令和4年度(2022年度)過去問

令和4年・2022|問40|会社法

会計参与に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.公開会社である大会社は、会計参与を置いてはならない。

イ.公開会社ではない大会社は、会計監査人に代えて、会計参与を置くことができる。

ウ.会計参与は、株主総会の決議によって選任する。

エ.会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならない。

オ.会計参与は、すべての取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4(ウ・エが正しい)

【解説】
ア.公開会社である大会社は、会計参与を置いてはならない。

ア・・・誤り

取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければなりません。ただし、非公開会社の会計参与設置会社については、監査役を置かなくても大丈夫です(会社法327条2項)。

つまり、「大会社でない」かつ「非公開会社」かつ「取締役会設置会社」で、監査役を置いていない場合に限って、会計参与の設置が義務となります。

それ以外の会社は、会計参与の設置は任意なので、本肢の「公開会社である大会社」も、会計参与を置くことはできます。

よって、誤りです。

イ.公開会社ではない大会社は、会計監査人に代えて、会計参与を置くことができる。

イ・・・誤り

「公開会社でない大会社」は、会計監査人を置かなければなりません(会社法328条2項)。

よって、「会計監査人に代えて、会計参与を置くことができない」ので誤りです。

一方、「公開会社の大会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)」は、監査役会及び会計監査人を置かなければなりません(会社法328条1項)。

「会計参与」とは、、取締役と共同して「計算書類等を作成すること」および「会計参与報告を作成すること」を職務とする者で、役員です(374条1項)。会計事務職のトップといったイメージで、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)がなることができます。

「会計監査人」は、公認会計士または監査法人しかなれません。つまり、企業会計のプロといったイメージです。

大会社は、当然、外部監査を行う「会計監査人」が必要です。

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ウ.会計参与は、株主総会の決議によって選任する。

ウ・・・正しい

役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項)。

よって、「会計参与は、株主総会の決議によって選任する」ので正しいです。

エ.会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならない。

エ・・・正しい

選択肢アでも解説した通り、会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)でなければなりません(会社法333条1項)。

よって、正しいです。

※ 「会計参与になれない人」は、当該株式会社とその子会社の取締役、監査役、執行役、支配人等です(会社法333条3項)。

オ.会計参与は、すべての取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

オ・・・誤り

会計参与は、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書について、取締役会の承認を受けなければならない場合に取締役会に出席しなければなりません。この場合において、会計参与は、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない(会社法376条1項)。

よって「計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書について、取締役会の承認を受ける必要がない取締役会」に、会計参与は出席しなくてもよいので、本肢は「すべての取締役会に出席し」という部分が誤りです。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問41|憲法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

[ ア ]の争訟は、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られるとする当審の判例(引用略)に照らし、地方議会議員に対する出席停止の懲罰の取消しを求める訴えが、①②の要件を満たす以上、[ ア ]の争訟に当たることは明らかであると思われる。

[ ア ]の争訟については、憲法32条により国民に裁判を受ける権利が保障されており、また、[ ア ]の争訟について裁判を行うことは、憲法76条1項により司法権に課せられた義務であるから、本来、司法権を行使しないことは許されないはずであり、司法権に対する[ イ ]制約があるとして司法審査の対象外とするのは、かかる例外を正当化する[ ウ ]の根拠がある場合に厳格に限定される必要がある。

国会については、国権の最高機関(憲法41条)としての[ エ ]を憲法が尊重していることは明確であり、憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条)、議員が議院で行った演説、討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし、地方議会については、憲法55条や51条のような規定は設けられておらず、憲法は、[ エ ]の点において、国会と地方議会を同視していないことは明らかである。

(最大判令和2年11月25日民集74巻8号2229頁、宇賀克也裁判官補足意見)

1:法令上 2:一般的 3:公法上 4:地位 5:自律性 6:訴訟法上 7:外在的 8:必然的 9:公益上 10:法律上 11:独立性 12:社会的 13:慣習法上 14:権能 15:私法上 16公共性 16:偶然的 17:実体法上 18:判例法上 19:憲法上

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:法律上 イ:外在的 ウ:憲法上 エ:自律性

【解説】

ア:法律上 ]の争訟は、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られるとする当審の判例(引用略)に照らし、地方議会議員に対する出席停止の懲罰の取消しを求める訴えが、①②の要件を満たす以上、[ ア:法律上 ]の争訟に当たることは明らかであると思われる。

ア:法律上 ]の争訟については、憲法32条により国民に裁判を受ける権利が保障されており、また、[ ア:法律上 ]の争訟について裁判を行うことは、憲法76条1項により司法権に課せられた義務であるから、本来、司法権を行使しないことは許されないはずであり、司法権に対する[ イ:外在的 ]制約があるとして司法審査の対象外とするのは、かかる例外を正当化する[ ウ:憲法上 ]の根拠がある場合に厳格に限定される必要がある。

国会については、国権の最高機関(憲法41条)としての[ エ:自律性 ]を憲法が尊重していることは明確であり、憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条)、議員が議院で行った演説、討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし、地方議会については、憲法55条や51条のような規定は設けられておらず、憲法は、[ エ:自律性 ]の点において、国会と地方議会を同視していないことは明らかである。

[ ア ]の争訟は、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られるとする当審の判例(引用略)に照らし、地方議会議員に対する出席停止の懲罰の取消しを求める訴えが、①②の要件を満たす以上、[ ア ]の争訟に当たることは明らかであると思われる。

[ ア ]の争訟については、憲法32条により国民に裁判を受ける権利が保障されており、また、[ ア ]の争訟について裁判を行うことは、憲法76条1項により司法権に課せられた義務である

ア・・・法律上

裁判所法3条(裁判所の権限)
1項 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

判例(最判昭56.4.7:板まんだら事件)によると、『裁判所が司法権を行使できる裁判所法3条1項の「法律上の争訟」とは、①当事者間の具体的な「権利義務ないし法律関係」の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法令の適用に終局的に解決することができるものをいう』としています。

よって、アには「法律上」が入ります。

[ ア:法律上 ]の争訟については、憲法32条により国民に裁判を受ける権利が保障されており、また、[ ア:法律上 ]の争訟について裁判を行うことは、憲法76条1項により司法権に課せられた義務であるから、本来、司法権を行使しないことは許されないはずであり、
/ 司法権に対する[ イ ]制約があるとして司法審査の対象外とするのは、かかる例外を正当化する[ ウ ]の根拠がある場合に厳格に限定される必要がある。

イ・・・外在的

「内在的制約」とは、「本来当然に存在する制約(根拠)」といった意味です。
憲法76条1項では「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と規定しており、これを根拠として、司法権を行使しないことは許されないということです。
これは、憲法76条1項そのものを根拠としています。
よって、司法権を行使しないことは許されない根拠が、憲法76条1項に内在している(含めれている)ということです。

一方、「外在的制約」とは、内在的制約以外を根拠とするといった意味です。
『司法権に対する[ イ ]制約があるとして司法審査の対象外とする。これは例外を正当化する』
と言っています。

例外的に司法権を行使しないことは許される場合があり、それは、司法権に対する[ イ ]制約がある場合ということです。

ここから、イには「外在的」が入ることが分かります。

  • 憲法76条1項(内在的制約)から、原則、司法権を行使しないことは許されない
  • ただし、例外的に別の規定(外在的制約)から、司法権を行使しないことが許される(司法審査の対象外)

ということです。

司法権に対する[ イ:外在的 ]制約があるとして司法審査の対象外とするのは、かかる例外を正当化する[ ウ ]の根拠がある場合に厳格に限定される必要がある。

ウ・・・憲法上

司法審査の対象外とする例外を認めることができるのは「憲法上」の根拠がある場合に限定されています。

これは、覚えておきましょう!

国会については、国権の最高機関(憲法41条)としての[ エ ]を憲法が尊重していることは明確であり、憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条)、議員が議院で行った演説、討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし、地方議会については、憲法55条や51条のような規定は設けられておらず、憲法は、[ エ ]の点において、国会と地方議会を同視していないことは明らかである。

エ・・・自律性

自律性とは、自分自身(ここでは国会自身)で物事をコントロール・調整・判断することを言います。

憲法41条
国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

「国会については憲法で議員の資格争訟の裁判権を付与している」というのは、「国会(議院)の自律性」を憲法が尊重していることを意味します。
なぜなら、通常、裁判権は、裁判所に属しますが、国会議員の資格訴訟に関しては、国会が行ってよいと憲法で認めているからです。

また、「議員が議院で行った演説、討論又は表決についての院外での免責規定を設けている」というのは、議院(国会)内の言動は、議院内で処理することを意味しているので、「議院の自律性」と言えます。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ ]と異なる[ ウ ]を主張することもできる。

1: 届出に対する処分 2:個人情報保護委員会 3:情報公開・個人情報保護審査会 4:裁量処分 5:公文書 6:理由 7:行政情報 8:行政不服審査会 9:解釈基準 10:不利益処分 11:申請に対する処分 12:裁量基準 13:国地方係争処理委員会 14:行政文書ファイル 15:審査基準 16:公情報 17:授益的処分 18:処分基準 19:行政文書 20:情報公開委員会

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:行政文書 イ:申請に対する処分 ウ:理由 エ:情報公開・個人情報保護審査会

【解説】
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア:行政文書 ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア:行政文書 ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ:申請に対する処分 ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ:理由 ]を示さなければならない。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ:情報公開・個人情報保護審査会 ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ:情報公開・個人情報保護審査会 ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア:行政文書 ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ:理由 ]と異なる[ ウ:理由 ]を主張することもできる。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行政機関情報公開法)に基づき、行政機関の長に対して、当該行政機関が保有する[ ア ]の開示が請求された場合、当該行政機関の長は、当該[ ア ]の開示又は不開示の決定(開示決定等)をしなければならない。

ア・・・行政文書

何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる(行政機関情報公開法第3条:開示請求権)。

行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない(行政機関情報公開法第5条:行政文書の開示義務)。

つまり、アには「行政文書」が入ります。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

イ・・・申請に対する処分

「申請」とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう(行政手続法2条3号)。

開示決定は、法令(行政機関情報公開法)に基づき、「自己(請求者)に対し何らかの利益を付与する処分」を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答(開示決定or不開示決定)をすべきこととされています。

つまり、これは行政手続法上の「申請に対する処分」に当たります。

開示決定等は、行政手続法上の[ イ:申請に対する処分 ]であるから、同法の定めによれば、当該行政機関の長は、不開示決定(部分開示決定を含む。)をする場合、原則として、開示請求者に対し、同時に、当該決定の[ ウ ]を示さなければならない。

ウ・・・理由

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分(ここでいう不開示決定)をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない(行政手続法8条1項)。

つまり、ウには「理由」が入ります。

開示決定等に不服がある者は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、原則として、[ エ ]に諮問しなければならない(当該行政機関の長が会計検査院長である場合を除く)。[ エ ]は、必要があると認めるときは、諮問をした行政機関の長(諮問庁)に対し、[ ア ]の提示を求めることができ、諮問庁は、これを拒むことができない。この審査請求においては、処分庁は、当初に示された[ ウ ]と異なる[ ウ ]を主張することもできる。

エ・・・情報公開・個人情報保護審査会

開示決定等又は開示請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない(行政機関情報公開法19条1項)。

「開示決定等」又は「開示請求に係る不作為」について審査請求に関する諮問先は「情報公開・個人情報保護審査会」であることは覚えておきましょう!

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問46|民法 40字記述

Aは、工場を建設するために、Bから、Bが所有する甲土地(更地)を、賃貸借契約締結の日から賃借期間30年と定めて賃借した。ただし、甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない。ところが、甲土地がBからAに引き渡される前に、甲土地に何らの権利も有しないCが、AおよびBに無断で、甲土地に塀を設置したため、Aは、甲土地に立ち入って工場の建設工事を開始することができなくなった。そこで、Aは、Bに対応を求めたが、Bは何らの対応もしないまま現在に至っている。Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか。民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:例1)Bの所有権に基づく妨害排除請求権を債権者代位することで、塀の除去を請求することができる。(44字)

例2)Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、塀の除去を請求することができる。(39字)

【解説】

Aは、工場を建設するために、Bから、Bが所有する甲土地(更地)を、賃貸借契約締結の日から賃借期間30年と定めて賃借した。ただし、甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない。ところが、甲土地がBからAに引き渡される前に、甲土地に何らの権利も有しないCが、AおよびBに無断で、甲土地に塀を設置したため、Aは、甲土地に立ち入って工場の建設工事を開始することができなくなった。そこで、Aは、Bに対応を求めたが、Bは何らの対応もしないまま現在に至っている。Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか。民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

行政書士試験令和4年問46の状況図です。

質問内容

Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、「どのような請求」をすることができるか。

解説

今回、塀を設置されて占有を妨害されただけで、占有を奪われた(占有された)とまでは言えないので、「妨害排除請求」ができるかを考えます。

「妨害排除請求権」は、「物権(不動産賃借権も含む)が占有以外の形で妨害されているとき、妨害の排除を請求する権利」のことです。

妨害排除請求をするための根拠となるのは、下記2つがあります。

  1. 賃借権に基づく妨害排除請求
  2. 所有権に基づく妨害排除請求

今回、Aは、工場用地を建設するために土地を借りているので、対抗要件としては「①借地権の登記」または「②借地上建物の登記」のいずれかです。

本問では、「甲土地の貸借権の登記は、現在に至るまでされていない」状況です。=未登記

また、工場は建設されていないので、②借地上建物ももちろん未登記です。

したがって、土地賃借人Aは、借地権を対抗することができません。

よって、「1の賃借権に基づく妨害排除請求」はできないです。

できることは、「2の所有権に基づく妨害排除請求」です。

判例(最判昭29.9.24)によると、
「建物の賃借人が、賃貸人たる建物所有者に代位して、建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対して明渡をなすべきことを請求することができる」と判示しています。

■ここで質問内容を確認すると

「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか?

「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、

Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、塀の除去を請求することができる。(39字)

となります。

※ 妨害排除請求の根拠規定は、民法198条(占有保持の訴え)ですが、ここには、「占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。」
と規定しており、損害賠償請求もできる旨が定められています。

今回、質問内容は、「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために」、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか?なので

「損害賠償請求」は、不適当です。

なぜなら、「Aが甲土地に工場の建設工事を開始するための手段」として、損害賠償請求は、適していないからです。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問45|民法 40字記述

Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:Aは、Bの無権代理行為について追認拒絶しても信義則に反しないから、履行を拒絶ができる。(43文字)

【解説】

Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

行政書士:令和4年問45の状況図です。

質問内容

①Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか?
②その理由は?

解説1.配偶者が行った行為は無権代理行為といえるか?

まず、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う(民法761条本文)」と規定しています。

これは、「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有する」ということです。

では、「日常の家事に関する法律行為」とは、どの範囲までをいうか?

判例(最判昭44.12.18)によると

「日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単に夫婦の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも十分に考慮して判断すべきとして、・・・不動産の売買契約締結の当時、被上告人が訴外Aに対しその売買契約を締結する代理権またはその他の何らかの代理権を授与していた事実は認められない、」と判示しています。

つまり、不動産の売買契約は「日常の家事に関する法律行為」にはあたりません。

したがって、Aの配偶者であるBが行った、A所有の甲不動産の売却行為は、無権代理行為と分かります。

解説2.無権代理人が死亡して、本人が単独相続した場合どうなるか?

無権代理人が死亡して、本人が単独相続した場合について、
判例(最判昭37.4.20)では、「相続人たる本人が被相続人の無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはないから、被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではないと解するのが相当」と判示しています。

つまり、「AはBの行為の追認を拒絶でき」、その理由は「何ら信義に反しないから」です。

これを、40字程度でまとめると、次の通りです。

Aは、Bの無権代理行為について追認拒絶しても信義則に反しないから、履行を拒絶ができる。(43文字)

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問44|行政法 40字記述

開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。これに対して、当該マンションの隣地に居住するXらは、当該マンションの建築計画は建築基準法令に適合せず、建築確認は違法であり、当該マンションも、そのような建築計画に沿って建てられたものであるから違法であって、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、特定行政庁であるB市長に申し入れた。しかしながら、B市長は、当該建築確認および当該マンションの建物に違法な点はないとして、これを拒否することとし、その旨を通知した。

このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。この場合において、①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
建築基準法
(違反建築物に対する措置)
第9条
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:B市を被告として、重大な損害が生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(42文字)※ 「義務付け訴訟」でもよい

【解説】

開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。これに対して、当該マンションの隣地に居住するXらは、当該マンションの建築計画は建築基準法令に適合せず、建築確認は違法であり、当該マンションも、そのような建築計画に沿って建てられたものであるから違法であって、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、特定行政庁であるB市長に申し入れた。しかしながら、B市長は、当該建築確認および当該マンションの建物に違法な点はないとして、これを拒否することとし、その旨を通知した。

このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。この場合において、①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か。40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

(1)開発事業者であるAは、建築基準法に基づき、B市建築主事から建築確認を受けて、マンションの建築工事を行い、工事完成後、Aは当該マンションの建物につき、検査の上、検査済証の交付を受けた。
【開発業者A / B市建築主事(建築確認を行った者)】

(2)上記建築確認について、隣地住民Xらは、建築確認は違法であり、当該マンションの建物に火災その他の災害が発生した場合、建物が倒壊、炎上することにより、Xらの身体の安全や家屋に甚大な被害が生ずるおそれがあるとして、建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、B市長に申し入れた。

(3)しかし、B市長は、違法はないとして、隣地住民Xらの申し入れを拒否し、その旨を通知した。

(4)このようなB市長の対応を受け、Xらは、行政事件訴訟法の定める抗告訴訟を提起することにした。

質問内容

①誰を被告として、②前記のような被害を受けるおそれがあることにつき、同法の定める訴訟要件として、当該是正命令がなされないことにより、どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)、③どのような訴訟を起こすことが適切か

解説

③どのような訴訟を起こすことが適切か

まず、③どのような訴訟を起こすことが適切かを考えます。

訴訟類型を確定させれば、そこから詳細な要件や手続を確定させることができます。

そもそも、隣地住民Xらは「建築基準法に基づき違反建築物の是正命令を発出するよう、B市長に申し入れ」ています。これは、是正命令を出すべきであるにも関わらず、市長が是正命令を出していないから、上記申し入れをしているわけです。

これを訴訟として争う場合「(非申請型)義務付け訴訟」となります。

行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行政事件訴訟法3条6項1号)。

誰を被告とするか

行政事件訴訟法では、被告は「行政主体」です。
したがって、「B市」を被告とします。

どのような影響を生ずるおそれがあるものと主張し(同法の条文の表現を踏まえて記すこと。)

「条文の表現を踏まえて記すこと」という部分から、義務付け訴訟の要件から考えます。

義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる(行政事件訴訟法37条の2第1項)。

「影響」については「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」の法なので、これを使います。

「一定の処分」とは「是正命令」です。

上記をまとめると

B市に対して、是正命令が出されないことにより重大な損害を生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(55字)

これでは長いので、「是正命令が出されないことにより」を省略します。

B市を被告として、重大な損害が生ずるおそれがあると主張し、義務付けの訴えを提起する。(42文字)

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

国家補償制度は、国家賠償と損失補償によって構成されるが、両者のいずれによっても救済されない問題が存在する。公務員の[ ア ]の違法行為による被害は、国家賠償法の救済の対象とはならず、他方、憲法29条3項によって求められる損失補償は、[ イ ]以外の権利利益についての被害には及ばないと考えられるからである。この救済の空白地帯は「国家補償の谷間」と呼ばれている。

「国家補償の谷間」の典型事例は予防接種による副反応被害である。この事例を損失補償により救済するアプローチは、[ イ ]よりも重要な利益である生命・身体の利益は、当然に憲法29条3項に規定する損失補償の対象となるとする[ ウ ]解釈によって、救済を図ろうとする。

これに対して、国家賠償による救済のアプローチをとる場合、予防接種の性質上、予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分けることが困難であり、医師による予診を初めとする公務員の行為は[ ア ]とされる可能性が残る。この点について、最高裁判所昭和51年9月30日判決は、予防接種により重篤な副反応が発生した場合に、担当医師がこうした結果を予見しえたのに、過誤により予見しなかったものと[ エ ]することで、実質的に、自らが[ ア ]であることの立証貢任を国側に負わせることで救済を図った。

1: 自由裁量 2:合憲限定 3:生存権 4:無過失 5:正当な補償 6:文理 7:証明 8:緊急避難 9:重過失 10:特別の犠牲 11:推定 12:職務外 13:決定 14:事実行為 15:財産権 16:確定 17:反対 18:憲法上の権利 19:償うことのできない損害 20:勿論

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:無過失 イ:財産権 ウ:勿論 エ:推定

【解説】

国家補償制度は、国家賠償と損失補償によって構成されるが、両者のいずれによっても救済されない問題が存在する。公務員の[ ア:無過失 ]の違法行為による被害は、国家賠償法の救済の対象とはならず、他方、憲法29条3項によって求められる損失補償は、[ イ:財産権 ]以外の権利利益についての被害には及ばないと考えられるからである。この救済の空白地帯は「国家補償の谷間」と呼ばれている。

「国家補償の谷間」の典型事例は予防接種による副反応被害である。この事例を損失補償により救済するアプローチは、[ イ:財産権 ]よりも重要な利益である生命・身体の利益は、当然に憲法29条3項に規定する損失補償の対象となるとする[ ウ:勿論 ]解釈によって、救済を図ろうとする。

これに対して、国家賠償による救済のアプローチをとる場合、予防接種の性質上、予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分けることが困難であり、医師による予診を初めとする公務員の行為は[ ア:無過失 ]とされる可能性が残る。この点について、最高裁判所昭和51年9月30日判決は、予防接種により重篤な副反応が発生した場合に、担当医師がこうした結果を予見しえたのに、過誤により予見しなかったものと[ エ:推定 ]することで、実質的に、自らが[ ア:無過失 ]であることの立証貢任を国側に負わせることで救済を図った。

国家補償制度は、国家賠償と損失補償によって構成されるが、両者のいずれによっても救済されない問題が存在する。公務員の[ ア ]の違法行為による被害は、国家賠償法の救済の対象とはならず、・・・国家賠償による救済のアプローチをとる場合、予防接種の性質上、予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分けることが困難であり、医師による予診を初めとする公務員の行為は[ ア ]とされる可能性が残る。

ア・・・無過失

国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、賠償責任を負う(国家賠償法1条)。

ここから、国家賠償法の救済の対象とはならないのは、公務員が「無過失」で行った違法行為と判断できます。

また、後半部分「国家賠償による救済のアプローチをとる場合~」を見ると、
「予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分けることが困難」
だから、「医師による予診を初めとする公務員の行為は[ ア:無過失 ]とされる可能性が残る」
となります。

他方、憲法29条3項によって求められる損失補償は、[ イ ]以外の権利利益についての被害には及ばないと考えられるからである。この救済の空白地帯は「国家補償の谷間」と呼ばれている。・・・

「国家補償の谷間」の典型事例は予防接種による副反応被害である。この事例を損失補償により救済するアプローチは、[ イ ]よりも重要な利益である生命・身体の利益は、当然に憲法29条3項に規定する損失補償の対象となるとする[ ウ ]解釈によって、救済を図ろうとする。

イ・・・財産権

私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる(憲法29条3項)。

憲法29条3項が「財産権」に関する規定なので、この条文を覚えていれば、ここから「財産権」と判断してもよいです。

一方、上記を覚えていなくても、
キーとなる文章である
「[ イ ]以外の権利利益」と「[ イ ]よりも重要な利益である生命・身体の利益」
から判断する方法もあります。

ここから、イには「財産権」が入ることを推測します。

「財産」と「生命・身体」を比べたら、もちろん、「生命・身体」の方が重要です。

「国家補償の谷間」の典型事例は予防接種による副反応被害である。この事例を損失補償により救済するアプローチは、[ イ:財産権 ]よりも重要な利益である生命・身体の利益は、当然に憲法29条3項に規定する損失補償の対象となるとする[ ウ ]解釈によって、救済を図ろうとする。

ウ・・・勿論

憲法29条3項に規定する損失補償の対象は「財産権」ですが、それよりも重要な「生命・身体の利益」は、もちろん解釈によって(=当然)に損失補償の対象として救済が図られます。

よって、ウには「勿論(もちろん)」が入ります。

「勿論解釈」とは、法制定の沿革・意義・目的を考えて、法に書かれていなくても、類似する事項と同様に適用することが当然であるとする解釈方法です。

最高裁判所昭和51年9月30日判決は、予防接種により重篤な副反応が発生した場合に、担当医師がこうした結果を予見しえたのに、過誤により予見しなかったものと[エ:推定]することで、実質的に、自らが[ア:無過失]であることの立証貢任を国側に負わせることで救済を図った。

国家賠償による救済のアプローチをとる場合、予防接種の性質上、予診を尽くしたとしても、接種を受けることが適切でない者(禁忌者)を完全に見分けることが困難であり、医師による予診を初めとする公務員の行為は[ ア:無過失 ]とされる可能性が残る。この点について、最高裁判所昭和51年9月30日判決は、予防接種により重篤な副反応が発生した場合に、担当医師がこうした結果を予見しえたのに、過誤により予見しなかったものと[ エ ]することで、実質的に、自らが[ ア:無過失 ]であることの立証貢任を国側に負わせることで救済を図った。

エ・・・推定

判例(最判昭51.9.30)では、
「適切な問診を尽さなかったため、 接種対象者の症状、疾病その他異常な身体的条件及び体質的素因を認識することができず、禁忌すべき者の識別判断を誤って予防接種を実施した場合において、予防接種の異常な副反応により接種対象者が死亡又は罹病したときには、担当医師は接種に際し右結果を予見しえたものであるのに過誤により予見しなかったものと推定するのが相当である。」と判示しています。

「推定」なので、反証があれば、担当医師の過失を覆す(くつがえす)ことができます。

つまり、国側が無過失を証明できれば、無過失となるわけです。

したがって、実質的に、「自らが無過失であること」の立証貢任を国側に負わせることで、被害者の救済を図っています。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問47|基礎知識

ロシア・旧ソ連の外交・軍事に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 1853年にロシアはオスマン朝トルコとウクライナ戦争を起こし、イギリス・フランスがトルコ側に参戦して、ウィーン体制に基づくヨーロッパの平和は崩壊した。
  2. 第一次世界大戦の末期の1917年に、ロシアでいわゆる名誉革命が生じ、革命政権は「平和に関する布告」を出し、社会主義インターナショナルの原則による和平を求めた。
  3. 独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ソ連は1939年にポーランドに侵攻して東半分を占領し、さらにフィンランドとバルト三国とスウェーデンも占領した。
  4. 1962年にキューバにソ連のミサイル基地が建設されていることが分かり、アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった。
  5. 1980年代前半は新冷戦が進行したが、ソ連の最高指導者ゴルバチョフは新思考外交を展開し、1989年の米ソ両首脳のマルタ会談において、東西冷戦の終結が宜言された。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】
1.1853年にロシアはオスマン朝トルコとウクライナ戦争を起こし、イギリス・フランスがトルコ側に参戦して、ウィーン体制に基づくヨーロッパの平和は崩壊した。

1・・・妥当ではない

1853年に起こった戦争は「クリミア戦争」なので、妥当ではありません。

クリミア戦争は、1853年にロシアとオスマン帝国の間で、「黒海沿岸の支配権」をめぐって起きた戦争です。

当初はロシアとオスマン帝国のみの対立でしたが、オスマン帝国を支援するため、フランスやイギリスなどの列強国が加わります。その結果、ヨーロッパ諸国を巻き込んだ、ロシア軍対連合軍の大規模戦争へと発展しました。

その後、パリ講和会議にてパリ条約が締結され、クリミア戦争が終結しました。

【ウィーン体制とは】 

ウィーン会議(1814-1815年)以後のヨーロッパの国際秩序で、絶対王政(王による支配)です。

1848年革命を経てクリミア戦争(1853年-1856年)によって完全に崩壊するまで続いた国際的体制がウィーン体制です。

2.第一次世界大戦の末期の1917年に、ロシアでいわゆる名誉革命が生じ、革命政権は「平和に関する布告」を出し、社会主義インターナショナルの原則による和平を求めた。

2・・・妥当ではない

本肢は「名誉革命」が妥当ではなく、正しくは「ロシア革命」です。

【(第二次)ロシア革命とは】
第一次大戦末期の1917年にロシアで起こったのは「第二次ロシア革命(二月革命・十月革命)」です。

第二次ロシア革命以前は、ロシアは皇帝による君主制でした。

しかし、第二次ロシア革命により、1922年、史上初の「社会主義国家」である「ソビエト連邦」が発足しました。

そしてロシア革命(十月革命)の中で、レーニンが、第一次世界大戦の交戦国(ドイツ帝国等)に対し、第1次世界大戦をただちにやめ、公正で民主的な講和を結ぶよう提案しました。これが「平和に関する布告」です。

【名誉革命とは】
1688年から1689年にかけて、イギリスで起こった市民革命です。
イギリスの議会が国王ジェームズ2世を追放した事件です。

【社会主義インターナショナルとは】 

1951年に創設された「民主社会主義」や「社会民主主義」を掲げる政党の国際組織で、本部はロンドンにあります。
日本は「社会民主党」が加盟しています。

3.独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ソ連は1939年にポーランドに侵攻して東半分を占領し、さらにフィンランドとバルト三国とスウェーデンも占領した。

3・・・妥当ではない

独ソ不可侵条約は1938年、日ソ中立条約は1941年です。

ソ連によるポーランド侵攻は1939年です。

よって、「独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ポーランド侵攻」というのは順序が間違っています。

正しくは、「ポーランド侵攻→独ソ不可侵条約の締結→日ソ中立条約の締結」です。

【独ソ不可侵条約とは】
「ナチス・ドイツとソ連」の間に締結された不可侵条約。

【日ソ中立条約とは】
「日本とソ連」が締結した中立条約。

4.1962年にキューバにソ連のミサイル基地が建設されていることが分かり、アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった。

4・・・妥当ではない

本肢は、「アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった」という部分が妥当ではありません。

「アメリカは基地を空爆していないです」また「キューバ戦争も行っていないです」。

【キューバ危機とは】 

1962年、ソ連がキューバに「核ミサイル基地」を建設していた。これに対して、アメリカは、偵察飛行により「核ミサイル基地の建設」を発見した。

そして、アメリカが、キューバの海上(カリブ海)封鎖を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前までいきました。

これが「キューバ危機」です。

最終的にソ連が核ミサイルを撤去してこの危機は終わりました。

5.1980年代前半は新冷戦が進行したが、ソ連の最高指導者ゴルバチョフは新思考外交を展開し、1989年の米ソ両首脳のマルタ会談において、東西冷戦の終結が宜言された。

5・・・妥当

【マルタ会談とは】

「マルタ会談」とは、1989年に、地中海のマルタで行われた「アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ」と「ソ連のゴルバチョフ書記長」との首脳会談です。

44年間続いた東西冷戦を終結させた会談です。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問48|基礎知識

ヨーロッパの国際組織に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.1960年にイギリスが中心となって設立されたヨーロッパの経済統合を目指す国際機関を欧州経済共同体(EEC)という。

イ.国際連合の下部組織としてヨーロッパの一部の国際連合加盟国が参加して形成された国際機関を欧州連合(EU)という。

ウ.ヨーロッパにおける人権保障、民主主義、法の支配の実現を目的とした国際機関を欧州評議会(Council of Europe)という。

エ.ヨーロッパがヨーロッパ外部からの攻撃に対して防衛するためアメリカとヨーロッパ各国が結んだ西欧条約に基づいて設立された集団防衛システムを西欧同盟(WEU)という。

オ.欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国が欧州連合(EU)に加盟せずにヨーロッパの市場に参入することができるよう作られた仕組みを欧州経済領域(EEA)という。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:5(ウ・オが妥当)

【解説】
ア.1960年にイギリスが中心となって設立されたヨーロッパの経済統合を目指す国際機関を欧州経済共同体(EEC)という。

ア・・・妥当ではない

本肢は「イギリスが中心となって」が妥当ではありません。
EECにイギリスは含まれていません。

【欧州経済共同体(EEC)】 

1958年に設立された、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダとの間での経済統合を実現することを目的とする国際機関です。

【欧州共同体(EC)→欧州連合(EU)】 

EEC設立後、1965年欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)と欧州原子力共同体(Euratom)とともに欧州共同体(EC)に統合されました。その後、1993年欧州連合(EU)に発展しました。

イ.国際連合の下部組織としてヨーロッパの一部の国際連合加盟国が参加して形成された国際機関を欧州連合(EU)という。

イ・・・妥当ではない

「国際連合の下部組織として」という部分は誤りです。EUは、国連の下部組織ではありません。

【欧州連合(EU)】

欧州連合条約に基づく、経済通貨同盟、共通外交・安全保障政策、警察・刑事司法協力等のより幅広い分野での協力を進めている政治・経済統合体です。

経済・通貨同盟については、国家主権の一部を委譲。域外に対する統一的な通商政策を実施する世界最大の単一市場を形成しています。その他の分野についても、加盟国の権限を前提としつつ、最大限EUとしての共通の立場を取ることで、政治的にも「一つの声」で発言しています(外務省HPより)。

ウ.ヨーロッパにおける人権保障、民主主義、法の支配の実現を目的とした国際機関を欧州評議会(Council of Europe)という。

ウ・・・妥当

【欧州評議会(Council of Europe)】 

欧州評議会は1949年、民主主義や人権といった価値観を共有する西欧(西ヨーロッパ)10か国が、加盟国間の協調拡大を目的としてストラスブール(仏)に設置した国際機関です。

現在、加盟国は中東欧諸国・ロシアを含む40か国にのぼり、政治、経済、社会、文化等様々な分野(軍事・防衛を除く)で協議を実施(加盟国への拘束力はなし)しています(内閣府HPより)。

エ.ヨーロッパがヨーロッパ外部からの攻撃に対して防衛するためアメリカとヨーロッパ各国が結んだ西欧条約に基づいて設立された集団防衛システムを西欧同盟(WEU)という。

エ・・・妥当ではない

本肢は「西欧同盟(WEU)」は妥当ではなく、正しくは「北大西洋条約機構(NATO)」です。

【西欧同盟(WEU)】 

西欧同盟(WEU)は、1948年に署名された、冷戦期における西ヨーロッパ諸国の間における防衛に関する合意事項をうたった「ブリュッセル条約」の実行を使命としていた国際組織です。

冷戦終結以降、欧州連合(EU)がより広範な役割を果たすようになり、西欧同盟の使命や機関は、欧州連合(EU)に移管されています。

そして、2009年、西欧同盟の集団的自衛条項が「リスボン条約」に引き継がれ、その結果、2010年に「ブリュッセル条約」はその効力が停止され、西欧同盟の活動は2011年に正式に終了しました。

【北大西洋条約機構(NATO)】 

第二次世界大戦後の1949年にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で調印された北大西洋条約を実装する軍事的な同盟組織です。

北大西洋同盟とも呼ばれ、「アメリカ・カナダ」と「ヨーロッパの28ヵ国」の合計30ヵ国が加盟する政府間軍事同盟です。

NATOは、「集団防衛」「危機管理」「協調的安全保障」の三つを中核的任務としており、加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の責務となっています。

オ.欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国が欧州連合(EU)に加盟せずにヨーロッパの市場に参入することができるよう作られた仕組みを欧州経済領域(EEA)という。

オ・・・妥当

【欧州経済領域(EEA)】 

「欧州自由貿易連合 (EFTA) の加盟国」が「欧州連合 (EU)」 に加盟することなく、EUの単一市場に参加することができるように、1994年に「EFTA」と「EU」との間で発効した協定に基づいて設置された枠組みです。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問49|基礎知識

軍備縮小(軍縮)に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.コスタリカは軍隊を持たないことを憲法に明記し、フィリピンは非核政策を憲法に明記している。

イ.対人地雷禁止条約*では、対人地雷の使用や開発が全面的に禁止されている。

ウ.核拡散防止条約(NPT)では、すべての国の核兵器保有が禁止されているが、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国は批准していない。

エ.佐藤栄作は、生物・化学兵器禁止に尽力したことが評価され、2004年にノーベル平和賞を受賞した。

オ.中距離核戦力(INF)全廃条約は、アメリカとソ連との間に結ばれた条約で、2019年に失効した。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:4(ウ・エが妥当ではない)

【解説】
ア.コスタリカは軍隊を持たないことを憲法に明記し、フィリピンは非核政策を憲法に明記している。

ア・・・妥当

コスタリカ憲法第12条には「常設的機関としての軍隊は禁止する。」と規定しています。

また、フィリピン共和国憲法2条8項には「フィリピンは一貫して国益と共にあり、領土内において核兵器から自由となる政策を採用し追求する。」と規定しています。

よって、本肢は妥当です。

イ.対人地雷禁止条約*では、対人地雷の使用や開発が全面的に禁止されている。

イ・・・妥当

対人地雷禁止条約(オタワ条約)1条には「いかなる場合にも、①使用、開発、生産、取得、貯蔵、保有及び移譲並びにこれらの援助、奨励及び勧誘について禁止。条約の規定に従ってすべての対人地雷を廃棄。」と規定しています。

よって、本肢は妥当です。

ウ.核拡散防止条約(NPT)では、すべての国の核兵器保有が禁止されているが、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国は批准していない。

ウ・・・妥当ではない

本肢は、「アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5ヵ国は批准していない」という部分が妥当ではありません。
「アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5ヵ国」は批准しています。

そして、1963年国連で採択された核拡散防止条約(NPT)では、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5ヵ国を「核兵器国」と定めていて、この5ヵ国「以外」への核兵器の拡散を防止を目的としています。

エ.佐藤栄作は、生物・化学兵器禁止に尽力したことが評価され、2004年にノーベル平和賞を受賞した。

エ・・・妥当ではない

1974年、「非核三原則の提唱を理由として」、佐藤栄作はノーベル平和賞を受賞しました。

「生物・化学兵器禁止に尽力したことが評価され」たわけでもないですし、「2004年」でもありません。

オ.中距離核戦力(INF)全廃条約は、アメリカとソ連との間に結ばれた条約で、2019年に失効した。

オ・・・妥当

【中距離核戦力全廃条約(INF)】

中距離核戦力全廃条約(INF)は、アメリカ合衆国とソビエト連邦との間に結ばれた軍縮条約の一つで、中距離核戦力として定義された中射程の弾道ミサイル、巡航ミサイルを全て廃棄することを目的とした条約です。

そして、2019年2月1日、アメリカはロシアに対して「本条約の破棄」を通告し、ロシアも条約義務履行の停止(条約を守らないこと)を宣言し、破棄通告から6ヵ月後の8月2日に失効しました。

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令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略