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株主総会の決議(普通決議・特別決議・特殊決議)

株主総会における決議は、決議する内容の重要性によって、普通決議、特別決議、特殊決議の3つに分かれます。

決議要件

普通決議 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決議
特別決議 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
特殊決議 議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

普通決議

会社法または定款で特別な定めがない場合は、この普通決議により議決します。

言い換えると、特別決議や特殊決議以外のものが普通決議ということです。

普通決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決議します。

そして、普通決議の定足数は、定款により、引き下げたり、排除することができます。つまり、議決しやすくすることができるということです。

ただし、役員(取締役、会計参与、監査役)の選任・解任決議については、定足数を総株主の議決権の3分の1未満に引き下げることはできません341条)。

定足数とは、株主総会を開いて、議決するために必要な、最小限度の出席人数です。憲法における国会部分でも勉強した定足数と同じ内容です。

特別決議

特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数で決議します。

特別決議となること議題は、行政書士試験で出題されそうなものに絞って下記に列挙しました。

  1. 譲渡制限株式の買取決議140条2項)
  2. 特定の株主から自己株式を取得する旨、その条件の決定156条1項)
  3. 全部取得条項付種類株式の取得の決議171条1項)
  4. 株式の併合の決議180条2項)
  5. 募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)199条2項、238条2項
  6. 募集株式の第三者割当の場合の有利発行199条2項、309条2項5号
  7. 募集株式・募集新株予約権の募集事項の決定を「取締役等に委任」する決議200条1項、309条2項5号)
  8. 「累積投票で選任された取締役」「監査役」を、解任する決議342条3~5項、339条
  9. 非公開会社において、新株予約権付社債を発行する決議248条
  10. 役員等の損害賠償責任を一部免除する決議425条1項)
  11. 資本金を「減少」する決議447条1項)
  12. 金銭以外の財産を配当し、かつ、金銭分配請求権を与えないこととする場合454条4項)

譲渡制限株式の買取決議

株式会社は、譲渡制限付株式の譲渡について承認するよう請求を受けた場合において、譲渡の承認をしない旨の決定をしたときは、譲渡制限株式を買い取らなければなりません

この場合においては、下記事項を定めなければならないのですが、下記事項を決定するには、株主総会の特別議が必要です。

  1. 譲渡制限株式を買い取る旨
  2. 株式会社が買い取る対象株式の数

特定の株主から自己株式を取得する旨、その条件の決定

株式会社が特定の株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の特別決議によって、下記事項を定めなければなりません。

  1. 取得する株式の数
  2. 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額
  3. 株式を取得することができる期間(1年以内で定めること)

全部取得条項付種類株式の取得の決議

全部取得条項付種類株式を発行した種類株式発行会社は、株主総会の特別決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができます。

株式の併合の決議

株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の特別決議によって、下記事項を定めなければなりません。

  1. 併合の割合
  2. 株式の併合がその効力を生ずる日
  3. 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類

募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)

株式会社は、その発行する「株式」又は「その処分する自己株式」「新株予約権」を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、一定事項を定めなければなりません。
そして、当該株式会社が非公開会社の場合、募集事項の決定は、株主総会の特別決議によらなければなりません。

※公開会社の場合、取締役会の決議で行えます。

募集株式の発行の手続きはこちら>>

募集株式の第三者割当の場合の有利発行

募集株式について第三者割当を行う場合、公開会社であれば、原則、取締役会決議で行えます。ただし、有利価格での発行には株主総会の特別決議が必要です。

募集株式・募集新株予約権の募集事項の決定を「取締役等に委任」する決議

株主総会の特別決議により、上記「募集株式、新株予約権の募集事項の決定」について取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができます。

「累積投票で選任された取締役」「監査役」を、解任する決議

累積投票の解説はこちら>>

「累積投票で選任された取締役」または「監査役」を、解任する場合、株主総会の特別決議が必要です。

非公開会社において、新株予約権付社債を発行する決議

新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用されます。

したがって、上記「募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)」の通り、株主総会の特別決議により、募集事項を決定して発行できます。

役員等の損害賠償責任を一部免除する決議

役員等の任務懈怠責任について、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から一定金額を控除して得た額(差し引いた額)を限度として、株主総会の特別決議によって免除することができます。

資本金を「減少」する決議

株式会社は、株主総会の特別決議により資本金の額を減少させることができます。

金銭以外の財産を配当し、かつ、金銭分配請求権を与えないこととする場合

金銭分配請求権を与えず、金銭以外の財産(現物配当:例えば商品券)で配当する場合、株主総会の特別決議が必要です。

特殊決議

特殊決議については、決議要件の違いにより、下記2つのパターンがあります。

議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議
総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

①議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議

  1. 全部の株式に譲渡制限をかける旨の定款変更
  2. 吸収合併契約等の承認
    ※吸収合併消滅会社・株式交換完全子会社が公開会社で、対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該会社の吸収合併契約・株式交換契約の承認(783条1項)
  3. 新設合併契約等の承認
    ※新設合併消滅会社・株式移転完全子会社が公開会社で、対価の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該会社の新設合併契約・株式移転計画の承認(804条1項)

②総株主の半数であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議

非公開会社における株主ごとに異なる権利内容を設ける場合(109条2項)の定款変更(当該定款の定めを廃止するものを除く)

<<累積投票とは?(取締役の選任) | 株主総会の決議取消しの訴え、決議無効確認の訴え、決議不存在確認の訴え>>

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