商法・会社法の無料テキスト

支配人・表見支配人

支配人とは?

支配人とは、商人や会社に代わって、裁判上および裁判外の営業・人事等の一切の事を取りしきる権限を持つ者です。

支配人の選任

商法第20条(支配人)
商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。

会社法第10条
会社(外国会社を含む。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。

そして、商人・会社は、支配人を選任して、その営業所(本店や支店)において、その営業・事業を行わせることができます。そして、会社が支配人を選任したときはその旨の登記をしなければなりません。

支配人の代理権

商法第21条(支配人)
支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
会社法11条も同様の規定になっています。

支配人は、商人・会社の代わりに営業・事業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限があります。

支配人は、裁判に関する権限も有しているので注意しましょう!

また、支配人の代理権に制限を加えたとしても、善意の第三者に対抗することはできません。例えば、「支配人は、建物の賃貸借契約を締結できない」と商人や会社と取り決めをしていたとしても、建物賃貸借契約の相手方がそのことを知らずに契約したのであれば、この契約は有効ということです。

支配人の競業の禁止

商法第23条(支配人の競業の禁止)
支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。

  1. 自ら営業を行うこと。
  2. 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
  3. 他の商人又は会社若しくは外国会社の使用人となること。
  4. 会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。

2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

支配人は、原則、上記1~4の内容を行ってはいけません。ただし、例外として、商人の許可を受けた場合は、行ってもよいです。

2は、競業避止義務といい、例えば、商人Aがホームページの作成事業を行っており、使用人BはAに雇われていた。使用人Bは、自らホームページ作成事業を立ち上げたり、他のホームページ作成業者Cに就職して、営業を行ったりしてはいけない、ということです。

また、支配人が、上記に競業避止義務に違反した場合、「支配人が得た利益」又は「第三者が得た利益」の額が損害額と推定され、損害賠償請求の対象となります。

つまり、上記事例で、使用人Bがホームページ作成業者を立ちあげて1000万円の利益をあげたら、商人Aは1000万円の損害賠償請求をBに対して行えます。

表見支配人

表見支配人とは、分かりやすくいうと、商業使用人のうち、支配人ではないが、支配人であるかのような肩書きを与えられている使用人のことを言います。

商法第24条(表見支配人)
商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

上記「商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称」とは、例えば「支配人・支店長・営業所長」等です。支配人ではないけど、上記のような名刺を持っていた場合、そのものは支配人とみなして、一切の裁判外の行為ができます。この者を表見支配人と言います。

ただし、取引の相手方が、実際は支配人でないことを知って(悪意)、取引した場合は、この取引は有効とはなりません

言い換えると、裁判外の行為に関しては、善意の相手方に対しては支配人と同一の権限を有するものとみなされます。

支配人と表見支配人の権限の違い

上記の通り、
支配人は、裁判上の行為も行えますが、
表見支配人は裁判上の行為は行えません

<<名板貸 | 商行為の代理と委任>>

名板貸

名板貸とは、ある商人(名板貸人)が、他の商人(名板借人)に自分の商号を使って営業または事業を行うことを許諾することを言います。

読み方は下記の通りです。

名板貸人:ないたがしにん
名板借人:ないたがりにん


名板貸の成立要件

名板貸が成立するには、下記3つを満たす必要があります。

  1. 名板借人が名板貸人の商号を使用すること(外観の存在)。
  2. 名板貸人が名板借人に商号の使用を許諾したこと(帰責事由)
  3. 第三者の誤信(相手方の信頼)

例えば、名板貸Aが、名板借人Bに、Aの商号使用を許諾をしたとします。
そして、BがAの商号を使って、Cと契約しました。
Cが、BをAと勘違いして契約した場合、名板貸が成立するこということです。

より細かく要件を見ていきます。

1について、名板貸人と名板借人は営業の同種性が必要です。(最判昭43.6.13)
つまり、名板貸人Aが飲食業を行っていて、名板借人が運送業を行っていては要件を満たさないということです。

2について、商号使用の許諾は、黙示の許諾であっても構いません。
客観的に見て許諾したように見える場合も許諾したことになる、ということです。

3について、取引相手が、善意無過失で、名板貸人と契約したと勘違いしたことが必要です。

では、名板貸が成立するとどうなるか?

名板貸人の責任

まず、名板借人Bと相手方Cとで契約した場合、名板借人Bと相手方Cとの間で契約が成立したことになります。

つまり、名板借人Bは取引における債務を負います。

また、名板貸人は、自己の商号を使って名板借人が行った「取引による債務」について、名板借人と連帯して責任を負います

つまり、名板貸人Aも名板借人Bも取引における債務を負うということです。

名板貸人の責任の範囲

取引による債務の範囲ですが、下記も責任の範囲内として責任を負います。

  • 名板借人の債務不履行による損害賠償債務
  • 契約解除による原状回復義務
  • 手付金返還義務

一方、名板借人Bの不法行為による損害賠償債務は、原則、名板貸人の責任の範囲外で、責任を負わなくてもよいです。
ただし、名板借人Bの詐欺的行為の場合は、名板貸人の責任の範囲内として責任を負います。

<<商号(商号の選定、登記、譲渡) | 支配人・表見支配人>>

商号(商号の選定、登記、譲渡)

商号とは、商人が営業上、自己を表示するために用いる名称を言います。

会社の場合は、法人名(会社名)が商号で、
個人の場合は、法人名がありません。そのため、営業上用いる名前が商号です。

イメージとしては、個人事業主(個人商人)が、その事業を行うために使う名称で、例えば、あなたが、蕎麦屋を開こうと思い、会社にせずに個人事業をして行おうとしました。その際に、商号として「そば処やすらぎ」といった名称を付けたりします。これを登記すれば「商号」となり、登記をせずに、「屋号」として使うこともできます。

商号選定の自由の原則

商法第11条(商号の選定)
商人は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。

原則、上記の通り、商人は、自分の名前を商号とすることができます。また、その他自由に商号を選ぶことができます。

また、個人商人の場合は、複数の営業を営むことができ、複数の商号を使用することができます。

ただし、何でもよいというわけではありません。一定のルールがあります。

例えば下記のような制限(例外)があります。

  • 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない(会社法6条2項)
  • 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。(会社法6条3項)
  • 個人商人は、商号中に会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない(会社法7条
  • 不正の目的をもって、他の商人または他の会社と誤認させる商号を使用してはならない(商法12条会社法8条
  • 〇〇銀行、〇〇信用金庫いった商号を付けることはできない。

商号の登記

個人商人の場合、その商号を登記してもよいし、しなくてもよい(任意)(商法11条2項)。

商号の譲渡

商法第15条(商号の譲渡)
商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

商号は、①営業とともに譲渡する場合、または、②営業を廃止する場合いずれかの場合に限って譲渡できます

つまり、商号だけ譲渡して、営業(事業)は譲渡しない、ということはできません。

また、登記をしなければ、第三者に対抗することはできません第三者の善意・悪意は関係ないです。

<<「商法の概要」と「商人・商行為」 | 名板貸>>

「商法の概要」と「商人・商行為」

商法とは?

ここから商法を学んでいくのですが、商法とはいったいどのような法律なのか?これは、商法の1条の趣旨を見ると分かります。

商法第1条
商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
2 商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる。

上記1条から、商法は「商人の営業、商行為その他商事」について定めた法律であることが分かります。

そして、1項で重要な内容は、「商人」と「商行為」です。
「商人」については、このページで解説し、
「商行為」については、次のページで解説します。

「商事」とは、商業・商売に関する事といたイメージで大丈夫です。

商法と民法の関係

2項では、商事については、まず初めに、商法を適用し、商法に定められていない場合、商慣習に従い、商慣習もない場合に、民法を適用するということになっています。

つまり、優先順位が高い方から、

商法>商慣習>民法

ということになります。

商法が民法の特別法であることを考えれば、必然と、商法が優先して適用されることは分かるでしょう。

商法の適用

  1. 当事者双方にとって商行為である行為(双方的商行為
  2. 当事者の一方にとってだけ商行為である行為(一方的商行為

上記1、2どちらであっても商法が適用されます。

つまり、「消費者―商人」との契約でも商法が適用されるわけです。

商人とは?

商法第4条
この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることをとする者をいう。

上記の通り、「商人」とは、自己の名をもって商行為を業として行う者ですが、「自己の名をもって」および「業」とはどういうことか?

「自己の名をもって」とは?

この点について、判例では、下記のように言っています。

自己の名をもってとは、自己が法律上の商行為から生ずる権利義務の帰属主体になることを言います。(大判大8.5.19)

例えば、Aが、ビールメーカーBからビールを1ケース購入する契約をしたとします。
この場合、
「法律上の商行為」=「ビール1ケースを購入する契約」
「権利義務」=「ビール1ケースを引き渡してもらえる権利」「代金を支払う義務」
「帰属主体」=A(Aが上記権利義務を負う)

つまり、Aは自己の名をもって、商行為を行ったということです。

また、その者自身が現実に営業活動をする必要はなく、他人に実行させることもできます。例えば、Aの従業員が行っても、Aは商人として、商行為をしていることになるわけです。

業とは?

とは、営利目的で、同種の業務を、反復的かつ継続的に行うことを言います。

例えば、上記Aの事例でいうと、「Aが、繰り返しビールの仕入れを行うこと」は業に当たるということです。

単に、自分が飲むためにビール1ケースを買ったとしても、それは業ではありません。

擬制商人とは?

擬制商人とは、上記4条2項に規定されている内容です。

店舗その他これに類似する設備によって、
「①物品を販売することを業とする者」又は「②鉱業を営む者」は、
商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなされます。

店舗その他これに類似する設備

店舗その他これに類似する設備とは、例えば、自分の畑で採れた野菜を、その畑の端でテントを張って販売する場合の「テント張りの販売店」がこれに当たります。

商人資格の取得

自然人(ヒト)の場合、特定の営業を開始する目的で準備行為をした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものであり、これにより商人である資格を取得します。(最判昭33.6.19)

例えば、不動産会社を始めようと思って、営業車を購入することは、準備行為に当たります。

そして、営業の準備行為は、相手方だけでなく、それ以外の者にも、客観的に開業準備行為を認められるものであることが必要です。(最判昭47.2.24)

未成年者、成年被後見人が商人として営業を行うときは、登記が必要です。

商人資格の喪失

自然人は、営業目的行為の終了時でなく、残務処理の終了時に商人資格を失います

小商人

小商人とは、商人のうち、営業の用に供する財産につき最終の営業年度に係る貸借対照表(最終の営業年度がない場合にあっては、開業時における貸借対照表)に計上した額が、50万円を超えないものをいいます。

商行為

商行為には、大きく分けて①絶対的商行為、②営業的商行為、③附属的商行為の3つに分けることができます。

先にポイントだけまとめると下表のとおりです。

絶対的商行為 営業としてしたか否かを問わず、商行為となる
商人ではない者が、1回だけ行った場合でも、商行為となる
営業的商行為 営利目的かつ反復継続して行うことで初めて商行為となる
附属的商行為 前提として「商人の行為」である
営業開始前であっても、商人資格を取得したとされれば、開業準備行為も商行為となる

絶対的商行為

絶対的商行為とは、行為自体の客観的性質によって商行為とされる行為を言います。

行為自体に営利性が強いので、営業としてしたか否かを問わず、商行為とされます。

この絶対的商行為は、商人ではない者が、1回だけ行った場合でも、商行為として商法が適用されます。

例えば、下記のようなものが絶対的商行為に当たります。

商法第501条(絶対的商行為とは?)
次に掲げる行為は、商行為とする。

  1. 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
  2. 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為
  3. 取引所においてする取引
  4. 手形その他の商業証券に関する行為

1については、高く売る目的で、安く買う行為や、安く買ったものを高く売る行為です。

2については、先に高く売っておいて(売る契約をしておく)、その後、安く買う行為

3については、証券取引所や商品取引所での、有価証券や商品の取引(トレーダーと呼ばれる人)

4については、手形を振出したり、裏書をする行為(製造業者がよく行う行為ですが、分からなくても大丈夫です。)

営業的商行為

営業的商行為は下記のような行為ですが、営利目的反復継続して行うことで初めて商行為となります。

下記内容をさらっと読めばある程度は分かると思います。細かい理解までは不要です。

商法第502条(営業的商行為とは?)
次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。

  1. 賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
  2. 他人のためにする製造又は加工に関する行為
  3. 電気又はガスの供給に関する行為
  4. 運送に関する行為
  5. 作業又は労務の請負
  6. 出版、印刷又は撮影に関する行為
  7. 客の来集を目的とする場屋における取引
  8. 両替その他の銀行取引
  9. 保険
  10. 寄託の引受け
  11. 仲立ち又は取次ぎに関する行為
  12. 商行為の代理の引受け
  13. 信託の引受け

附属的商行為

附属的商行為とは、商人がその営業のためにする補助的行為を言います。

前提として、「商人の行為」であることが必要ですが、営業開始前であっても、商人資格を取得したとされれば、開業準備行為も、商人の最初の附属的商行為となります。

例えば、不動産会社を経営するために、事務所(ビルの1室)を借りる行為も附属的行為です。

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平成21年・2009|問16|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。

イ.国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は、当該行政庁である。

ウ.国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は、当該行政庁である。

エ.国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は、当該行政庁である。

オ.国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、当該行政庁である。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
ア.国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。
ア・・・正しい
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する「国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項)。よって、本肢は正しいです。
イ.国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は、当該行政庁である。
イ・・・誤り
「不作為の違法確認訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

ウ.国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は、当該行政庁である。
ウ・・・誤り
「義務付け訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

エ.国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は、当該行政庁である。
エ・・・誤り
「差止め訴訟」でも、「取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条1項)」が準用されます(行政事件訴訟法38条1項)。したがって、被告は国です。

よって、誤りです。

オ.国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、当該行政庁である。
オ・・・正しい
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条2項)。よって、本肢は正しいです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

商法・会社法の無料テキスト|行政書士

行政書士試験の無料テキスト(商法)

商法

行政書士試験の無料テキスト(会社法)

株式会社の設立

株式

株式会社の機関

株式会社の計算

持分会社

組織再編

 

社債

社債とは、会社法では、「会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、会社法の定めに従い償還されるものをいう(2条23号)」と定義づけられています。 社債を分かりやすく言えば、会社が一般公衆から広くお金を借り入れて、一定期間経過後に債権者に返済する(償還する)というものです。 つまり、社債=会社に対してお金を貸した貸付債権とも言えます。

株式と社債の違い

株式を発行する場合も、社債を発行する場合も、どちらもお金を調達するために使います。 しかし、違いもあります。

地位の違い

株式の場合、会社の社員たる地位(オーナー)であるのに対し 社債の場合、会社の債権者です。

株主総会における議決権

株主(株主を有する者)は、株主総会で議決権を行使して、経営にかかわることもできますが 社債権者(社債を有する者)は、そのような権利はありません。

出資金の払い戻し

株主は、会社が存続している間は、原則として会社から出資の払い戻しを受けることができません。 社債権者は、あらかじめ決められた期間(償還期間)が到来すると、その払い戻しを受けることができます。

配当と利息

株主は、剰余金の配当決議があって初めて配当を受けることができます。(剰余金がない場合、無配当の場合もある) 社債権者は、剰余金の有無にかかわらず、あらかじめ定められた額の利息の支払いを受けることができる。

発行限度

株式は、公開会社では発行可能株式総数は発行済株式の4倍以下でないといけません。非公開会社ではそのような制限はありません。 社債は、発行限度はないので、どれだけでも発行して借入ができます。

分割払込み

株式は分割して払込むことは認められていません。 社債は、払込は、全額の払込が原則ですが、分割して払込む方法を定めることも可能です。

社債の発行の手続き

社債を発行する場合、会社は、募集社債に関する下記事項を決定しなければなりません。 この募集社債に関する決定は、業務の執行にあたるため、取締役が決定します(取締役会設置会社では取締役会の決議による)(348条362条4項5号)。
  1. 募集社債の総額
  2. 各募集社債の金額
  3. 募集社債の利率
  4. 償還方法
  5. 償還期限等

新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、新株予約権がついた社債で、「社債の堅実性」と「株式の投機性」の両方を併せ持ちます。 どういうことかというと、会社の業績が悪い時は社債として持っておき、利息を確実にもらっていきます。その後、業績が上がって、株価も上昇したのであれば、新株予約権を行使して、株主になり、その後株式を売却して売却益を得るということも可能です。 行政書士のポイントとしては、下記事項です。
  1. 新株予約権と社債を分離していずれか一方を譲渡することはできません。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡できます(254条2項3項)。
  2. 新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用される(248条)。つまり、原則として、公開会社では取締役会の決議で、非公開会社では株主総会の特別決議で募集事項を決定します。

社債管理者

会社は、社債を発行する場合には、原則、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(702条1項)。 社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。(705条1項) <<新株予約権 | 株主総会の権限と招集>>