行政法の過去問

平成30年・2018|問16|行政不服審査法

次に掲げる行政不服審査法の条文の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

第18条第1項 処分についての審査請求は、[ ア ]から起算して3月・・・(中略)・・・を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

第26条 執行停止をした後において、[ イ ]が明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

第45条第1項 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合・・・(中略)・・・には、審査庁は、[ ウ ]で、当該審査請求を[ エ ]する。

第59条第1項 処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、[ オ ]で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。

  1.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:当該審査請求に理由がないこと ウ:裁決 エ:棄却 オ:裁決
  2.  ア:処分があったことを知った日 イ:執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと ウ:決定 エ:棄却 オ:裁決
  3.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと ウ:裁決 エ:却下 オ:決定
  4.  ア:処分があったことを知った日 イ:当該審査請求に理由がないこと ウ:決定 エ:棄却 オ:裁決
  5.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:執行停止が公の利益に著しい障害を生ずること ウ:裁決 エ:却下 オ:決定

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【答え】:3

【解説】

ア.第18条第1項 処分についての審査請求は、[ ア ]から起算して3月・・・(中略)・・・を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
ア・・・「処分があったことを知った日の翌日」
行政不服審査法18条1項は、下記の通り規定されています。
「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1か月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」
つまり、「ア」には「処分があったことを知った日の翌日」が入ります。
この点について、行政書士試験における注意点があるので、注意点は「行書塾」で解説します!
イ.第26条 執行停止をした後において、[ イ ]が明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
イ・・・「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと」
行政不服審査法26条は、下記の通り規定されています。
「執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。」
つまり、「イ」には「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと」が入ります。
ウ.エ.第45条第1項 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合・・・(中略)・・・には、審査庁は、[ ウ ]で、当該審査請求を[ エ ]する。
ウ・・・「裁決」
エ・・・「却下」
行政不服審査法45条1項は、下記の通り規定されています。
「処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」
つまり、「ウ」には「裁決」が入り「エ」には「却下」が入ります。
この点について、対比して勉強していただきたい部分があるので、対比ポイントは「行書塾」で解説します!
効率的な勉強をするためにも対比学習をしましょう!
オ.第59条第1項 処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、[ オ ]で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
オ・・・「決定」
行政不服審査法59条1項は、下記の通り規定されています。
「処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。」
つまり、「オ」には「決定」が入ります。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問14|行政不服審査法・審査請求

行政不服審査法の定める不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
  2. 不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
  3. 不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
  4. 不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
  5. 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。

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【答え】:5

【解説】

1.不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
1・・・妥当でない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
したがって、「法律上の利益を有する者」ができる、としている本肢は妥当ではありません。 「申請をした者」のみ、不作為についての審査請求ができます
2.不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
2・・・妥当でない
不作為についての審査請求は、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができます(行政不服審査法3条)。したがって、本肢は妥当ではありません。

【似たような内容:ヒッカケポイント】 
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる(行政手続法36条の3:処分等の求め)。

3.不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
3・・・妥当でない
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月(正当な理由がある場合を除く)を経過したときは、することができません。(行政不服審査法18条1項)
一方、不作為についての審査請求にはこのような審査請求期間の規定はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができます
したがって、本肢は妥当ではありません。
4.不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
4・・・妥当でない
本肢のような規定は、行政不服審査法には、存在しません。
5.不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。
5・・・妥当
審査請求がされた行政庁(審査庁)は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条1項)。
この審査請求には、処分に対する審査請求だけでなく、不作為に対する審査請求も含まれます
したがって、本肢は妥当です。審査請求については、流れが重要なので、個別指導では、流れも一緒に解説いたします!関連ポイントも一緒に学習して、効率的に勉強を行っていきましょう!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問10|行政処分の無効と取消し

行政処分の無効と取消しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。
  2. 行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。
  3. 行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。
  4. 行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。
  5. 行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。

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【答え】:5

【解説】

1.行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。
1・・・誤り
行政処分が無効である場合、当該処分は効力を有せず公定力不可争力が生じません。
そして、取消訴訟の中で、行政処分の無効を主張することは可能です。
ただし、行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がある場合、公定力はなく、当然に無効となります。
2.行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。
2・・・誤り
処分についての審査請求は、
①処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したとき、または
②処分があった日の翌日から1年を経過したとき
審査請求ができなくなります(行政不服審査法18条)。
これは、行政処分が無効であることについて審査請求をする場合も同じです。
行政不服審査法18条の解説ページはこちら>>
3.行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。
3・・・誤り
職権取消し」とは、行政行為の相手方からの取消しの主張を待たずに、行政庁が、違法又は不当であることを理由に行政庁自ら取り消しをすることです。
そして、行政庁が取消しを行う場合、法律の特別な根拠は不要です。また、取消訴訟の出訴期間も適用されません。
なぜなら、行政行為の取消は、違法な行政行為の効力を失わせる行為であり、そもそも、取消さなければならないものだからです。
ただし、授益的行政行為を職権取消しする場合には、一定の制限があります。
行政行為の「取消し」の詳細解説はこちら>>
4.行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。
4・・・誤り
行政処分が取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅します。
これは、「職権取消し」でも同じです。
そして、処分の相手方が、「取り消された当初の処分は有効ですよね?」と裁判所に確認することができます。
これが「有効確認の訴え」です。(無効確認訴訟の逆のイメージ)
そして、この「有効確認の訴え」は義務ではありません。
つまり、しなくてもよい(任意)です。
したがって誤りです。
「当該処分の有効確認の訴えを提起することができる」
としたら〇です。
※有効確認の訴えは、「無効等確認訴訟」の「等」に含まれる、とされています。
5.行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。
5・・・正しい
判例では、
「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない」
としています(最判昭36.4.21)。つまり、行政処分が違法なことを理由に国家賠償請求をする場合、事前にその処分の取消訴訟や無効等確認訴訟をして勝訴する必要はない、ということです。
「取消訴訟や無効等確認訴訟」を行わずに、いきなり「国家賠償請求訴訟」を提起することも可能です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問11|行政手続法・申請に対する処分・不利益処分

行政手続法の定める申請に対する処分および不利益処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政手続法は、申請に対する処分の審査基準については、行政庁がこれを定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分の処分基準については、行政庁がこれを定めなければならないものとしている。
  2. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、申請者から求めがあったときに限り当該処分の理由を示すべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、処分を行う際に名宛人に対して必ず当該処分の理由を示すべきものとされている。
  3. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与の手続を執らなければならないのに対し、不利益処分をする場合には、聴聞の手続を執らなければならない。
  4. 行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間にかかわる規定を設けていない。
  5. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、公聴会を開催するよう努めるべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、公聴会を開催しなければならないものとされている。

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【答え】:4

【解説】

1.行政手続法は、申請に対する処分の審査基準については、行政庁がこれを定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分の処分基準については、行政庁がこれを定めなければならないものとしている。
1・・・誤り
行政庁は、審査基準を定めるものとする(行政手続法5条1項)。一方、
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法12条1項)。
つまり、審査基準は必ず定めなければならない義務ですが
処分基準は、必ずしも定める必要はない努力義務です。
2.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、申請者から求めがあったときに限り当該処分の理由を示すべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、処分を行う際に名宛人に対して必ず当該処分の理由を示すべきものとされている。
2・・・誤り
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない(行政手続法8条1項本文)。
したがって、申請者の求めがなくても、拒否処分をする場合、理由を示す必要があるので誤りです。一方
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない(行政手続法14条1項本文)。
ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない(行政手続法14条1項ただし書)。
したがって、例外的に理由を示す必要がない場合もあるので「必ず」という記述は誤りです。
3.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与の手続を執らなければならないのに対し、不利益処分をする場合には、聴聞の手続を執らなければならない。
3・・・誤り
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、処分が与える不利益の程度に応じて、意見陳述(聴聞もしくは弁明の機会の付与)のための手続を執らなければなりません(行政手続法13条1項参照)。
そして、「申請を拒否する処分」は、「申請に対する処分」であり、「不利益処分」ではありません(行政手続法2条4号ロ)。
したがって、上記、意見陳述のための手続きは不要です。
よって、本肢の「行政庁が申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与手続を執らなければならない」という記述は誤りです。また、「不利益処分」を行う場合、内容によって「聴聞」と「弁明の機会の付与」のどちらか一方を行うので、「聴聞の手続を執らなければならない」と限定している記述も誤りです。
4.行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間にかかわる規定を設けていない。
4・・・正しい
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
これは「申請に対する処分」にかかる標準処理期間のルールです。
「不利益処分」にかかる、標準処理期間のルールは規定されていません。
したがって、本肢は正しいです。
5.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、公聴会を開催するよう努めるべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、公聴会を開催しなければならないものとされている。
5・・・誤り
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
これは、「申請に対する処分」についてのルールで
「不利益処分」をする場合に「公聴会を開催しなければならない」という規定はないので、この点が誤りです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問13|行政手続法・意見公募手続

行政手続法の定める意見公募手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 命令等制定機関は、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときであっても、内容が完全に同一でなければ、命令等を定めるに当たって意見公募手続を実施しなければならない。
  2. 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たり、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対して提出された当該命令等の案についての意見について、整理または要約することなく、そのまま命令制定後に公示しなければならない。
  3. 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、委員会等の議を経て命令等を定める場合であって、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときには、改めて意見公募手続を実施する必要はない。
  4. 行政庁が、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
  5. 行政指導指針は、行政庁が任意に設定するものであり、また法的な拘束力を有するものではないため、行政指導指針を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。

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【答え】:3

【解説】

1.命令等制定機関は、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときであっても、内容が完全に同一でなければ、命令等を定めるに当たって意見公募手続を実施しなければならない。
1・・・誤り
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。
ただし、例外的に、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときには、上記意見公募手続は不要です(行政手続法39条4項5号)。
よって、「内容が完全に同一でなかった」としても、「実質的に同一の命令」であれば、意見公募手続きは例外的に不要なので、本肢は誤りです。
2.命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たり、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対して提出された当該命令等の案についての意見について、整理または要約することなく、そのまま命令制定後に公示しなければならない。
2・・・誤り
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、下記事項を公示しなければなりません(行政手続法43条1項)。
1.命令等の題名
2.命令等の案の公示の日
3.提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
4.提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由

そして命令等制定機関は、必要に応じ、上記「3.提出意見」に代えて、「当該提出意見を整理又は要約したもの」を公示することができます(行政手続法43条2項前段)。
よって、「整理または要約することなく」公示しなければならないとする本肢は誤りです。

3.命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、委員会等の議を経て命令等を定める場合であって、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときには、改めて意見公募手続を実施する必要はない。
3・・・正しい
命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、自ら意見公募手続を実施する必要はありません(行政手続法40条2項)。
よって、正しいです。
4.行政庁が、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
4・・・誤り
命令等制定機関は、「命令等」を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。これを「意見公募手続」と言います。
そして、処分基準は「命令等」に該当します(行政手続法2条8号ハ)。
したがって、処分基準を定める場合、意見公募手続が必要です。
5.行政指導指針は、行政庁が任意に設定するものであり、また法的な拘束力を有するものではないため、行政指導指針を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
5・・・誤り
命令等制定機関は、「命令等」を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない(行政手続法39条1項)
そして、行政指導指針は「命令等」に該当します(行政手続法2条8号ニ)。
したがって、行政指導指針を定める場合、意見公募手続が必要です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問9|行政上の法律関係(公法・私法)

行政上の法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
  2. 食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行うことが禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。
  3. 租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
  4. 建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
  5. 公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
1・・・誤り
公営住宅の使用関係については、
「①公営住宅法及びこれに基づく条例」が「特別法」で
「②民法及び借家法」が「一般法」となります。
特別法と一般法とでは、特別法が優先されることから
「①公営住宅法及びこれに基づく条例(特別法)」が「②民法及び借家法(一般法)」に優先して適用されます。(最判昭59年12月13日)
したがって、本肢は①②が逆になっているので誤りです。
2.食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行うことが禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。
2・・・誤り
本肢は、「営業許可を受けずにした契約の効力」が問題となった事案の内容です。
判例では、
「食品衛生法は単なる取締法規にすぎず、食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉の買入契約は、私法上は無効ではない」
と判示しています。
したがって、営業許可を受けずに、売買契約を締結しても、それは当然に無効とはならず、原則、有効となります。
したがって、誤りです。
そして、許可のない私法上の契約が、有効か無効かを判断するには、
その許可の根拠となる行政法規が「強行法規」か「取締法規」かで判断します。
「強行法規」に違反した場合は、私法契約(売買契約等)も無効になり
「取締法規」に違反したに過ぎない場合は、私法契約は無効とはならないと解されています。
「最判昭35.3.18:営業許可を受けずにした契約の効力」の詳細はこちら>>
3.租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
3・・・誤り
本肢は、「租税滞納処分による差押えと民法177条」が問題となった事案の内容です。
判例では、
「税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類する。
そして、当該債権(租税債権)がたまたま公法上のものであるからといって、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由はない。
それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある。」
としています。
したがって、本肢は誤りです。

具体例は、個別指導で解説します!

「最判昭31.4.24:租税滞納処分による差押えと民法177条」の詳細はこちら>>

4.建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
4・・・正しい
本肢は、「建築基準法65条と民法234条1項の関係」が問題になった事案である。
民法234条1項は、「建物を建築するには、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない」と規定しています。
一方、建築基準法65条は「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」
と規定しています。
つまり、上記2つが矛盾するため、どのように処理するかが論点となります。
この点について、判例では、
建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当
としています(最判平元.9.19:建築基準法65条と民法234条1項の関係)。考え方は、個別指導で解説いたします!
5.公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる。
5・・・誤り
本肢は、「公営住宅の使用権が相続されるか否か」が問題となった事案である。
判例では、
「公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合には、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はない」
としています(最判平2.10.18)。
つまり、公営住宅の使用権は、相続されないということです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問8|行政代執行法

行政代執行法(以下「同法」という。)に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.代執行に要した費用については、義務者に対して納付命令を発出したのち、これが納付されないときは、国税滞納処分の例によりこれを徴収することができる。

イ.代執行を行うに当たっては、原則として、同法所定の戒告および通知を行わなければならないが、これらの行為について、義務者が審査請求を行うことができる旨の規定は、同法には特に置かれていない。

ウ.行政上の義務の履行確保に関しては、同法の定めるところによるとした上で、代執行の対象とならない義務の履行確保については、執行罰、直接強制、その他民事執行の例により相当な手段をとることができる旨の規定が置かれている。

エ.代執行の実施に先立って行われる戒告および通知のうち、戒告においては、当該義務が不履行であることが、次いで通知においては、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨が、それぞれ義務者に示される。

オ.代執行の実施に当たっては、その対象となる義務の履行を督促する督促状を発した日から起算して法定の期間を経過してもなお、義務者において当該義務の履行がなされないときは、行政庁は、戒告等、同法の定める代執行の手続を開始しなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

ア.代執行に要した費用については、義務者に対して納付命令を発出したのち、これが納付されないときは、国税滞納処分の例によりこれを徴収することができる。
ア・・・正しい
代執行に要した費用の徴収については、実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し、文書をもってその納付を命じなければなりません(行政代執行法5条)。
そして、代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができます(行政代執行法6条1項)。
したがって、本肢は正しいです。
イ.代執行を行うに当たっては、原則として、同法所定の戒告および通知を行わなければならないが、これらの行為について、義務者が審査請求を行うことができる旨の規定は、同法には特に置かれていない。
イ・・・正しい
代執行を行うには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければなりません(行政代執行法3条1項)。また、義務者が、戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもって、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名および代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知しなければならない(行政代執行法3条2項)。ただし、非常の場合または危険切迫の場合で、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、戒告および通知の手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる(行政代執行法3条3項)。一方、戒告および通知について、義務者が審査請求を行うことができる旨の規定は、行政代執行法には特に規定されていません。したがって、本肢は正しいです。
ウ.行政上の義務の履行確保に関しては、同法の定めるところによるとした上で、代執行の対象とならない義務の履行確保については、執行罰、直接強制、その他民事執行の例により相当な手段をとることができる旨の規定が置かれている。
ウ・・・誤り
行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによります(行政代執行法1条)。
したがって、「行政上の義務の履行確保に関しては、同法の定めるところによるとした上で」という記述は正しいです。一方、
「代執行の対象とならない義務の履行確保については、執行罰、直接強制、その他民事執行の例により相当な手段をとることができる旨の規定が置かれている。」
については、行政代執行法に規定されていません。
したがって、本肢は誤りです。
エ.代執行の実施に先立って行われる戒告および通知のうち、戒告においては、当該義務が不履行であることが、次いで通知においては、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨が、それぞれ義務者に示される。
エ・・・誤り
戒告においては、「代執行をなすべき旨」が義務者に示され(行政代執行法3条1項)、
通知においては、「代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名および代執行に要する費用の概算による見積額」が義務者に示されます(行政代執行法3条2項)。
したがって、本肢は誤りです。
オ.代執行の実施に当たっては、その対象となる義務の履行を督促する督促状を発した日から起算して法定の期間を経過してもなお、義務者において当該義務の履行がなされないときは、行政庁は、戒告等、同法の定める代執行の手続を開始しなければならない。
オ・・・誤り
行政庁が行う代執行については、行政庁の任意で行うもので、義務不履行があったからといって、必ず行わなわなければならないという義務ではありません。
本肢は、義務となっているので誤りです。
また、本肢のような内容の規定はありません。
これに関連する規定は、下記2条の規定です。
「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられ、又は
法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代ってなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、
他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつ、
その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、
当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる(行政代執行法2条)。」

行政代執行法(行政上の強制手段の一つ)に関する解説はこちら>>

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問44|行政法

A所有の雑居ビルは、消防法上の防火対象物であるが、非常口が設けられていないなど、消防法等の法令で定められた防火施設に不備があり、危険な状態にある。しかし、その地域を管轄する消防署の署長Yは、Aに対して改善するよう行政指導を繰り返すのみで、消防法5条1項所定の必要な措置をなすべき旨の命令(「命令」という。)をすることなく、放置している。こうした場合、行政手続法によれば、Yに対して、どのような者が、どのような行動をとることができるか。また、これに対して、Yは、どのような対応をとるべきこととされているか。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
消防法
第5条第1項 消防長又は消防署長は、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況について、火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める場合、火災が発生したならば人命に危険であると認める場合その他火災の予防上必要があると認める場合には、権限を有する関係者(略)に対し、当該防火対象物の改修、移転、除去、工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。(以下略)

>解答と解説はこちら

【答え】: 何人も、命令を求めることができ、Yは、必要な調査を行い、当該命令をしなければならない。(43文字)
【解説】

問題文の状況を見ると、消防署の署長Yは、防火施設に不備があり、危険な状態にあるにも関わらず、消防法5条1項の命令(処分)をしないで放置している状況です。

そして、「こうした場合、行政手続法によれば、Yに対して、どのような者が、どのような行動をとることができるか」と聞かれているので、

「①どのような者」が「②どのような行動」をとることができるかを考えます。

行政手続法36条の3第1項に下記規定があります。

何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。

つまり、Yに対して、①何人も②命令を求めることができます

■さらに、上記に対して「Yは、③どのような対応をとるべきこととされているか」を考えます。

この点については、行政手続法36条の3第3項の規定があります。

当該行政庁又は行政機関は、第1項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。

よって、Yは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならないです。

ただ、これでは、文字数が多くなるので

Yは、③必要な調査を行い、当該命令をしなければならない。

とまとめます。

①~③をまとめると

何人も、命令を求めることができ、Yは、必要な調査を行い、当該命令をしなければならない。(43文字)

となります。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問43|行政法

次の文章の空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政事件訴訟法は、行政事件訴訟の類型を、抗告訴訟、[ ア ]訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つとしている。
抗告訴訟は、公権力の行使に関する不服の訴訟をいうものとされる。処分や裁決の取消しを求める取消訴訟がその典型である。
[ ア ]訴訟には、[ ア ]間の法律関係を確認しまたは形成する処分・裁決に関する訴訟で法令の規定によりこの訴訟類型とされる形式的[ ア ]訴訟と、公法上の法律関係に関する訴えを包括する実質的[ ア ]訴訟の2種類がある。後者の例を請求上の内容に性質に照らして見ると、国籍確認を求める訴えのような確認訴訟のほか、公法上の法律関係に基づく金銭の支払を求める訴えのような[ イ ]訴訟もある。
[ ア ]訴訟は、公法上の法律関係に関する訴えであるが、私法上の法律関係に関する訴えで処分・裁決の効力の有無が[ ウ ]となっているものは、[ ウ ]訴訟と呼ばれる。基礎となっている法律関係の性質から、[ ウ ]訴訟は行政事件訴訟ではないと位置付けられる。例えば、土地収用法に基づく収用裁決が無効であることを前提として、起業者に対し土地の明け渡しという[ イ ]を求める訴えは、[ ウ ]訴訟である。
民衆訴訟は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。例えば、普通地方公共団体の公金の支出が違法だとして[ エ ]監査請求をしたにもかかわらず監査委員が是正の措置をとらない場合に、当該普通地方公共団体の[ エ ]としての資格で提起する[ エ ]訴訟は民衆訴訟の一種である。
機関訴訟は、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいう。法定受託事務の管理や執行について国の大臣が提起する地方自治法所定の代執行訴訟がその例である。

1:規範統制 2:財務 3:義務付け 4:給付 5:代表 6:前提問題 7:客観 8:差止め 9:未確定 10:職員 11:審査対象 12:争点 13:要件事実 14:当事者 15:主観 16:国家賠償 17:保留 18:住民 19:民事 20:基準

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【答え】:  ア 14 / イ 4 / ウ 12 / エ 18
【解説】

行政事件訴訟法は、行政事件訴訟の類型を、抗告訴訟、[ア:当事者]訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つとしている。
抗告訴訟は、公権力の行使に関する不服の訴訟をいうものとされる。処分や裁決の取消しを求める取消訴訟がその典型である。
[ア:当事者]訴訟には、[ア:当事者]間の法律関係を確認しまたは形成する処分・裁決に関する訴訟で法令の規定によりこの訴訟類型とされる形式的[ア:当事者]訴訟と、公法上の法律関係に関する訴えを包括する実質的[ア:当事者]訴訟の2種類がある。後者の例を請求上の内容に性質に照らして見ると、国籍確認を求める訴えのような確認訴訟のほか、公法上の法律関係に基づく金銭の支払を求める訴えのような[イ:給付]訴訟もある。
[ア:当事者]訴訟は、公法上の法律関係に関する訴えであるが、私法上の法律関係に関する訴えで処分・裁決の効力の有無が[ウ:争点]となっているものは、[ウ:争点]訴訟と呼ばれる。基礎となっている法律関係の性質から、[ウ:争点]訴訟は行政事件訴訟ではないと位置付けられる。例えば、土地収用法に基づく収用裁決が無効であることを前提として、起業者に対し土地の明け渡しという[イ:給付]を求める訴えは、[ウ:争点]訴訟である。
民衆訴訟は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。例えば、普通地方公共団体の公金の支出が違法だとして[エ:住民]監査請求をしたにもかかわらず監査委員が是正の措置をとらない場合に、当該普通地方公共団体の[エ:住民]としての資格で提起する[エ:住民]訴訟は民衆訴訟の一種である。
機関訴訟は、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいう。法定受託事務の管理や執行について国の大臣が提起する地方自治法所定の代執行訴訟がその例である。

ア.
行政事件訴訟法は、行政事件訴訟の類型を、抗告訴訟、[ ア ]訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4つとしている。

ア・・・当事者

行政事件訴訟の類型は、①抗告訴訟、②当事者訴訟、③民衆訴訟、④機関訴訟の4つです。

これは、覚えておくべき内容です!

イ.
後者(実質的当事者訴訟)の例を請求上の内容に性質に照らして見ると、国籍確認を求める訴えのような確認訴訟のほか、公法上の法律関係に基づく金銭の支払を求める訴えのような[ イ ]訴訟もある。

イ・・・給付

「金銭の支払を求める訴え」という記述から「給付訴訟」と判断するのですが、少し難しいですね。

実質的当事者訴訟には「損失補償請求訴訟」「公務員の地位確認訴訟」「公務員の給料請求訴訟(給付訴訟)」「国籍の確認訴訟」があります。

ウ.
[ア:当事者]訴訟は、公法上の法律関係に関する訴えであるが、私法上の法律関係に関する訴えで処分・裁決の効力の有無が[ ウ ]となっているものは、[ ウ ]訴訟と呼ばれる。

ウ・・・争点

当事者訴訟は、公法上の法律関係に関する訴えですが
私法上の法律関係に関する訴えで処分・裁決の効力の有無が争点となっているものは、民事訴訟の一つである争点訴訟で争います。

よって、「ウには争点」が入ります。

エ.
民衆訴訟は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。例えば、普通地方公共団体の公金の支出が違法だとして[ エ ]監査請求をしたにもかかわらず監査委員が是正の措置をとらない場合に、当該普通地方公共団体の[ エ ]としての資格で提起する[ エ ]訴訟は民衆訴訟の一種である。

エ・・・住民

民衆訴訟の具体例として、「地方自治法に基づく住民訴訟」や「選挙又は当選の効力に関する訴訟」があります。

そして、
『例えば、普通地方公共団体の公金の支出が違法だとして[ エ ]監査請求をした』
という記述から、「住民監査請求」と分かります。

さらに、その後、「住民訴訟」を提起することも可能であることからも分かります。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問42|行政法

次の文章の空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政手続法は、行政運営における[ ア ]の確保と透明の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することをその目的とし(1条1項)、行政庁は、[ イ ]処分をするかどうか又はどのような[ イ ]処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準である[ ウ ](2条8号ハ)を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないものと規定している(12条1項)。上記のような行政手続法の規定の文言や趣旨等に照らすと、同法12条1項に基づいて定められ公にされている[ ウ ]は、単に行政庁の行政運営上の便宜のためにとどまらず、[ イ ]処分に係る判断過程の[ ア ]と透明性を確保し、その相手方の権利利益の保護に資するために定められ公にされるものというべきである。したがって、行政庁が同項の規定により定めて公にしている[ ウ ]において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の[ イ ]な取扱いの定めがある場合に、当該行政庁が後行の処分につき当該[ ウ ]の定めと異なる取扱いをするならば、[ エ ]の行使における[ ア ]かつ平等な取扱いの要請や基準の内容に係る相手方の信頼の保護等の観点から、当該[ ウ ]の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは[ エ ]の範囲の逸脱又はその濫用に当たることとなるものと解され、この意味において、当該行政庁の後行の処分における[ エ ]は当該[ ウ ]に従って行使されるべきことがき束されており、先行の処分を受けた者が後行の処分の対象となるときは、上記特段の事情がない限り当該[ ウ ]の定めにより所定の量定の加重がされることになるものということができる。以上に鑑みると、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている[ ウ ]において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の[ イ ]な取扱いの定めがある場合には、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該[ ウ ]の定めにより上記の[ イ ]な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。

(最三小判平成27年3月3日民集69巻2号143頁)

1:処分基準 2:合理的 3:衡平 4:適正 5:迅速性 6:公正 7:利益 8:侵害 9:授益 10:不平等 11:審査基準 12:不利益 13:解釈基準 14:行政規則 15:法規命令 16:解釈権 17:判断権 18:処分権 19:裁量権 20:決定権

>解答と解説はこちら

【答え】:  ア 6 / イ 12 / ウ 1 / エ 19
【解説】

行政手続法は、行政運営における[ア:公正]の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することをその目的とし(1条1項)、行政庁は、[イ:不利益]処分をするかどうか又はどのような[イ:不利益]処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準である[ウ:処分基準](2条8号ハ)を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないものと規定している(12条1項)。
上記のような行政手続法の規定の文言や趣旨等に照らすと、同法12条1項に基づいて定められ公にされている[ウ:処分基準]は、単に行政庁の行政運営上の便宜のためにとどまらず、[イ:不利益]処分に係る判断過程の[ア:公正]と透明性を確保し、その相手方の権利利益の保護に資するために定められ公にされるものというべきである。したがって、行政庁が同項の規定により定めて公にしている[ウ:処分基準]において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の[イ:不利益]な取扱いの定めがある場合に、当該行政庁が後行の処分につき当該[ウ:処分基準]の定めと異なる取扱いをするならば、[エ:裁量権]の行使における[ア:公正]かつ平等な取扱いの要請や基準の内容に係る相手方の信頼の保護等の観点から、当該[ウ:処分基準]の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは[エ:裁量権]の範囲の逸脱又はその濫用に当たることとなるものと解され、この意味において、当該行政庁の後行の処分における[エ:裁量権]は当該[ウ:処分基準]に従って行使されるべきことがき束されており、先行の処分を受けた者が後行の処分の対象となるときは、上記特段の事情がない限り当該[ウ:処分基準]の定めにより所定の量定の加重がされることになるものということができる。
以上に鑑みると、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている[ウ:処分基準]において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の[イ:不利益]な取扱いの定めがある場合に、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該[ウ:処分基準]の定めにより上記の[イ:不利益]な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。

ア.
行政手続法は、行政運営における[ ア ]の確保と透明の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することをその目的とし(1条1項)

ア・・・公正

行政手続法1条は下記の通りです。

「この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。」

これは、覚えておいた方が良いですが、何を覚えるかは個別指導で解説します。

イ.ウ
行政庁は、[ イ ]処分をするかどうか又はどのような[ イ ]処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準である[ ウ ](2条8号ハ)を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないものと規定している(12条1項)。

イ・・・不利益処分

ウ・・・処分基準

処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいいます(行政手続法2条8号ハ)。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません(行政手続法12条1項)。
「処分基準を定めること」と「公にすること」は努力義務なので、この点は注意しましょう!

エ.
当該[ウ:処分基準]の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、そのような取扱いは[ エ ]の範囲の逸脱又はその濫用に当たることとなるものと解され

エ・・・裁量権

『[ エ ]の範囲の逸脱又はその濫用」という部分から
「裁量の範囲の逸脱」と「裁量の濫用」とピンとくるようにしましょう。

よって、「エには裁量権」が入ります。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略