表現の自由の保障根拠に関する次の記述のうち、他と異なる考え方に立脚しているものはどれか。
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- 広告のような営利的な表現活動もまた、国民一般が消費者として様々な情報を受け取ることの重要性に鑑み、表現の自由の保護が及ぶものの、その場合でも保障の程度は民主主義に不可欠な政治的言論の自由よりも低い、とする説がある。
- 知る権利は、「国家からの自由」という伝統的な自由権であるが、それにとどまらず、参政権(「国家への自由」)的な役割を演ずる。個人は様々な事実や意見を知ることによって、はじめて政治に有効に参加することができるからである。
- 表現の自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法の合憲性と同等の基準によって審査されなければならない、とする説が存在するが、その根拠は個人の自律にとっては経済活動も表現活動も同等な重要性を有するためである。
- 名誉毀損的表現であっても、それが公共の利害に関する事実について公益を図る目的でなされた場合には、それが真実であるか、真実であると信じたことに相当の理由があるときは処罰されないが、これは政治的な言論を特に強く保護する趣旨と解される。
- 報道機関の報道の自由は、民主主義社会において、国民が国政に関与するために重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであり、表現の自由の保障内容に含まれる。
【答え】:3
【解説】
「表現の自由を支える価値(表現の自由の保障根拠)」とは、分かりやすく言うと、「表現の自由を保障する理由」「表現の自由で保障すべき権利」ということです。これには2つの価値(保障理由)があります。
- 自己実現の価値:個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させる個人的な価値(権利)
- 自己統治の価値:政治に参加する価値(権利)
1.広告のような営利的な表現活動もまた、国民一般が消費者として様々な情報を受け取ることの重要性に鑑み、表現の自由の保護が及ぶものの、その場合でも保障の程度は民主主義に不可欠な政治的言論の自由よりも低い、とする説がある。
1・・・自己統治の価値を重視(他と異ならない)
「政治的言論の自由(自己統治の価値)」よりも低いと言っています。言い換えると「政治的言論の自由(自己統治の価値)」の方が高いということです。つまり、自己統治の価値を重視した考え方です。
2.知る権利は、「国家からの自由」という伝統的な自由権であるが、それにとどまらず、参政権(「国家への自由」)的な役割を演ずる。個人は様々な事実や意見を知ることによって、はじめて政治に有効に参加することができるからである。
2・・・自己統治の価値を重視(他と異ならない)
「政治に有効に参加することができる」というのは「自己統治の価値」です。
つまり、「自己統治の価値」を重視しています。
3.表現の自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法の合憲性と同等の基準によって審査されなければならない、とする説が存在するが、その根拠は個人の自律にとっては経済活動も表現活動も同等な重要性を有するためである。
3・・・自己実現の価値を重視(他と異なる)
「経済的自由を規制する立法の合憲性と同等の基準によって審査されなければならない」「経済活動も表現活動も同等な重要性を有する」というのは、「自己実現の価値」を重視しています。
4.名誉毀損的表現であっても、それが公共の利害に関する事実について公益を図る目的でなされた場合には、それが真実であるか、真実であると信じたことに相当の理由があるときは処罰されないが、これは政治的な言論を特に強く保護する趣旨と解される。
4・・・自己統治の価値を重視(他と異ならない)
「政治的な言論を特に強く保護する趣旨」ということは「自己統治の価値」を重視しています。
5.報道機関の報道の自由は、民主主義社会において、国民が国政に関与するために重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであり、表現の自由の保障内容に含まれる。
5・・・自己統治の価値を重視(他と異ならない)
「国民が国政に関与するために重要な判断の資料を提供し」ということから「自己統治の価値」を重視しています。
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |