行政手続法による標準処理期間についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 地方公共団体がなす許認可等についても、法律に根拠を有するものの標準処理期間は、主務大臣が定めることとされている。
- 申請に対する処分と異なり、届出の処理については、標準処理期間が定められることはない。
- 申請の処理が標準処理期間を超える場合には、行政庁は、申請者に対して、その理由と処分の時期を通知しなければならないとされている。
- 標準処理期間とは、申請が行政庁によって受理されてから当該申請に対する処分がなされるまでに通常要すべき期間をいう。
- 標準処理期間を定めることは、法的な義務であるから、これを定めることなく申請を拒否する処分をすると、重大な手続上の違法として、それを理由に処分が取り消されることがある。
【答え】:2
【解説】
1.地方公共団体がなす許認可等についても、法律に根拠を有するものの標準処理期間は、主務大臣が定めることとされている。
1・・・誤り
地方公共団体がなす許認可等について、法律に根拠を有するものについては、行政手続法が適用されます(行政手続法3条3項)。そして、標準処理期間については、行政庁が定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。よって、「主務大臣が定める」は誤りで、正しくは「行政庁」です。
地方公共団体がなす許認可等について、法律に根拠を有するものについては、行政手続法が適用されます(行政手続法3条3項)。そして、標準処理期間については、行政庁が定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。よって、「主務大臣が定める」は誤りで、正しくは「行政庁」です。
2.申請に対する処分と異なり、届出の処理については、標準処理期間が定められることはない。
2・・・正しい
届出については、法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとします(行政手続法37条)。
届出に対して、行政庁がなんら手続きを行う義務はないので、標準処理期間も定められていません。
届出については、法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとします(行政手続法37条)。
届出に対して、行政庁がなんら手続きを行う義務はないので、標準処理期間も定められていません。
3.申請の処理が標準処理期間を超える場合には、行政庁は、申請者に対して、その理由と処分の時期を通知しなければならないとされている。
3・・・誤り
申請の処理が標準処理期間を超える場合の手続きについて、行政手続法には規定されていません。よって、本肢は誤りです。
申請の処理が標準処理期間を超える場合の手続きについて、行政手続法には規定されていません。よって、本肢は誤りです。
4.標準処理期間とは、申請が行政庁によって受理されてから当該申請に対する処分がなされるまでに通常要すべき期間をいう。
4・・・誤り
標準処理期間とは、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を言います(行政手続法6条)。つまり、「受理されてから」ではありません。「到達してから」が正しいです。
標準処理期間とは、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を言います(行政手続法6条)。つまり、「受理されてから」ではありません。「到達してから」が正しいです。
5.標準処理期間を定めることは、法的な義務であるから、これを定めることなく申請を拒否する処分をすると、重大な手続上の違法として、それを理由に処分が取り消されることがある。
5・・・誤り
本肢は「標準処理期間を定めることは、法的な義務」となっているので誤りです。
正しくは、「努力義務」です。行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努める(=努力義務)とともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
本肢は「標準処理期間を定めることは、法的な義務」となっているので誤りです。
正しくは、「努力義務」です。行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努める(=努力義務)とともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |