平成21年度(2009年度)過去問

平成21年・2009|問1|基礎法学

法律・政省令・条例など、各種の法規の概念や相互の関係等に関する次のア~エの記述について、その正誤の組合せとして妥当なものはどれか。

ア.地方議会が制定する法規が「条例」、知事や市町村長など自治体の長ならびに教育委員会、公安委員会などの行政委員会が定める法規が「命令」であって、総称した概念が「条令」である。

イ.法律と法律、条例と条例など、形式的な効力が同等の法規の間に矛盾抵触が生じる場合は、一般に、「特別法は一般法に優先する」「後法は前法に優先する」という法原則に従って処理されることになる。

ウ.教育基本法、環境基本法など「基本法」という名称を持つ法律は、法律の形式をとってはいるものの各議院の特別多数決を経て制定される特別の法律であるから、通常の法律をもって基本法の規定を改廃することはできない。

エ.現行憲法は最高裁に対し、国会が制定した法律が憲法に適合するか否かを審査する違憲審査権を付与したが、この審査権の対象はあくまでも法律だけであるから、内閣の制定する政令や地方議会の制定する条例は違憲審査の対象にならない。

  1. ア:正 イ:正 ウ:正 エ:誤
  2. ア:誤 イ:誤 ウ:誤 エ:正
  3. ア:正 イ:誤 ウ:正 エ:誤
  4. ア:誤 イ:正 ウ:誤 エ:正
  5. ア:誤 イ:正 ウ:誤 エ:誤

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【答え】:5
【解説】

ア.地方議会が制定する法規が「条例」、知事や市町村長など自治体の長ならびに教育委員会、公安委員会などの行政委員会が定める法規が「命令」であって、総称した概念が「条令」である。

ア・・・誤り

  1. 地方議会が制定する法規が「条例」(地方自治法14条1項)
  2. 知事市町村長など自治体の長ならびに教育委員会、公安委員会などの行政委員会が定める法規が「規則」(地方自治法15条1項、138条の4の2項)
  3. 上記を総称した概念が、地方公共団体の「例規」
イ.法律と法律、条例と条例など、形式的な効力が同等の法規の間に矛盾抵触が生じる場合は、一般に、「特別法は一般法に優先する」「後法は前法に優先する」という法原則に従って処理されることになる。
イ・・・正しい
特別法は一般法に優先する」という特別法優先の原則があります。また、
後法(新法)は前法(旧法)に優先する」という新法優先の原則があります。よって、本肢は正しいです。

ウ.教育基本法、環境基本法など「基本法」という名称を持つ法律は、法律の形式をとってはいるものの各議院の特別多数決を経て制定される特別の法律であるから、通常の法律をもって基本法の規定を改廃することはできない。
ウ・・・誤り
国の基本政策を定めた法律は「基本法」という名称を持つことはあります。そして、この基本法も通常の法律と同じです。つまり、原則、両議院(衆議院と参議院)で可決することにより制定、改廃ができます憲法59条)。

エ.現行憲法は最高裁に対し、国会が制定した法律が憲法に適合するか否かを審査する違憲審査権を付与したが、この審査権の対象はあくまでも法律だけであるから、内閣の制定する政令や地方議会の制定する条例は違憲審査の対象にならない。
エ・・・誤り
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限(違憲審査権)を有する終審裁判所です(憲法81条)。
これは、国内法規範をすべてを含み、政令や条例も違憲審査の対象となります。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問22|地方自治法

地方自治法の定める監査制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
  2. 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
  3. 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
  4. 監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
  5. 監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。

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【答え】:5
【解説】

1.戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
1・・・誤り
平成9年の地方自治法改正で、外部監査制度は導入されました。つまり、戦後すぐに制定された地方自治法には外部監査制度の規定はありませんでした。

内部監査だけでは、馴れ合い的な監査になってしまい、監査の目的を達成できないことあります。

そのため、第三者である外部から監査させるために、外部監査制度が導入されました。

2.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
2・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条)。よって、本肢の「1人でも行うことができる」は誤りです。

1人でも行うことができるのは、「住民監査請求」です。

3.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
3・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条1項)。そして、選挙権を有する者とは、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」を指します(地方自治法18条)。

よって、外国人は、事務監査請求ができません

したがって、誤りです。

4.監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
4・・・誤り
監査委員は、毎会計年度少くとも一回以上期日を定めて監査をしなければなりません(地方自治法199条4項)。
また、監査委員は、上記のほか、必要があると認めるときは、いつでも監査をすることができます(地方自治法199条5項)。したがって、監査委員による監査は、請求がなくても行う行うことができます。

5.監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。
5・・・正しい
監査委員は、必要があると認めるときは、

  • 自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除く自治事務について
  • 法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものを除く法定受託事務について

監査をすることができます(地方自治法199条2項)。

よって、法定受託事務も、監査委員による監査対象なので、正しいです。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問15|行政不服審査法

次の記述のうち、行政不服審査法に関する問題点として、次の解説文中の空欄[A]に挿入すべきでないものはどれか。

1962(昭和37)年制定の行政不服審査法は、それ以前の訴願法と比べれば、権利救済制度として大きく改善されたが、[ A ]という問題点も指摘されていた。また、1993(平成5)年の行政手続法の制定や2004(平成16)年の行政事件訴訟法改正などとの関係で、見直しが必要だと考えられるようになった。このため、行政不服審査法の抜本的な改正が検討されることとなったのである。

  1. 行政不服審査法によらない不服申立ての仕組みが多数あるため、一般国民にとってわかりづらく、利用しづらい制度になっている
  2. 取消訴訟を提起するためには不服申立てに対する裁決または決定を経ることが原則とされているため、権利救済の途が狭められている
  3. 審理にかなり時間を要しているのが実態であるため、簡易迅速という特色が生かされていない
  4. 行政権の自己審査であるため、審理手続の運用において公平さに欠けるところが多い
  5. 不服申立て期間が短いため、権利救済の機会が狭められている。

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【答え】:2
【解説】

1962(昭和37)年制定の行政不服審査法は、それ以前の訴願法と比べれば、権利救済制度として大きく改善されたが、[ A ]という問題点も指摘されていた。また、1993(平成5)年の行政手続法の制定や2004(平成16)年の行政事件訴訟法改正などとの関係で、見直しが必要だと考えられるようになった。このため、行政不服審査法の抜本的な改正が検討されることとなったのである。

1.行政不服審査法によらない不服申立ての仕組みが多数あるため、一般国民にとってわかりづらく、利用しづらい制度になっている
1・・・挿入できる
1962(昭和37)年制定の行政不服審査法(平成26年の改正前の行政不服審査法)は、不服申し立てに関する一般法であり、他の法律に特別の定めがある場合は、例外的にそちらを優先するという内容でした。この点については、現行の不服審査法と同じなのですが、例外(適用除外)事項が非常に多く、分かりづらく、利用しづらい制度になっていました

よって、本肢はAに挿入できます。

2.取消訴訟を提起するためには不服申立てに対する裁決または決定を経ることが原則とされているため、権利救済の途が狭められている
2・・・挿入すべきでない
処分の取消しの訴えは、原則、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することができます行政事件訴訟法8条1項)。よって、本肢の「取消訴訟を提起するためには不服申立てに対する裁決または決定を経ることが原則」は誤りなので、Aに挿入すべきではありません。

3.審理にかなり時間を要しているのが実態であるため、簡易迅速という特色が生かされていない
3・・・挿入できる
審査請求の長所の1つとして、簡易迅速な権利救済があげられます。しかし、改正前は審査に時間を要したり、審査が遅延することが多かったため、簡易迅速という特色が生かされていませんでした

よって、本肢はAに挿入できます。

4.行政権の自己審査であるため、審理手続の運用において公平さに欠けるところが多い
4・・・挿入できる
審査請求は、裁判所などの第三者機関が審査するものではなく、行政機関による自己審査です。そのため、公平性・中立性に欠けるという短所がありました。

よって、本肢はAに挿入できます。

5.不服申立て期間が短いため、権利救済の機会が狭められている。
5・・・挿入できる
改正前は、審査請求(不服申立て)の期間について、原則、処分があったことを知った日の翌日から60日以内となっていました。しかし、行政事件訴訟法における取消訴訟の出訴期間が、処分または裁決を知った日から6か月以内となっており、これと比較しても、不服申立ての期間は非常に短かったです。

そのため、権利救済の機会が狭められていました

よって、本肢はAに挿入できます。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問46|民法・記述式

改正民法に対応済

次の【設問】を読み、【答え】の中の〔 〕に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の〔 〕をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これに該当するとは認められないからである。

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改正民法に対応済

【答え】:第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外で、かつ登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者(44字)

【解説】

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の〔 〕をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これ(民法177条の第三者)に該当するとは認められないからである

上記「これ」が「民法177条の第三者」と分かると、〔カッコ〕については、第三者についての判例の内容と分かります。

そして、判例によると、
民法177条の第三者とは、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有する者」としています(大連判明41.12.15)。

これを、40字程度でまとめると

第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外で、かつ登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者(44字)

となります。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問45|民法・記述式

改正民法に対応済

次の【事例】において、Xは、Yに対して、どのような権利について、どのような契約に基づき、どのような請求をすることができるか。40字程度で記述しなさい。

【事例】
A(会社)は、B(銀行)より消費貸借契約に基づき金銭を借り受け、その際に、X(信用保証協会)との間でBに対する信用保証委託契約を締結し、Xは、同契約に基づき、AのBに対する債務につき信用保証をした。Xは、それと同時に、Yとの間で、Aが信用保証委託契約に基づきXに対して負担する求償債務についてYが連帯保証する旨の連帯保証契約を締結した。AがBに対する上記借入債務の弁済を怠り、期限の利益を失ったので、Xは、Bに対して代位弁済をした。

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改正民法に対応済

【答え】:Aに対する求償権について、連帯保証契約に基づき、求償債務の弁済を請求することができる。(43字)

【解説】

【事例】
A(会社)は、B(銀行)より消費貸借契約に基づき金銭を借り受け、その際に、X(信用保証協会)との間でBに対する信用保証委託契約を締結し、Xは、同契約に基づき、AのBに対する債務につき信用保証をした。Xは、それと同時に、Yとの間で、Aが信用保証委託契約に基づきXに対して負担する求償債務についてYが連帯保証する旨の連帯保証契約を締結した。AがBに対する上記借入債務の弁済を怠り、期限の利益を失ったので、Xは、Bに対して代位弁済をした。

事例の状況を整理します。

  • A(会社)は、B(銀行)からお金を借りた(債務者A、債権者B)
  • X(信用保証協会)が連帯保証人となった(連帯保証人X)
  • Yが求償債務についての連帯保証人となった(Xが弁済した場合、XはAに対して求償できるが、XはYにも求償できる)

上記状況で、Xは、Bに対して代位弁済をした。

次の【事例】において、Xは、Yに対して、①どのような権利について、②どのような契約に基づき、③どのような請求をすることができるか。

上記でも少し触れましたが、

Yが求償債務についての連帯保証人となったことにより、XはYにも求償できます。

これを問題文の言葉を使って、①~③に当てはめて考えればよいです。

すると、
「Xは、Yに対して」①Aに対する求償権について、②連帯保証契約に基づき、③求償債務の弁済を請求することができる。

となります。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問35|民法・相続

改正民法に対応済

相続欠格と相続人の廃除に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.相続欠格においては、その対象者となりうるのは全ての推定相続人であるが、相続人の廃除においては、その対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られる。

イ.相続欠格においては、その効果は一定の欠格事由があれば法律上当然に生ずるが、相続人の廃除においては、その効果は被相続人からの廃除請求による家庭裁判所の審判の確定によって生ずる。

ウ.相続欠格においては、被相続人および同順位相続人は欠格の宥恕をすることができるが、相続人の廃除においては、被相続人は審判確定後は家庭裁判所にその取消しを請求することはできない。

エ.相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができないが、相続人の廃除においては、被相続人の子について廃除が確定した場合でも、被廃除者の子は代襲相続人となることができる。

オ.相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定されるが、相続人の廃除においては、その効果として廃除を請求した被相続人に対する相続権のみが否定される。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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改正民法に対応済

【答え】:1
【解説】

ア.相続欠格においては、その対象者となりうるのは全ての推定相続人であるが、相続人の廃除においては、その対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られる。

ア・・・妥当

故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者は、相続人となることができません(民法891条1号)。

つまり、推定相続人が上記のことをしたら欠格となるので、相続欠格においては、その対象者となりうるのは全ての推定相続人です。

遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民法892条)。

つまり、廃除の対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られます

よって、妥当です。

イ.相続欠格においては、その効果は一定の欠格事由があれば法律上当然に生ずるが、相続人の廃除においては、その効果は被相続人からの廃除請求による家庭裁判所の審判の確定によって生ずる。

イ・・・妥当

相続欠格については、欠格事由に該当すれば、法律上当然に(自動的に)欠格の効果が発生じます

つまり、自動的に、相続人でなくなります。

一方、

廃除は、家庭裁判所に請求して、家庭裁判所の審判の確定がないと効果が発生しません

ウ.相続欠格においては、被相続人および同順位相続人は欠格の宥恕をすることができるが、相続人の廃除においては、被相続人は審判確定後は家庭裁判所にその取消しを請求することはできない。

ウ・・・妥当ではない

相続欠格においては、被相続人が宥恕すること(大目に見て許すこと)ができます(通説)。

一方、
相続人の廃除においては、被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます民法894条)。

この点が妥当ではありません。

エ.相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができないが、相続人の廃除においては、被相続人の子について廃除が確定した場合でも、被廃除者の子は代襲相続人となることができる。

エ・・・妥当ではない

被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続欠格となったとき、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります(民法887条2項)。

つまり、相続欠格も相続廃除も代襲相続はあります

したがって、「相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができない」が妥当ではありません。

オ.相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定されるが、相続人の廃除においては、その効果として廃除を請求した被相続人に対する相続権のみが否定される。

オ・・・妥当ではない

相続欠格・廃除ともに、被相続人に対する相続権のみが否定されるだけです。

被相続人以外の者に対する相続権は否定されません。

つまり、相続欠格・廃除ともに相続能力自体が否定されるわけではないです。

本肢は「相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定される」が妥当ではありません。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問34|民法・不法行為

改正民法に対応済

不法行為の成立に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 鍵が掛けられていた、他人の自転車を盗んだ者が、その自転車を運転している最中に不注意な運転により第三者に怪我を負わせてしまった場合、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負う。
  2. 責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない。
  3. 飲食店の店員が出前に自動車で行く途中で他の自動車の運転手と口論となり、ついには同人に暴力行為を働いてしまった場合には、事業の執行につき加えた損害に該当せず、店員の使用者は、使用者責任を負わない。
  4. 請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合、注文者と請負人の間には使用関係が認められるので、注文者は、原則として第三者に対して使用者責任を負う。
  5. 借家の塀が倒れて通行人が怪我をした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが、塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない。

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:2

【解説】

1.鍵が掛けられていた、他人の自転車を盗んだ者が、その自転車を運転している最中に不注意な運転により第三者に怪我を負わせてしまった場合、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負う。

1・・・妥当ではない

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(民法709条)。

本肢の場合、「自転車の所有者」に故意又は過失はありません。

そのため、第三者に対して不法行為責任を負いません。

よって、妥当ではありません。

2.責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない。

2・・・妥当

判例によると、
「少年院を仮退院した後に保護観察の遵守事項を守らないで遊び歩くなどしていた未成年者が強盗傷人事件を犯した場合において,当該未成年者が間もなく成人に達する年齢にあることなどから,親権者が当該未成年者に及ぼし得る影響力は限定的なものとなっており,当該親権者が上記遵守事項を確実に守らせることのできる適切な手段を有していたとはいい難いこと,当該親権者において当該未成年者が上記事件のような犯罪を犯すことを予測し得る事情があったとはいえないこと,当該未成年者の生活状態が直ちに少年院に再入院させるための手続等を執るべき状態にあったともいえないことなど判示の事情の下では,当該親権者に上記事件に結びつく監督義務違反があったとはいえない」としています(最判平18.2.24

つまり、責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負いません。

本肢は妥当です。

3.飲食店の店員が出前に自動車で行く途中で他の自動車の運転手と口論となり、ついには同人に暴力行為を働いてしまった場合には、事業の執行につき加えた損害に該当せず、店員の使用者は、使用者責任を負わない。

3・・・妥当ではない

判例によると、
「すし屋の店員二名が、使用者所有の自動車を運転し、またはこれに同乗して、出前に行く途中、右自動車の方向指示器を点燈したまま直進したため、これと衝突しそうになった他の自動車の運転者と口論になり、そのあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた場合、これによつて同人の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである」としています(最判昭46.6.22)。

そのため、本肢の場合、店員の使用者は、使用者責任を負うので、妥当ではありません。

4.請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合、注文者と請負人の間には使用関係が認められるので、注文者は、原則として第三者に対して使用者責任を負う。

4・・・妥当ではない

注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません民法716条本文)。

よって、請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合、注文者は、原則として第三者に対して使用者責任を負いません。

したがって、妥当ではありません。

5.借家の塀が倒れて通行人が怪我をした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが、塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない。

5・・・妥当ではない

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません(民法717条1項)。

よって、借家人(占有者)が、損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合は、所有者が損害を賠償する責任を負います

したがって、「塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが、塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない」は妥当ではありません。

この点については理解すべき部分なので、個別指導で詳しく解説します!


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問33|民法・賃貸借

改正民法に対応済

次の文章は、最高裁判所の判決文の一節であるが、文中の空欄[ア]~[ウ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原(転借権)を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかなく、[ア]の[イ]に対する債務は、社会通念及び取引通念に照らして[ウ]というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、[ア]の[イ]に対する債務の[ウ]により終了すると解するのが相当である。」

(最三小判平成9年2月25日民集51巻2号398頁以下)

  1. ア:転貸人 イ:転借人 ウ:不完全履行
  2. ア:転貸人 イ:賃貸人 ウ:履行不能
  3. ア:賃貸人 イ:転貸人 ウ:履行遅滞
  4. ア:賃貸人 イ:転借人 ウ:履行遅滞
  5. ア:転貸人 イ:転借人 ウ:履行不能

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:5

【解説】

「賃貸人A→転貸人B→転借人C」

と仮定すると

転貸人BがAに賃料不払いで、AB間の賃貸借契約が解除された場合、
転借人Cは、賃貸人Aに対抗できません。

そして、賃貸人Aが転借人Cに対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人Cは賃貸人Aに対し、目的物の返還義務を負う。

そして、

[ア]の[イ]に対する債務は、社会通念及び取引通念に照らして[ウ]というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、[ア]の[イ]に対する債務の[ウ]により終了すると解するのが相当である。

と続いています。

したがって以降を考えると分かりやすいです。

賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、[ア:転貸人]の[イ:転借人]に対する債務の[ウ:履行不能]により終了すると解するのが相当である。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問32|民法・償還請求

改正民法に対応済

他人の財産に対する費用の支出とその償還請求に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。

イ.Aは、Bに対して自己が所有する土地を売り渡したが、この売買契約と同時に買戻しの特約をしていた場合において、Aが買戻権を行使したときは、この売買契約成立後Aが買戻権を行使するまでにBがその土地につき必要費を支出していたとしても、Bは、Aに対してこの費用の償還請求をすることができない。

ウ.Aは、Bから建物を賃借して居住し、その間に同建物につき有益費を支出したが、その後に、B・C間で賃貸人たる地位の移転が生じた場合に、Aは、原則としてBに対しては有益費の償還を請求することができない。

エ.Aは、Bに対して自己が所有する建物を賃貸していたが、Bが有益費を支出して同建物に増築部分を付加して同建物と一体とした場合において、後にその増築部分が隣家の火災により類焼して失われたときにも、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができる。

オ.Aは、Bと寄託契約に基づき受寄物を保管していたが、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、Bに対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:3
【解説】

ア.A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。

ア・・・妥当

買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができます(大判昭10.5.13)。

そして、留置家屋を居住することによって得た利益は、不当利得として返還する義務があります(大判昭13.12.17)。

よって、本肢は妥当です。

イ.Aは、Bに対して自己が所有する土地を売り渡したが、この売買契約と同時に買戻しの特約をしていた場合において、Aが買戻権を行使したときは、この売買契約成立後Aが買戻権を行使するまでにBがその土地につき必要費を支出していたとしても、Bは、Aに対してこの費用の償還請求をすることができない。

イ・・・妥当ではない

買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、その償還をしなければなりません民法583条2項本文)。

よって、Bは、Aに対してこの費用の償還請求をすることができます。

したがって、本肢は妥当ではありません。

ウ.Aは、Bから建物を賃借して居住し、その間に同建物につき有益費を支出したが、その後に、B・C間で賃貸人たる地位の移転が生じた場合に、Aは、原則としてBに対しては有益費の償還を請求することができない。

ウ・・・妥当

賃貸人たる地位譲受人又はその承継人に移転したときは、有益費の償還に係る債務及び敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継します(民法605条の2第4項)。

よって、Aは、原則として旧賃貸人Bに対しては有益費の償還を請求することができません。
新賃貸人Cに対して請求することができます。

エ.Aは、Bに対して自己が所有する建物を賃貸していたが、Bが有益費を支出して同建物に増築部分を付加して同建物と一体とした場合において、後にその増築部分が隣家の火災により類焼して失われたときにも、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができる。

エ・・・妥当ではない

判例によると、
「賃借人が賃借建物に附加した増・新築部分が、賃貸人に返還される以前に、賃貸人、賃借人いずれの責にも帰すべきでない事由により滅失したときは、特段の事情のないかぎり、右部分に関する有益費償還請求権は消滅する」としています(最判昭48.7.17)。

本肢の場合、有益費を支出して増築して、その後増築部分が焼失しています。

よって、有益費償還請求権は消滅するので、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができません

本肢は妥当ではありません。

オ.Aは、Bと寄託契約に基づき受寄物を保管していたが、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、Bに対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

オ・・・妥当

受寄者Aは、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、寄託者Bに対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができます民法665条民法650条1項)。

よって、本肢は妥当です。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問31|民法・連帯債務

改正民法に対応済

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている場合に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

  1. AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償できるが、もしCが無資力のときは、Bに対して30万円の求償をすることができる。
  2. AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、Cの負担部分が1:1:0であり(Cには負担部分がない)、また、Bが無資力のときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償することができる。
  3. DがAに対して60万円の債務を免除した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。
  4. DがAに対して連帯の免除をした場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であったときは、Aは、20万円の分割債務を負い、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。
  5. A、B、C三人の負担部分が平等である事情の下で、DがAに対して連帯の免除をした場合に、Bが債務全額を弁済したときに、もしCが無資力であったとすると、Cが弁済することができない部分のうちAが負担すべき10万円はDが負担する。

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改正民法に対応済

【答え】:1
【解説】

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている。

1.AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償できるが、もしCが無資力のときは、Bに対して30万円の求償をすることができる。

1・・・妥当

連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担します(民法444条)。

よって、Cが無資力のときは、AとBが60万円を負担割合(1:1)に応じて分割します。

したがって、60万円を弁済したAは、Bに対して30万円を求償できます。

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている。

2.AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、Cの負担部分が1:1:0であり(Cには負担部分がない)、また、Bが無資力のときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償することができる。

2・・・妥当ではない

Cは負担部分がないので、求償できません(通説)。

また、Bは無資力なので、求償できません。

よって、通説で考えると、A、BとCに求償できません。

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている。

3.DがAに対して60万円の債務を免除した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。

3・・・妥当ではない

免除については相対効です。

そのため、60万円について、BとCが連帯債務を負うことになります。

この点は関連ポイントがあるので、個別指導で解説します!

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている。

4.DがAに対して連帯の免除をした場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であったときは、Aは、20万円の分割債務を負い、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。

4・・・妥当ではない

「連帯の免除」とは、「連帯の免除」を受けた者は分割債務となり、それ以外の者は以前と変わりなく、連帯債務者のままのことを言います。

つまり、本肢の場合

連帯の免除を受けたAは20万円の分割債務を負い

BとCは以前と変わりなく、60万円の連帯債務を負います

よって、「40万円ずつ」が妥当ではありません。

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている。

5.A、B、C三人の負担部分が平等である事情の下で、DがAに対して連帯の免除をした場合に、Bが債務全額を弁済したときに、もしCが無資力であったとすると、Cが弁済することができない部分のうちAが負担すべき10万円はDが負担する。

5・・・妥当ではない

連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担します(民法444条)。

よって、Cが無資力のときは、AとBが60万円を負担割合(1:1)に応じて分割します

したがって、Bが債務全額を弁済したときに、BはAに30万円を求償できます。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略