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取消訴訟の処分性

処分性とは、取消訴訟の対象となる行政庁の処分とはどんな処分か?ということです。

取消訴訟の対象となる行政庁の処分であれば、「処分性あり」として処分性の要件を満たします。

一方、取消訴訟の対象外の行政庁の処分であれば、「処分性なし」として、処分性の要件を満たさず、却下判決が下されます。

取消訴訟の対象となるのは「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を指します。

行政庁の処分・公権力の行使に当たる行為とは?

結論からいうと、①公権力であること、②個別・具体的な法的地位の変動(特定の者に対して権利義務が生じる)の2つを満たすと処分性を有することとなります。難しい感じがしますが、申請に対する処分や不利益処分等の行政処分が、処分性を有する処分とイメージできれば大丈夫です。

行政書士の試験で重要な部分は、処分性を有するか否かの判例です。

処分性を有するとされた判例

  1. 輸入禁止の製品に該当する旨の通知(最判昭54.12.25)
  2. 第二種市街地再開発事業計画(最判平4.11.26)
  3. 二項道路の一括指定の告示(最判平14.1.17)
  4. 労災就学援護費の支給決定(最判平15.9.4)
  5. 食品衛生法に基づく違反通知(最判平16.4.26)
  6. 病院開設の中止勧告(最判平17.7.15)
  7. 土地区画整理事業計画の決定(最判平20.9.10)
  8. 保育所廃止条例の制定行為(最判平21.11.26)

輸入禁止の製品に該当する旨の通知(最判昭54.12.25)

Aさんが輸入しようとしている書籍は輸入禁制品にあたりますよ」という税関長の通知に対して、取消訴訟を行えるか?という点について、判例では、上記通知を行うことにより、Aさんは適法に輸入できなくなるという個別具体的な法律上の効果を及ぼすため、上記通知は処分性があるとされました。

「最判昭54.12.25:輸入禁止の製品に該当する旨の通知」の詳細はこちら>>

第二種市街地再開発事業計画(最判平4.11.26)

第2種市街地再開発事業計画は、事業計画が決まり、公告された段階で、事業認定と同じ法律効果が生じます。そのため、その地域に住んでいる人たちは立ち退きなどを求められる可能性が大きい(所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼす)ので、計画自体が住民の権利義務に大きな影響を及ぼします。そのため、処分性があって抗告訴訟の対象になります。

「最判平4.11.26:第二種市街地再開発事業計画の決定」の詳細はこちら>>

二項道路の一括指定の告示(最判平14.1.17)

2項道路の指定の告示によって、2項道路が前面道路となる敷地所有者は、その道路内の建築等が制限され(建築基準法44条)、私道の変更又は廃止が制限される(建築基準法45条)等の具体的な私権の制限を受けることになります。そうすると,特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地について、具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものです。そのため、2項道路の指定の告示は処分性があり、抗告訴訟の対象になります。

「最判平14.1.17:二項道路の一括指定の告示」の詳細はこちら>>

労災就学援護費の支給決定(最判平15.9.4)

被災労働者又はその遺族が、労災就学援護費の支給を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。そして、その要件は、「労災就学等援護費支給要綱」において規定されており、労災就学援護費の支給を受けようとする者は、労災就学等援護費支給申請書を業務災害に係る事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出しなければならず、同署長は、同申請書を受け取ったときは、支給、不支給等を決定し、その旨を申請者に通知しなければならないこととされています。

つまり、具体的に支給を受けるためには、労働基準監督署長に申請し、所定の支給要件を具備していることの確認を受けなければならず、労働基準監督署長の支給決定によって初めて、具体的な労災就学援護費の支給請求権を取得するものといわなければならないです。

よって、労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる(処分性を有する)ものと解するのが相当。

「最判平15.9.4:労災就学援護費の支給決定」の詳細はこちら>>

食品衛生法に基づく違反通知(最判平16.4.26)

ある食品が食品衛生法違反である旨の通知によって、①関税法上の確認および輸入の許可も受けられなくなり(税関の「検査完了確認」を受けられなくなり)、②輸入申告書を提出しても受理されないという法的効力を有し、処分性が認められるとしています。

病院開設の中止勧告(最判平17.7.15)

病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導ではあるけれども、この勧告に従わない場合には、ほとんどの場合、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。

そして、日本では、国民皆保険制度が採用されていて、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在せず、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。

そのため、病院開設中止の勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。(=処分性を有する

「最判平17.7.15:病院開設の中止勧告」の詳細はこちら>>

土地区画整理事業計画の決定(最判平20.9.10)

市町村は、土地区画整理事業を施行しようとする場合においては、施行規程及び事業計画を定めなければならず、事業計画が定められた場合においては、市町村長は、遅滞なく、施行者の名称、事業施行期間、施行地区等の一定事項を公告しなければならない。

そして、この公告がされると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内において、建築制限が課せられるなど、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。

つまり、土地区画整理事業の決定は、処分性があるとされています。

「最判平20.9.10:土地区画整理事業計画の決定」の詳細はこちら>>

保育所廃止条例の制定行為(最判平21.11.26)

市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は、現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位(保育を受けることができること)を有すること、同条例が、他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ、入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、上記法的地位を奪う(保育を受けることができなくなる)結果を生じさせるものであることなど判示の事情の下では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。(処分性を有する)

「最判平21.11.26:保育所廃止条例の制定行為」の詳細はこちら>>

処分性を有さないとされた判例

  1. 墓地・埋葬に関する通達(最判昭43.12.24)
  2. 日本鉄道建設公団の実施計画に対する認可(最判昭53.12.8)
  3. 簡易水道事業条例の制定(最判平18.7.14)
  4. 工業地域指定の決定(最判昭57.4.22)

墓地・埋葬に関する通達(最判昭43.12.24)

通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり、このような通達は行政機関および職員に対する行政組織内部における命令にすぎないから、これらのものがその通達に拘束されることはあっても、一般の国民は直接これに拘束されるものではない
そのため、通達は、処分性を有しないため、取消訴訟の対象にはならない。

日本鉄道建設公団の実施計画に対する認可(最判昭53.12.8)

新幹線を作るために、日本鉄道建設公団が工事実施計画を作成した。
この工事実施計画に対して行う国土交通大臣の認可は、いわば「日本鉄道建設公団の上級行政機関(国土交通大臣)」が、「下級行政機関(日本鉄道建設公団)」に対し、一定の審査をするという監督手段としての承認の性質を有するもので、行政機関相互の行為と同視すべきものであり、行政行為として外部に対する効力を有するものではなく、また、これによって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する効果を伴うものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない(処分性を有しない)

簡易水道事業条例の制定(最判平18.7.14)

普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は、同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないという事情の下では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない

=限られた特定の者ではないので、個別・具体的な法的地位の変動(特定の者に対して権利義務が生じるとは言えないから処分性はないということ

「最判平18.7.14:水道料金を改訂する条例制定行為」の詳細はこちら>>

工業地域指定の決定(最判昭57.4.22)

工業地域の指定の決定による効果は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったとは言えない

したがって、「当該工業地域の指定の決定」は、抗告訴訟の対象となる行政処分とは言えない。(個別具体的な処分とは言えないので、処分性を有しない

「最判昭57.4.22:工業地域指定の決定」の詳細はこちら>>

<<取消訴訟の訴訟要件 | 取消訴訟の原告適格>>

取消訴訟の訴訟要件|処分性、原告適格、訴えの利益、被告適格、出訴期間、管轄

行政書士の試験でよく出題される部分です。なので、しっかり一つ一つを覚えていきましょう!

行政事件訴訟法は、条文だけでなく、判例も頻出です。そのため、条文を解説するというよりは、キーワードごとに解説していきます!

取消訴訟の訴訟要件

訴訟要件とは、訴えが適法であるための要件を言います。言い換えると、訴訟要件を満たさない場合、不適法として、却下されます。(門前払いされる)

そして、取消訴訟の訴訟要件は下記6つです。

  1. 処分性
  2. 原告適格
  3. (狭義の)訴えの利益
  4. 被告適格
  5. 出訴期間
  6. 管轄裁判所

処分性

処分性とは、取消訴訟の対象となる行政庁の処分とはどんな処分か?ということです。

取消訴訟の対象となる行政庁の処分であれば、「処分性あり」として処分性の要件を満たします。

一方、取消訴訟の対象外の行政庁の処分であれば、「処分性なし」として、処分性の要件を満たさず、却下判決が下されます。

取消訴訟の対象となるのは「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を指します。

処分性の詳細はこちら>>

原告適格

原告適格とは、取消訴訟を提起した者が「処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」であるかどうか?ということです。

法律上の利益を有していれば、原告適格の要件を満たします。

一方、法律上の利益を有していないのであれば、原告適格の要件を満たさず、却下判決が下されます。

原告適格の詳細はこちら>>

訴えの利益(狭義)

狭義の訴えの利益は、取消判決によって、現実に原告の権利救済を達することができるかどうかということです。

取消判決によって、侵害されていた権利や地位が回復される場合、訴えの利益があるとして、訴えの利益の要件を満たします。

一方、取消判決によって、侵害されていた権利や地位が回復されない場合、訴えの利益がないとして、却下判決が下されます。

訴えの利益の詳細はこちら>>

被告適格

被告適格とは、誰を被告として、取消訴訟を提起するのか?ということです。

被告適格となる行政庁を被告として、取消訴訟を提起した場合、被告適格の要件を満たします。

一方、被告適格に該当しない行政庁を被告として、取消訴訟を提起した場合、被告適格を満たさないため、却下判決が下されます。

被告適格の詳細はこちら>>

出訴期間

出訴期間とは、取消訴訟を提起できる期間のことです。

出訴期間内であれば、要件を満たしますが、出訴期間を経過した後に取消訴訟を提起しても、却下判決が下されます。

取消訴訟の出訴期間

下記いずれかの期間を経過すると、取消訴訟を提起することができなくなります。

主観的期間 処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき
例外として正当な理由があるときは、6か月経過後でも取消訴訟を行える
客観的期間 処分または裁決の日から1年を経過したとき
例外として正当な理由があるときは、6か月経過後でも取消訴訟を行える
行政事件 行政事件訴訟法

出訴期間の詳細はこちら>>

管轄裁判所

管轄裁判所とは、取消訴訟を提起する場合、どこの裁判所に対して、訴訟を提起すればよいかということです。

管轄裁判所に取消訴訟を提起すれば、管轄裁判所の要件を満たし、管轄裁判所以外の裁判所に対して訴えを提起した場合、却下判決が下されます。

原則 被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所」または「処分・裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所」
例外 国が被告となる場合、原告の普通裁判所籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(特定管轄裁判所

管轄裁判所の詳細はこちら>>

<<取消訴訟の概要原処分主義裁決主義審査請求前置主義 | 取消訴訟の処分性>>

行政不服審査法83条:教示をしなかった場合の不服申立て

行政庁がすべき教示をしなかった場合

教示すべき事項教示しなかった場合、処分を受けた者(処分に不服がある者)は処分庁に不服申立書を提出することができます。

当該処分が、「処分庁以外の行政庁」に対して、審査請求できる処分であるときは、処分庁は速やかに不服申立書を審査庁に送付しなければなりません。

送付されたときは、初めから「権限ある行政庁(審査庁等)」に不服申立てがされたものとみなされます

行政庁が教示内容を誤った場合(行政不服審査法22条)>>

(教示をしなかった場合の不服申立て)
行政不服審査法第83条 行政庁が前条の規定による教示をしなかった場合には、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。
2 第19条(第5項第1号及び第2号を除く。)の規定は、前項の不服申立書について準用する。
3 第1項の規定により不服申立書の提出があった場合において、当該処分が処分庁以外の行政庁に対し審査請求をすることができる処分であるときは、処分庁は、速やかに、当該不服申立書を当該行政庁に送付しなければならない。当該処分が他の法令に基づき、処分庁以外の行政庁に不服申立てをすることができる処分であるときも、同様とする。
4 前項の規定により不服申立書が送付されたときは、初めから当該行政庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。
5 第3項の場合を除くほか、第1項の規定により不服申立書が提出されたときは、初めから当該処分庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。

<<行政不服審査法82条:不服申立てをすべき行政庁等の教示 | 行政事件訴訟法>>

行政不服審査法82条:不服申立てをすべき行政庁等の教示

教示とは?

教示とは、処分を行う行政庁が、処分相手や利害関係人に対して、「不服がある場合は、こういう方法がありますよ!」と教えてくれる制度です。

行政不服審査法は、国民みんなが知っている法律ではないので、国民の権利利益の救済の方法を教えるルールを定めています。

教示しなければならない場合

教示をしなければならないのは、下記2つの場合です。

審査請求、再調査請求等をすることができる処分について

  1. 相手方に対して書面で処分を行う場合
  2. 利害関係人から教示を求められた場合

教示すべき内容

教示すべき内容は下記3つです。

  1. 不服申立てをすることができる旨
  2. 不服申立てをすべき行政庁
  3. 不服申立てをすることができる期間

教示すべき相手方と教示の方法

教示相手 教示の方法
処分の相手方に対して 処分を口頭でする場合を除いて書面で教示すること
利害関係人に対して 教示すべき求めがあった場合に教示する
その際、書面による教示を求められた場合書面で教示すること

(不服申立てをすべき行政庁等の教示)
行政不服審査法第82条 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。

<<行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用 | 行政不服審査法83条:教示をしなかった場合の不服申立て

行政不服審査法65条:再審査請求の認容の裁決

再審査請求の認容裁決(原裁決の取消し)

再審査請求の認容とは、再審査請求に理由がある(再審査請求を認める)ということです。例えば、免許取消処分について、それはおかしいと思って審査請求をし、結果として棄却された。その棄却裁決にも不服があり、再審査請求をして、再審査請求が認められるということです。この場合、再審査庁は、裁決で当該原裁決の「全部もしくは一部」の「取消し」をすることができます。

再審査請求については、変更裁決はできないので注意しましょう!

事実上の行為についての再審査請求の認容裁決(事実上の行為の撤廃)

事実行為とは?

事実上の行為とは、「行政がする、国民の権利や義務が発生しない行為」です。

事実行為の例としては、行政指導や即時強制があります。

例えば、「勧告(注意といったイメージ)」は行政指導の一つです。勧告を受けたからと言って、勧告に従う必要はありません。従わなかったとしても、罰則などはないです。

しかし、勧告に従わないと、「この会社は勧告に従いませんでした」と公表されたりします。

事実上の行為の撤廃

そして、上記勧告(事実上の行為)について、不服があり、審査請求を行い、結果として棄却された。その棄却裁決にも不服があり、再審査請求をして、再審査請求が認められるということです。この場合、再審査庁は、裁決で当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命じます

(再審査請求の認容の裁決)
行政不服審査法第65条 原裁決等(事実上の行為を除く。)についての再審査請求が理由がある場合(前条第3項に規定する場合及び同条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、再審査庁は、裁決で、当該原裁決等の全部又は一部を取り消す。
2 事実上の行為についての再審査請求が理由がある場合(前条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命ずる。

行政不服審査法64条:再審査請求の却下又は棄却の裁決 | 行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用>>

行政不服審査法63条:裁決書の送付

再審査を行う行政庁は、再審査請求について、審理をするために、「原裁決をした行政庁」に対し原裁決に関する裁決書の送付を求めます。

つまり、審査請求について、行政庁Aが裁決し、再審査請求について行政庁Bが行う場合、行政庁Bが行政庁Aに対して、裁決書を送付してください!と求めます。

これは、行政庁Aがどのような審査をしたのかを、再審査請求を行う行政庁Bが確認するためです。

(裁決書の送付)
行政不服審査法第63条 第66条第1項において読み替えて準用する第11条第2項に規定する審理員又は第66条第1項において準用する第9条第1項各号に掲げる機関である再審査庁(他の法律の規定により再審査請求がされた行政庁(第66条第1項において読み替えて準用する第14条の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。)をいう。以下同じ。)は、原裁決をした行政庁に対し、原裁決に係る裁決書の送付を求めるものとする。

<<行政不服審査法62条:再審査請求期間 | 行政不服審査法64条:再審査請求の却下又は棄却の裁決>>

行政不服審査法64条:再審査請求の却下又は棄却の裁決

再審査請求期間(1か月もしくは1年)が過ぎた場合(不適法である場合)、審査庁は、裁決で却下します。

再審査請求について、理由がない場合、審査庁は、裁決で棄却します。

却下と棄却の違い

この2つの違いについてよく行政書士試験で出題されるので必ず頭に入れておきましょう!

却下 手続の不備など、不適法な場合に、審理をせずに門前払いをすること
棄却 手続の不備はなく適法に行われているため、審理はするが、請求に理由がないとして請求などを退けること

再審査請求の棄却裁決

再審査請求に係る原裁決(審査請求について却下もしくは棄却した裁決)が違法又は不当な場合で、かつ、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却します。

どういうことかというと、下記場合において、④が違法で②が適法の場合、⑤の再審査請求について棄却裁決します。なぜなら、審査庁Bの判断は間違っていても、処分庁Aの処分が正しいから、処分庁Aの処分内容を尊重して、Xからの再審査請求を棄却するということです。

①Xが許可申請した。

②処分庁Aが却下処分or拒否処分(審査請求に係る処分)がした。(←これは違法でも不当でもない=適法)

③Xが審査請求(不服申立て)をした。

④審査庁Bが却下裁決or棄却裁決(原裁決)をした。(←これが違法または不当)

⑤Xが再審査請求した。

再審査請求における事情裁決

再審査請求に係る原裁決が違法又は不当ではあるけど、処分を取り消し、又は撤廃してしまうと、公の利益に著しい障害を生ずる場合、諸事情を考慮した上で、公共の福祉に適合しないと認めるときは、例外的に、再審査庁は裁決で棄却することができます。

つまり、審査庁の裁決は違法・不当だけど、公の利益を優先して、再審査請求を棄却することができるということです。

この場合、再審査庁は、裁決の主文で、当該原裁決が違法又は不当であることを宣言しなければなりません。

(再審査請求の却下又は棄却の裁決)
行政不服審査法第64条 再審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を却下する。
2 再審査請求が理由がない場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
3 再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
4 前項に規定する場合のほか、再審査請求に係る原裁決等が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、再審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、原裁決等を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却することができる。この場合には、再審査庁は、裁決の主文で、当該原裁決等が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

<<行政不服審査法63条:裁決書の送付 | 行政不服審査法65条:再審査請求の認容の裁決>>

行政不服審査法62条:再審査請求期間

再審査請求の請求期間

再審査請求は下記期間内に請求しないといけません。下記期間を過ぎて再調査請求をしても不適法として却下されてしまいます。

下記主観的期間と客観的期間である1か月または1年のどちらか一方でも経過してしまうと再審査請求ができなくなります。

主観的期間 原則、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月以内
例外として、正当な理由があるときは、1か月を超えてもよい
客観的期間 原則処分があった日の翌日から起算して1年以内
正当な理由があるときは、1年を超えてもよい

原裁決とは?

原裁決とは、再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決を言います。

例えば、A市長から、営業停止処分を受けたXが、B知事に審査請求し、B知事が棄却裁決をした。この棄却裁決について、Xが再審査請求をした場合、当該棄却裁決が原裁決です。

対比して覚えていただきたいのは下記部分です!

審査請求の期間制限>>

再調査請求の期間制限>>

(再審査請求期間)
行政不服審査法第62条 再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 再審査請求は、原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

<<行政不服審査法61条:審査請求に関する規定の準用 | 行政不服審査法63条:裁決書の送付>>

行政不服審査法61条:審査請求に関する規定の準用(再調査請求)

審査請求の規定が、再調査請求に準用されるもの

下記内容は審査請求のルールですが、この審査請求のルールが再調査請求にも適用されるということです。

第9条第4項 審査庁職員による意見聴取
第10条 法人でない社団又は財団の審査請求
第11条 総代
第12条 代理人による審査請求
第13条 参加人
第14条 行政庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置
第15条 審理手続の承継
第16条 標準審理期間
第19条の一部 審査請求書の提出
第20条 口頭による審査請求
第23条 審査請求書の補正
第24条 審理手続を経ないでする却下裁決
第25条
(第3項を除く。)
執行停止
第26条 執行停止の取消し
第27条 審査請求の取下げ
第31条
(第5項を除く。)
口頭意見陳述
第32条
(第2項を除く。)
証拠書類等の提出
第39条 審理手続の併合又は分離
第51条 裁決の効力発生
第53条 証拠書類等の返還

(審査請求に関する規定の準用)
行政不服審査法第61条 第9条第4項、第10条から第16条まで、第18条第3項、第19条(第3項並びに第5項第1号及び第2号を除く。)、第20条、第23条、第24条、第25条(第3項を除く。)、第26条、第27条、第31条(第5項を除く。)、第32条(第2項を除く。)、第39条、第51条及び第53条の規定は、再調査の請求について準用する。この場合において、別表第二の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

<<行政不服審査法60条:再調査請求の決定の方式 | 行政不服審査法62条:再審査請求期間>>

行政不服審査法60条:再調査請求の決定の方式

再調査請求の決定のやり方

再調査の請求の却下又は棄却の決定」および「再調査の請求の認容の決定」は、決定書という書面で行う必要があります。そして、この決定書には、主文及び理由を記載し、処分庁が記名押印します。

再調査請求の決定の際の教示

処分庁は、決定書に、再調査の請求に係る処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査請求をすべき行政庁及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければなりません。

教示とは?>>

(決定の方式)
行政不服審査法第60条 前2条の決定は、主文及び理由を記載し、処分庁が記名押印した決定書によりしなければならない。
2 処分庁は、前項の決定書(再調査の請求に係る処分の全部を取り消し、又は撤廃する決定に係るものを除く。)に、再調査の請求に係る処分につき審査請求をすることができる旨(却下の決定である場合にあっては、当該却下の決定が違法な場合に限り審査請求をすることができる旨)並びに審査請求をすべき行政庁及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければならない。

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