ロシア・旧ソ連の外交・軍事に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 1853年にロシアはオスマン朝トルコとウクライナ戦争を起こし、イギリス・フランスがトルコ側に参戦して、ウィーン体制に基づくヨーロッパの平和は崩壊した。
- 第一次世界大戦の末期の1917年に、ロシアでいわゆる名誉革命が生じ、革命政権は「平和に関する布告」を出し、社会主義インターナショナルの原則による和平を求めた。
- 独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ソ連は1939年にポーランドに侵攻して東半分を占領し、さらにフィンランドとバルト三国とスウェーデンも占領した。
- 1962年にキューバにソ連のミサイル基地が建設されていることが分かり、アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった。
- 1980年代前半は新冷戦が進行したが、ソ連の最高指導者ゴルバチョフは新思考外交を展開し、1989年の米ソ両首脳のマルタ会談において、東西冷戦の終結が宜言された。
【答え】:5
【解説】
1・・・妥当ではない
1853年に起こった戦争は「クリミア戦争」なので、妥当ではありません。
クリミア戦争は、1853年にロシアとオスマン帝国の間で、「黒海沿岸の支配権」をめぐって起きた戦争です。
当初はロシアとオスマン帝国のみの対立でしたが、オスマン帝国を支援するため、フランスやイギリスなどの列強国が加わります。その結果、ヨーロッパ諸国を巻き込んだ、ロシア軍対連合軍の大規模戦争へと発展しました。
その後、パリ講和会議にてパリ条約が締結され、クリミア戦争が終結しました。
【ウィーン体制とは】
ウィーン会議(1814-1815年)以後のヨーロッパの国際秩序で、絶対王政(王による支配)です。
1848年革命を経てクリミア戦争(1853年-1856年)によって完全に崩壊するまで続いた国際的体制がウィーン体制です。
2・・・妥当ではない
本肢は「名誉革命」が妥当ではなく、正しくは「ロシア革命」です。
【(第二次)ロシア革命とは】
第一次大戦末期の1917年にロシアで起こったのは「第二次ロシア革命(二月革命・十月革命)」です。
第二次ロシア革命以前は、ロシアは皇帝による君主制でした。
しかし、第二次ロシア革命により、1922年、史上初の「社会主義国家」である「ソビエト連邦」が発足しました。
そしてロシア革命(十月革命)の中で、レーニンが、第一次世界大戦の交戦国(ドイツ帝国等)に対し、第1次世界大戦をただちにやめ、公正で民主的な講和を結ぶよう提案しました。これが「平和に関する布告」です。
【名誉革命とは】
1688年から1689年にかけて、イギリスで起こった市民革命です。
イギリスの議会が国王ジェームズ2世を追放した事件です。
【社会主義インターナショナルとは】
1951年に創設された「民主社会主義」や「社会民主主義」を掲げる政党の国際組織で、本部はロンドンにあります。
日本は「社会民主党」が加盟しています。
3・・・妥当ではない
独ソ不可侵条約は1938年、日ソ中立条約は1941年です。
ソ連によるポーランド侵攻は1939年です。
よって、「独ソ不可侵条約・日ソ中立条約を締結してから、ポーランド侵攻」というのは順序が間違っています。
正しくは、「ポーランド侵攻→独ソ不可侵条約の締結→日ソ中立条約の締結」です。
【独ソ不可侵条約とは】
「ナチス・ドイツとソ連」の間に締結された不可侵条約。
【日ソ中立条約とは】
「日本とソ連」が締結した中立条約。
4・・・妥当ではない
本肢は、「アメリカがこれを空爆したため、キューバ戦争が起こった」という部分が妥当ではありません。
「アメリカは基地を空爆していないです」また「キューバ戦争も行っていないです」。
【キューバ危機とは】
1962年、ソ連がキューバに「核ミサイル基地」を建設していた。これに対して、アメリカは、偵察飛行により「核ミサイル基地の建設」を発見した。
そして、アメリカが、キューバの海上(カリブ海)封鎖を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前までいきました。
これが「キューバ危機」です。
最終的にソ連が核ミサイルを撤去してこの危機は終わりました。
5・・・妥当
【マルタ会談とは】
「マルタ会談」とは、1989年に、地中海のマルタで行われた「アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ」と「ソ連のゴルバチョフ書記長」との首脳会談です。
44年間続いた東西冷戦を終結させた会談です。
令和4年(2022年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |