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令和4年・2022|問46|民法 40字記述

Aは、工場を建設するために、Bから、Bが所有する甲土地(更地)を、賃貸借契約締結の日から賃借期間30年と定めて賃借した。ただし、甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない。ところが、甲土地がBからAに引き渡される前に、甲土地に何らの権利も有しないCが、AおよびBに無断で、甲土地に塀を設置したため、Aは、甲土地に立ち入って工場の建設工事を開始することができなくなった。そこで、Aは、Bに対応を求めたが、Bは何らの対応もしないまま現在に至っている。Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか。民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:例1)Bの所有権に基づく妨害排除請求権を債権者代位することで、塀の除去を請求することができる。(44字)

例2)Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、塀の除去を請求することができる。(39字)

【解説】

Aは、工場を建設するために、Bから、Bが所有する甲土地(更地)を、賃貸借契約締結の日から賃借期間30年と定めて賃借した。ただし、甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない。ところが、甲土地がBからAに引き渡される前に、甲土地に何らの権利も有しないCが、AおよびBに無断で、甲土地に塀を設置したため、Aは、甲土地に立ち入って工場の建設工事を開始することができなくなった。そこで、Aは、Bに対応を求めたが、Bは何らの対応もしないまま現在に至っている。Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか。民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

行政書士試験令和4年問46の状況図です。

質問内容

Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、「どのような請求」をすることができるか。

解説

今回、塀を設置されて占有を妨害されただけで、占有を奪われた(占有された)とまでは言えないので、「妨害排除請求」ができるかを考えます。

「妨害排除請求権」は、「物権(不動産賃借権も含む)が占有以外の形で妨害されているとき、妨害の排除を請求する権利」のことです。

妨害排除請求をするための根拠となるのは、下記2つがあります。

  1. 賃借権に基づく妨害排除請求
  2. 所有権に基づく妨害排除請求

今回、Aは、工場用地を建設するために土地を借りているので、対抗要件としては「①借地権の登記」または「②借地上建物の登記」のいずれかです。

本問では、「甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない」状況です。=未登記

また、工場は建設されていないので、②借地上建物ももちろん未登記です。

したがって、土地賃借人Aは、借地権を対抗することができません。

よって、「1の賃借権に基づく妨害排除請求」はできないです。

できることは、「2の所有権に基づく妨害排除請求」です。

判例(最判昭29.9.24)によると、
「建物の賃借人が、賃貸人たる建物所有者に代位して、建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対して明渡をなすべきことを請求することができる」と判示しています。

■ここで質問内容を確認すると

「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか?

「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、

Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、塀の除去を請求することができる。(39字)

となります。

※ 妨害排除請求の根拠規定は、民法198条(占有保持の訴え)ですが、ここには、「占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。」
と規定しており、損害賠償請求もできる旨が定められています。

今回、質問内容は、「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか?なので

「損害賠償請求」は、不適当です。

なぜなら、「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するための手段」として、損害賠償請求は、適していないからです。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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