地方自治法に定める住民訴訟に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア.自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。
イ.住民訴訟においては、住民監査請求と同様、公金支出の違法の問題のみならず不当の問題についても争うことができる。
ウ.他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。
エ.住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所に提起することとされている。
オ.違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。
- ア・イ
- ア・エ
- イ・エ
- ウ・オ
- エ・オ
【答え】:4
【解説】
ア.自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。
ア・・・誤り
普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合、裁判所に対し、住民監査請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって請求(=住民訴訟)をすることができます(地方自治法242条の2の1項)。上記の通り、住民訴訟は「住民監査請求を行った住民」のみです。自ら住民監査請求を行っていない住民は、住民訴訟を提起できません。
普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合、裁判所に対し、住民監査請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって請求(=住民訴訟)をすることができます(地方自治法242条の2の1項)。上記の通り、住民訴訟は「住民監査請求を行った住民」のみです。自ら住民監査請求を行っていない住民は、住民訴訟を提起できません。
イ.住民訴訟においては、住民監査請求と同様、公金支出の違法の問題のみならず不当の問題についても争うことができる。
イ・・・誤り
住民訴訟は「裁判」なので、違法かどうかしか争うことができません。つまり、不当の問題について住民訴訟で争うことはできないということです。住民監査請求の場合、「不当の問題」「違法の問題」どちらも対象です。
住民訴訟は「裁判」なので、違法かどうかしか争うことができません。つまり、不当の問題について住民訴訟で争うことはできないということです。住民監査請求の場合、「不当の問題」「違法の問題」どちらも対象です。
ウ.他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。
ウ・・・正しい
住民訴訟が係属しているとき(裁判中のとき)は、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴(別の裁判)をもって同一の請求をすることができません(地方自治法242条の2の4項)。例えば、ある事柄について、住民Aが住民訴訟を行っている場合、別の住民Bが同じ事柄で、住民訴訟を提起できないということです。これを可能にすると、住民訴訟の案件が増えすぎて、裁判所がパンクしてしまいます。
住民訴訟が係属しているとき(裁判中のとき)は、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴(別の裁判)をもって同一の請求をすることができません(地方自治法242条の2の4項)。例えば、ある事柄について、住民Aが住民訴訟を行っている場合、別の住民Bが同じ事柄で、住民訴訟を提起できないということです。これを可能にすると、住民訴訟の案件が増えすぎて、裁判所がパンクしてしまいます。
エ.住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所に提起することとされている。
オ.違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。
オ・・・正しい
住民訴訟では、下記、4種類の請求のみ可能です(地方自治法242条の2の1項)。
住民訴訟では、下記、4種類の請求のみ可能です(地方自治法242条の2の1項)。
- 差止めの請求
- 取消し又は無効確認の請求
- 怠る事実の違法確認の請求
- 相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める請求
本肢は上記4に当たります。よって、正しいです。
本肢は意外と理解していない方が多い部分です。なので、重要なポイントについては、個別指導で解説します!
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |