商法・会社法の無料テキスト

牽連性(けんれんせい)とは?商人間の留置権との関係をわかりやすく解説|行書塾

商法第521条(商人間の留置権)
商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

ここでのポイントは3つです。

  1. 被担保債権は、商行為の取引によって生じた債権である
  2. 商行為により留置した留置物は、債務者所有である
  3. 「1の被担保債権」と「2の留置物」は同じ取引のものでなくてもよい

例えば、中古車の販売店Aが、車の修理業者BにA所有の車の修理を依頼した。その後、Bは車の修理を完了させて、Aに修理した車を引き渡した。しかし、修理代金を受け取っていない。つまり、修理業者Bは、Aに対して修理代金債権を有している(1を満たす)。

その後、中古車販売店Aが、BにA所有の別の車の修理を依頼して、Bに車を引き渡した。この場合、AB間の修理に関する契約は、商行為であり、Bが留置している車は、債務者A所有です(2を満たす)。

上記「Bの修理代金債権」と「現在Bが留置している車」は同じ取引ではありません。

これを「被担保債権と留置物との間に牽連性はない」と言います。分かりやすく言えば、関連性がないということです。これは上記ポイント3より、牽連性がなくても1、2を満たしていれば、留置権は成立します。

したがって、上記の場合、修理業者Bは、Aの車を留置することが可能です。

<<商法における流質契約 | 商事売買と民事売買の違い>>

株主総会の決議(普通決議・特別決議・特殊決議)

株主総会における決議は、決議する内容の重要性によって、普通決議、特別決議、特殊決議の3つに分かれます。

決議要件

普通決議 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決議
特別決議 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
特殊決議 議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

普通決議

会社法または定款で特別な定めがない場合は、この普通決議により議決します。

言い換えると、特別決議や特殊決議以外のものが普通決議ということです。

普通決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決議します。

そして、普通決議の定足数は、定款により、引き下げたり、排除することができます。つまり、議決しやすくすることができるということです。

ただし、役員(取締役、会計参与、監査役)の選任・解任決議については、定足数を総株主の議決権の3分の1未満に引き下げることはできません341条)。

定足数とは、株主総会を開いて、議決するために必要な、最小限度の出席人数です。憲法における国会部分でも勉強した定足数と同じ内容です。

特別決議

特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数で決議します。

特別決議となること議題は、行政書士試験で出題されそうなものに絞って下記に列挙しました。

  1. 譲渡制限株式の買取決議140条2項)
  2. 特定の株主から自己株式を取得する旨、その条件の決定156条1項)
  3. 全部取得条項付種類株式の取得の決議171条1項)
  4. 株式の併合の決議180条2項)
  5. 募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)199条2項、238条2項
  6. 募集株式の第三者割当の場合の有利発行199条2項、309条2項5号
  7. 募集株式・募集新株予約権の募集事項の決定を「取締役等に委任」する決議200条1項、309条2項5号)
  8. 「累積投票で選任された取締役」「監査役」を、解任する決議342条3~5項、339条
  9. 非公開会社において、新株予約権付社債を発行する決議248条
  10. 役員等の損害賠償責任を一部免除する決議425条1項)
  11. 資本金を「減少」する決議447条1項)
  12. 金銭以外の財産を配当し、かつ、金銭分配請求権を与えないこととする場合454条4項)

譲渡制限株式の買取決議

株式会社は、譲渡制限付株式の譲渡について承認するよう請求を受けた場合において、譲渡の承認をしない旨の決定をしたときは、譲渡制限株式を買い取らなければなりません

この場合においては、下記事項を定めなければならないのですが、下記事項を決定するには、株主総会の特別議が必要です。

  1. 譲渡制限株式を買い取る旨
  2. 株式会社が買い取る対象株式の数

特定の株主から自己株式を取得する旨、その条件の決定

株式会社が特定の株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の特別決議によって、下記事項を定めなければなりません。

  1. 取得する株式の数
  2. 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額
  3. 株式を取得することができる期間(1年以内で定めること)

全部取得条項付種類株式の取得の決議

全部取得条項付種類株式を発行した種類株式発行会社は、株主総会の特別決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができます。

株式の併合の決議

株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の特別決議によって、下記事項を定めなければなりません。

  1. 併合の割合
  2. 株式の併合がその効力を生ずる日
  3. 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類

募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)

株式会社は、その発行する「株式」又は「その処分する自己株式」「新株予約権」を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、一定事項を定めなければなりません。
そして、当該株式会社が非公開会社の場合、募集事項の決定は、株主総会の特別決議によらなければなりません。

※公開会社の場合、取締役会の決議で行えます。

募集株式の発行の手続きはこちら>>

募集株式の第三者割当の場合の有利発行

募集株式について第三者割当を行う場合、公開会社であれば、原則、取締役会決議で行えます。ただし、有利価格での発行には株主総会の特別決議が必要です。

募集株式・募集新株予約権の募集事項の決定を「取締役等に委任」する決議

株主総会の特別決議により、上記「募集株式、新株予約権の募集事項の決定」について取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができます。

「累積投票で選任された取締役」「監査役」を、解任する決議

累積投票の解説はこちら>>

「累積投票で選任された取締役」または「監査役」を、解任する場合、株主総会の特別決議が必要です。

非公開会社において、新株予約権付社債を発行する決議

新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用されます。

したがって、上記「募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)」の通り、株主総会の特別決議により、募集事項を決定して発行できます。

役員等の損害賠償責任を一部免除する決議

役員等の任務懈怠責任について、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から一定金額を控除して得た額(差し引いた額)を限度として、株主総会の特別決議によって免除することができます。

資本金を「減少」する決議

株式会社は、株主総会の特別決議により資本金の額を減少させることができます。

金銭以外の財産を配当し、かつ、金銭分配請求権を与えないこととする場合

金銭分配請求権を与えず、金銭以外の財産(現物配当:例えば商品券)で配当する場合、株主総会の特別決議が必要です。

特殊決議

特殊決議については、決議要件の違いにより、下記2つのパターンがあります。

議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

①議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議

  1. 全部の株式に譲渡制限をかける旨の定款変更
  2. 吸収合併契約等の承認
    ※吸収合併消滅会社・株式交換完全子会社が公開会社で、対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該会社の吸収合併契約・株式交換契約の承認(783条1項)
  3. 新設合併契約等の承認
    ※新設合併消滅会社・株式移転完全子会社が公開会社で、対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該会社の新設合併契約・株式移転計画の承認(804条1項)

②総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

非公開会社における株主ごとに異なる権利内容を設ける場合(109条2項)の定款変更(当該定款の定めを廃止するものを除く)

<<累積投票とは?(取締役の選任) | 株主総会の決議取消しの訴え、決議無効確認の訴え、決議不存在確認の訴え>>

取締役

取締役とは、会社の具体的な業務に関する意思決定を行い、現実に業務執行を行う機関です。

取締役の資格

取締役の資格とは、誰が取締役になれるのか?ということです。この点について会社法では、下記のいずれかに該当する場合、取締役になれないと規定しています(331条1項)。そして、下記事由を欠格事由と言います。

  1. 法人
  2. 会社法等の法律に違反し、または一定の罪を犯し、罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  3. 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)等

取締役の選任

取締役の選任は、株主総会の専属決議事項とされています(329条)。つまり、株主総会でしか決議できません。そして、決議の方法は普通決議です。

そして、上記普通決議の内容については定款の定めにより変更ができます。

定足数については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1まで下げることができます。3分の1未満にはできません。

また、決議要件について、出席した当該株主の議決権の過半数を上回る割合を定款で定めることができます(341条)。

取締役の選任については、累積投票制度が認められています(342条)。

取締役の解任

解任とは、任期の途中にその役職を解かれること・やめさせることを言います。

そして、取締役の解任については、①株主総会決議による解任と②解任の訴えの2つの場合があります。

株主総会における解任決議

取締役は、いつでも、株主総会の普通決議によって解任することができます(339条1項)。

ただし、累積投票で選任された取締役の解任の場合、特別決議が必要です(309条2項7号)。

正当な理由なく株主総会決議により解任された者は、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます(339条2項)。

役員解任の訴え

少数株主は、取締役解任の訴えを行うことにより、取締役の解任を行うことができます。

これは、悪いことをした取締役が、会社内で力を持っている者の場合、株主総会決議をしても、その取締役を恐れて、賛成票を入れず否決されることがあります。

そのような場合に備えて、裁判所に訴えることができるようにしています。

役員に欠員が生じた場合

役員(取締役又は会計参与)が欠けた場合、または定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了または辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有します346条1項)。

悪いことをして解任となった場合は、上記ルールは適用されず、役員としての権利義務はなくなります

辞任とは、自らの意思でやめることです。

取締役の員数

非取締役会設置会社では、1人又は2人以上の取締役を置かなければなりません(326条)。つまり、1人以上置かなければならないということです。

取締役会設置会社では3人以上の取締役を置かなければなりません(331条5項)。

取締役の任期

取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することはできます332条1項)。

言い換えると、取締役の任期は最長「選任の日から2年」ということです。

「非公開株式会社」かつ「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社でない」場合

「非公開株式会社」かつ「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社でない株式会社」については、定款によって、任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長(延長)することができます(332条2項)。

監査等委員会設置会社の場合

監査等委員会設置会社の場合、

監査等委員の取締役は、原則、任期2年ですが
監査等委員でない取締役は、原則、任期1年とされています(332条3項)。

指名委員会等設置会社の場合

指名委員会等設置会社の取締役は、任期は原則1年ですが、定款または株主総会決議により、任期を短縮できます(332条1項)。

取締役の地位と権限

取締役の地位や権限については、非取締役会設置会社、取締役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社によって異なります。

これは分かりやすいように、下表のように、「意思決定機関」「業務執行機関」「代表者」と分けて考えると覚えやすいです。

非取締役会設置会社における取締役

取締役会がない場合、会社の業務の意思決定は、原則、取締役が行います。もし、取締役が2人以上いる場合、過半数をもって決定します(348条1項)。

ただし、定款の別段の定めがあれば、それに従います。

そして、非取締役会設置会社の代表者については、
原則、各取締役が会社を代表します。
例外として、代表取締役が定まっている場合、代表取締役が会社を代表します(349条1項2項)。

取締役会設置会社における取締役

取締役会設置会社では、取締役会が会社の業務の意思決定を行うので、取締役個人としては、あくまでも取締役会の構成員として、意思決定の議決権を持つにすぎないことになります(362条)。

業務の執行についても、基本的には取締役の中から選ばれた代表取締役が行います。
※指名委員会等設置会社の場合は、執行役が業務の執行を行います(418条)。

取締役の義務

取締役は下記義務および下記規制を負います。

  1. 善管注意義務
  2. 忠実義務
  3. 競業取引の禁止
  4. 利益相反取引の禁止

善管注意義務

会社と取締役の関係は、委任の規定に従います(330条)。

つまり、「会社=委任者」「取締役=受任者」という関係が成立します。

そうすると、受任者たる取締役は、委任者たる会社に対して善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)を負います(民法644条)。

もし、取締役が善管注意義務を怠り、会社に損害を与えた場合、債務不履行により損害賠償義務を負うこととなります(民法415条)。

忠実義務

忠実義務とは、法令および定款・株主総会決議を遵守し、会社のために忠実にその職を行わなければならないという義務を言います(335条)。

判例では、忠実義務は、善管注意義務を、より明確に注意的に規定したものに過ぎず善管注意義務とは別個のより高度な注意義務を取締役に課したものではない、としています(最大判昭45.6.24)。

つまり、善管注意義務と忠実義務は同質の義務であるということです。

競業取引の禁止(競業避止義務)

取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき、株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(356条1項1号)。

「自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引」とは、「競業取引」のことを指します。

例えば、株式会社Aがホームページの作成事業を行っており、取締役Bは、自らホームページ作成事業を立ち上げたり、他のホームページ作成業者Cの代表取締役に就任して、ホームページの作成事業を行ったりしてはいけない、ということです。

このような義務を競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)と言います。

承認を得ずに競業取引を行った場合どうなるか?(競業取引の効果)

株主総会・取締役会の承認を要する競業取引であるにも関わらず、承認を得ずに取引を行った取締役は、会社に損害が生じた場合、任務懈怠による損害賠償責任を負うことになります(432条1項)。

その場合、「取締役が得た利益」又は「第三者が得た利益」の額が損害額と推定され、損害賠償請求の対象となります。

つまり、競業取引自体は有効だが、損害賠償で処理するということです。

利益相反取引の禁止

利益相反取引とは、取締役と会社の利益が相反する取引を言います。

つまり、取締役が利益を得て、会社が不利益を被る取引のことです。

例えば、会社の所有する土地を取締役が安く購入する契約等です。

この場合も、株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(356条1項3号)。

利益相反取引の効果

利益相反取引については、会社は原則として取締役に対して無効を主張することができます。

一方、会社は、承認がなかったことを知らない第三者に対して無効を主張できません

取締役の報酬

取締役の報酬は、定款または株主総会の決議により定めなければなりません(361条1項)。

つまり、定款の定めがない場合、株主総会決議で決めるということです。

取締役会決議では決めることができません

なぜなら、それができると、取締役が自分達の報酬を決めることができるようになり、不当に高額にして会社の経営に影響を及ぼす恐れがあるからです。

<<株主総会の決議取消しの訴え、決議無効確認の訴え、決議不存在確認の訴え | 取締役会の権限>>

平成21年・2009|問16|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。

イ.国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は、当該行政庁である。

ウ.国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は、当該行政庁である。

エ.国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は、当該行政庁である。

オ.国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、当該行政庁である。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
ア.国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。
ア・・・正しい
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する「国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項)。よって、本肢は正しいです。
イ.国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は、当該行政庁である。
イ・・・誤り
「不作為の違法確認訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

ウ.国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は、当該行政庁である。
ウ・・・誤り
「義務付け訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

エ.国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は、当該行政庁である。
エ・・・誤り
「差止め訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

オ.国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、当該行政庁である。
オ・・・正しい
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条2項)。よって、本肢は正しいです。

 


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

持分会社の社員の責任、社員の加入・退社

持分会社の社員の責任

会社は法人なので、会社の債務は、会社自身の債務であって、社員(個人)の債務ではありません。

しかし、持分会社の社員(無限責任社員および有限責任社員)は、会社債権者に対して、直接責任を負います。ただし、この責任の範囲が、無限責任社員と有限責任社員とで異なります。

無限責任社員 すべて責任を負う
有限責任社員 出資した分を限度に責任を負う。出資した金額以上の責任は負わない

どのような場合に責任を負うか?

持分会社の社員は、下記2つのいずれかに該当する場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負います(580条1項)。

  1. 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
  2. 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合
    (社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合は、責任を免れることができる)

上記の通り、持分会社の社員は、会社の債務の保証人といった立場にあります。

社員の加入と退社

加入

持分会社は、新たに社員を加入させることができます(604条1項)。

ここでいう「社員」とは従業員ではなく、「出資者」を意味します。
株式会社でいえば株主と同じ立場の人です。

社員に関する情報は登記事項なので、社員が加入する場合、変更登記が必要です。

そして、変更登記をすることで、効力が生じます(604条2項)。

条文では、「持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる(604条2項)」と規定しているが、内容は上記の通りです。

もっとも、合同会社新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となります604条3項)。

※持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負います605条)。

退社

退社とは、会社が存立している間に、社員がその地位を失うことです。分かりやすく言えば、「会社のオーナー」を辞めるイメージです。よって、後でも解説する通り、出資したお金をあとで取り戻せます。

そして、退社には、任意退社と法定退社の2種類があります。

任意退社

任意退社とは、社員自らの意思によって退社することです。

「①持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合」又は「②ある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合」には、各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができます(606条1項)。

この場合においては、各社員は、6か月前までに持分会社に退社の予告をしなければなりません。

しかし、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができます(606条3項)。

法定退社

社員は、下記事由によって、自動的に退社します(607条)。

  1. 定款で定めた事由の発生
  2. 総社員の同意
  3. 死亡
  4. 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
  5. 破産手続開始の決定
  6. 解散
  7. 後見開始の審判を受けた
  8. 除名

退社に伴う持分の払戻し

退社した社員は、その出資の種類を問わず、金銭によりその持分の払戻しを受けることができます(611条1項3項)。

<<持分会社の設立の流れ | 組織変更>>

株式交換と株式移転

株式交換と株式移転は、いずれも親会社と子会社の関係を作り出す持株会社の創設のための手段と言えます。

親会社と子会社の関係を作り出す原理については、下の「株式交換」と「株式移転」をご覧ください。

ここで先に持株会社について簡単に解説します。

持株会社

持株会社とは、他の会社の株式を保有することによって、その会社の支配することを目的とする会社です。

複数の会社を統括する会社(親会社)ともいえる存在で、「〇〇ホールディングス」と名の付く会社が持株会社です。

株式交換

株式交換とは、株式会社が、「その株式の全部」を、他の「株式会社または合同会社」に取得させることを言います。

下図の場合、B社の株式全部をA社に取得させています。つまり、B社の株主が持つ「B社の株式」をA社が取得して、その見返りとして、B社の株主に「A社の株式」を与えます。したがって、B社の株主から見ると、「B社の株式」と「A社の株式」を交換したことになります。

そのことにより、A社は、B社の株式の全部を取得することから、A社がB社の完全親会社となり、B社がA社の子会社となります。


株式移転

株式移転とは、1つまたは2つ以上の株式会社がその株式全部を新たに設立する株式会社に取得させることを言います。

下図は、2つの株式会社(A社とB社)の株式全部を、新たに設立する株式会社(C社)に取得させる図です。

A社の株主が持つ「A社の株式」をC社が取得し、その代わりに、C社の株式をA社の株主に交付します。そのことにより、「もともとA社の株主だった者」は、C社の株主となります。逆に、C社は、A社の株式の全部を取得するので、C社はA社の完全親会社となり、A社がC社の子会社となります。

B社についても同じ考え方です。

B社の株主が持つ「B社の株式」をC社が取得し、その代わりに、C社の株式をB社の株主に交付します。そのことにより、「もともとB社の株主だった者」は、C社の株主となります。逆に、C社は、B社の株式の全部を取得するので、C社はB社の完全親会社となり、B社がC社の子会社となります。


株式交換と株式移転の手続き

株式分割や株式移転の手続きの流れは「合併の手続き」や「会社分割の手続き」の流れとほとんど同じです。

合併手続きの1について、
株式交換では、「株式交換契約」を締結し
株式移転では、「株式移転計画」を作成します。

5について、
株式交換では、株式交換契約で定めた効力発生日にの効力が発生する(769条1項)。
株式移転の場合、(完全)親会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(774条1項)

組織再編の無効の訴え

合併・分割・株式交換・株式移転のことを「組織再編」と言い、組織再編の無効は、「合併の無効」で学んだ内容と同じです。

組織再編の効力が生じた日から6か月以内に、訴えをもってのみ主張でき(828条1項7~12号)、

提訴権者は、当事会社もしくは設立会社の株主、もしくは、組織再編を承認しなかった会社債権者です(828条2項7~12号)。

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会社分割(吸収分割、新設分割)

会社分割とは、ある会社が「一定の事業の権利義務」を他の会社に承継させることを言います。そして、会社分割には、「吸収分割」と「新設分割」の2つがあります。

吸収分割

吸収分割とは、ある会社が「一定の事業の権利義務」を別会社に承継させることを言います。

下図の場合、B社の小売事業(小売事業の権利義務)をA社に承継させた図です。

この場合、「B社が分割会社」、「A社が承継会社」となります。


新設分割

新設分割とは、1つまたは2つ以上の株式会社または合同会社が「一定の事業の権利義務」を、新設する会社に承継させることを言います。

下図は、1つの会社が新設分割する場合と、2つの会社が新設分割する事例です。


会社分割の手続き

会社分割の手続きは、合併の手続きの場合とほとんど同じです。

違いというと、下記2点です。

  1. 合併手続きの1の「合併契約」が「吸収分割契約」「新設分割契約」に代わる
  2. 5の効力発生日についても、ほぼ同じです。
    吸収分割の場合、吸収分割契約で定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生する(759条1項)。
    新設分割の場合、会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(764条1項)

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合併(吸収合併・新設合併)

合併とは、2つ以上の会社が、契約によって1つの会社に合体することを言います。

この合併には、①吸収合併と②新設合併の2つがあります。

吸収合併

下図の場合、A社(吸収合併存続会社)が、B社の権利義務の一切を承継して、B社(吸収合併消滅会社)は解散・消滅します。

そして、B社の株主は、吸収合併後、A社の株式等または金銭が交付されます。株式を交付された者はA社の株主となります。

A社が交付できるのは、株式だけでなく、社債や新株予約権でもよいです。


新設合併

下図の場合、A社(新設合併消滅会社)とB社(新設合併消滅会社)が新設合併をして、C社(新設合併設立会社)が設立されます。この場合、A社およびB社の権利義務の一切を、C社が承継します。

そして、A社の株主とB社の株主には、C社の株式が交付され、C社の株主となります。


合併の手続き

下記流れで合併を行います。

  1. A社とB社との間で合併契約を締結する(748条749条753条)。
  2. 合併に関する書面等を本店に備え置かなければならない782条794条803条)。
  3. 原則、A社およびB社の株主総会の特別決議により承認を得る(783条1項、795条1項、804条1項、309条3項2号)
    ※反対株主に対しては、原則として株式買取請求権が認められます。
  4. 会社債権者を保護するために、債権者に対して異議を述べる機会を与える必要がある(789条799条810条
    会社は、1か月以上の期間を定めて、異議を述べることができる旨を官報に公告し、かつ、合併を知っている債権者には、各別催告しなければならない。
  5. 吸収合併の場合、合併契約で定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生する(750条1項)。
    新設合併の場合、会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(754条1項)

消滅会社合併により解散します(471条4号、641条5号)。この場合、消滅会社の権利義務は存続会社・設立会社に承継されるため、清算手続きは行いません475条1号、644条1項)。

合併無効の訴え

合併の効力を争うには、合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に、合併無効の訴えを提起することによってのみ行うことができます(828条1項7号8号)

被告

吸収合併の無効の訴えにおいては、吸収合併後存続する会社が被告となり、

新設合併の無効の訴えにおいては、新設合併により設立する会社を被告として訴えます(834条7号8号)。

合併無効の判決は、将来に向かって無効となります(839条)。

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組織変更

組織変更とは、株式会社を持分会社に変えたり、持分会社を株式会社に変えたりすることを言います(2条26号)。

組織変更の手続き

組織変更をする場合、下記流れに沿って行います。

  1. 組織変更計画を作成する(743条
  2. 効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該株式会社の総株主の同意(持分会社の場合、総社員の同意)を得なければならない(776条781条)。
  3. 会社債権者を保護するため、会社債権者の異議手続きを経る(779条781条2項)。
    →会社債権者は、会社に対し、組織変更について異議を述べることができる
  4. 組織変更の登記を行う(920条)。

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持分会社の設立の流れ、設立無効・設立取消しの訴え

持分会社とは、合同会社、合名会社、合資会社の3種類を指します。どれも持分会社です。

持分会社を設立する流れについて解説していきます。

持分会社を設立するには下記3つのステップを踏みます。

  1. 定款作成
  2. 出資
  3. 設立登記

1.定款作成

持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(575条1項)。

株式会社との違い

持分会社の場合、定款について公証人の認証は不要です。

2.出資

出資については、無限責任社員と有限責任社員によって異なります。

無限責任社員とは、会社に対して無限に責任を負う社員のことを言います。つまり、 会社が倒産し、さらに債務を会社の財産だけでは弁済できなかった場合、無限責任社員は自己の財産を使って弁済しなければなりません。一方、

有限責任社員とは、自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員のことを言います。つまり、会社が倒産し、会社に債務が残っていても、有限責任社員は、その残債について責任を負わなくても大丈夫です。

無限責任社員 金銭だけでなく、労務、信用で出資してもよい
有限責任社員 金銭等の出資に限られ、労務や信用で出資はできない

持分会社の社員の違い

合同会社 有限責任社員のみ
合名会社 無限責任社員のみ
合資会社 無限責任社員と有限責任社員が混在

出資の時期

合名会社合資会社については、社員の出資の時期について制限はありません。一方、

合同会社については、社員になろうとするものは、定款作成後、合同会社の設立登記の時までに、その出資額の全額を払込みまたは給付しなければなりません(578条)。

上記の違いは、合名会社や合資会社の社員は無限責任社員がいるため、万一会社が倒産等しても、会社債権者は、無限責任社員に対して弁済を求めることができます。一方、合同会社の場合、社員は全員、有限責任社員なので、会社が倒産しても有限責任社員に対して請求をすることができません。そのため、設立登記までに全額払込みをさせるルールになっています。

3.設立行為

持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(579条)。

持分会社の設立無効の訴え

設立無効の原因がある場合、株式会社同様、設立無効の訴えにより設立無効を主張できます(828条1項)。

株式会社の設立無効の訴えはこちら>>

持分会社の設立取消しの訴え

持分会社には、設立取消しの訴えという独自の制度があります(832条)。これは、株式会社にはありません

設立取消しの原因となるのは下記2つです。

  1. 社員が民法などの法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき
  2. 社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したとき

そして、1の場合、当該社員が設立取消しを主張でき、2の場合、債権者が設立取消を主張できます。

設立取消しの訴えは、持分会社の成立の日から2年以内に、行う必要があります。

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