行政法の過去問

平成30年・2018|問25|行政法の判例

道路等についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 道路の供用によって騒音や排気ガス等が生じ、当該道路の周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じていたとしても、このような供用に関連する瑕疵は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路管理者には国家賠償法上の責任は生じない。
  2. 公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合であっても、行政庁による明示の公用廃止が行われない限り、当該水路は取得時効の対象とはなり得ない。
  3. 建築基準法の定める道路の指定は、一定の条件に合致する道を一律に指定する一括指定の方法でなされることもあるが、一括して指定する方法でした道路の指定であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであるから、当該指定は抗告訴訟の対象になる行政処分に当たる。
  4. 運転者が原動機付自転車を運転中に、道路上に長時間放置してあった事故車両に衝突して死亡した事故が発生した場合であっても、道路上の自動車の放置は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路の管理費用を負担すべき県には国家賠償法に基づく責任は認められない。
  5. 特別区の建築安全条例所定の接道要件が満たされていない建築物について、条例に基づいて区長の安全認定が行われた後に当該建築物の建築確認がされた場合であっても、後続処分たる建築確認の取消訴訟において、先行処分たる安全認定の違法を主張することは許されない。

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【答え】:3

【解説】

1.道路の供用によって騒音や排気ガス等が生じ、当該道路の周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じていたとしても、このような供用に関連する瑕疵は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路管理者には国家賠償法上の責任は生じない。
1・・・誤り
最判平7.7.7」の事案によると、判例では
一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により受けた被害について、社会生活上受忍すべき限度を超え道路の設置又は管理には瑕疵があるというべきであるとして、国家賠償請求を認めています。したがって、道路の周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じていたのであれば、道路の設置又は管理には瑕疵があるといえるため、道路管理者には国賠法上の責任が生じます。
2.公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合であっても、行政庁による明示の公用廃止が行われない限り、当該水路は取得時効の対象とはなり得ない。
2・・・誤り
本肢は「最判昭51.12.24」の判例の内容です。
公共用財産が、長年の間、事実上、公の目的に供用されることなく放置され、
公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、
その物の上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、
もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、
上記公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げないとしています。
言い換えると、上記の場合、取得時効の対象となるので誤りです。
3.建築基準法の定める道路の指定は、一定の条件に合致する道を一律に指定する一括指定の方法でなされることもあるが、一括して指定する方法でした道路の指定であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであるから、当該指定は抗告訴訟の対象になる行政処分に当たる。
3・・・正しい
本肢は「最判平14.1.17」に関する内容です。
判例では、二項道路(建築基準法で定める道路)を一括で指定したとしても、個別・具体的な権利の制限を発生させるため、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる、としています。
4.運転者が原動機付自転車を運転中に、道路上に長時間放置してあった事故車両に衝突して死亡した事故が発生した場合であっても、道路上の自動車の放置は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路の管理費用を負担すべき県には国家賠償法に基づく責任は認められない。
4・・・誤り
本肢は「最判昭和50年7月25日」の判例に関する内容です。
判例では、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負っている。
そして、道路中央線付近に故障した大型貨物自動車が87時間(長時間)にわたって放置されており、その放置された故障車に追突した場合、道路管理に瑕疵があった状態であるとしています。
よって、道路の管理費用を負担すべき県には国家賠償法に基づく責任は認められます
5.特別区の建築安全条例所定の接道要件が満たされていない建築物について、条例に基づいて区長の安全認定が行われた後に当該建築物の建築確認がされた場合であっても、後続処分たる建築確認の取消訴訟において、先行処分たる安全認定の違法を主張することは許されない。
5・・・誤り
本肢は「最判平21.12.17」の判例の内容です。
「①建築確認における接道要件充足の有無の判断」と、「②安全認定における安全上の支障の有無の判断」は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるもの等の理由で、
「建築確認の取消訴訟」において、「安全認定に違反がある」と主張することは許されます
よって誤りです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問23|地方自治法

地方公共団体の定める条例と規則に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.普通地方公共団体は、その事務に関し、条例を制定し、それに違反した者について、懲役などの刑罰の規定を設けることができる。

イ.普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定し、それに違反した者について、罰金などの刑罰の規定を設けることができる。

ウ.普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会による条例の制定に関する議決について、再議に付すことができる。

エ.普通地方公共団体は、公の施設の設置およびその管理に関する事項につき、その長の定める規則でこれを定めなければならない。

オ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の条例の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア.普通地方公共団体は、その事務に関し、条例を制定し、それに違反した者について、懲役などの刑罰の規定を設けることができる。
ア・・・正しい
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができます(地方自治法14条1項)。
そして、普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、「2年以下の懲役若しくは禁錮」、「100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑」又は「5万円以下の過料」を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条1項3項)。
イ.普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定し、それに違反した者について、罰金などの刑罰の規定を設けることができる。
イ・・・誤り
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができます(地方自治法15条1項)。
そして、普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、「5万円以下の過料」を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法15条2項)。
長は、罰金などの刑罰の規定を設けることはできません
ウ.普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会による条例の制定に関する議決について、再議に付すことができる。
ウ・・・正しい
普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができます(地方自治法176条1項)。
エ.普通地方公共団体は、公の施設の設置およびその管理に関する事項につき、その長の定める規則でこれを定めなければならない。
エ・・・誤り
普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2第1項)。
「規則」で定めるという部分が誤りです。
オ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の条例の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。
5・・・誤り
日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有します(地方自治法11条)。当該普通地方公共団体の条例で定められていません。そもそも、憲法93条2項において
「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と規定しています。
この憲法を受けて、地方自治法11条で、住民の参政権を具体的に規定します。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問21|国家賠償法

道路用地の収用に係る損失補償に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者に代わり、収用裁決を行った収用委員会が所属する都道府県がこれを補償しなければならない。
  2. 収用対象となる土地が当該道路に関する都市計画決定によって建築制限を受けている場合、当該土地の権利に対する補償の額は、近傍において同様の建築制限を受けている類地の取引価格を考慮して算定した価格に物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となる。
  3. 収用対象の土地で商店が営まれている場合、商店の建築物の移転に要する費用は補償の対象となるが、その移転に伴う営業上の損失は補償の対象とはならない。
  4. 収用対象とはなっていない土地について、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になるが、それにより通路・溝等の工作物が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用は補償の対象とはならない。
  5. 収用対象の土地の所有者が収用委員会による裁決について不服を有する場合であって、不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。

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【答え】:5

【解説】

1.土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者に代わり、収用裁決を行った収用委員会が所属する都道府県がこれを補償しなければならない。
1・・・誤り
土地を収用し、又は使用することによって土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければなりません(土地収用法68条)。したがって、「都道府県が補償」という部分が誤りです。
関連ポイントについては、個別指導で解説いたします!
2.収用対象となる土地が当該道路に関する都市計画決定によって建築制限を受けている場合、当該土地の権利に対する補償の額は、近傍において同様の建築制限を受けている類地の取引価格を考慮して算定した価格に物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となる。
2・・・誤り
これは、「最判昭48.10.18」の事案です。
まず、「収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利」に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とします(土地収用法71条)。
そして、本肢は、収用する土地について、「都市計画決定によって建築制限を受けている」という条件が付いています。
この場合、判例では、「補償すべき相当な価格とは、被収用地(収用対象となる土地)が、都市計画事業の決定による建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである」と判示しています。
したがって、本肢は誤りです。
3.収用対象の土地で商店が営まれている場合、商店の建築物の移転に要する費用は補償の対象となるが、その移転に伴う営業上の損失は補償の対象とはならない。
3・・・誤り
収用における補償の範囲は、「損失の補償」以外に、「離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失」その他「土地を収用し、又は使用することによって土地所有者又は関係人が通常受ける損失」は、補償しなければなりません。(土地収用法88条)。
したがって、本肢のように、収用対象の土地で商店が営まれている場合、「商店の建築物を移転する費用」や「商店を移転するにあたって休業することによる損失」も補償の対象です。
4.収用対象とはなっていない土地について、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になるが、それにより通路・溝等の工作物が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用は補償の対象とはならない。
4・・・誤り
本肢は、「収用する土地以外の土地に関する損失の補償」の内容です。
土地を収用し、又は使用して、その土地を事業用として使うことにより、当該土地及び残地「以外の土地」について、「通路、溝、垣、さくその他の工作物」を「新築し、改築し、増築し、若しくは修繕し、又は盛土若しくは切土」をする必要があると認められるときは、
起業者は、これらの工事をすることを必要とする者の請求により、
これに要する費用の全部又は一部を補償しなければなりません(土地収用法73条)。
したがって、本肢のように、収用対象とはなっていない土地についても、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になります。
さらに、「通路・溝等の工作物」が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用も補償の対象になります。
5.収用対象の土地の所有者が収用委員会による裁決について不服を有する場合であって、不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。
5・・・正しい
「収用委員会の裁決のうち損失の補償」に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告として争わなければなりません(土地収用法133条2項3項)。
これは、「形式当事者訴訟」に該当します。
したがって、本肢の「当事者訴訟」という記述は正しいです。
当事者訴訟には、実質的当事者訴訟と形式当事者訴訟の2つがあります。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問22|地方自治法

地方自治法の定める特別区に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 特別区は、かつては特別地方公共団体の一種とされていたが、地方自治法の改正により、現在は、市町村などと同様の普通地方公共団体とされており、その区長も、公選されている。
  2. 特別区は、独立の法人格を有する地方公共団体である点においては、指定都市に置かれる区と相違はないが、議会や公選の区長を有すること、さらには条例制定権限を有する点で後者とは異なる。
  3. 特別区は、その財源を確保するために、区民税などの地方税を賦課徴収する権限が認められており、その行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、他の地方公共団体から交付金を受けることを禁じられている。
  4. 特別区は、地方自治法上は、都に設けられた区をいうこととされているが、新たな法律の制定により、廃止される関係市町村における住民投票などの手続を経て、一定の要件を満たす他の道府県においても設けることが可能となった。
  5. 特別区は、原則として、市町村と同様の事務を処理することとされているが、特別区相互間の事務の調整を確保する見地から、市町村と異なり、その事務の執行について、区長等の執行機関は、知事の一般的な指揮監督に服する。

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【答え】:4

【解説】

1.特別区は、かつては特別地方公共団体の一種とされていたが、地方自治法の改正により、現在は、市町村などと同様の普通地方公共団体とされており、その区長も、公選されている。
1・・・妥当ではない
特別地方公共団体は、「特別区」、「地方公共団体の組合」及び「財産区」を言います(地方自治法1条の3第3項)。
つまり特別区は、特別地方公共団体です。
したがって、本肢は「特別区は普通地方公共団体とされており」が妥当ではないです。
そして、特別区の区長は、知事や市長などと同様、公選(住民の投票による選挙で選ぶ)です。
そのため、この部分は妥当です
2.特別区は、独立の法人格を有する地方公共団体である点においては、指定都市に置かれる区と相違はないが、議会や公選の区長を有すること、さらには条例制定権限を有する点で後者とは異なる。
2・・・妥当ではない
地方公共団体は、法人として扱います(地方自治法2条1項)。
そして、特別区は、「地方公共団体」の中の「特別地方公共団体」なので、「地方公共団体」です。
したがって、特別区は法人です(法人格を有する)。
一方、
指定都市に置かれる区は、行政事務の便宜上のために存在するものであり、地方自治法上の「地方公共団体」ではなく、法人ではありません(法人格を有しない)。
したがって、「指定都市に置かれる区と相違はない」という記述は妥当ではありません。
その他の問題文の解説は個別指導で解説します!
3.特別区は、その財源を確保するために、区民税などの地方税を賦課徴収する権限が認められており、その行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、他の地方公共団体から交付金を受けることを禁じられている。
3・・・妥当ではない
は、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、政令の定めるところにより、条例で、特別区財政調整交付金(区に交付するお金)を交付します(地方自治法282条)。
つまり、特別区(東京都の各区)が他の公共団体(東京都)から交付金を受けることもあります。
よって、妥当ではありません。
4.特別区は、地方自治法上は、都に設けられた区をいうこととされているが、新たな法律の制定により、廃止される関係市町村における住民投票などの手続を経て、一定の要件を満たす他の道府県においても設けることが可能となった。
4・・・妥当
本肢は「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に関する内容です。
この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的としています(大都市地域における特別区の設置に関する法律1条)
そして、関係市町村を廃止し、特別区の設置する場合、住民投票の手続きが必要です(同法7条)。よって、本肢は妥当です。
5.特別区は、原則として、市町村と同様の事務を処理することとされているが、特別区相互間の事務の調整を確保する見地から、市町村と異なり、その事務の執行について、区長等の執行機関は、知事の一般的な指揮監督に服する。
5・・・妥当ではない
特別区は、原則として、市町村が処理するものとされている事務を処理することとされています(地方自治法281条2項)
都知事は、特別区に対し、都と特別区及び特別区相互の間の調整上、特別区の事務の処理について、その処理の基準を示す等必要な助言又は勧告をすることができますが(地方自治法281条の6)、区長等の執行機関は、知事の一般的な指揮監督に服するわけではありません。 言い換えると、区長等は、知事が下で働きません。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問20|国家賠償法

国家賠償法1条に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.建築主事は、建築主の申請に係る建築物の計画について建築確認をするに当たり、建築主である個人の財産権を保護すべき職務上の法的義務を負うものではないから、仮に当該建築主の委託した建築士が行った構造計算書の偽装を見逃したとしても、そもそもその点について職務上の法的義務違反も認められないことから、当該建築確認は国家賠償法1条1項の適用上違法にはならない。

イ.警察官が交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否かについては、当該追跡の必要性、相当性に加え、当該第三者が被った損害の内容および性質ならびにその態様および程度などの諸要素を総合的に勘案して決せられるべきである。

ウ.法令に基づく水俣病患者認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になるが、当該認定申請に対する不作為の違法を確認する判決が確定していたとしても、そのことから当然に、国家賠償法1条1項に係る不法行為の成立が認められるわけではない。

エ.所得金額を過大に認定して行われた所得税の更正は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることとなるが、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、過失があるとの評価を受けることとなる。

オ.公立学校における教師の教育活動も国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に該当するから、学校事故において、例えば体育の授業において危険を伴う技術を指導する場合については、担当教師の指導において、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務が尽くされたかどうかが問題となる。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:5

【解説】

ア.建築主事は、建築主の申請に係る建築物の計画について建築確認をするに当たり、建築主である個人の財産権を保護すべき職務上の法的義務を負うものではないから、仮に当該建築主の委託した建築士が行った構造計算書の偽装を見逃したとしても、そもそもその点について職務上の法的義務違反も認められないことから、当該建築確認は国家賠償法1条1項の適用上違法にはならない。
ア・・・妥当ではない
本肢は「最判平25.3.26」の事案です。
一級建築士が、構造計算書を偽装して、建築確認の申請書を提出した。
この申請について、建築主事は、その偽装を見抜けずに建築確認の処分を行った。
この処分について、国賠法1条の適用上違法として損害賠償請求ができるか?という内容です。この点について判例によれば、
建築主事は、その申請をする建築主との関係でも、違法な建築物の出現を防止すべく一定の職務上の法的義務を負うものと解するのが相当である。 (中略)
建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していればその記載から当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合に、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である

と示しています。
つまり、仮に当該建築主の委託した建築士が、構造計算書の偽装を見逃した場合、国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合もあるので、本肢は、妥当ではないです。
イ.警察官が交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否かについては、当該追跡の必要性、相当性に加え、当該第三者が被った損害の内容および性質ならびにその態様および程度などの諸要素を総合的に勘案して決せられるべきである。
イ・・・妥当ではない
本肢は「最判昭61.2.27」の事案です。
判例によると
警察官が交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合、
①追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行するうえで不必要である」か、又は「②逃走車両の走行の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当である」場合、違法となります。
したがって、本肢は妥当ではないです。
ウ.法令に基づく水俣病患者認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になるが、当該認定申請に対する不作為の違法を確認する判決が確定していたとしても、そのことから当然に、国家賠償法1条1項に係る不法行為の成立が認められるわけではない。
ウ・・・妥当
本肢は「最判平3.4.26」の事案です。
判例によると
水俣病患者の認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされない利益は、不法行為法上の保護の対象になり、
①その期間に比してさらに長期間にわたり遅延が続き、かつ、②その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかった場合、国家賠償法1条等に基づく損害賠償請求ができる
としています。
したがって、本肢は妥当です。
エ.所得金額を過大に認定して行われた所得税の更正は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることとなるが、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、過失があるとの評価を受けることとなる。
エ・・・妥当ではない
本肢は「最判平5.3.11」の事案です。
判例によると
税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、
税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受けるものと解するのが相当である。
と示しています。
つまり、「直ちに違法評価を受けることにはならない」ので妥当ではありません。
オ.公立学校における教師の教育活動も国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に該当するから、学校事故において、例えば体育の授業において危険を伴う技術を指導する場合については、担当教師の指導において、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務が尽くされたかどうかが問題となる。
オ・・・妥当
本肢は「最判昭62.2.6」の事案です。
判例によると
国家賠償法1条1項にいう『公権力の行使』には、公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解するのが相当である
また、
学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負つており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があることはいうまでもない
と示しているので、本肢は妥当です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問19|行政事件訴訟法・差止訴訟

次の文章は、行政事件訴訟法の定める差止訴訟に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ A ]~[ D ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分された後に[ B ]等を提起して[ C ]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[ D ]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[ D ]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[ B ]等による救済になじまない性質のものということができる。
(最一小判平成28年12月8日民集70巻8号1833頁)

A.ア 重大な損害  イ 回復の困難な損害
B.ア 民事訴訟   イ 取消訴訟
C.ア 仮処分    イ 執行停止
D.ア 一時的にせよ イ 反復継続的に

  1. A:ア B:ア C:ア D:ア
  2. A:ア B:ア C:イ D:ア
  3. A:ア B:イ C:イ D:イ
  4. A:イ B:ア C:ア D:イ
  5. A:イ B:イ C:イ D:イ

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[A:重大な損害]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分された後に[B:取消訴訟]等を提起して[C:執行停止]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[D:反復継続的に]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[D:反復継続的に]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[B:取消訴訟]等による救済になじまない性質のものということができる。

A.行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、・・・
A・・・「重大な損害(ア)」
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができます(行政事件訴訟法37条の4第1項)。
したがって、「Aには重大な損害(ア)」が入ります。細かい解説は、個別指導で解説いたします!
B.C.行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分された後に[ B ]等を提起して[ C ]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。
B・・・「取消訴訟(イ)」
C・・・「執行停止(イ)」
「差止めの訴え」は、処分がなされる前の救済方法であり、
処分がなされた後については「取消訴訟等を提起して執行停止」の決定を受けることで救済を図れます
D.第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[ D ]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。
D・・・「反復継続的に(イ)」
判決文と選択肢を比べると、「飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害などの精神的苦痛を[ D:どのくらいの頻度で ]受けているかを考えます。
その次の文で「その程度(精神的苦痛の程度)は軽視し難いものというべきである」ということから、「Dには反復継続的に」を入れる方が妥当です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問18|行政事件訴訟法・民衆訴訟・機関訴訟

行政事件訴訟法の定める民衆訴訟と機関訴訟に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. A県知事に対してA県住民が県職員への条例上の根拠を欠く手当の支給の差止めを求める訴訟は、民衆訴訟である。
  2. A県県営空港の騒音被害について、被害を受けたと主張する周辺住民がA県に対して集団で損害の賠償を求める訴訟は、民衆訴訟である。
  3. A県が保管する国の文書について、A県知事が県情報公開条例に基づき公開の決定をした場合において、国が当該決定の取消しを求める訴訟は、機関訴訟である。
  4. A県議会議員の選挙において、その当選の効力に関し不服がある候補者がA県選挙管理委員会を被告として提起する訴訟は、機関訴訟である。
  5. A県がB市立中学校で発生した学校事故にかかわる賠償金の全額を被害者に対して支払った後、B市が負担すべき分についてA県がB市に求償する訴訟は、機関訴訟である。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.A県知事に対してA県住民が県職員への条例上の根拠を欠く手当の支給の差止めを求める訴訟は、民衆訴訟である。
1・・・妥当
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条
本肢の内容は「住民が、地方自治体の執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求を行う」内容なので、地方自治法に基づく住民訴訟地方自治法242条の2)にあたります。

住民訴訟は、民衆訴訟の一つなので、〇となります!

2.A県県営空港の騒音被害について、被害を受けたと主張する周辺住民がA県に対して集団で損害の賠償を求める訴訟は、民衆訴訟である。
2・・・ 妥当でない
本肢は「国家賠償法2条」の損害賠償請求訴訟です。
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる(国家賠償法2条1項)。

なぜ、民衆訴訟でないかを理解していない方は、実力がついていない証拠です!

単に覚えるだけでは、実力はつきません!

こういった部分を理解するのが個別指導です!

今年絶対合格したいという方はぜひ、個別指導で一緒に勉強しましょう!

3.A県が保管する国の文書について、A県知事が県情報公開条例に基づき公開の決定をした場合において、国が当該決定の取消しを求める訴訟は、機関訴訟である。
3・・・妥当でない
本肢は、「抗告訴訟」の中の「取消訴訟」にあたります。
抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条1項)。
一方、機関訴訟とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(行政事件訴訟法6条)。本肢は、沖縄県那覇市が、那覇市の情報公開条例に基づいて、「自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書」を市民団体の請求に対して開示決定し、この決定に対して「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案です(最判平13.7.13)。
この問題は理解しないとわからない内容なので、個別指導で理解の仕方を解説します!
4.A県議会議員の選挙において、その当選の効力に関し不服がある候補者がA県選挙管理委員会を被告として提起する訴訟は、機関訴訟である。
4・・・妥当でない
選挙の効力に関する訴訟は「民衆訴訟」の典型例です。

したがって、本肢は民衆訴訟なので妥当ではありません。

民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。

機関訴訟は、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(行政事件訴訟法6条)。

どのような訴訟が民衆訴訟となるかはしっかり覚えておきましょう!

個別指導では、まとめて整理した解説をご用意しております!

5.A県がB市立中学校で発生した学校事故にかかわる賠償金の全額を被害者に対して支払った後、B市が負担すべき分についてA県がB市に求償する訴訟は、機関訴訟である。
5・・・妥当でない
本肢は、国家賠償法3条の「国家賠償請求訴訟」です。
国家賠償法3条1項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有します(国賠法3条)。
つまり、A県が被害者に賠償金の全額を支払ったときは、A県はB市に求償できます。
したがって、機関訴訟ではありません。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問17|行政事件訴訟法・判決の効力

許認可等の申請に対する処分について、それに対する取消訴訟の判決の効力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 申請を認める処分を取り消す判決は、原告および被告以外の第三者に対しても効力を有する。
  2. 申請を認める処分についての取消請求を棄却する判決は、処分をした行政庁その他の関係行政庁への拘束力を有さない。
  3. 申請を拒否する処分が判決により取り消された場合、その処分をした行政庁は、当然に申請を認める処分をしなければならない。
  4. 申請を認める処分が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない。
  5. 申請を拒否する処分に対する審査請求の棄却裁決を取り消す判決は、裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.申請を認める処分を取り消す判決は、原告および被告以外の第三者に対しても効力を有する。
1・・・正しい
処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有します(行政事件訴訟法32条1項)。
したがって、本肢は正しいです。
第三者に対しても効力を有することを「第三者効」と言います。
2.申請を認める処分についての取消請求を棄却する判決は、処分をした行政庁その他の関係行政庁への拘束力を有さない。
2・・・ 正しい
処分又は裁決の取消訴訟について、請求を棄却する判決は、処分を取り消していません。

よって、棄却判決には拘束力はないので、本肢は正しいです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

■>>「拘束力」とは?

3.申請を拒否する処分が判決により取り消された場合、その処分をした行政庁は、当然に申請を認める処分をしなければならない。
3・・・誤り
「申請に対する拒否処分」が判決により取り消された場合、改めて、申請に対する処分等を行う必要があります(行政事件訴訟法33条2項)。
本肢のように、当然に「申請を認める処分」をしなければならないわけではありません。
4.申請を認める処分が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない。
4・・・正しい
「申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決」が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければなりません(行政事件訴訟法33条2項3項)。
したがって、本肢は正しいです。
5.申請を拒否する処分に対する審査請求の棄却裁決を取り消す判決は、裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
5・・・正しい
選択肢1の解説同様、
処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有します(行政事件訴訟法32条1項)。したがって、本肢は正しいです。

この問題は問題文を理解しないと全く意味がないです。

理解せずに、解説だけ覚える勉強では、実力はつきません。

理解の仕方については、個別指導で解説します!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問12|行政手続法・行政指導

法令に違反する行為の是正を求める行政指導を国の行政機関が担当する場合に関する次の記述のうち、行政手続法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない。
  2. 行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する必要はない。
  3. 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない。
  4. 行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が法律所定の要件に適合しないと思料する場合、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。
  5. 地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない。

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【答え】:1

【解説】

1.不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない。
1・・・誤り
本肢のような規定は、行政手続法には存在しません。
似たような内容は下記の通りです。
「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。(行政手続法36条の2)」
2.行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する必要はない。
2・・・正しい
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければなりません(行政手続法35条1項)
そして、当該行政指導をする際に行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に当該権限を行使し得る根拠等を示さなければなりません(行政手続法35条2項)。
また、口頭で行政指導をする場合において、その相手方から上述の内容を記載した書面の交付を求められたときは、特別の支障がない限り交付しなければなりません(行政手続法35条3項)。
ただし、既に文書又は電磁的記録によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるものの場合には、これを書面で交付する必要はありません(行政手続法35条4項2号)。
したがって、本肢は、4項2号の内容なので、正しいです。
3.同一の行政目的を実現するために複数の者に対し行政指導をする場合、行政機関はあらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない。
3・・・正しい
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければなりません(行政手続法36条)。
したがって、本肢は正しいです。
4.行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が法律所定の要件に適合しないと思料する場合、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。
4・・・正しい
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2第1項)。
したがって、本肢は正しいです。
5.地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない。
5・・・正しい
地方公共団体の機関がする行政指導については、行政手続法の規定が適用されない(行政手続法3条3項)。
ただし、地方公共団体は、申請に対する処分、不利益処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(行政手続法46条)。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問15|行政不服審査法・審査請求

行政不服審査法の定める審査請求に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.審査請求は、代理人によってもすることができ、その場合、当該代理人は、各自、審査請求人のために、原則として、当該審査請求に関する一切の行為をすることができるが、審査請求の取下げは、代理人によってすることはできない。

イ.審査庁となるべき行政庁は、必ず標準審理期間を定め、これを当該審査庁となるべき行政庁および関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

ウ.審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合において、審理の進行のため必要と認めるときに限り、当該申立てをした者に、口頭で意見を述べる機会を与えることができる。

エ.審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

オ.審査請求人以外の者であって、審査請求に係る処分または不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:5

【解説】

ア.審査請求は、代理人によってもすることができ、その場合、当該代理人は、各自、審査請求人のために、原則として、当該審査請求に関する一切の行為をすることができるが、審査請求の取下げは、代理人によってすることはできない。
ア・・・誤り
審査請求は、代理人によってすることができます(行政不服審査法12条1項)。
そして、代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができます。
ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができます(行政不服審査法12条2項)。
したがって、「審査請求の取下げは代理人によってすることはできない」とする本肢は誤りです。
本問は、対比ポイントがあるので、対比ポイントについては、個別指導で解説いたします!

次の試験で行政書士試験に合格するためにも、対比ポイントも一緒に勉強して、効率的な勉強法を実践していきましょう!

イ.審査庁となるべき行政庁は、必ず標準審理期間を定め、これを当該審査庁となるべき行政庁および関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
イ・・・誤り
審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政不服審査法16条)。
したがって、標準審理期間を定めることは、努力義務なので、必ずしも定める必要はありません。
よって、本肢は誤りです。

本問は関連ポイントもあるので、関連ポイントは個別指導で解説していきます!

ウ.審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合において、審理の進行のため必要と認めるときに限り、当該申立てをした者に、口頭で意見を述べる機会を与えることができる。
ウ・・・誤り
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(申立人)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません。
ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、口頭意見陳述は不要です(行政不服審査法31条1項)。したがって、「審理の進行のため必要と認めるときに限り、口頭で意見を述べる機会を与えることができる」としている本肢は誤りです。
審理員は、原則、申立てがあった場合、口頭で意見を述べる機会を与えないといけません。
エ.審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。
エ・・・正しい
審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継します(行政不服審査法15条1項)。
よって、本肢は正しいです。

注意事項については、個別指導で解説します!

オ.審査請求人以外の者であって、審査請求に係る処分または不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。
オ・・・正しい
利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができます(行政不服審査法13条1項)。
よって、本肢は正しいです。

注意点が2つあるので、個別指導で解説いたします!

注意点が試験でのひっかけポイントになるので、しっかり注意点を押さえていきましょう!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略