仲立人・代理商・問屋の比較表(定義・権限・報酬・競業避止)
仲立人・代理商・問屋は、いずれも他人の取引に関与する商人ですが、権限の範囲や義務の有無が異なります。以下の表で、定義・権限・報酬請求権・競業避止義務の4つの観点から整理します。
| 仲立人 | 代理商 | 問屋(といや) | |
|---|---|---|---|
| 定義 | 他人間の商行為の媒介を業とする者(商法543条) | 特定の商人のために継続的に取引の代理または媒介を業とする者(商法27条) | 自己の名で他人のために物品の販売・買入を業とする者(商法551条) |
| 権限 | 媒介のみ(代理権なし) | 代理権または媒介権 | 取次権(自己の名で契約締結) |
| 報酬請求権 | あり(当事者双方に請求可・商法550条) | あり(商法512条) | あり(商法512条) |
| 競業避止義務 | なし | あり(商法28条・本人の許可なく同種の営業を行えない) | なし |
特に試験で問われやすいのは、競業避止義務は代理商のみに課される点です。代理商は特定の商人と継続的な関係にあるため、競業が制限されます。一方、仲立人と問屋は不特定の者のために活動するため、この義務はありません。
仲立人、問屋、代理商の違い
先に、仲立人、問屋、代理商の違いの表を示して、あとで細かく解説していきます。
| 仲立人 | 代理商 | 問屋 | |
|---|---|---|---|
| 営業の種類 | 媒介 | 媒介・代理 | 取次 |
| 契約相手(依頼者) | 不特定 | 特定 | 不特定 |
| 権利義務の帰属 | 帰属しない | 帰属しない | 帰属する |
仲立人
商法第543条(仲立人)
仲立人とは他人間の商行為の媒介を為すを業とする者をいう。
- 仲立人は、媒介(仲介)するだけで、当事者となって契約することはしません。
分かりやすく言えば、Aさんがモノを買うために、仲立人が媒介を行った場合、代金を支払う義務はAさんにあり、仲立人は支払い義務を負わないということです。
つまり、権利義務の主体はAさんにあり、仲立人は権利義務の主体ではないということです。 - 仲立人は、不特定多数の商人と媒介契約をすることができます。
仲立人の具体例
- 顧客とホテルや旅館の仲を取り持つ旅行業者
- 顧客と不動産オーナーとの仲を取り持つ不動産仲介業者
代理商
代理商とは、特定の商人のために,継続的にその営業の部類に属する取引の「代理または媒介」をなすことを業とする者を言います。
- 代理商は、取引の代理を業とする締約代理商と、媒介を業とする媒介代理商とがある。代理商は、媒介または代理をするだけなので、権利義務の主体にはなりません。分かりやすく言えば、Aさんがモノを買うために、代理商が媒介や代理を行った場合、代金を支払う義務はAさんにあり、代理商は支払い義務を負わないということです。
- 代理商は特定の商人と代理商契約(媒介もしくは代理)を締結する。
代理商の具体例
- 保険代理店
仲立人と代理商の違い
仲立人は、不特定多数の商人等のために活動する者で
問屋(といや)
商法第551条(問屋)
問屋とは自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入を為すを業とする者をいう
- 問屋は、他人のために、自分が売主・買主となって取引を行います。そのため、例えば、Aのために問屋がモノを買った場合、支払い義務は問屋が負います。つまり、権利義務の主体は問屋になるということです。
- 問屋は、不特定多数の者のために取引を行える。
問屋の具体例
- 証券会社(顧客の依頼で、証券市場で株式の売買をする)
問屋(とんや)と問屋(といや)の違い
問屋の読み方は「といや」です。
一般的に知られている「問屋:とんや」とは、違います。一般的な「とんや」は、卸売業を行っている者を言います。例えば、おもちゃ問屋とかです。これらの「とんや」は「といや」ではありません。
法律的にみれば,自己の名で売買をするのは共通しますが、取引の損益が誰に帰属するかが異なります。
「とんや」の場合、とんやAが、商品をBから100円で仕入れて、それをCに120円で売ったとすると、問屋は20円の利益を得ます。これは、他人のために物品を売っているわけではありません。自分のために売ったり買ったりしています。
一方、「といや」の場合、といやD(証券会社)が、委託者Eから、120円で売るよう頼まれて、といやD(証券会社)名義で、それをFに売ります。この場合、といやD(証券会社)は、委託者Eから手数料をもらいます。言い換えると、問屋(といや)は取次を行っています。
外部アクセスの許可が得られないため、過去問ページの正確なURLを確認できません。 厳守事項に従い、**URLを推測して組み立てることはしない**ため、リンクなし(テキストのみ)で過去問への誘導セクションを作成します。過去問の出題年度や問題番号は商法の一般知識として確実なものを記載します。仲立人・代理商・問屋に関する過去問で知識を確認しよう
仲立人・代理商・問屋の分野は、行政書士試験の商法で繰り返し出題されています。以下のポイントが過去問で問われやすいため、学習後に必ず過去問演習で定着させましょう。
- 競業避止義務の有無:「仲立人・問屋にも競業避止義務がある」とするひっかけ選択肢が頻出です。競業避止義務が課されるのは代理商のみ(商法28条)である点を、過去問を通じて正確に押さえましょう。
- 権利義務の帰属先:問屋は「自己の名で」契約するため権利義務が問屋自身に帰属しますが、仲立人・代理商には帰属しません。この違いを問う出題では、条文(商法551条)の文言が選択肢にそのまま使われることがあります。
- 報酬請求権の根拠条文:仲立人の報酬請求権は商法550条、代理商・問屋は商法512条(商人の報酬請求権)が根拠です。条文番号まで含めて問われることがあるため、過去問で出題パターンを確認しておくことをおすすめします。
商法の過去問は同じ論点が形を変えて繰り返し出題される傾向があります。上記の比較表と照らし合わせながら過去問を解くことで、本試験での得点力が大きく向上します。
関連テーマ:商法総則で押さえておきたい論点
仲立人・代理商・問屋の理解を深めるために、商法総則の以下のテーマもあわせて学習しましょう。それぞれの制度が商法全体のなかでどのように位置づけられるかを把握することで、試験本番での横断的な出題にも対応できます。
- 商人と商行為の分類:絶対的商行為・営業的商行為・附属的商行為の区別は、仲立人や問屋がなぜ「商人」にあたるかの前提知識になります。
- 商業使用人(支配人):支配人にも競業避止義務が課されており、代理商との比較で出題されることがあります。両者の義務の根拠条文と範囲の違いを整理しておきましょう。
- 商事売買の特則:問屋が行う売買には商事売買の規定が適用されます。買主の検査通知義務(商法526条)や確定期売買の解除(商法525条)は頻出論点です。
- 匿名組合:匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を負わない点で、問屋の法律関係と対比して理解すると効果的です。
- 商号・商業登記:商人として活動する際の商号選定ルールや登記の効力は、商法総則の基本事項として必ず確認しておきましょう。
これらのテーマは単独でも出題されますが、本記事の仲立人・代理商・問屋と比較する形で問われることも多いため、横断的に整理しておくことが合格への近道です。












