民法の過去問

令和2年・2020|問31|民法

Aは、Bに対して金銭債務(以下、「甲債務」という。)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下、「本件債務引受」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。
  2. 本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。
  3. 本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。
  4. 本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。
  5. 本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】
1.本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。

1・・・正しい

併存的債務引受は、下記3パターンの契約の仕方で行えます(民法470条)。

  1. 債権者Bと債務者Aと引受人Cよる三者契約
  2. 債権者Bと引受人Cによる場合
  3. 債務者Aと引受人Cによる場合

したがって、本肢は、2(債権者Bと引受人Cによる契約)に当たるので正しいです。

【債務者の同意が不要な理由】

併存的債務引受は連帯債務ですが、引受人Cが連帯保証として加わる場合とよく似ています。保証契約の場合、債権者Bと保証人との間だけで保証契約ができるので、この内容と合わせるため、引受人Cの同意を不要としています。

2.本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。

2・・・正しい

選択肢1の「3(債務者と引受人となる者で契約)」をするときは、債権者Bが引受人Cとなる者に対して承諾をすることが必要です(民法470条3項)。

したがって、本肢の内容の通り、

債務者Aと引受人Cとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、債権者Bが引受人Cに対して承諾をした時に、その効力が生じます。

【詳細解説】

「第三者のためにする契約」では、利益を得る第三者が当然に権利を取得するのではなく、受益の意思表示をした時点で権利を取得するとされています(民法537条1項)。
そして、併存的債務引受では、連帯債務者が増えるため、利益を得る者は債権者Bです。そのため、債権者Bの承諾があって初めて併存的債務引受の効果が発生することとしています。(第三者のためにする契約と内容をあわせた)

【第三者のためにする契約とは?】

「第三者のためにする契約」とは、当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約を言います。そして、第三者の権利は、第三者が受益の(利益を得る)意思表示をしたときに発生します。

■具体例:
Aは、自己所有の時計を代金50万円でBに売る契約を結んだ。その際、Aは、Cから借りていた50万円をまだ返済していなかったので、Bとの間で、Cへの返済方法としてBがCに50万円を支払う旨を合意し、時計の代金50万円はBがCに直接支払うこととした。このようなA・B間の契約を「第三者のためにする契約」と言います。

この契約に基づき、Cの上記50万円の代金支払請求権が発生するためには、(利益を得る)CがBに対して契約の利益を享受する意思を表示する必要があります。

3.本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。

3・・・正しい

免責的債務引受は、下記3パターンの契約の仕方で行えます(民法472条)。

  1. 債権者Bと債務者Aと引受人Cよる三者契約
  2. 債権者Bと引受人Cによる場合
  3. 債務者Aと引受人Cによる場合

そして、免責的債務引受は、債権者Bと引受人となる者Cとの契約によって行うときには、債権者Bが債務者Aに対してその契約をした旨を通知した時に、債務引受の効力を生じます(民法472条2項)。

本肢は「パターン2」の内容です。

よって、正しいです。

【詳細解説】

免責的債務引受は、通常は債務者Aにとって利益になると思われますが、自分のまったく知らないところで債務が消滅するというのは不自然です。そこで、免責的債務引受契約が成立したことを債務者Aに通知することで効力が発生します。

4.本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。

4・・・正しい

免責的債務引受は、債務者Aと引受人となる者Cが契約をし、債権者Bが引受人Cとなる者に対して承諾をすることによってもすることができます(民法472条3項)。

これは、選択肢3の「パターン3」の内容です。

AC間の契約+債権者Bが引受人Cによって、債務引受の効力を生じます。

債務者と引受人となる者が契約をした場合には、債権者が、引受人となる者に対して承諾をすることを要件としている。 したがって、③債務者Aと引受人となる者Cとの契約であるので、債権者Bが引受人となる者Cに対して承諾をしたときに、その効力が生ずるため、正しい。

【詳細解説】

免責的債務引受の場合、債務が「債務者から引受人」に移ります。もし、引受人が債務者より弁済能力が低いと債権者が不利益を受けるおそれがあります。そのため、引受人の承諾を必要としています。

5.本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。

5・・・誤り

免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しません(民法472条の3)。

よって、本肢は誤りです。

【理由】

免責的債務引受の場合、債務者Aとしては債権債務関係から完全に解放されると期待しているため、この期待を保護すべきだから。

【併存的債務引受の場合の求償】

併存的債務引受の場合、債務者と引受人の債務が連帯債務となるため、連帯債務のルールに従って、どちらか一方が弁済した場合には、求償することができます。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問32|民法

同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。
  2. 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
  3. 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
  4. 請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。
  5. 売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。

1・・・妥当ではない

双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができます(民法533条本文)。

判例(最判昭47.9.7)によると、

「売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。」

としています。

したがって、双務契約(例えば、売買契約)が、詐欺を理由に取り消された場合、当事者の両方にある原状回復義務(モノを返す義務・代金を返す義務)は、同時履行の関係にあります。

よって、本肢は「詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない」というのは、妥当ではありません。

基本的な法律用語の解説は個別指導で行います!

2.家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

2・・・妥当ではない

判例(最判昭29.7.22)によると、

「借家法5条により造作(例えば、エアコン)の買収を請求した家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として右家屋を留置し、または右代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により右家屋の明渡を拒むことはできない」

としております。

つまり、「オーナー(賃貸人)の造作代金の支払い義務」と「賃借人の明渡義務」は同時履行の関係にない、ということです。

賃借人は「オーナーが造作代金を支払わない」ことを理由に、賃借人は明渡を拒むことができません。

3.家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

3・・・妥当ではない

判例(最判昭49.9.2)によると、

「賃貸人は、特別の約定のないかぎり、賃借人から家屋明渡を受けた後に前記の敷金残額を返還すれば足りるものと解すべく、したがって、家屋明渡債務と敷金返還債務とは同時履行の関係にたつものではない」

としています。

また、民法622条の2の1号1号でも、「貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」賃貸人は敷金を返還しなければならない、となっています。

つまり、家屋明渡債務と敷金返還債務とは同時履行の関係ではなく、「家屋の明渡し」が先で、その後に「敷金の返還」をすればよいです。

したがって、本肢の「賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる」というのは、妥当でないです。

4.請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。

4・・・妥当ではない

報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法633条)。

これは、「請負の目的物(物)の引渡し」と「報酬の支払い」が同時履行であることを意味します。

したがって、仕事を完成させたからと言って、報酬を求めることはできないので、「仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない」は誤りです。

詳細解説は個別指導で行います。

5.売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

5・・・妥当

判例(最判昭34.5.14)によると

「双務契約の当事者の一方は相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものでない」

としています。

例えば、自転車の売買契約を締結し、売主が自転車を買主の自宅に持っていき、買主が不在だったので売主は持ち帰りました。

この場合でも依然として、「自転車の引渡し」と「代金の支払い」は同時履行の関係にある、ということです。

なので、後日、売主が自転車を持たずに買主の自宅に行った場合、買主は同時履行の抗弁権を使って
代金の支払いを拒むことができる、ということです。

行政書士試験は、理解できれば内容的にはそれほど難しくありません。

法律用語や条文の文言が難しいだけです!

なので、個別指導では、その点を分かりやすく解説します!

次の試験で合格したい方は、個別指導をご検討ください!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問30|民法

A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権は、A・B間に特約がない場合には、Bに帰属する。
  2. A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。
  3. A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。
  4. A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権の行使は、AおよびBの両者に対する意思表示によってしなければならない。
  5. A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、Bに移転する。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権は、A・B間に特約がない場合には、Bに帰属する。

1・・・誤り

    • 売主Aは「引渡し債務」を負うので「債務者」
    • 買主Bは「引渡し債権」を有するので「債権者」

債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属します(民法406条)。

どういうことかというと、甲建物と乙建物のどちらを渡すかの選択権は「債務者A」にあるということです。

つまり、選択権は、売主Aにあるので誤りです。

2.A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。

2・・・誤り

選択権を行使する場合、相手方に対する意思表示によって行使します(民法407条1項)。

例えば「甲建物を引渡してください!」と選択する旨の意思表示を行うことで、選択権を行使します。

そして、一度、意思表示をした場合、相手方の承諾を得なければ、その意思表示(選択したこと)は撤回することができません(民法407条2項)。

本問でいうと、売主Aが甲建物を渡すと意思表示をした後で、甲建物を渡すことを撤回して、乙建物を渡す場合は、相手方である買主Bの承諾が必要です。

3.A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。

3・・・正しい

債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在します(民法410条)。

つまり、売主Aの過失によって甲建物が焼失したために、甲建物の給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる(引渡債権の目的物は乙建物となる)ということです。

当然と言ったら当然の話です。

4.A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権の行使は、AおよびBの両者に対する意思表示によってしなければならない。

4・・・誤り

第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者「又は」債務者に対する意思表示によってします(民法409条1項)。

つまり、「AおよびBの両者」が誤りです。

正しくは「AまたはB(どちらか一方)」です。

本肢でいうと、
A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合、Cが甲建物と乙建物のどちらを選ぶのかを、AまたはBのどちらか一方に伝えればよいということです。

5.A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、Bに移転する。

5・・・誤り

第三者が選択をすべき場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転します(民法409条2項)。

A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、「引渡債務の債務者」である「売主A」に移転します。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問29|民法

根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 被担保債権の範囲は、確定した元本および元本確定後の利息その他の定期金の2年分である。
  2. 元本確定前においては、被担保債権の範囲を変更することができるが、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得た上で、その旨の登記をしなければ、変更がなかったものとみなされる。
  3. 元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。
  4. 元本確定前に根抵当権者から被担保債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使することができないが、元本確定前に被担保債務の免責的債務引受があった場合には、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができる。
  5. 根抵当権設定者は、元本確定後においては、根抵当権の極度額の一切の減額を請求することはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.被担保債権の範囲は、確定した元本および元本確定後の利息その他の定期金の2年分である。

1・・・誤り

根抵当権の被担保債権の範囲について、
根抵当権者は、「確定した元本」並びに「利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償」の「全部」について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(民法398条の3)。

つまり、2年分に限らず、「全部」です。

また、「債務不履行によって生じた損害の賠償」も根抵当権の被担保債権となります。

被担保債権の解説は個別指導で行います!

2.元本確定前においては、被担保債権の範囲を変更することができるが、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得た上で、その旨の登記をしなければ、変更がなかったものとみなされる。

2・・・誤り

元本の確定前においては、「根抵当権の担保すべき債権の範囲」および「債務者の変更」を変更することができます(民法398条の4第1項)。

そして、この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得る必要はありません(民法398条の4第2項)。・・・理由については個別指導で解説します。

また、1項の変更について元本の確定前に「登記」をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなします(民法398条の4第3項)。

3.元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。

3・・・正しい

【根抵当権の元本確定期日の定め】

根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を「定め」又は「変更する」ことができます(民法398条の6第1項)。

そして、上記期日は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければなりません(民法398条の6第3項)。

1項の期日の変更について、その変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定します(民法398条の6第4項)。

よって、本肢は正しいです。

分かりづらいかもしれないので、個別指導で分かりやすく解説します!

4.元本確定前に根抵当権者から被担保債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使することができないが、元本確定前に被担保債務の免責的債務引受があった場合には、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができる。

4・・・誤り

元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができません(民法398条の7第1項)。

そして、元本の確定前に債務の引受け(免責的債務引受を含む)があったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができません(民法398条の7第2項)。

よって、後半部分が誤りです。

免責的債務引受については、個別指導で解説します!

5.根抵当権設定者は、元本確定後においては、根抵当権の極度額の一切の減額を請求することはできない。

5・・・誤り

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、「現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額」に減額することを請求することができます(民法398条の21第1項:根抵当権の極度額の減額請求)。

よって、誤りです。

問題文がどういうことを言っているのかは、個別指導で解説します!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問27|民法

制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。
  2. 保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。
  3. 家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
  4. 被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。
  5. 制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。

1・・・正しい

後見は、「①未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき」または「②後見開始の審判があったとき」に開始します(民法838条)

本肢は①の内容なので、正しいです。

2.保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。

2・・・正しい

被保佐人が重要な財産に関する行為(例えば、不動産の売買)をするには、その保佐人の同意を得なければなりません(民法13条1項)。
よって、保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有します。

また、家庭裁判所は、本人等又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(876条の4第1項)。

よって、本肢は正しいです。

「重要な財産に関する行為」の具体的な内容については、個別指導で解説します!

3.家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

3・・・正しい

家庭裁判所は、本人等又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます(民法17条1項本文)。

また、家庭裁判所は、本人等又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(民法876条の9第1項)。

よって、本肢は正しいです。

関連ポイントが重要なので、個別指導で解説します。

4.被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。

4・・・誤り

被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が「被保佐人に対して」、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を「取消し」したものと擬制されます(民法20条4項)。

よって、本肢は誤りです。

この点はしっかり理解しながら整理する必要があるので個別指導で解説します!

5.制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。

5・・・正しい

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。

そして、判例(最判昭44.2.13)によると

「無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法20条にいう詐術にあたるが、黙秘することのみでは右詐術にあたらない」

と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問28|民法

占有改定等に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。

イ.留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

ウ.先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

エ.質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

オ.動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。

ア・・・妥当

【占有改定とは?】

代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得します(民法183条)。これが「占有改定」です。

分かりづらいので、個別指導で分かりやすく解説します。

【即時取得とは?】

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得します(民法192条)。
これが「即時取得」です。(これについても、個別指導で細かく解説します)

上記192条にある「占有」について、判例(最判昭35.2.11)では、

「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条(即時取得)によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさない いわゆる占有改定の方法による取得をもっては足らない」

と判示しています。

つまり、占有改定で占有を取得したとしても、即時取得は成立しないということです。

判決文の理解の仕方についても個別指導で解説します。

イ.留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

イ・・・妥当

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができます(民法295条1項本文)。

そして、この占有は、第三者による代理占有でもOKです(具体例や関連ポイントは個別指導で解説します)。

しかし、債務者は第三者ではないため、債務者を占有代理人とした占有は含まれません。

ウ.先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

ウ・・・妥当ではない

先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができません(民法333条)。

この「引渡し」について、判例(大判大6.7.26)によると

「現実の移転を伴わない占有改定による引渡しも含む」

と判示しています。

よって、本肢は妥当ではないです。

具体例は、個別指導で分かりやすく解説します。

エ.質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

エ・・・妥当

質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生じます(民法344条)。

そして、質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができません(民法345条)。
つまり、質権設定者による代理占有は禁止されています。

言い換えると、質権設定者を以後、質権者の代理人として占有させる「占有改定」による引渡しは含まれないので妥当です。

実力をあげるための関連ポイントは個別指導で解説します。

オ.動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

オ・・・妥当ではない

動産に関する物権(例えば、動産の譲渡担保権)の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません(民法178条)。

そして、判例(最判昭30.6.2)によると、

「債務者が動産を売渡担保に供し、引き続きこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもって第三者に対抗することができる」

と判示しています。

つまり、占有改定による引渡しがあれば、動産の譲渡担保権を第三者に対抗できる、ということであり、

動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、占有改定による引渡しは含まれます。

よって、本肢は妥当ではないです。

具体例は、個別指導で分かりやすく解説します。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問46|民法 40字問題

Aが所有する甲家屋につき、Bが賃借人として居住していたところ、甲家屋の2階部分の外壁が突然崩落して、付近を通行していたCが負傷した。甲家屋の外壁の設置または管理に瑕疵があった場合、民法の規定に照らし、誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか。必要に応じて場合分けをしながら、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:原則、Bが責任負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、Aが責任を負う。(44字)【解説】
Aが所有する甲家屋につき、Bが賃借人として居住していたところ、甲家屋の2階部分の外壁が突然崩落して、付近を通行していたCが負傷した。甲家屋の外壁の設置または管理に瑕疵があった場合、民法の規定に照らし、誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか。必要に応じて場合分けをしながら、40字程度で記述しなさい。

【問題文の状況】

  1. 甲家屋の所有者A・甲家屋の賃借人・占有者B
  2. 甲家屋の2階の壁が落ちて、近くを通ったC(第三者)がケガをした
  3. 甲家屋の壁の設置・管理に瑕疵があった
  4. 上記の場合、誰がCに対して損害賠償責任を負うか

【誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか】

本問は工作物責任に関する内容です。これに合う条文は下記です!

  • 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。(民法717条1項)

問題文では「必要に応じて場合分けをしながら、40字程度で記述しなさい。」と書いてあるので、場合分けをします。

上記条文から、①原則と②例外(ただし書き)に分けて考えます。

①原則 

まずは、工作物(甲家屋)の占有者Bが被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。

②例外

例外として、占有者Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者Aがその損害を賠償しなければなりません。

よって、上記をまとめると、

原則、BがCに対してその損害を賠償する責任を負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、Aが、Cに対する損害賠償責任を負う。(69字)

これでは、文字数が多いので、省略できる部分を省略します。

【40字程度にまとめると】

原則、Bが責任負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、Aが責任を負う。(44字)

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問45|民法 40字問題

Aは、Bに対して100万円の売掛代金債権(以下「本件代金債権」といい、解答にあたっても、この語を用いて解答すること。)を有し、本件代金債権については、A・B間において、第三者への譲渡を禁止することが約されていた。しかし、Aは、緊急に資金が必要になったため、本件代金債権をCに譲渡し、Cから譲渡代金90万円を受領するとともに、同譲渡について、Bに通知し、同通知は、Bに到達した。そこで、Cは、Bに対して、本件代金債権の履行期後に本件代金債権の履行を請求した。Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、BのAに対する弁済その他の本件代金債権に係る債務の消滅事由はなく、また、Bの本件代金債権に係る債務の供託はないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字)【解説】
Aは、Bに対して100万円の売掛代金債権(以下「本件代金債権」といい、解答にあたっても、この語を用いて解答すること。)を有し、本件代金債権については、A・B間において、第三者への譲渡を禁止することが約されていた。しかし、Aは、緊急に資金が必要になったため、本件代金債権をCに譲渡し、Cから譲渡代金90万円を受領するとともに、同譲渡について、Bに通知し、同通知は、Bに到達した。そこで、Cは、Bに対して、本件代金債権の履行期後に本件代金債権の履行を請求した。Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、BのAに対する弁済その他の本件代金債権に係る債務の消滅事由はなく、また、Bの本件代金債権に係る債務の供託はないものとする。

【問題文の状況】

  1. A(債権者)は、B(債務者)に対して、100万円の債権(本件代金債権)を持っている
  2. 本件代金債権には、譲渡禁止特約が付いている
  3. 譲渡禁止特約がある本件代金債権を、AがC(第三者)に譲渡した
  4. Cは、譲渡の対抗要件(通知or承諾)を備えている
  5. 当該代金債権を譲り受けたCは、Bに対して本件代金債権の履行を請求した
  6. B(債務者)が、C(譲受人)の請求に対して、履行を拒むことができるのは、どのような場合か

【Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か】

まず、問題文に「第三者への譲渡を禁止することが約されていた」と書いてあるので、債権譲渡・譲渡禁止特約に関する内容と判断できます。

この点について、民法の条文を考えます。

  • 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない(民法466条1項)。
  • 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない(民法466条2項)。

つまり、上記の通り、譲渡禁止特約が付いていても、債権譲渡が可能(有効)であることが分かります。次に、民法466条3項を考えます。

  • 2項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる(民法466条1項)。

上記から、Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、

譲受人Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(45字)

です。「譲受人C」は「C」でよいです。

【40字程度にまとめると】

Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字)

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問35|民法

Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。なお、次の各記述はそれぞれが独立した設例であり相互に関連しない。

ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

ア・・・誤り

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができません(民法899条の2第1項)。

つまり、Bは、遺言の内容の通り、甲建物ついての相続登記がないと、甲建物の全部が自分のものだとEに主張できません。

 

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

イ・・・誤り

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、一定期間、その居住していた建物(居住建物)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(居住建物取得者)に対し、居住建物について無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を有します(民法1037条1項本文)。

そのため、本問の場合、Bは配偶者短期居住権を有しているため、甲建物に一定の期間無料で住み続けることができます。よって、「CとD」は、Bに対して、甲建物の明渡しや不当利得返還請求はできません。

 

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

ウ・・・正しい

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、②配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、その居住していた建物(居住建物)の全部について無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得します(民法1028条1項本文)。

ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、配偶者居住権を取得しません(民法1028条1項ただし書き)。

よって、本問は正しいです。

「甲建物(居住建物)が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合」なので、Bは配偶者居住権を取得しません。

 

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

エ・・・正しい

遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、下記①または②に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができます(民法1029条)。

①共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

つまり、②の通り、甲建物の所有者になる人の不利益(デメリット)を考慮してもなお、配偶者Bの生活を維持するため特に必要と認める場合、家庭裁判所の審判で配偶者居住権を取得できます。

よって、正しいです。

 

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

オ・・・誤り

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。

つまり、配偶者居住権の設定登記は「登記義務者であるD」と「登記権利者であるB」との共同申請で行います。Bは、単独で配偶者居住権を登記することができないので、誤りです。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問34|民法

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
  2. 損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。
  3. 過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足りる。
  4. 不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。
  5. 不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照ら
して全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。

1・・・妥当

判例(最判昭50.10.24)によると

『訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性(確実性)を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。 』

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

2.損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴
を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。

2・・・妥当

判例(最判平8.10.29)によると

不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有しており(首が長かった)、これが、加害行為(交通事故)と競合して傷害を発生させ、又は損害の拡大に寄与したとしても、右身体的特徴が疾患(頸椎ねんざ:けいついねんざ)に当たらないときは、特段の事情がない限り、これを損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃく(考慮)することはできない。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

3.過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識する
に足る知能が具わっていれば足りる。

3・・・妥当

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項)。

そして、判例(最大判昭39.6.24)によると

民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌(しんしゃく:考慮)するには、被害者たる未成年者が、事理を弁識するに足る知能を具えていれば足り行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要しないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

本問は理解が必要なので、個別指導で解説します!

 

4.不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値につい
て社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。

4・・・妥当

他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法723条)。

判例(最判昭45.12.18)によると

民法723条にいう名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すものであつて、人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価、すなわち名誉感情は含まないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本肢は妥当です。

 

5.不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

5・・・妥当ではない

判例(最判平8.1.23)によると

『人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが、

具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である。

そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものである

と判示しています。

よって、本問は「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される」が妥当ではありません。

正しくは「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断されるものではない」です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略