令和4年度(2022年度)過去問

令和4年・2022|問3|憲法

表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。

公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

(最一小判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁)

  1. XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。
  2. Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。
  3. 作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。
  4. 新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。
  5. A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

(※)公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

上記文章は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

そして、この問題は、実際、細かい判例を知らなくても、読解力があれば、解けてしまう問題です。
ほとんど、法律知識がなくても解けます。

つまり、それだけ「読解力」が重要です。

私自身、小中高校と国語だけは偏差値40位でしたら、それでも読み方(勉強の仕方)を身につけることで、行政書士試験レベルであれば、理解できるようになりました

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1.XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。

1・・・妥当ではない

本肢は、「Xは、B市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された」と書いてあります。「B市の施策を批判」しているのであって、「公務員の地位における行動について批判」しているわけではありません。

よって、本肢は「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないので妥当ではないです。

2.Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。

2・・・妥当ではない

本肢は、「Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道した」と書いてあります。
つまり、「宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判」しているのであって、「公務員の地位における行動について批判」しているわけではありません。

よって、本肢は「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないので妥当ではないです。

3.作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。

3・・・妥当ではない

問題文(※)は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

もっと分かりやすく言えば、
「公務員の行動について批判・論評を行う行為が、不法行為に当たらない場合」に関する記述です。

本肢は「作家Yの行為について、プライバシー侵害(不法行為)に当たるかどうか」の話です。
「公務員の行動について批判・論評を行う行為」ではないので、「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないです。

よって、妥当ではないです。

4.新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。

4・・・妥当ではない

新聞記者Xが、公務員Aをそそのかしたことで起訴された内容(国家公務員法111条における秘密漏示そそのかし罪)です。

つまり、「上記(※)の判断基準が想定している事例」とは内容が異なります。

問題文(※)は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

もっと分かりやすく言えば、
「公務員の行動について批判・論評を行う行為が、不法行為に当たらない場合」に関する記述です。

本肢は、「新聞記者Xのそそのかし行為が、国家公務員法111条における秘密漏示そそのかし罪に当たる」として起訴されているので、内容が異なります。

5.A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。

5・・・妥当

「市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布した」というのは、「公務員の行動について批判・論評を行う行為」です。

これについて、「教員Xが市民Yに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴している」ので、
本問の(※)の事例として適切です。

なぜなら、「市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布した」行為について、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合だからです。

このように、本肢の内容に対して、問題文の(※)を対応させれば、内容がつながります。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問21|国家賠償法

国家賠償法2条1項に基づく国家賠償責任に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解されるが、具体的に道路の設置または管理につきそのような瑕疵があったと判断するにあたっては、当該第三者の被害について、道路管理者において回避可能性があったことが積極的要件とされる。

イ.営造物の供用が第三者に対する関係において違法な権利侵害ないし法益侵害となり、当該営造物の設置・管理者が賠償義務を負うかどうかを判断するにあたっては、侵害行為の開始とその後の継続の経過および状況、その間に採られた被害の防止に関する措置の有無およびその内容、効果等の事情も含めた諸要素の総合的な考察によりこれを決すべきである。

ウ.道路等の施設の周辺住民からその供用の差止めが求められた場合に差止請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素は、周辺住民から損害の賠償が求められた場合に賠償請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素とほぼ共通するが、双方の場合の違法性の有無の判断に差異が生じることがあっても不合理とはいえない。

エ.営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解すべきであるが、国営空港の設置管理は、営造物管理権のみならず、航空行政権の行使としても行われるものであるから、事理の当然として、この法理は、国営空港の設置管理の瑕疵には適用されない。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:3(イ・ウが妥当)

【解説】

ア.営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解されるが、具体的に道路の設置または管理につきそのような瑕疵があったと判断するにあたっては、当該第三者の被害について、道路管理者において回避可能性があったことが積極的要件とされる。

ア・・・妥当ではない

本肢は前半部分は妥当ですが、後半部分の「道路管理者において回避可能性があったことが積極的要件とされる」が妥当ではありません。
下記判例では、「道路管理者において回避可能性があったことが積極的要件とされるものではない」としています。

国家賠償法2条1項

  1. 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、この賠償責任を負う。
  2. 前項の場合において、他に損害の原因について責任を負う者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
【判例:最判平7.7.7】 国家賠償法2条1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態、すなわち他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいうのであるが、これには営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含むものであり、・・・・
(中略)
国家賠償法2条1項は、危険責任の法理に基づき被害者の救済を図ることを目的として、国又は公共団体の責任発生の要件につき、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときと規定しているところ、所論の回避可能性があったことが本件道路の設置又は管理に瑕疵を認めるための積極的要件に
なるものではないと解すべきである。

分かりづらい部分なので、かみ砕いた解説は、個別指導で行います。

こういった部分をしっかり理解していくことが合格するために重要な要素となります!

イ.営造物の供用が第三者に対する関係において違法な権利侵害ないし法益侵害となり、当該営造物の設置・管理者が賠償義務を負うかどうかを判断するにあたっては、侵害行為の開始とその後の継続の経過および状況、その間に採られた被害の防止に関する措置の有無およびその内容、効果等の事情も含めた諸要素の総合的な考察によりこれを決すべきである。

イ・・・妥当

本肢は、下記判例の内容の通りです。よって、妥当です。

【判例:最大判昭56.12.16】 本件空港の供用のような国の行う公共事業が第三者に対する関係において違法な権利侵害ないし法益侵害となるかどうかを判断するにあたっては、上告人の主張するように、侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為のもつ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察してこれを決すべきものである。

詳細解説個別指導で行います!

判例はしっかり理解しておきましょう!

ウ.道路等の施設の周辺住民からその供用の差止めが求められた場合に差止請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素は、周辺住民から損害の賠償が求められた場合に賠償請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにあたって考慮すべき要素とほぼ共通するが、双方の場合の違法性の有無の判断に差異が生じることがあっても不合理とはいえない。

ウ・・・妥当

本肢は、下記判例の内容の通りです。よって、妥当です。

少しわかりづらいので、分かりやすい解説個別指導で解説します!

【判例:最判平7.7.7】 道路等の施設の周辺住民からその供用の差止めが求められた場合に差止請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにつき考慮すべき要素は、周辺住民から損害の賠償が求められた場合に賠償請求を認容すべき違法性があるかどうかを判断するにつき考慮すべき要素とほぼ共通するのであるが、施設の供用の差止めと金銭による賠償という請求内容の相違に対応して、違法性の判断において各要素の重要性をどの程度のものとして考慮するかにはおのずから相違があるから、右両場合の違法性の有無の判断に差異が生じることがあっても不合理とはいえない

エ.営造物の設置または管理の瑕疵には、当該営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むものと解すべきであるが、国営空港の設置管理は、営造物管理権のみならず、航空行政権の行使としても行われるものであるから、事理の当然として、この法理は、国営空港の設置管理の瑕疵には適用されない。

エ・・・妥当ではない

本肢は、「国営空港の設置管理は、営造物管理権のみならず、航空行政権の行使としても行われるものであるから、事理の当然として、この法理は、国営空港の設置管理の瑕疵には適用されない。」が妥当ではありません。

下記判例の内容の通り、施設(空港)に危険性がなかった場合でも、限度を超える施設の利用があり、利用者や第三者が損害を受ける危険性があれば、国営空港の設置管理の瑕疵があることとなり、本肢は妥当ではありません。

【判例:最判昭56.12.16】 国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいう。そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によって一般的に右のような危害を生じさせる危険性がある場合のみならず、その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含む。また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者(周辺住民Xら)に対するそれをも含むものと解すべきである。

すなわち、当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵があるといえる


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問55|一般知識

次の文章の空欄[Ⅰ]~[Ⅴ]には、それぞれあとのア~コのいずれかの語句が入る。その組合せとして妥当なものはどれか。

人工知能(AI)という言葉は定義が難しく、定まった見解はない。しかしながら、人間が従来担ってきた知的生産作業を代替する機能を有するコンピュータを指していると考えたい。例えば、[ Ⅰ ]や[ Ⅱ ]、翻訳や文章生成、さまざまなゲームのプレイ、各種の予測作業においてAIが利用されていることはよく知られている。すでに、社会生活のさまざまな場面でAI技術の応用が見られており、[ Ⅰ ]技術を用いた例として文字起こしサービスが、[ Ⅱ ]技術を用いた例として生体認証がある。

AIの発展の第一の背景として、コンピュータが予測を行うために利用する[ Ⅲ ]が収集できるようになってきたことが挙げられる。第二に、コンピュータの高速処理を可能にする中央処理装置(CPU)の開発がある。第三に、新しいテクノロジーである[ Ⅳ ]の登場がある。従来の学習機能とは異なって、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて、その中からルールや相関関係などの特徴を発見する技術である。これは人間と同じ[ Ⅴ ]をコンピュータが行うことに特徴がある。さらに、この[ Ⅳ ]が優れているのは、コンピュータ自身が何度もデータを読み解く作業を継続して学習を続け、進化できる点にある。

ア.音声認識 イ.声紋鑑定 ウ.画像認識 エ.DNA鑑定 オ.ビッグデータ カ.デバイス キ.ディープラーニング ク.スマートラーニング ケ.帰納的推論 コ.演繹的推論
  1. Ⅰ:ア Ⅱ:ウ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:ケ
  2. Ⅰ:ア Ⅱ:ウ Ⅲ:カ Ⅳ:ク Ⅴ:ケ
  3. Ⅰ:ア Ⅱ:エ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:コ
  4. Ⅰ:イ Ⅱ:ウ Ⅲ:カ Ⅳ:ク Ⅴ:コ
  5. Ⅰ:イ Ⅱ:エ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:ケ

>解答と解説はこちら


【答え】:1 (Ⅰ:音声認識 Ⅱ:画像認識 Ⅲ:ビッグデータ Ⅳ:ディープラーニング Ⅴ:帰納的な推論)

【解説】

人工知能(AI)という言葉は定義が難しく、定まった見解はない。しかしながら、人間が従来担ってきた知的生産作業を代替する機能を有するコンピュータを指していると考えたい。例えば、[ Ⅰ:音声認識 ]や[ Ⅱ:画像認識 ]、翻訳や文章生成、さまざまなゲームのプレイ、各種の予測作業においてAIが利用されていることはよく知られている。すでに、社会生活のさまざまな場面でAI技術の応用が見られており、[ Ⅰ:音声認識 ]技術を用いた例として文字起こしサービスが、[ Ⅱ:画像認識 ]技術を用いた例として生体認証がある。

AIの発展の第一の背景として、コンピュータが予測を行うために利用する[ Ⅲ:ビッグデータ ]が収集できるようになってきたことが挙げられる。第二に、コンピュータの高速処理を可能にする中央処理装置(CPU)の開発がある。第三に、新しいテクノロジーである[ Ⅳ:ディープラーニング ]の登場がある。従来の学習機能とは異なって、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて、その中からルールや相関関係などの特徴を発見する技術である。これは人間と同じ[ Ⅴ:帰納的な推論 ]をコンピュータが行うことに特徴がある。さらに、この[ Ⅳ:ディープラーニング ]が優れているのは、コンピュータ自身が何度もデータを読み解く作業を継続して学習を続け、進化できる点にある。

人工知能(AI)という言葉は定義が難しく、定まった見解はない。しかしながら、人間が従来担ってきた知的生産作業を代替する機能を有するコンピュータを指していると考えたい。例えば、[ Ⅰ ]や[ Ⅱ ]、翻訳や文章生成、さまざまなゲームのプレイ、各種の予測作業においてAIが利用されていることはよく知られている。すでに、社会生活のさまざまな場面でAI技術の応用が見られており、[ Ⅰ ]技術を用いた例として文字起こしサービスが、[ Ⅱ ]技術を用いた例として生体認証がある。

Ⅰ・・・音声認識 / Ⅱ・・・画像認識

【Ⅰ】 人工知能(AI)使った「文字起こしサービス」とは、「音声認識」技術です。

人間の発話を記録した音声データに対して、コンピューターが「音」と「文字」とをパターンマッチングし、テキストに変換する技術をいいます。

「人間が行っている文字起こしをコンピューターが自動で行ってくれる技術」と考えるとわかりやすいでしょう。

【Ⅱ】 人工知能(AI)使った「生体認証」とは、「画像認識」技術です。

画像に映る人やモノを認識する技術で、「画像に何が写っているのか」を解析します。

「生体認証」とは、指紋や静脈、声など、身体の一部やそれに準ずる要素を使って本人を特定する仕組みで、「バイオメトリクス認証」とも呼ばれます。
あらかじめ個人を特定できる身体的または行動的な特徴を登録しておき、認証時に照合して本人かどうか判断します。

例えば、「指紋認証」では、センサーで指紋を読み取って画像データとして特徴を分析・登録します。認証時も同様にセンサーで指紋を読み取り、その特徴を登録されたものと比較して一致したら本人と判断します。

AIの発展の第一の背景として、コンピュータが予測を行うために利用する[ Ⅲ ]が収集できるようになってきたことが挙げられる。

Ⅲ・・・ビッグデータ
「目まぐるしく蓄積される、多種多様なデータ群」を「ビッグデータ」と言います。

そして、このビッグデータを効率良く分析するためにはAIの技術が必要です。

AIの技術を用いることで、そのようなビッグデータも効率良く整理・分析まで行うことができます。

例えば、ECサイトでの「購入履歴」や「顧客の属性データ」といったビッグデータを使って、個々人に対して「お勧め商品」を表示させるのもAI技術と言えます。

第三に、新しいテクノロジーである[ Ⅳ ]の登場がある。従来の学習機能とは異なって、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて、その中からルールや相関関係などの特徴を発見する技術である。これは人間と同じ[ Ⅴ ]をコンピュータが行うことに特徴がある。さらに、この[ Ⅳ ]が優れているのは、コンピュータ自身が何度もデータを読み解く作業を継続して学習を続け、進化できる点にある。

Ⅳ・・・ディープラーニング / Ⅴ・・・帰納的な推論

「従来の学習機能とは異なって、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解いて、その中からルールや相関関係などの特徴を発見する技術」これは、「ディープラーニング」です。

分かりやすく言うと、機械自身がデータを基にして、自分で学習する能力を持つことを実現させられる技術のことです。

そして、このディープラーニングは、「個別的事例」から「普遍的な法則」を見出そうとする論理的な推論に基づきます。

この「個別的事例」から「普遍的な法則」を見出そうとする論理的なプロセスを「帰納的な推論」と言います。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問51|一般知識

次の文章の空欄[ ア ]~[ カ ]に当てはまる国名の組合せとして、正しいものはどれか。

「国内総生産(GDP)」は、国の経済規模を表す指標である。GDPは一国内で一定期間に生産された付加価値の合計であり、その国の経済力を表す。それに対し、その国の人々の生活水準を知るためには、GDPの値を人口で割った「1人当たりGDP」が用いられる。

2022年4月段階での国際通貨基金(IMF)の推計資料によれば世界のなかでGDPの水準が高い上位6か国をあげると、[ ア ]、[ イ ]、[ ウ ]、[ エ ]、[ オ ]、[ カ ]の順となる。ところが、これら6か国を「1人当たりGDP」の高い順に並びかえると、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、インドの順となる。

  1. ア:アメリカ イ:日本 ウ:中国 エ:インド オ:イギリス カ:ドイツ
  2. ア:中国 イ:アメリカ ウ:日本 エ:イギリス オ:インド カ:ドイツ
  3. アメリカ イ:中国 ウ:日本 エ:ドイツ オ:インド カ:イギリス
  4. ア:中国 イ:アメリカ ウ:インド エ:イギリス オ:ドイツ カ:日本
  5. ア:アメリカ イ:中国 ウ:インド エ:日本 オ:ドイツ カ:イギリス

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:アメリカ イ:中国 ウ:日本 エ:ドイツ オ:インド カ:イギリス

【解説】

「国内総生産(GDP)」は、国の経済規模を表す指標である。GDPは一国内で一定期間に生産された付加価値の合計であり、その国の経済力を表す。それに対し、その国の人々の生活水準を知るためには、GDPの値を人口で割った「1人当たりGDP」が用いられる。

2022年4月段階での国際通貨基金(IMF)の推計資料によれば世界のなかでGDPの水準が高い上位6か国をあげると、[ ア:アメリカ ]、[ イ:中国 ]、[ ウ:日本 ]、[ エ:ドイツ ]、[ オ:インド ]、[ カ:イギリス ]の順となる。ところが、これら6か国を「1人当たりGDP」の高い順に並びかえると、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、インドの順となる。

2022年4月段階での世界のGDPの水準が高い1位~3位までを覚えていれば解ける問題です。

アメリカ→中国→日本

という順番は覚えておきましょう!


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問45|民法 40字記述

Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:Aは、Bの無権代理行為について追認拒絶しても信義則に反しないから、履行を拒絶ができる。(43文字)

【解説】

Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

行政書士:令和4年問45の状況図です。

質問内容

①Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか?
②その理由は?

解説1.配偶者が行った行為は無権代理行為といえるか?

まず、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う(民法761条本文)」と規定しています。

これは、「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有する」ということです。

では、「日常の家事に関する法律行為」とは、どの範囲までをいうか?

判例(最判昭44.12.18)によると

「日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単に夫婦の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも十分に考慮して判断すべきとして、・・・不動産の売買契約締結の当時、被上告人が訴外Aに対しその売買契約を締結する代理権またはその他の何らかの代理権を授与していた事実は認められない、」と判示しています。

つまり、不動産の売買契約は「日常の家事に関する法律行為」にはあたりません。

したがって、Aの配偶者であるBが行った、A所有の甲不動産の売却行為は、無権代理行為と分かります。

解説2.無権代理人が死亡して、本人が単独相続した場合どうなるか?

無権代理人が死亡して、本人が単独相続した場合について、
判例(最判昭37.4.20)では、「相続人たる本人が被相続人の無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはないから、被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではないと解するのが相当」と判示しています。

つまり、「AはBの行為の追認を拒絶でき」、その理由は「何ら信義に反しないから」です。

これを、40字程度でまとめると、次の通りです。

Aは、Bの無権代理行為について追認拒絶しても信義則に反しないから、履行を拒絶ができる。(43文字)


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問44|行政法 40字記述

開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。これに対して、当該マンションの隣地に居住するXらは、当該マンションの建築計画は建築基準法令に適合せず、建築確認は違法であり、当該マンションも、そのような建築計画に沿って建てられたものであるから違法であって、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、特定行政庁であるB市長に申し入れた。しかしながら、B市長は、当該建築確認および当該マンションの建物に違法な点はないとして、これを拒否することとし、その旨を通知した。

このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。この場合において、①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
建築基準法
(違反建築物に対する措置)
第9条
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:B市を被告として、重大な損害が生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(42文字)※ 「義務付け訴訟」でもよい

【解説】

開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。これに対して、当該マンションの隣地に居住するXらは、当該マンションの建築計画は建築基準法令に適合せず、建築確認は違法であり、当該マンションも、そのような建築計画に沿って建てられたものであるから違法であって、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、特定行政庁であるB市長に申し入れた。しかしながら、B市長は、当該建築確認および当該マンションの建物に違法な点はないとして、これを拒否することとし、その旨を通知した。

このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。この場合において、①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か。40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

(1)開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。
【開発業者A / B市建築主事(建築確認を行った者)】

(2)上記建築確認について、隣地住民Xらは、建築確認は違法であり、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、B市長に申し入れた。

(3)しかし、B市長は、違法はないとして、隣地住民Xらの申し入れを拒否し、その旨を通知した。

(4)このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。

質問内容

①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か

解説

③どのような訴訟を起こすことが適切か

まず、③どのような訴訟を起こすことが適切かを考えます。

訴訟類型を確定させれば、そこから詳細な要件や手続を確定させることができます。

そもそも、隣地住民Xらは「建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、B市長に申し入れ」ています。これは、是正命令を出すべきであるにも関わらず、市長が是正命令を出していないから、上記申し入れをしているわけです。

これを訴訟として争う場合「(非申請型)義務付け訴訟」となります。

行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行政事件訴訟法3条6項1号)。

誰を被告とするか

行政事件訴訟法では、被告は「行政主体」です。
したがって、「B市」を被告とします。

どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)

「条文の表現を踏まえて記すこと」という部分から、義務付け訴訟の要件から考えます。

義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる(行政事件訴訟法37条の2第1項)。

「影響」については「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」の法なので、これを使います。

「一定の処分」とは「是正命令」です。

上記をまとめると

B市に対して、是正命令が出されないことにより重大な損害を生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(55字)

これでは長いので、「是正命令が出されないことにより」を省略します。

B市を被告として、重大な損害が生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(42文字)


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ ]と異なる[ ウ ]を主張することもできる。

1: 届出に対する処分 2:個人情報保護委員会 3:情報公開・個人情報保護審査会 4:裁量処分 5:公文書 6:理由 7:行政情報 8:行政不服審査会 9:解釈基準 10:不利益処分 11:申請に対する処分 12:裁量基準 13:国地方係争処理委員会 14:行政文書ファイル 15:審査基準 16:公情報 17:授益的処分 18:処分基準 19:行政文書 20:情報公開委員会

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:行政文書 イ:申請に対する処分 ウ:理由 エ:情報公開・個人情報保護審査会

【解説】

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア:行政文書 ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア:行政文書 ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ:申請に対する処分 ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ:申請に対する処分 ]を示さなければならない。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ:情報公開・個人情報保護審査会 ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ:情報公開・個人情報保護審査会 ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア:行政文書 ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ:申請に対する処分 ]と異なる[ ウ:申請に対する処分 ]を主張することもできる。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

ア・・・行政文書

何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる(行政機関情報公開法第3条:開示請求権)。

行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない(行政機関情報公開法第5条:行政文書の開示義務)。

つまり、アには「行政文書」が入ります。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

イ・・・申請に対する処分

「申請」とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう(行政手続法2条3号)。

開示決定は、法令(行政機関情報公開法)に基づき、「自己(請求者)に対し何らかの利益を付与する処分」を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答(開示決定or不開示決定)をすべきこととされています。

つまり、これは行政手続法上の「申請に対する処分」に当たります。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ:申請に対する処分 ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

ウ・・・理由

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分(ここでいう不開示決定)をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない(行政手続法8条1項)。

つまり、ウには「理由」が入ります。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ ]と異なる[ ウ ]を主張することもできる。

エ・・・情報公開・個人情報保護審査会

開示決定等又は開示請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない(行政機関情報公開法19条1項)。

「開示決定等」又は「開示請求に係る不作為」について審査請求に関する諮問先は「情報公開・個人情報保護審査会」であることは覚えておきましょう!


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問25|行政法

次に掲げる国家行政組織法の条文の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

第1条 この法律は、内閣の統轄の下における行政機関で[ ア ]及びデジタル庁以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。

第3条第1項 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。

同第2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、[ イ ]及び庁とし、その設置及び廃止は、別に[ ウ ]の定めるところによる。

同第3項 省は、内閣の統轄の下に第5条第1項の規定により各省大臣の[ エ ]する行政事務及び同条第2項の規定により当該大臣が掌理する行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、[ イ ]及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。

第5条第1項 各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を[ エ ]する。

同第2項 各省大臣は、前項の規定により行政事務を[ エ ]するほか、それぞれ、その[ エ ]する行政事務に係る各省の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務を掌理する。

同第3項 各省大臣は、国務大臣のうちから、[ オ ]が命ずる。(以下略)

  1. ア:自衛隊 イ:委員会 ウ:内閣府令 エ:分担管理 オ:内閣
  2. ア:防衛省 イ:独立行政法人 ウ:政令 エ:所轄 オ:天皇
  3. ア:内閣府 イ:内部部局 ウ:政令 エ:所轄 オ:内閣
  4. ア:自衛隊 イ:内部部局 ウ:法律 エ:統轄 オ:天皇
  5. ア:内閣府 イ:委員会 ウ:法律 エ:分担管理 オ:内閣総理大臣

>解答と解説はこちら


【答え】:5(ア:内閣府 イ:委員会 ウ:法律 エ:分担管理 オ:内閣総理大臣)

【解説】本問は、基本事項を知っているかどうかを問う問題です。

条文自体を知らなくても、普段勉強している過去問やテキストに記載されている基本的な部分なので、それで対応できるはずです。

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第1条 この法律(国家行政組織法)は、内閣の統轄の下における行政機関で[ ア:内閣府 ]及びデジタル庁以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。

第3条第1項 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。

同第2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、[ イ:委員会 ]及び庁とし、その設置及び廃止は、別に[ ウ:法律 ]の定めるところによる。

同第3項 省は、内閣の統轄の下に第5条第1項の規定により各省大臣の[ エ:分担管理 ]する行政事務及び同条第2項の規定により当該大臣が掌理する行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、[ イ:委員会 ]及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。

第5条第1項 各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を[ エ:分担管理 ]する。

同第2項 各省大臣は、前項の規定により行政事務を[ エ:分担管理 ]するほか、それぞれ、その[ エ:分担管理 ]する行政事務に係る各省の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務を掌理する。

同第3項 各省大臣は、国務大臣のうちから、[ オ:内閣総理大臣 ]が命ずる。(以下略)

ア.第1条 この法律(国家行政組織法)は、内閣の統轄の下における行政機関で[ ア ]及びデジタル庁以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。

ア・・・内閣府

(目的)
第1条 この法律は、内閣の統轄の下における行政機関で内閣府及びデジタル庁以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もつて国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。

イ.同第2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、[ イ ]及び庁とし、その設置及び廃止は、別に[ ウ ]の定めるところによる。

イ・・・委員会 ウ・・・法律

(行政機関の設置、廃止、任務及び所掌事務)
第3条 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。
2 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。

エ.同第3項 省は、内閣の統轄の下に第5条第1項の規定により各省大臣の[ エ ]する行政事務及び同条第2項の規定により当該大臣が掌理する行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、[ イ ]及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。

エ・・・分担管理

(行政機関の設置、廃止、任務及び所掌事務)
第3条 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。
2 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
3 省は、内閣の統轄の下に第五条第一項の規定により各省大臣の分担管理する行政事務及び同条第二項の規定により当該大臣が掌理する行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。

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オ.同第3項 各省大臣は、国務大臣のうちから、[ オ ]が命ずる。

オ・・・内閣総理大臣

(行政機関の長)
第五条 各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。
2 各省大臣は、前項の規定により行政事務を分担管理するほか、それぞれ、その分担管理する行政事務に係る各省の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務を掌理する。
3 各省大臣は、国務大臣のうちから、内閣総理大臣が命ずる。ただし、内閣総理大臣が自ら当たることを妨げない。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問5|憲法

適正手続に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有物を没収することは許されないが、貨物の密輸出で有罪となった被告人が、そうした手続的保障がないままに第三者の所有物が没収されたことを理由に、手続の違憲性を主張することはできない。
  2. 憲法は被疑者に対して弁護人に依頼する権利を保障するが、被疑者が弁護人と接見する機会の保障は捜査権の行使との間で合理的な調整に服さざるを得ないので、憲法は接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。
  3. 審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることはできない。
  4. 不利益供述の強要の禁止に関する憲法の保障は、純然たる刑事手続においてばかりだけでなく、それ以外にも、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶ。
  5. 不正な方法で課税を免れた行為について、これを犯罪として刑罰を科すだけでなく、追徴税(加算税)を併科することは、刑罰と追徴税の目的の違いを考慮したとしても、実質的な二重処罰にあたり許されない。

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【答え】:4
【解説】

1.告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有物を没収することは許されないが、貨物の密輸出で有罪となった被告人が、そうした手続的保障がないままに第三者の所有物が没収されたことを理由に、手続の違憲性を主張することはできない。

1・・・妥当ではない

第三者所有物没収事件において判例(最大判昭37.11.28)によると、「所有者に対して事前に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法31条に反する」としてします

ここでいう所有物を没収する前に「所有者に対して事前に告知、弁解、防禦の機会を与えること」が「手続的保障」です。

つまり、この手続的保障がないままに第三者の所有物が没収された場合、そのことを理由に、手続の違憲性を主張することはできるので、本肢は妥当ではないです。

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2.憲法は被疑者に対して弁護人に依頼する権利を保障するが、被疑者が弁護人と接見する機会の保障は捜査権の行使との間で合理的な調整に服さざるを得ないので、憲法は接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。

2・・・妥当ではない

まず、本肢は、憲法34条の内容と関連するのですが、そもそも私たちが身柄の拘束を受ける場合、「なぜ抑留・拘禁されなければならなのか?」という理由が示されなければならないとされています。また、弁護人を依頼する権利が与えられます。
これを前提知識として、下記判例をご覧ください。

【最大判平11.3.24】

憲法34条前段は、「何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。」と定める。
この弁護人に依頼する権利は、身体の拘束を受けている被疑者が、拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり、人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。
したがって、右規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。

そして、「接見交通の機会」とは、刑事事件の被疑者・被告人として身柄拘束を受けている者が、弁護士等と面談する(接見)する機会、物品を受領する(交通)機会という意味です。

上記の通り、「弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障している」という部分から、「接見交通の機会も実質的に保障しています」。

よって、本肢は「接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。」という部分が妥当でないです。

3.審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることはできない。

3・・・妥当ではない

下記判例は、「公判が、特段の理由なく15年以上にわたって中断されていた」場合の判例です。

【判例(最大判昭47.12.20:高田事件)】

憲法37条1項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許さず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定であると解する。

つまり、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であれば、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなくても、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることができます。

よって、妥当ではないです。

4.不利益供述の強要の禁止に関する憲法の保障は、純然たる刑事手続においてばかりだけでなく、それ以外にも、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶ。

4・・・妥当

「不利益供述の強要の禁止」は、憲法38条1項「何人も、自己に不利益な供述を強制されない」という規定の内容です。
わかりやすくいうと、誰でも黙秘権があり、供述を強要することは禁止だということです。

上記規定は「刑事手続」について規定していますが、判例では、「それ以外(行政手続)」にも及ぶとしています。

それが、下記判例(最大判昭47.11.22:川崎民商事件)です。

憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続(行政手続)においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。

5.不正な方法で課税を免れた行為について、これを犯罪として刑罰を科すだけでなく、追徴税(加算税)を併科することは、刑罰と追徴税の目的の違いを考慮したとしても、実質的な二重処罰にあたり許されない。

5・・・妥当ではない

結論からいうと「刑罰(罰金)」と「追徴税(加算税)」は、二重処罰に当たらないので許されているため、本肢は妥当ではないです。

【判例(最大判昭33.4.30)】 
法人税法43条の追徴税は、単に過少申告・不申告による納税義務違反の事実があれば、同条所定の已むを得ない事由のない限り、その違反の法人に対し課せられるものであり、これによつて、過少申告・不申告による納税義務違反の発生を防止し、以つて納税の実を挙げんとする趣旨に出でた行政上の措置であると解すべきである。
法が追徴税を行政機関の行政手続により租税の形式により課すべきものとしたことは追徴税を課せらるべき納税義務違反者の行為を犯罪とし、これに対する刑罰として、これを課する趣旨でないこと明らかである。追徴税のかような性質にかんがみれば、憲法39条の規定は刑罰たる罰金と追徴税とを併科することを禁止す
る趣旨を含むものでないと解するのが相当である

わかりやすくいうと、
「脱税に対する刑罰は、反社会性・反道徳性に対する制裁」であるのに対して、「追徴税(加算税)は、納税義務違反を防止するための行政上の措置」です。
両者は性質が異なるから二重処罰の禁止に当たらない、ということです。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略