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平成22年・2010|問53|基礎知識・社会

わが国の難民認定制度についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. わが国の外国人に関する法制度としては、出入国管理法があるが、難民条約に加盟したことから、新たにそれとは別個に難民認定法が制定された。また、制度を管轄する行政組織も、入国管理局ではなく、法務省人権擁護委員会が担当することとなった。
  2. 難民認定制度が導入されて以来、本邦に難民として受け入れられた外国人の数はそれほど多くないが、最も多いのは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)出身の外国人であり、毎年数十人の同国出身の外国人が難民として日本に受け入れられている。
  3. 難民の申請は、本国から逃れてきて、本邦に入国する時点で難民認定を申請するほか、本邦に入国して数年間滞在した時点で、本邦入国後の政治活動など後発的事由を理由として難民認定を申請しても、これを認めることができる。
  4. 法務大臣による難民認定拒否の処分にかかる当該外国人からの審査請求に対する決定に際し、決定の客観性・中立性を確保するために、外部有識者で構成される委員会・委員等の意見を聴くことは義務づけられていない。
  5. わが国の制度で、ある外国人が難民として認定された場合、その認定は本邦内でのみ有効であり、当該外国人が第三国に渡航して、そこで滞在するためには、その国の制度に基づき難民認定の申請をしなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.わが国の外国人に関する法制度としては、出入国管理法があるが、難民条約に加盟したことから、新たにそれとは別個に難民認定法が制定された。また、制度を管轄する行政組織も、入国管理局ではなく、法務省人権擁護委員会が担当することとなった。
1・・・妥当ではない
「日本に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国」及び「日本に在留する」全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする法律が「出入国管理及び難民認定法:入管難民法」です。出入国管理法と別に難民認定法があるのではなく、まとめて「出入国管理及び難民認定法」があるので、誤りです。

また、難民認定制度を管轄する行政組織は「入国管理局」です。
よって、「法務省人権擁護委員会」も誤りです。

難民条約は、難民の人権確保と難民問題解決のための国際協力を効果的にするための条約です。

2.難民認定制度が導入されて以来、本邦に難民として受け入れられた外国人の数はそれほど多くないが、最も多いのは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)出身の外国人であり、毎年数十人の同国出身の外国人が難民として日本に受け入れられている。
2・・・妥当ではない
法務省によると、2018年の難民認定申請者数は10,493人で、審査が通った者(日本国での在留を認めた外国人)はわずか82人です。その内訳は、コンゴ民主共和国13人、イエメン5人、エチオピア5人等となっています。

「最も多いのは北朝鮮」は誤りです。

3.難民の申請は、本国から逃れてきて、本邦に入国する時点で難民認定を申請するほか、本邦に入国して数年間滞在した時点で、本邦入国後の政治活動など後発的事由を理由として難民認定を申請しても、これを認めることができる。
3・・・妥当
法務大臣は、日本にいる外国人から一定の手続により申請があったときは、その提出した資料に基づき、その者が難民である旨の認定(難民の認定)を行うことができます(入管難民法61条の2の1項)。よって、妥当です。

難民の申請は、本国から逃れてきて、本邦に入国する時点で難民認定を申請するほか、

本邦に入国して数年間滞在した時点で、本邦入国後の政治活動など後発的事由を理由として難民認定を申請しても、これを認めることができます

4.法務大臣による難民認定拒否の処分にかかる当該外国人からの審査請求に対する決定に際し、決定の客観性・中立性を確保するために、外部有識者で構成される委員会・委員等の意見を聴くことは義務づけられていない。
4・・・妥当ではない
難民の認定をしない処分(難民認定拒否)についての審査請求は、法務大臣に対し、審査請求書を提出して行わなければなりません(入管難民法61条の9の1項)。そして、法務大臣は、審査請求に対する裁決に当たっては、難民審査参与員の意見を聴かなければなりません(同条3項)。

よって、「外部有識者で構成される委員会・委員等の意見を聴くことは義務づけられていない」は誤りです。

難民審査参与員の意見を聞くことは義務です。

5.わが国の制度で、ある外国人が難民として認定された場合、その認定は本邦内でのみ有効であり、当該外国人が第三国に渡航して、そこで滞在するためには、その国の制度に基づき難民認定の申請をしなければならない。
5・・・妥当ではない
出入国在留管理庁長官は、日本に在留する外国人で難民の認定を受けているものが出国しようとするときは、一定の手続きによって難民旅行証明書を交付します(入管難民法61条の9の1項)そして、この難民旅行証明書は、難民条約の締約国に対しては、有効な外国人旅券として扱われるため、第三国に渡航し、そこで滞在するにあたって、再度難民認定の申請をする必要はありません

よって誤りです。

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平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基本的人権 問33 民法・債権
問4 法の下の平等 問34 民法:親族
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 財政 問36 会社法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 法改正により削除
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟法
問13 行政手続法 問43 行政事件訴訟法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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