地方自治法の過去問

令和2年・2020|問23|地方自治法

地方自治法の定める自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。
  2. 都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。
  3. 普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
  4. 自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。
  5. 都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。

1・・・誤り

「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。

つまり、都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限らず、法定受託事務以外は自治事務となります。

2.都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。

2・・・誤り

普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができます(地方自治法14条1項)。

「法律で定められている」処分要件を、条例で変更するということは、「法律に違反しているので」変更はできません。

よって誤りです。

3.普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
3・・・誤り
普通地方公共団体は、その「事務」の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受けることはできません(地方自治法245条の2)。

「事務」とは、自治事務だけでなく、法定受託事務も含むので、「自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある」という記述は誤りです。

法定受託事務と自治事務の両方とも、「法律や政令の根拠」がなければ、国や都道府県の関与を受けることはありません。

4.自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。

4・・・誤り

自治紛争処理委員は、非常勤です(地方自治法251条3項)。

つまり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員を置く必要はないので誤り。

関連ポイントは個別指導で解説します。

5.都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

5・・・正しい

本肢は下記1号の内容です。

都道府県知事は、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。

次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、「市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」は、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます(地方自治法245条の6)。

一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する自治事務

二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する自治事務

三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する自治事務

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問24|地方自治法

地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
  2. 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
  3. 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
  4. 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
  5. 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。

1・・・誤り

判例(最判昭55.2.22)によると、「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
したがって、本肢は誤りです。

住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、「相続人が当該地方公共団体の住民である場合」であっても、訴訟を承継することができません。

2.住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。

2・・・誤り

普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合において、裁判所に対し、住民監査請求の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって一定の請求をすることができます(地方自治法242条の2)。

そして、住民監査請求は「普通地方公共団体の住民」でないと請求することができません。
また、「違法若しくは不当な公金の支出(財務会計行為)」については、住民監査請求が可能です。(地方自治法242条1項)

本肢は、「その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である」が誤りです。
対象となる財務会計行為が行われた時点で住民である必要はありません。

3.住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
3・・・誤り
住民監査請求は一人でも行うことができます。

よって、「条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により」は誤りです。

【対比ポイント】

事務監査請求については、「選挙権を有する者の50分の1以上の者の連署をもって」行う必要があります

その他の対比ポイントは個別指導
で解説します。

4.普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。

4・・・誤り

判例(最判平24.4.20)によると、

「市の非常勤職員への退職慰労金の支給が違法であるとして提起された住民訴訟の係属中に、その請求に係る市長及び担当職員に対する市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決がされた場合において、放棄に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があった場合、権利放棄の議会の議決は無効となる」

としています。

したがって、不当利得返還請求権が裁判で確定した後も、裁量権の範囲内であれば、不当利得返還請求権を放棄する議決ができる場合もあるので誤りです。

5.住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

5・・・正しい

住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができます(地方自治法242条の2第12項)。

よって、本肢は正しいです。

【相当と認められる額とは?】

判例(最判平21.4.23)によると、

「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
「住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい、その具体的な額は、当該訴訟における事案の難易、弁護士が要した労力の程度及び時間、認容された額、判決の結果普通地方公共団体が回収した額、住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべき」

としています。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問22|地方自治法

住民について定める地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。

オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:1

【解説】
ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

ア・・・正しい

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。

つまり、神奈川県横浜市に在住する人は、「横浜市の住民」でもあり「神奈川県の住民」でもあります。

この条文は重要なのですが、なぜ重要かは個別指導で解説します。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

イ・・・誤り

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。これは外国籍の人も含みます。

しかし、日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する(地方自治法11条)ため、選挙権については、外国籍の方はありません。

よって、本肢は誤りです。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

ウ・・・正しい

住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負います(地方自治法10条2項)。

分かりやすいえば、住民は、「行政サービスを受ける権利」があり、逆に「税金を納めるという負担(義務)」を負います。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。

エ・・・誤り

本肢は「日本国民たる普通地方公共団体の住民」が誤りで、正しくは「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)」です。

条例制定・改廃請求ができるのは、「選挙権を有する住民」です。

「日本国民たる普通地方公共団体の住民」となると、満18歳未満の人も含みます。

一方、「選挙権を有する住民」は「満18歳以上の者」で「3か月以上その市町村の区域内に住所を有する者」です。

よって、本肢は誤りです。

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる(地方自治法74条1項)。
オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

オ・・・誤り

市町村は、別に法律(住民基本台帳法)の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録(住民基本台帳)を常に整備しておかなければなりません(地方自治法13条の2)。

よって、本肢は「都道府県」が誤りで、正しくは「市町村」です。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問23|地方自治法

普通地方公共団体に適用される法令等に関する次の記述のうち、憲法および地方自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。
  2. 普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。
  3. 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。
  4. 条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。
  5. 普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。

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【答え】:5
【解説】
1.国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。

1・・・誤り

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない(憲法95条)。

本問は「議会の同意」が誤りです。正しくは「住民の投票においてその過半数の同意」です。

 

2.普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。

2・・・誤り

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮こ、100万円以下の罰金拘留科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。

よって、「条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする」は誤りです。上記条文の通り、個別の法律の委任なく、地方自治法に基づいて、条例に刑罰を設けることができます

 

3.普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例に
よる委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。

3・・・誤り

普通地方公共団体の長(知事や市長等)は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法15条2項)。

本問は「例に
よる委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる」が誤りです。

普通地方公共団体の長は、規則で刑罰を規定することはできません。

普通地方公共団体の長は、規則で定めることができるのは「5万円以下の過料」です。

そして、「過料」は刑罰ではなく秩序罰です。

よって、誤りです。

 

4.条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議
会の議員のみであり、長による提出は認められていない。

4・・・誤り

普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出する事務を担任します(地方自治法149条1号)。

そして、普通地方公共団体の議会の議決を経るべき事件の一つに「条例を設け又は改廃すること」があります(地方自治法96条1項1号)。

よって、普通地方公共団体の長は、条例案を議会に提出することができます

 

5.普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該
普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。

5・・・正しい

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条1項:住民による直接請求)。

よって、普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されています(地方税の賦課徴収等に関する条例の制定・改廃請求はできない)

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問24|地方自治法

地方自治法が定める普通地方公共団体の長と議会の関係に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。

イ.普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。

ウ.普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。

エ.普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。

オ.地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:5

【解説】
ア.普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。

ア・・・誤り

議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、一定期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があった日においてその職を失います(地方自治法178条2項)。

よって、本問は「長は再度議会を解散することができる」が誤りで、正しくは「長は職を失う」です。

関連ポイントについては個別指導で解説します!

 

イ.普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。

イ・・・誤り

普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない(地方自治法176条4項)。

上記の再議は、必ず行わなければいけないものです(違法再議という)。

よって、本問は「再議に付すことができる」が誤りです。正しくは「再議に付さなければならない」です。

 

ウ.普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。

ウ・・・正しい

議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができます(地方自治法101条2項)。

上記請求があったときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から20日以内に臨時会を招集しなければなりません(地方自治法101条4項)。

それにもかかわらず、上記請求のあった日から20日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、議長は、臨時会を招集することができます(地方自治法101条5項)。

よって、本問は正しいです。

整理すべき点は、個別指導で解説します!

 

エ.普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。

エ・・・誤り

普通地方公共団体の議会が成立し、開会していても、議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、原則、その議決すべき事件を処分(専決処分)することができます(地方自治法179条1項本文)。

よって、本問は「(専決処分)を行うことはできない」となっているので誤りです。正しくは「(専決処分)を行うことはできる」です。

 

オ.地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。

オ・・・正しい

地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はありませんが、「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」という特例に「地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる」旨の規定があります(地方公共団体の議会の解散に関する特例法2条1項)。

 

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問22|地方自治法

地方自治法が定める公の施設に関する次のア~エの記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。

イ.普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。

ウ.普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。

エ.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】
ア.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。

ア・・・妥当

普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2第1項)。

よって、妥当です。

 

イ.普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。

イ・・・妥当ではない

普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してしなければなりません(地方自治法244条の4第1項)。

よって、本問は「総務大臣」が妥当ではありません。正しくは「普通地方公共団体の長」です。

 

ウ.普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。

ウ・・・妥当ではない

普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なもの(学校や下水道施設等)について、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません(地方自治法244条の2第2項)。

 

エ.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。

エ・・・妥当

普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはなりません(地方自治法244条3項)。

そして、判例(最判平18.7.14)(裁判要旨)によると

普通地方公共団体の住民ではないが,その区域内に事務所,事業所,家屋敷等を有し,当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について,当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは,地方自治法244条3項に違反する

と判示しています。

よって、本問は妥当です。

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令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略