法は、これらの規定を通じて、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに、騒音、振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して、そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。

したがって、都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するものといわなければならない。」

と判示しています。

本問は「事業地の周辺に居住する住民の具体的利益を保護するものではない」と「直接的に受けるおそれのあるものであっても、都市計画事業認可の取消しを求める原告適格は認められない」が妥当ではありません。

正しくは「都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定は、事業地の周辺に居住する住民の具体的利益を保護するものであるため、これらの住民であって騒音、振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあるものは、都市計画事業認可の取消しを求める原告適格は認められる。」

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問17|行政事件訴訟法

次に掲げる行政事件訴訟法の条文の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

第25条第2項
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ ア ]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)

第36条
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[ イ ]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ ウ ]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

第37条の2第1項
第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[ エ ]を生ずるおそれがあり、かつ、その[ オ ]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

  1. ア:重大な損害 イ:重大な損害 ウ:私法上の法律関係 エ:損害 オ:拡大
  2. ア:償うことのできない損害 イ:重大な損害 ウ:現在の法律関係 エ:重大な損害 オ:損害
  3. ア:重大な損害 イ:損害 ウ:現在の法律関係 エ:重大な損害 オ:損害
  4. ア:償うことのできない損害 イ:損害 ウ:私法上の法律関係 エ:損害 オ:拡大
  5. ア:重大な損害 イ:償うことのできない損害 ウ:公法上の法律関係 エ:重大な損害  オ:拡大

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】
ア.第25条第2項
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ ア ]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)

ア・・・重大な損害

第25条第2項(執行停止)
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ ア:重大な損害 ]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)

イ.ウ.第36条
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[ イ ]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ ウ ]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

イ・・・損害  ウ・・・現在の法律関係

第36条(無効等確認の訴えの原告適格)
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[ イ:損害 ]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ ウ:現在の法律関係 ]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

エ.オ.第37条の2第1項
第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[ エ ]を生ずるおそれがあり、かつ、その[ オ ]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

エ・・・重大な損害  オ・・・損害

第37条の2第1項(義務付けの訴えの要件等)
第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[ エ;重大な損害 ]を生ずるおそれがあり、かつ、その[ オ:損害 ]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略