平成21年度(2009年度)過去問

平成21年・2009|問49|基礎知識・社会

わが国の教育制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 教育委員会は、政治的中立性の確保や合議制による慎重な意思決定等を目的として設けられた行政委員会であり、国、都道府県、市町村にそれぞれ設置されている。
  2. 教育委員会を構成する教育委員は、かつては住民の選挙によって選ばれていたが、現在では地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する制度となっている。
  3. 小中学校の教員の採用や給与の支払いについては、かつては県費負担教職員制度の下で都道府県が実施していたが、地方分権改革の下でこの制度が廃止され、現在は各市町村が実施している。
  4. 学校の自立的な運営体制をつくるため、教員免許を有する者であれば、教育に関する職の経験がなくても、校長に任用できる制度が新たに導入され、現在、いわゆる民間人校長が多数誕生している。
  5. 従来、小中学校について通学すべき区域を定める学区制がとられていたが、現在この制度は法令上廃止され、保護者の希望によって通学校を選択する学校選択制に切り替えられた。

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【答え】:2
【解説】
1.教育委員会は、政治的中立性の確保や合議制による慎重な意思決定等を目的として設けられた行政委員会であり、国、都道府県、市町村にそれぞれ設置されている。
1・・・妥当ではない
教育委員会は、都道府県、市町村(特別区を含む。)には設置されているが、国は置かれていません地方自治法180条の5、地方教育行政の組織及び運営に関する法律2条)。よって、「教育委員会は、・・・国に設置されている」が妥当ではありません。
2.教育委員会を構成する教育委員は、かつては住民の選挙によって選ばれていたが、現在では地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する制度となっている。
2・・・妥当
教育委員会を構成する教育委員は、1948年(昭和23年)~1956年(昭和31年)にかけて「住民の選挙」によって選ばれていました。しかし、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害があったため、1956年(昭和31年)に「住民の選挙(公選制)」は廃止されました。

そして、現在では、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命することになっています(地方教育行政の組織及び運営に関する法律4条)。

よって、本肢は妥当です。

3.小中学校の教員の採用や給与の支払いについては、かつては県費負担教職員制度の下で都道府県が実施していたが、地方分権改革の下でこの制度が廃止され、現在は各市町村が実施している。
3・・・妥当ではない
県費負担教職員制度とは、市町村立学校の教職員の給与等を都道府県が負担する制度です(市町村立学校職員給与負担法1条)。本制度は、政令指定都市における任命権者と給与負担者のねじれ現象等の問題があり、文部科学省の協議会で審議されているが、廃止はされていません

本肢は「県費負担教職員制度が廃止され」となっているので、妥当ではないです。

4.学校の自立的な運営体制をつくるため、教員免許を有する者であれば、教育に関する職の経験がなくても、校長に任用できる制度が新たに導入され、現在、いわゆる民間人校長が多数誕生している。
4・・・妥当ではない
学校の自立的な運営体制をつくるため、2000年(平成12年)に民間人校長の任用制度が導入されており、教員免許を持たない者も、校長になれます学校教育法施行規則22条)。よって、「教員免許を有する者であれば」が妥当ではないです。
5.従来、小中学校について通学すべき区域を定める学区制がとられていたが、現在この制度は法令上廃止され、保護者の希望によって通学校を選択する学校選択制に切り替えられた。
5・・・妥当ではない
市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校又は中学校が2校以上ある場合、就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければなりません学校教育法施行令5条2項)。現在もこの学区制は法令上廃止されてはいません。

よって、本肢は、妥当ではないです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問47|基礎知識・政治

日本の選挙制度に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア.一般に小選挙区制は、政治が安定しやすいという長所がある反面、小政党の議席獲得が難しく、死票が多いという問題点が指摘されている。 イ.一般に比例代表制は、有権者の意思を公正に反映できるという長所がある反面、小党分立になり、政治が不安定になりやすいという問題点が指摘されている。 ウ.衆議院議員選挙では、小選挙区比例代表並立制がとられ、重複立候補が認められているが、小選挙区での得票順位と当落が逆転するなどの問題点があったため、重複立候補の場合の比例区での当選の要件を厳しくした。 エ.参議院議員選挙では、都道府県を単位とする選挙区選挙と比例代表制選挙がとられており、比例代表制選挙では各政党の得票数によって議席数を決め、各政党が作成した名簿上の順位によって当選者を決めることとされている。 オ.最高裁判所は、一票の価値について最大4倍以上の格差があった衆議院議員選挙について、憲法の法の下の平等に反して憲法違反であるとし、一部選挙区の選挙を無効とした。
  1. ア・ウ
  2. イ・エ
  3. ウ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ
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【答え】:5 【解説】
ア.一般に小選挙区制は、政治が安定しやすいという長所がある反面、小政党の議席獲得が難しく、死票が多いという問題点が指摘されている。
ア・・・正しい 小選挙区制一選挙区から一人の議員を選出する制度です。
  • 小選挙区制のメリットとしては、小さな政党の分立を防止、二大政党制が形成されやすく政局が安定します。
  • 小選挙区制のデメリットとしては、死票が多くなったり小さい政党が議席を確保しにくいことがあげられます。
イ.一般に比例代表制は、有権者の意思を公正に反映できるという長所がある反面、小党分立になり、政治が不安定になりやすいという問題点が指摘されている。
イ・・・正しい 比例代表制は、各政党の得票率に比例して議席配分を行う制度です。
  • 比例代表制のメリットとしては、死票が少なくなり小さい政党からも当選しやすくなります
  • 比例代表制のデメリットとしては、小さい政党が乱立し政治が不安定になりやすいです。
ウ.衆議院議員選挙では、小選挙区比例代表並立制がとられ、重複立候補が認められているが、小選挙区での得票順位と当落が逆転するなどの問題点があったため、重複立候補の場合の比例区での当選の要件を厳しくした。
ウ・・・正しい 日本の衆議院議員選挙では、小選挙区制比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制を導入しています。衆議院議員の小選挙区の立候補者者を政党の比例代表名簿にも登載することを「重複立候補」と言います。これにより小選挙区で落選しても、比例代表で復活当選することもあります。ただし、2000年(平成12年)の公職選挙法の改正により、小選挙区において、有効投票数の10分の1未満で落選した場合(供託金没収となる場合)、比例代表での復活当選は認められません公職選挙法95条の2の6項)。 よって、本肢は正しいです。 供託金とは、立候補の際、国・地方公共団体に預けなければいけない金銭のことを言います。
エ.参議院議員選挙では、都道府県を単位とする選挙区選挙と比例代表制選挙がとられており、比例代表制選挙では各政党の得票数によって議席数を決め、各政党が作成した名簿上の順位によって当選者を決めることとされている。
エ・・・誤り 参議院議員選挙では、都道府県を単位とする選挙区選挙と比例代表制選挙がとられています。そして、比例代表制選挙では各政党の得票数によって議席数を決め、各候補者の個人名での得票数により、当選者を決定します。 これを非拘束名簿式・比例代表制」と言います。(言い換えれば、政党が作成した名簿に順位は付かない)「拘束名簿式・比例代表制」は、衆議院の比例代表で採用されており、各政党の得票数によって議席数を決め、各政党が作成した名簿上の順位によって当選者を決めることとされている。
オ.最高裁判所は、一票の価値について最大4倍以上の格差があった衆議院議員選挙について、憲法の法の下の平等に反して憲法違反であるとし、一部選挙区の選挙を無効とした。
オ・・・誤り 一票の価値について最大4倍以上の格差があった衆議院議員選挙について、判例によると、 「衆議院議員選挙か憲法14条1項(法律の下の平等)に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたことにより違法な場合であっても、選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することを相当とする判示のような事情があるときは、いわゆる事情判決の制度の基礎に存するものと註すべき一般的な法の基本原則に従い、選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきである。」 としています。つまり、「憲法の法の下の平等に反して憲法違反である」は正しいですが、「一部選挙区の選挙を無効とした」が誤りです。正しくは、「事情判決の法理により選挙自体は無効ではない」です。
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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問48|基礎知識・政治

行政改革に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。
ア.NPM(New Public Management)は、ケインズ主義を理論的基礎として、1980年代にイギリスのサッチャー政権において採用され、これに基づいて公的部門の見直しが行われた。 イ.エージェンシー制度は、企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に大きな裁量を与えることによって柔軟な組織運営をめざすものであり、日本でもこれをモデルとして独立行政法人制度がつくられた。 ウ.PFI(Private Finance Initiative)は、公共施設等の施設や運営に民間の資金やノウハウを活用する手法であり、日本でもこれを導入する法律が制定され、国や自治体で活用されている。 エ.指定管理者制度は、それまで自治体の直営か外郭団体に限定されていた公共施設の管理運営を、営利企業、NPO法人などの団体にも包括的に代行させる制度であり、地方自治法の改正によって導入された。 オ.市場化テストは、民間企業と行政組織の間でサービスの質や効率性を競う入札を実施し、行政に勝る民間企業があれば、当該業務を民間企業に委託する制度であるが、日本ではまだ導入されていない。
  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ
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【答え】:2 【解説】
ア.NPM(New Public Management)は、ケインズ主義を理論的基礎として、1980年代にイギリスのサッチャー政権において採用され、これに基づいて公的部門の見直しが行われた。
ア・・・妥当ではない NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)は、公共部門について、民間企業において行われているような経営手法を取り入れることで公共サービスを提供しようという概念を言います。 つまり、市場原理を導入するということです。そして、NPMは、市場原理に信頼を置くもので、1980年代にイギリスのサッチャー政権において採用されました。 ケインズ主義とは、政府が公的資金を投入して、需要を増やし、経済成長につなげる考え方です。 つまり、NPMは、ケインズ主義を基礎としていません。
イ.エージェンシー制度は、企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に大きな裁量を与えることによって柔軟な組織運営をめざすものであり、日本でもこれをモデルとして独立行政法人制度がつくられた。
イ・・・妥当 エージェンシー制度は、1980年代にイギリスのサッチャー政権時代に導入されたもので、政府の執行的機能を、個々の分離された執行機関に委譲して、柔軟な組織運営をめざすものです。日本でも、これをモデルとして、独立行政法人制度が作られました。 よって、本肢は、妥当です。
ウ.PFI(Private Finance Initiative)は、公共施設等の施設や運営に民間の資金やノウハウを活用する手法であり、日本でもこれを導入する法律が制定され、国や自治体で活用されている。
ウ・・・妥当 PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。日本でも1999年(平成11年)に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」が施行されており、国や自治体の公共施設等の整備等に活用されています。 よって、本肢は、妥当です。
エ.指定管理者制度は、それまで自治体の直営か外郭団体に限定されていた公共施設の管理運営を、営利企業、NPO法人などの団体にも包括的に代行させる制度であり、地方自治法の改正によって導入された。
エ・・・妥当 指定管理者制度は、それまで地方公共団体やその外郭団体に限定していた公の施設の管理・運営を株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度で、2003年(平成15年)の地方自治法の改正によって導入されました
地方自治法244条の2 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。
オ.市場化テストは、民間企業と行政組織の間でサービスの質や効率性を競う入札を実施し、行政に勝る民間企業があれば、当該業務を民間企業に委託する制度であるが、日本ではまだ導入されていない。
オ・・・妥当ではない 市場化テストとは、公共サービスを国民に提供する主体として、官と民のどちらがより国民の期待に応えられるのかということを国民に判断してもらうために行われる、官民競争入札制度のことを言います。日本でも、2006年(平成18年)に「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」が施行されており、市場化テスト(官民競争入札制度)は導入されています。 よって、本肢は妥当ではありません。
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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問46|民法・記述式

次の【設問】を読み、【答え】の中の〔 〕に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の〔 〕をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これに該当するとは認められないからである。

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【答え】:第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外で、かつ登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者(44字)

【解説】

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の〔 〕をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これ(民法177条の第三者)に該当するとは認められないからである

上記「これ」が「民法177条の第三者」と分かると、〔カッコ〕については、第三者についての判例の内容と分かります。

そして、判例によると、
民法177条の第三者とは、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有する者」としています(大連判明41.12.15)。

これを、40字程度でまとめると

第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外で、かつ登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者(44字)

となります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問45|民法・記述式

次の【事例】において、Xは、Yに対して、どのような権利について、どのような契約に基づき、どのような請求をすることができるか。40字程度で記述しなさい。

【事例】
A(会社)は、B(銀行)より消費貸借契約に基づき金銭を借り受け、その際に、X(信用保証協会)との間でBに対する信用保証委託契約を締結し、Xは、同契約に基づき、AのBに対する債務につき信用保証をした。Xは、それと同時に、Yとの間で、Aが信用保証委託契約に基づきXに対して負担する求償債務についてYが連帯保証する旨の連帯保証契約を締結した。AがBに対する上記借入債務の弁済を怠り、期限の利益を失ったので、Xは、Bに対して代位弁済をした。

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【答え】:Aに対する求償権について、連帯保証契約に基づき、求償債務の弁済を請求することができる。(43字)

【解説】

【事例】
A(会社)は、B(銀行)より消費貸借契約に基づき金銭を借り受け、その際に、X(信用保証協会)との間でBに対する信用保証委託契約を締結し、Xは、同契約に基づき、AのBに対する債務につき信用保証をした。Xは、それと同時に、Yとの間で、Aが信用保証委託契約に基づきXに対して負担する求償債務についてYが連帯保証する旨の連帯保証契約を締結した。AがBに対する上記借入債務の弁済を怠り、期限の利益を失ったので、Xは、Bに対して代位弁済をした。

事例の状況を整理します。

  • A(会社)は、B(銀行)からお金を借りた(債務者A、債権者B)
  • X(信用保証協会)が連帯保証人となった(連帯保証人X)
  • Yが求償債務についての連帯保証人となった(Xが弁済した場合、XはAに対して求償できるが、XはYにも求償できる)

上記状況で、Xは、Bに対して代位弁済をした。

次の【事例】において、Xは、Yに対して、①どのような権利について、②どのような契約に基づき、③どのような請求をすることができるか。

上記でも少し触れましたが、

Yが求償債務についての連帯保証人となったことにより、XはYにも求償できます。

これを問題文の言葉を使って、①~③に当てはめて考えればよいです。

すると、
「Xは、Yに対して」①Aに対する求償権について、②連帯保証契約に基づき、③求償債務の弁済を請求することができる。

となります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問44|行政法・記述式

Xは、外務大臣に対して旅券の発給を申請したが拒否処分をうけたため、取消訴訟を提起した。これについて、裁判所は、旅券法により義務づけられた理由の提示が不充分であるとして、請求を認容する判決をなし、これが確定した。この場合、行政事件訴訟法によれば、外務大臣は、判決のどのような効力により、どのような対応を義務づけられるか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:外務大臣は、判決の拘束力により、再度、申請に対する処分を行うことを義務付けられる。(41字)

【解説】

問題文の理解

  1. Xは、外務大臣に対して旅券の発給を申請したが拒否処分をうけた。
  2. Xは、取消訴訟を提起した。
  3. 裁判所は、原告Xの請求を認容する判決をして、これが確定した。
  4. 原告Xの請求を認容した理由は、「旅券法により義務づけられた理由の提示が不充分である」から

質問内容

外務大臣は、「①判決のどのような効力」により、「どのような対応」を義務づけられるか?

上記①②を考えます。

今回裁判所は、「外務大臣が行った旅券発給の拒否処分」を取消しする判決をしました。

判決の効力には

既判力、形成力、拘束力があります。

  • 既判力当事者及び裁判所は判決の内容に対して、矛盾する主張や判断が出来なくなるという効力(蒸し返しができない)
  • 形成力取消判決の確定によって、処分または裁決は、当然に処分時または裁決時にさかのぼって効力を失うという効力
  • 拘束力処分または裁決をした行政庁・関係行政庁は取消判決に拘束され、同一処分の理由では変更出来なくなる効力

今回の質問内容では、「外務大臣が何かしらの対応が義務付けられる」ことを前提としているので、「拘束力」によって、再度、申請に対する処分を行う必要が出てきます。

つまり、以上のことをまとめると

外務大臣は、判決の拘束力により、再度、申請に対する処分を行うことを義務付けられる。(41字)

となります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問43|行政法

行政裁量に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ ア ]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

1:訴訟要件 2:目的 3:信義則 4:相当の期間の経過 5:効果 6:補充性要件 7:理由の提示 8:判断過程 9:過失 10:行政便宜主義 11:時の裁量 12:手続規定 13:紛争の成熟性 14:違法性阻却事由 15:保護義務 16:要件 17:行政規則 18:比例原則 19:手段 20:行政の内部問題

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:16、イ:5、ウ:18、エ:8
【解説】

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ア:要件]に当たると判断される場合、処分の[イ:効果]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ウ:比例原則]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ア:要件]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[エ:判断過程]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

ア.イ.国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。

ア・・・要件
イ・・・効果
上記内容としては「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」

「懲戒処分をうける」

ということです。

そして、

「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」:要件

「懲戒処分をうける」:効果

と言います。

どういった場合(要件)に、どうなるか?(効果)、ということです。

よって、「アには要件」が入ります。

そして、「懲戒処分については、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる(裁量による)」と書いてあります。

つまり、「処分の効果(懲戒処分)について裁量が認められるとするならば、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる」ということです。

よって、「イには効果」が入ります。

ウ.当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。

ウ・・・比例原則
「非行が軽微(罪が軽い)」にも関わらず、「一番重い罰である免職」の処分を下すことは、比例原則違反(罪との罰のバランスが悪いから違反)となります。よって、「ウには、比例原則」が入ります。

エ.判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

エ・・・判断過程
上記「本来・・・評価し」の部分については、裁量の判断過程を、裁判所が着目して、裁量権の濫用・踰越(ゆえつ:超えること)と判断したわけです。よって、「エには判断過程」が入ります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問42|行政法

行政上の義務違反に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。 [ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。[ イ ]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。[ ウ ]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。
1:秩序罰 2:行政代執行法 3:科料 4:公表 5:懲役 6:行政罰 7:代執行 8:強制執行 9:罰金 10:刑事訴訟法 11:間接強制 12:過料 13:課徴金 14:非訟事件手続法 15:行政刑罰 16:直接強制 17:禁錮 18:懲戒罰 19:行政事件訴訟法 20:地方自治法
>解答と解説はこちら
【答え】:ア:6、イ:1、ウ:12、エ:20 【解説】
行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ア:行政罰]という。 [ア:行政罰]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[イ:秩序罰]とがある。[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ウ:過料]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ウ:過料]を科す旨の規定を設けることができる。[ウ:過料]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ウ:過料]は、[エ:地方自治法]に定める手続により科される。
ア.イ.行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。 [ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。
ア・・・行政罰 イ・・・秩序罰まず、行政上の義務違反に対し、制裁として科せられるは「行政罰」です。 そして、行政罰には、「行政刑罰」と「行政上の秩序罰」の2つあります。
  • 行政刑罰(刑法における罰)
  • 行政上の秩序罰(ちょっとした義務違反)
したがって、「アには行政罰」「イには秩序罰」が入ります。
ウ.[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。
ウ・・・過料 秩序罰とは、行政上の義務違反のうち、軽微な違反行為について過料を科す制裁です。一方、科料は、刑罰の一種であり、秩序罰として科すことはできません。 さらに、普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、「2年以下の懲役若しくは禁錮」、「100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑」又は「5万円以下の過料」を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。
エ.条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。
エ・・・地方自治法 条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す過料は、地方自治法に定める手続により科されます。一方、法令に基づく過料は、非訟事件手続法によって地方裁判所が科します。 対比して頭に入れておきましょう!
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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問41|憲法・内閣

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

[ ア ]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、[ イ ]を代表して[ ウ ]を指揮監督する職務権限(七二条)を有するなど、[ イ ]を統率し、[ ウ ]を統轄調整する地位にあるものである。そして、[ イ ]法は、[ エ ]は[ ア ]が主宰するものと定め(四条)、[ ア ]は、[ エ ]にかけて決定した方針に基づいて[ ウ ]を指揮監督し(六条)、[ ウ ]の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このように、[ ア ]が[ ウ ]に対し指揮監督権を行使するためには、[ エ ]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[ エ ]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ ア ]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、[ ア ]は、少なくとも、[ イ ]の明示の意思に反しない限り、[ ウ ]に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。

(最大判平成7年2月22日刑集49巻2号1頁以下)

1:衆議院 2:閣議 3:政府 4:内閣官房長官 5:省庁 6:国民 7:内閣 8:特別会 9:事務次官会議 10:執政 11:国政 12:官僚 13:国会 14:内閣総理大臣 15:参議院 16:日本国 17:行政各部 18:天皇 19:事務 20:常会

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:14、イ:7、ウ:17、エ:2
【解説】

ア:内閣総理大臣]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、[イ:内閣]を代表して[ウ:行政各部]を指揮監督する職務権限(七二条)を有するなど、[イ:内閣]を統率し、[ウ:行政各部]を統轄調整する地位にあるものである。そして、[イ:内閣]法は、[エ:閣議]は[ア:内閣総理大臣]が主宰するものと定め(四条)、[ア:内閣総理大臣]は、[エ:閣議]にかけて決定した方針に基づいて[ウ:行政各部]を指揮監督し(六条)、[ウ:行政各部]の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このように、[ア:内閣総理大臣]が[ウ:行政各部]に対し指揮監督権を行使するためには、[エ:閣議]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[エ:閣議]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ア:内閣総理大臣]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、[ア:内閣総理大臣]は、少なくとも、[イ:内閣]の明示の意思に反しない限り、[ウ:行政各部]に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。

ア.[ ア ]は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(六八条)、・・・を有する

ア・・・内閣総理大臣   

国務大臣を任命するのは、内閣総理大臣です(憲法68条1項)。

よって、「アには内閣総理大臣」が入ります。

イ.ウ.[ア:内閣総理大臣]は、・・・[ イ ]を代表して[ ウ ]を指揮監督する職務権限(七二条)を有する

[ イ ]法は、・・・

イ・・・内閣
ウ・・・行政各部
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督します(憲法72条)。さらに、[ イ ]法とあるので、「内閣法」もつじつまがあいます。よって「イには内閣」「ウには行政各部」が入ります。

エ.[イ:内閣]法は、[ エ ]は[ア:内閣総理大臣]が主宰するものと定め(四条)

[ア:内閣総理大臣]が[ウ:行政各部]に対し指揮監督権を行使するためには、[ エ ]にかけて決定した方針が存在することを要するが、[ エ ]にかけて決定した方針が存在しない場合においても、[ア:内閣総理大臣]の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため

エ・・・閣議
内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとします(内閣法4条1項)。そして、閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰します(同条2項)。さらに、内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督します(内閣法6条)。

よって、「エには閣議」が入ります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問40|会社法・取締役

取締役の選任および解任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. すべての株式会社は、定款において、取締役の資格として当該株式会社の株主である旨を定めることができる。
  2. 取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。
  3. 解任された取締役であっても、正当な事由がなく解任された場合には、新たな取締役が就任するまでの間は、当該取締役は引き続き取締役としての権利義務を有する。
  4. 利害関係人の申立により裁判所が一時取締役を選任した場合、当該一時取締役が株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可が必要である。
  5. 取締役が法令もしくは定款に違反する行為をし、当該行為によって株式会社に著しい損害が生じるおそれがある場合には、株主は直ちに当該取締役の解任の訴えを提起することができる。
>解答と解説はこちら
【答え】:2 【解説】
1.すべての株式会社は、定款において、取締役の資格として当該株式会社の株主である旨を定めることができる。
1・・・誤り 取締役になれる人の要件として「株主でなければならない旨」を定款で定めることができません。ただし、非公開会社においては、「株主のみ取締役になれる旨」を定款に定めることができます会社法331条2項)。よって、「すべての株式会社」が誤りです。
2.取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。
2・・・正しい 役員が欠けた場合、「①任期の満了」又は「②辞任」により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有します(会社法346条1項)。よって、本肢は正しいです。 辞任したからといって、いきなり「取締役でなくなる」わけではありません
3.解任された取締役であっても、正当な事由がなく解任された場合には、新たな取締役が就任するまでの間は、当該取締役は引き続き取締役としての権利義務を有する。
3・・・誤り解任された(辞めさせられた)」場合、選択肢2のように、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有するわけではありません。「解任された(辞めさせられた)」場合は、直ちに取締役としての地位を失います。 よって、誤りです。
4.利害関係人の申立により裁判所が一時取締役を選任した場合、当該一時取締役が株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可が必要である。
4・・・誤り 役員が欠けた場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者(一時取締役)を選任することができます(会社法346条2項)。そして、一時取締役も、他の取締役と同じ権限を持つので、会社の常務に属しない行為をする場合でも裁判所の許可はいりません。 よって、誤りです。 「会社の常務に属しない行為」については、個別指導で解説します!
5.取締役が法令もしくは定款に違反する行為をし、当該行為によって株式会社に著しい損害が生じるおそれがある場合には、株主は直ちに当該取締役の解任の訴えを提起することができる。
オ・・・誤り 役員の職務の執行に関し「不正の行為」又は「法令若しくは定款に違反する重大な事実」があったにもかかわらず、当該役員を解任決議が株主総会において否決されたときは、株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができます(854条1項)。つまり、いきなり、解任の訴えができるのではなく、まずは、株主総会の解任決議の手続きを踏んで、それでも解任できない場合に限って、解任の訴え(訴訟)ができるということです。
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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略