行政手続法が定める不利益処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が書面ですることを認めたときを除き、指定された日時及び場所において、口頭で行うものとされている。
- 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないとされているが、ここにいう許認可等を取り消す不利益処分には、行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる。
- 行政指導に従わない場合に行われる当該事実の公表は、行政手続法上、不利益処分とされ、それを行う場合は、弁明の機会の付与を行わなければならないと規定されている。
- 聴聞において、当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず、行政庁がこれを不許可とした場合には、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができる。
- 申請に対して拒否処分を行う場合は、行政手続法上、不利益処分に該当するので、弁明の機会の付与を行わなければならない。
【答え】:2
【解説】
1.弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が書面ですることを認めたときを除き、指定された日時及び場所において、口頭で行うものとされている。
1・・・誤り
弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が「口頭」ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出して行います(行政手続法29条1項)。つまり、原則、書面で、例外的に口頭です。
弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が「口頭」ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出して行います(行政手続法29条1項)。つまり、原則、書面で、例外的に口頭です。
よって、誤りです。
2.許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないとされているが、ここにいう許認可等を取り消す不利益処分には、行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる。
2・・・正しい
許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞を行わなければなりません(行政手続法13条1項1号イ)。そして、この「許認可などの取消しの不利益処分」は、行政法学上の「取消し」と「撤回」の2つが含まれます。
許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞を行わなければなりません(行政手続法13条1項1号イ)。そして、この「許認可などの取消しの不利益処分」は、行政法学上の「取消し」と「撤回」の2つが含まれます。
つまり、
- そもそも免許の要件を満たしていない(最初から要件を満たしていない)にも関わらず、免許を受けてその後、取消しとなった場合(=取消し)
- 始めは免許を満たしていたがその後、法律違反などをして免許取消しとなった場合(=撤回の場合)
いずれの不利益処分も聴聞の対象です。
3.行政指導に従わない場合に行われる当該事実の公表は、行政手続法上、不利益処分とされ、それを行う場合は、弁明の機会の付与を行わなければならないと規定されている。
3・・・誤り
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいいます(行政手続法2条4号)。そして、「公表」は不利益処分に含まれません。
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいいます(行政手続法2条4号)。そして、「公表」は不利益処分に含まれません。
そのため、意見陳述の手続き(弁明の機会の付与・聴聞)は不要です。
よって、本肢は誤りです。
4.聴聞において、当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず、行政庁がこれを不許可とした場合には、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができる。
4・・・誤り
「聴聞手続の規定に基づいてした処分」については、行政不服審査法による不服申立てはできません(行政手続法27条)。また、聴聞において、当事者は「利害関係人の参加」を求めることができません。
主宰者は「利害関係人の参加」を求めることが可能です(行政手続法17条1項)。
「聴聞手続の規定に基づいてした処分」については、行政不服審査法による不服申立てはできません(行政手続法27条)。また、聴聞において、当事者は「利害関係人の参加」を求めることができません。
主宰者は「利害関係人の参加」を求めることが可能です(行政手続法17条1項)。
よって、誤りです。
5.申請に対して拒否処分を行う場合は、行政手続法上、不利益処分に該当するので、弁明の機会の付与を行わなければならない。
平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 職業選択の自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 学問の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |