行政手続法に基づく意見公募手続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 意見公募手続の対象となる命令等に含まれるのは、政令や省令などのほか、審査基準や処分基準といった行政処分の基準に限られ、行政指導の基準は含まれない。
- 地方公共団体の行政庁が法律を根拠とする許認可等の審査基準を定める場合には、意見公募手続が義務付けられている。
- 意見公募手続において意見を提出できる者については、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できる。
- 意見提出の期間は同法で法定されており、これを下回る期間を定めることは認められていない。
- 意見公募手続において、提出意見があった場合には、提出意見やそれを考慮した結果などを公示しなければならないが、提出意見がなかった場合には、その旨を公示する必要はない。
【答え】:3
【解説】
1.意見公募手続の対象となる命令等に含まれるのは、政令や省令などのほか、審査基準や処分基準といった行政処分の基準に限られ、行政指導の基準は含まれない。
1・・・誤り
意見公募手続の対象となる命令等とは、次に掲げるものをいいます(行政手続法2条8号)。
意見公募手続の対象となる命令等とは、次に掲げるものをいいます(行政手続法2条8号)。
- 法律に基づく命令又は規則
- 審査基準
- 処分基準
- 行政指導指針
つまり、行政指導の基準(行政指導指針)も含まれるので、誤りです。
2.地方公共団体の行政庁が法律を根拠とする許認可等の審査基準を定める場合には、意見公募手続が義務付けられている。
2・・・誤り
下記については、行政手続法の第2章~第6章(申請に対する処分、不利益処分、行政指導、届出、意見公募手続等)が適用除外となります(行政手続法3条3項)。
下記については、行政手続法の第2章~第6章(申請に対する処分、不利益処分、行政指導、届出、意見公募手続等)が適用除外となります(行政手続法3条3項)。
- 地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に限る。)
- 地方公共団体の機関がする行政指導
- 地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に限る。)
- 地方公共団体の機関が命令等を定める行為
許認可等の審査基準を定める行為は、上記4に当たります。
よって、行政手続法の規定が適用されないので、意見公募手続きは不要です。
3.意見公募手続において意見を提出できる者については、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できる。
3・・・正しい
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項:意見公募手続)。
上記の通り、意見公募手続において意見を提出できる者については、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できます。
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項:意見公募手続)。
上記の通り、意見公募手続において意見を提出できる者については、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できます。
4.意見提出の期間は同法で法定されており、これを下回る期間を定めることは認められていない。
4・・・誤り
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、「意見の提出先」及び「意見の提出のための期間(意見提出期間)」を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項:意見公募手続)。そして、上記意見提出期間は、原則、公示の日から起算して30日以上でなければなりません(行政手続法39条3項)。
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、「意見の提出先」及び「意見の提出のための期間(意見提出期間)」を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項:意見公募手続)。そして、上記意見提出期間は、原則、公示の日から起算して30日以上でなければなりません(行政手続法39条3項)。
ただし、30日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、30日を下回る意見提出期間を定めることができますが、この場合、命令等の案の公示の際に、その理由を明らかにしなければなりません(行政手続法40条1項)。
5.意見公募手続において、提出意見があった場合には、提出意見やそれを考慮した結果などを公示しなければならないが、提出意見がなかった場合には、その旨を公示する必要はない。
5・・・誤り
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければなりません(行政手続法43条)。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければなりません(行政手続法43条)。
- 命令等の題名
- 命令等の案の公示の日
- 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
- 提出意見を考慮した結果及びその理由
つまり、提出意見がなかった場合には、その旨を公示しなければならないので誤りです。
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
