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行政不服審査法20条:口頭による審査請求

行政不服審査法20条「口頭による審査請求」の内容は、簡単な内容なので覚えてしまいましょう!ただ、行政書士試験ではあまり出題されない部分です。ただし、難しくないので出題されたら必ず得点できるようにしましょう!

口頭で審査請求をする場合、行政不服審査法19条の「処分における審査請求書の記載内容」と「不作為における審査請求書の記載内容」を陳述し(口頭で伝え)、行政庁は、その内容を記録します。記録が終わったら、陳述人(口頭で話した者)に読み聞かせを行い誤りがないかを確認させなければなりません。

(口頭による審査請求)
行政不服審査法第20条 口頭で審査請求をする場合には、前条第2項から第5項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認しなければならない。

<<行政不服審査法19条:審査請求書の提出 | 行政不服審査法21条:処分庁等を経由する審査請求>>

行政不服審査法7条:適用除外

行政不服審査法7条は、下記事項は「2条・3条の規定を適用しない」としています。どういうことかというと、下記事項については、審査請求できないということです。

では、どういった場合に審査請求ができないのか?

審査請求ができない場合

  1. 国会若しくは地方議会の議決によってされる処分
  2. 裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
  3. 国会若しくは地方議会の議決又は同意等を経てされる処分
  4. 検査官会議で決すべきものとされている処分
  5. 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴え(形式的当事者訴訟)においてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
  6. 刑事事件に関する検察官等がする処分
  7. 国税又は地方税の犯則事件に関する処分
    金融商品取引の犯則事件に関する処分
  8. 学校講習所訓練所又は研修所で、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
  9. 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
  10. 外国人の出入国又は帰化に関する処分
  11. 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(例えば、行政書士試験の結果等)
  12. 行政不服審査法に基づいて行われる処分

この点については、行政手続法で適用除外になっているものと、行政不服審査法で適用除外になっているものの違いを覚えるとよいでしょう!

行政手続法と行政不服審査法の適用除外の違い

手続法のみ適用除外 ① 公務員の懲戒処分
② 利害の反する者の利害調整を目的とした処分
③ 難民認定
④ 報告または物件提出等の情報収集を目的とした処分
⑤ 公衆衛生・環境保全・防疫・保安のための処分
⑥ 不服申立て(審査請求・再調査請求)による裁決・決定
⑦ 聴聞・弁明の機会付与手続き(意見陳述の手続き)において法令に基づいてされる処分
不服審査法のみ適用外 形式的当事者訴訟によるべきとされている処分

行政不服審査法における国の機関または地方公共団体等の適用除外

「国の機関」又は「地方公共団体」その他の「公共団体」若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法の規定は、適用しません。

これは、行政手続法と同様に行政不服審査法も適用しないことを意味します。

イメージとしては、国の機関や地方公共団体に対する処分については、審査請求できないということです。

(適用除外)
第7条 次に掲げる処分及びその不作為については、第2条及び第3条の規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分
五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)

2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。

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最大判昭62.4.22:森林法事件

論点

  1. 憲法29条1項は何を保障しているか?
  2. 森林法186条は憲法29条2項に違反するか?

事案

X、Yの兄弟は、父からそれぞれ山林の2分の1の持分を生前贈与され、共有登記をしていた。しかし、弟Xの反対を押し切って、兄Yが森林の一部を伐採したことから争いになった。

XはYを被告として、持分に応じた山林の分割等を請求する訴えを提起した。

判決

憲法29条1項は何を保障しているか?

私有財産制度のみならず、国民の個々の財産権についても保障している

憲法29条は、1項において「財産権は、これを侵してはならない。」と規定し、私有財産制度を保障しているのみでなく、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障する。

森林法186条は憲法29条2項に違反するか?

違反する(違憲)

憲法29条2項では、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」と規定されている。

財産権に対する規制は、財産権の種類、性質等が多種多様であり、また、財産権に対し規制を要求する社会的理由ないし目的も、社会政策及び経済政策上の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで多岐にわたるため、種々様々でありうるのである。

したがって、財産権に対して加えられる規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決すべきものである。

また、裁判所としては、立法府がした右比較考量に基づく判断を尊重すべきものである。

そこで、裁判所としては、①立法の規制目的が、公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、又は規制手段が目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであって、そのため立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り、当該規制立法が憲法29条2項に違反すると解するのが相当である。

■そして、森林法186条(森林の共有者は、持分の過半数を有さない場合、分割請求ができない。)の立法目的は、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図り、もつて国民経済の発展に資することにあると解すべきである。

この目的は、公共の福祉に合致しないことが明らかとはいえない。

ただし、共有者間に紛争が生じたときは、各共有者は、共有森林につき、保存行為を行うことができず、管理又は変更の行為を適法にすることができないこととなり、ひいては当該森林の荒廃という事態を招来することとなる。

また、一律に現物分割を認めないとすることは、同条の立法目的を達成する規制手段として合理性に欠け、必要な限度を超えるものというべきである

また、共有森林につき現物分割をしても直ちにその細分化を来すものとはいえないし、また、民法258条2項は、競売による代金分割の方法をも規定しているのであり、この方法により一括競売がされるときは、当該共有森林の細分化という結果は生じないのである。したがって、森林法186条は、目的を達成するについて必要な限度を超えた不必要な規制というべきである。

したがって、森林法186条の規制手段は、同条の立法目的との関係で合理性と必要性のいずれも肯定できないことが明らかなので、憲法29条2項に違反し無効である。

株式交換と株式移転

株式交換と株式移転は、いずれも親会社と子会社の関係を作り出す持株会社の創設のための手段と言えます。

親会社と子会社の関係を作り出す原理については、下の「株式交換」と「株式移転」をご覧ください。

ここで先に持株会社について簡単に解説します。

持株会社

持株会社とは、他の会社の株式を保有することによって、その会社の支配することを目的とする会社です。

複数の会社を統括する会社(親会社)ともいえる存在で、「〇〇ホールディングス」と名の付く会社が持株会社です。

株式交換

株式交換とは、株式会社が、「その株式の全部」を、他の「株式会社または合同会社」に取得させることを言います。

下図の場合、B社の株式全部をA社に取得させています。つまり、B社の株主が持つ「B社の株式」をA社が取得して、その見返りとして、B社の株主に「A社の株式」を与えます。したがって、B社の株主から見ると、「B社の株式」と「A社の株式」を交換したことになります。

そのことにより、A社は、B社の株式の全部を取得することから、A社がB社の完全親会社となり、B社がA社の子会社となります。


株式移転

株式移転とは、1つまたは2つ以上の株式会社がその株式全部を新たに設立する株式会社に取得させることを言います。

下図は、2つの株式会社(A社とB社)の株式全部を、新たに設立する株式会社(C社)に取得させる図です。

A社の株主が持つ「A社の株式」をC社が取得し、その代わりに、C社の株式をA社の株主に交付します。そのことにより、「もともとA社の株主だった者」は、C社の株主となります。逆に、C社は、A社の株式の全部を取得するので、C社はA社の完全親会社となり、A社がC社の子会社となります。

B社についても同じ考え方です。

B社の株主が持つ「B社の株式」をC社が取得し、その代わりに、C社の株式をB社の株主に交付します。そのことにより、「もともとB社の株主だった者」は、C社の株主となります。逆に、C社は、B社の株式の全部を取得するので、C社はB社の完全親会社となり、B社がC社の子会社となります。


株式交換と株式移転の手続き

株式分割や株式移転の手続きの流れは「合併の手続き」や「会社分割の手続き」の流れとほとんど同じです。

合併手続きの1について、
株式交換では、「株式交換契約」を締結し
株式移転では、「株式移転計画」を作成します。

5について、
株式交換では、株式交換契約で定めた効力発生日にの効力が発生する(769条1項)。
株式移転の場合、(完全)親会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(774条1項)

組織再編の無効の訴え

合併・分割・株式交換・株式移転のことを「組織再編」と言い、組織再編の無効は、「合併の無効」で学んだ内容と同じです。

組織再編の効力が生じた日から6か月以内に、訴えをもってのみ主張でき(828条1項7~12号)、

提訴権者は、当事会社もしくは設立会社の株主、もしくは、組織再編を承認しなかった会社債権者です(828条2項7~12号)。

<<会社分割(吸収分割、新設分割) |

会社分割(吸収分割、新設分割)

会社分割とは、ある会社が「一定の事業の権利義務」を他の会社に承継させることを言います。そして、会社分割には、「吸収分割」と「新設分割」の2つがあります。

吸収分割

吸収分割とは、ある会社が「一定の事業の権利義務」を別会社に承継させることを言います。

下図の場合、B社の小売事業(小売事業の権利義務)をA社に承継させた図です。

この場合、「B社が分割会社」、「A社が承継会社」となります。


新設分割

新設分割とは、1つまたは2つ以上の株式会社または合同会社が「一定の事業の権利義務」を、新設する会社に承継させることを言います。

下図は、1つの会社が新設分割する場合と、2つの会社が新設分割する事例です。


会社分割の手続き

会社分割の手続きは、合併の手続きの場合とほとんど同じです。

違いというと、下記2点です。

  1. 合併手続きの1の「合併契約」が「吸収分割契約」「新設分割契約」に代わる
  2. 5の効力発生日についても、ほぼ同じです。
    吸収分割の場合、吸収分割契約で定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生する(759条1項)。
    新設分割の場合、会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(764条1項)

<<合併(吸収合併・新設合併) | 株式交換と株式移転>>

合併(吸収合併・新設合併)

合併とは、2つ以上の会社が、契約によって1つの会社に合体することを言います。

この合併には、①吸収合併と②新設合併の2つがあります。

吸収合併

下図の場合、A社(吸収合併存続会社)が、B社の権利義務の一切を承継して、B社(吸収合併消滅会社)は解散・消滅します。

そして、B社の株主は、吸収合併後、A社の株式等または金銭が交付されます。株式を交付された者はA社の株主となります。

A社が交付できるのは、株式だけでなく、社債や新株予約権でもよいです。


新設合併

下図の場合、A社(新設合併消滅会社)とB社(新設合併消滅会社)が新設合併をして、C社(新設合併設立会社)が設立されます。この場合、A社およびB社の権利義務の一切を、C社が承継します。

そして、A社の株主とB社の株主には、C社の株式が交付され、C社の株主となります。


合併の手続き

下記流れで合併を行います。

  1. A社とB社との間で合併契約を締結する(748条749条753条)。
  2. 合併に関する書面等を本店に備え置かなければならない782条794条803条)。
  3. 原則、A社およびB社の株主総会の特別決議により承認を得る(783条1項、795条1項、804条1項、309条3項2号)
    ※反対株主に対しては、原則として株式買取請求権が認められます。
  4. 会社債権者を保護するために、債権者に対して異議を述べる機会を与える必要がある(789条799条810条
    会社は、1か月以上の期間を定めて、異議を述べることができる旨を官報に公告し、かつ、合併を知っている債権者には、各別催告しなければならない。
  5. 吸収合併の場合、合併契約で定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生する(750条1項)。
    新設合併の場合、会社成立の日(設立登記の日)に効力が発生する(754条1項)

消滅会社合併により解散します(471条4号、641条5号)。この場合、消滅会社の権利義務は存続会社・設立会社に承継されるため、清算手続きは行いません475条1号、644条1項)。

合併無効の訴え

合併の効力を争うには、合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に、合併無効の訴えを提起することによってのみ行うことができます(828条1項7号8号)

被告

吸収合併の無効の訴えにおいては、吸収合併後存続する会社が被告となり、

新設合併の無効の訴えにおいては、新設合併により設立する会社を被告として訴えます(834条7号8号)。

合併無効の判決は、将来に向かって無効となります(839条)。

<<組織変更 | 会社分割(吸収分割、新設分割)>>

組織変更

組織変更とは、株式会社を持分会社に変えたり、持分会社を株式会社に変えたりすることを言います(2条26号)。

組織変更の手続き

組織変更をする場合、下記流れに沿って行います。

  1. 組織変更計画を作成する(743条
  2. 効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該株式会社の総株主の同意(持分会社の場合、総社員の同意)を得なければならない(776条781条)。
  3. 会社債権者を保護するため、会社債権者の異議手続きを経る(779条781条2項)。
    →会社債権者は、会社に対し、組織変更について異議を述べることができる
  4. 組織変更の登記を行う(920条)。

<<持分会社の社員の責任、社員の加入・退社 | 合併(吸収合併・新設合併)>>

持分会社の設立の流れ、設立無効・設立取消しの訴え

持分会社とは、合同会社、合名会社、合資会社の3種類を指します。どれも持分会社です。

持分会社を設立する流れについて解説していきます。

持分会社を設立するには下記3つのステップを踏みます。

  1. 定款作成
  2. 出資
  3. 設立登記

1.定款作成

持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(575条1項)。

株式会社との違い

持分会社の場合、定款について公証人の認証は不要です。

2.出資

出資については、無限責任社員と有限責任社員によって異なります。

無限責任社員とは、会社に対して無限に責任を負う社員のことを言います。つまり、 会社が倒産し、さらに債務を会社の財産だけでは弁済できなかった場合、無限責任社員は自己の財産を使って弁済しなければなりません。一方、

有限責任社員とは、自分が出資した分だけ会社に対して責任を負う社員のことを言います。つまり、会社が倒産し、会社に債務が残っていても、有限責任社員は、その残債について責任を負わなくても大丈夫です。

無限責任社員 金銭だけでなく、労務、信用で出資してもよい
有限責任社員 金銭等の出資に限られ、労務や信用で出資はできない

持分会社の社員の違い

合同会社 有限責任社員のみ
合名会社 無限責任社員のみ
合資会社 無限責任社員と有限責任社員が混在

出資の時期

合名会社合資会社については、社員の出資の時期について制限はありません。一方、

合同会社については、社員になろうとするものは、定款作成後、合同会社の設立登記の時までに、その出資額の全額を払込みまたは給付しなければなりません(578条)。

上記の違いは、合名会社や合資会社の社員は無限責任社員がいるため、万一会社が倒産等しても、会社債権者は、無限責任社員に対して弁済を求めることができます。一方、合同会社の場合、社員は全員、有限責任社員なので、会社が倒産しても有限責任社員に対して請求をすることができません。そのため、設立登記までに全額払込みをさせるルールになっています。

3.設立行為

持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(579条)。

持分会社の設立無効の訴え

設立無効の原因がある場合、株式会社同様、設立無効の訴えにより設立無効を主張できます(828条1項)。

株式会社の設立無効の訴えはこちら>>

持分会社の設立取消しの訴え

持分会社には、設立取消しの訴えという独自の制度があります(832条)。これは、株式会社にはありません

設立取消しの原因となるのは下記2つです。

  1. 社員が民法などの法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき
  2. 社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したとき

そして、1の場合、当該社員が設立取消しを主張でき、2の場合、債権者が設立取消を主張できます。

設立取消しの訴えは、持分会社の成立の日から2年以内に、行う必要があります。

<<資本金、準備金、剰余金 | 持分会社の社員の責任、社員の加入・退社>>

資本金、準備金、剰余金

資本金

資本金とは、原則、「設立」又は「株式の発行」に際して株主となる者が当該株式会社に対して「払込み又は給付」をした財産の合計額です(445条)。 イメージとしては、株主が出資したお金の合計です。 ただし、「払込み又は給付」に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上せずに、「資本準備金(準備金)」として計上できます。

資本金の額の増加と減少

株式会社は、株主総会の決議(普通決議)により、剰余金の額を減少して、資本金の額を増加することができます(450条309条1項)。 つまり、剰余金にあるお金を資本金に移すことができる、ということです。 一方、資本金の額を減少させるには、株主総会の特別決議が必要です(447条1項、309条2項9号)。 そして、資本金の額を減少させる場合、原則として、債権者保護手続が必要となります(449条)。

債権者保護手続

債権者保護手続とは、債権者に異議を述べる機会を与えなければならない、ということです。 そして、株式会社は、会社債権者が異議を述べるために、1か月以上の期間を定めて、官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません(449条2項)。

準備金

準備金には、①資本準備金と利益準備金の2つがあります。 ①資本準備金とは、株主が払い込みまたは給付をしたお金のうち、資本金に組み入れられなかった部分の金額が積み立てられたものをいいます利益準備金とは、利益剰余金のうち、会社法によって積み立てることが義務付けられているお金です。

準備金の額の増加と減少

株式会社は、株主総会の決議(普通決議)により、剰余金の額を減少して、準備金の額を増加することができる(451条309条1項)。 つまり、剰余金にあるお金を準備金に移すことができる、ということです。 一方、準備金の額を減少させるには、原則として、株主総会の普通決議が必要です(448条309条1項)。 ただし、準備金の額を減少させる場合、原則として、債権者保護手続が必要となります(449条)。

資本金 準備金
増加 普通決議 普通決議
減少 特別決議 債権者保護手続が必要 普通決議 債権者保護手続が必要

剰余金

剰余金とは、簡単に言えば、会社が儲けて余ったお金です。この剰余金の中から、株主に配当を行います。 しかし、いくらでも株主に配当できるかというとそうではありません。 会社は、分配可能額の範囲内で、いつでも配当することができます(453条461条1項2項)。 ただし、純資産額が300万円を下回る場合、剰余金を配当することができません458条)。 ※分配可能額の計算方法までは覚えなくても大丈夫です。

配当の流れ

株式会社は、剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の普通決議が必要です(454条1項)。 ※取締役会設置会社では、一事業年度の途中に、1回だけ取締役会の決議によって剰余金の配当(中間配当)ができる旨を定款で定めることができます(454条5項)。

違法な配当を行った場合

分配可能額を超えて配当した場合、「①業務執行者」と「②剰余金の配当等の議事を提案した取締役等」「③金銭などの交付を受けた者」は、会社に対して、連帯して、交付を受けた金銭などの支払い義務を負います(462条1項)。

<<株主からの責任追及(株主代表訴訟・差止請求・検査役の調査) | 持分会社の設立の流れ>>

株主からの責任追及(株主代表訴訟・差止請求・検査役の調査)

取締役が任務を怠った(任務懈怠)場合、会社が、当該取締役に対して損害賠償の責任を追及することができます。

しかし、会社と取締役の関係上、会社が取締役に対して責任追及をしないことも多いです。そうなると、株主に不利益になるため、会社法では、株主が会社を代表して取締役を訴える「株主代表訴訟(847条)」を規定しています。

株主代表訴訟

株主代表訴訟については、流れをしっかり覚えておくことが重要です。というのも、取締役の任務懈怠により、会社に損害を与えたからと言って、株主がいきなり訴えを起こせる訳ではないからです。

株主代表訴訟の流れ

  1. 6か月から引き続き株式を有する株主は、会社に対して書面等をもって、取締役の責任を追及する訴訟を提起するよう請求する
  2. 株主が請求をしたもかかわらず、会社が60日以内に訴訟を提起しない
  3. 株主は会社の代わりに、自らが原告となって訴訟(株主による責任追及等の訴え:株主代表訴訟)を提起することができる

このような流れになります。

非公開会社の場合は6か月前から持っていなくてもよく、株主であれば株主代表訴訟を提起できます。

2において、会社が訴えを提起した場合は、株主代表訴訟は行えません

株主からの請求に基づいて会社が訴えを提起する場合、原則、代表取締役(指名委員会等設置会社では代表執行役)が会社を代表します(349条1項4項、420条3項)。

ただし、監査役設置会社について取締役の責任を追及する訴えを行う場合、監査役が会社を代表します(386条2項1号)。

単独株主請求権である株主代表訴訟>>

違法行為の差止請求

取締役や執行役が違法行為をした場合、当該取締役等は会社に対して損害賠償責任を負います(423条1項)。

しかし、できれば、違法行為が行われる前にその行為を差止めでできれば、その方がよいです。

そこで、会社法では、一定要件を満たせば、株主は、当該取締役等に対して違法行為の差止めができる権利(差止請求権)を認めています(360条422条)。

株主による差止請求の要件

  1. 6か月から引き続き株式を有する株主であること(非公開会社の場合は6か月前から持っていなくてもよい
  2. 取締役が株式会社の①目的の範囲外の行為や②法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある
  3. 株式会社に著しい損害が生ずるおそれがある(監査役設置会社又は指名委員会等設置会社監査等委員会設置会社の場合、回復することができない損害が生ずるおそれがある)

業務の執行に関する検査役による調査

株式会社の業務の執行に関し、「不正の行為」又は「法令若しくは定款に違反する重大な事実があること」を疑うに足りる事由があるときは、一定要件を満たした株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます(358条)。

検査役の選任の申立てができる株主の要件

下記2つのいずれか一方を満たす株主は、検査役の選任の申立てができます。

  1. 総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
  2. 発行済株式自己株式を除く)の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主

検査役の役割

ここでいう検査役とは、株式会社の業務や財産状況の調査などを職務とする臨時的な監査機関といったイメージです。

会社の取締役が不正な行為や法令違反行為を行っていることが疑われる場合、株主としては、計算書類・会計帳簿や取締役会議事録を閲覧することによって情報を収集し、取締役に不正・不法な行為があれば、最終的に株主総会や取締役解任の訴えによって当該取締役を解任させることができます。

しかし、実際のところ、計算書類や会計帳簿の閲覧の対象は一定の資料に限定されており、株主であっても、細かい部分まで調べることは難しいです。

そのような場合に、「検査役」を選任して、その検査役に細かく調べてもらい、報告してもらうことができます。

これによって、取締役を解任させることができます。

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