令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

平成22年・2010|問16|行政事件訴訟法

次のア~オの訴えのうち、抗告訴訟にあたるものの組合せはどれか。

ア.建築基準法に基づき私法人たる指定確認検査機関が行った建築確認拒否処分の取消しを求める申請者の訴え。

イ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決において示された補償額の増額を求める土地所有者の訴え。

ウ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決の無効を前提とした所有権の確認を求める土地所有者の訴え。

エ.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める周辺住民の訴え。

オ.住民基本台帳法に基づき、行政機関が住民票における氏名の記載を削除することの差止めを求める当該住民の訴え。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
ア.建築基準法に基づき私法人たる指定確認検査機関が行った建築確認拒否処分の取消しを求める申請者の訴え。
ア・・・抗告訴訟
まず、自分自身の権利利益の救済を目的とした、行政行為に対する訴訟を「主観訴訟」と言います。そして、主観訴訟は、大きく分けて、「抗告訴訟」と「当事者訴訟」に分けることができます。抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して違法でないかと不服がある場合の訴訟で、当事者訴訟は、当事者間の公法上の法律関係を争う訴訟です。

本問については、建築確認の拒否処分によって、建物を建築できなくなった者が、それを取消してほしいと訴えているので、自分自身の権利利益の救済を目的とした訴訟です。
つまり、主観訴訟です。

そして、行政庁の公権力の行使(建築確認の拒否処分)が違法ではないかと訴える訴訟なので、抗告訴訟にあたります。

ちなみに、抗告訴訟の中の、取消訴訟です。

本問はすべて考え方の整理が必要なので、個別指導で解説します!

整理できていないと、失点するし、覚えても忘れてしまうので注意しましょう!

イ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決において示された補償額の増額を求める土地所有者の訴え。
イ・・・当事者訴訟
本肢は当事者訴訟の中の「形式的当事者訴訟」です。形式的当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものです。例えば、Aの土地について、土地収用に関する収用委員会の裁決について,不服がある場合、本来、収用委員会の属する都道府県を被告として、収用裁決の取消しの訴えを提起します。

しかし、Aが収用自体は納得しているけど、収用に対する補償金額に不服がある場合があります。この場合、Aは補償額についてのみ争えばよいです。

そして、この補償額については、事業の起業者(事業を行う者)が決め、収用委員会が認定するのですが、補償額(損失補償額)に争いがある場合,土地を収用されたAと起業者との間で争います。

本来であれば,「補償額を認定した収用委員会の属する行政主体である都道府県」を被告として裁決を争う抗告訴訟によるべきです。
これが、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟」ということです。

しかし、補償金額については,補償金の支払いに関係する当事者間で直接争わせたほうが適切であるため、被告を起業者として訴訟を提起します。
これが、「法律関係の当事者の一方を被告とする」ということです。

上記訴えが、当事者訴訟の中の形式的当事者訴訟です。

ウ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決の無効を前提とした所有権の確認を求める土地所有者の訴え。
ウ・・・争点訴訟
争点訴訟とは、私法上の法律関係に関する訴訟ですが、その前提となる処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われているものを言います。例えば、Aの土地が収用(買収)された場合における「収用裁決の無効を理由とする所有権確認訴訟」です。最終的には、Aは「この土地の所有権は私のものです!」と確認を求める訴訟(所有権という私法上の法律関係に関する訴訟)なのですが、争点となっているのは、土地収用の裁決です。

この土地収用の裁決が無効だから、この土地の所有権はAにあるでしょ!という争いです。

エ.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める周辺住民の訴え。
エ・・・民事訴訟
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める周辺住民の訴え」については原告が周辺住民(民間)で、被告が運転者である原子炉施設の会社(官・民一体)です。つまり、民間同士の争いととらえて、民事訴訟も可能ですし
民間と国との争いととらえて、行政事件訴訟(無効確認訴訟)も可能としています。
オ.住民基本台帳法に基づき、行政機関が住民票における氏名の記載を削除することの差止めを求める当該住民の訴え。
オ・・・抗告訴訟
住民票に記載がないと、選挙権(投票権)がありません。
そのため、自分自身の権利利益のために、「行政機関による住民票における氏名の記載削除」という行政処分の違法性を訴えているので、抗告訴訟に当たります。ちなみに、抗告訴訟の中の差止め訴訟です。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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