次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な[ ア ]及び判断を献じてされた被告行政庁の判断に[ イ ]があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右[ ア ]において用いられた具体的[ ウ ]に[ イ ]があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的[ ウ ]に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の[ ア ]及び[ エ ]に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に[ イ ]があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に[ イ ]があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的[ ウ ]並びに[ ア ]及び[ エ ]等、被告行政庁の判断に[ イ ]のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に[ イ ]があることが事実上推認されるものというべきである。
(最一小判平成4年10月29日民集46巻7号1174頁以下)
1:妥当性 2:要綱 3:重大な事実の誤認 4:予見可能性 5:合理性 6:審査基準 7:答申 8:不合理な点 9:重大かつ明白な瑕疵 10:判断枠組み 11:省令 12:事業計画 13:勧告 14:判断の過程 15:政令 16:根拠事実 17:調査審議 18:裁量の余地 19:法令違背 20:知見
【答え】:ア:17、イ:8、ウ:6、エ:14
【解説】
原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な[ア:調査審議]及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に[イ:不合理な点]があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右[ア:調査審議]において用いられた具体的[ウ:審査基準]に[イ:不合理な点]があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的[ウ:審査基準]に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の[ア:調査審議]及び[エ:判断過程]に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に[イ:不合理な点]があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に[イ:不合理な点]があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的[ウ:審査基準]並びに[ア:調査審議]及び[エ:判断過程]等、被告行政庁の判断に[イ:不合理な点]のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に[イ:不合理な点]があることが事実上推認されるものというべきである。
ア.イ.原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な[ ア ]及び判断を献じてされた被告行政庁の判断に[ イ ]があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右[ ア ]において用いられた具体的[ ウ ]に[ イ ]があり、
イ・・・不合理な点『原子炉安全委員会の専門的技術的な「ア」と「判断」を受けて行った行政庁の判断』なので
「アには調査審議」が入ります。
そして、何を基準に判断するかというと、「不合理な点があるか否か」で判断するので、「イには不合理な点」が入ります。
ウ.右[ア:調査審議]において用いられた具体的[ ウ ]に[イ:不合理な点]があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的[ ウ ]に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の[ア:調査審議]及び[ エ ]に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に[イ:不合理な点]があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
エ・・・判断過程調査審議で用いられる具体的なものとは「審査基準」です。
そのため、「ウには審査基準」が入ります。
そして、『原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の[ア:調査審議]及び[ エ ]に、看過し難い過誤、欠落があり・・・右判断に[イ:不合理な点]があると違法となる』
と書いてあります。
調査審議によって、何らから結論は出されるのですが
その結論いたる「判断過程」も含めて、過誤や欠落がないか、裁判所は考慮するわけです。
そのため「エには判断過程」が入ります。
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |