時効更新の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
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- 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することはできない。
- 物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は更新する。
- 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
- 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の更新をすれば、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
- A所有の甲土地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはない。
【答え】:4
【解説】
1.債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することはできない。
1・・・正しい
判例によると、
「物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することができない」としています(最判平7.3.10)。
つまり、本肢は正しいです。
2.物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は更新する。
2・・・正しい
時効の完成猶予や時効更新の手続は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の完成猶予又は更新の効力を生じません(民法154条)。
よって、本肢は、債務者Bに通知ているので、被担保債権についての消滅時効は更新します。
なので、正しいです。
どういうことを言っているのかは個別指導で解説します!
3.要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
3・・・正しい
要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生じます(民法292条)。
つまり、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を更新したときは、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶので、正しいです。
考え方については、個別指導で解説します!
4.甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の更新をすれば、時効更新の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。
4・・・誤り
共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じません(民法284条2項)。
つまり、A・B・C全員に対して時効更新しないと、地役権は時効取得されてしまいます。
よって、本肢は誤りです。
本肢は考え方が変わるとスンナリ解けます!
そのため、考え方については、個別指導で解説します!
5.A所有の甲土地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはない。
5・・・正しい
時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有します(民法153条1項)。
つまり、時効更新は相対効ということです。
AがBに対してだけ時効の更新をしたときは、Bの取得時効のみ更新され、Cの取得時効は更新されることはありません。
正しい記述です!
別途考えるべきポイントは、個別指導で解説します!
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
