40字問題

平成27年・2015|問44|行政法・記述

Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。このうち、裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:被告はY県であり、一般に、裁決の違法の主張が許され、この原則を原処分主義という。(40字)

【解説】

問題文の状況理解

問題文の状況は下記の通りです。

  • Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。
  • しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。
  • これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。
  • このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。

質問内容の理解

質問内容は、下記3つです。

  1. 裁決取消訴訟の被告はどこか?
  2. こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許されるか?
  3. こうした原則を何と呼ぶか?

裁決取消訴訟の被告はどこか?

処分・裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、「当該処分・裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条)。

本問では、審査請求に対して、「Y県開発審査会」が拒否処分の裁決をしています。
したがって、被告となるのは、「Y県」です。

よって、「裁決取消訴訟の被告はY県」となります。

こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許されるか?

処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができません(行政事件訴訟法10条)。

したがって、本肢の場合、裁決取消しの訴え(裁決取消訴訟)を提起しているので、処分の違法は主張できず、裁決の違法のみ主張が許されます。

こうした原則を何と呼ぶか?

上記原則を「原処分主義」と言います。

上記をまとめると、

「被告はY県であり、一般に、裁決の違法の主張が許され、この原則を原処分主義という。(40字)」となります。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問46|民法・記述

民法の規定によれば、離婚の財産上の法的効果として、離婚した夫婦の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。判例は、離婚に伴う財産分与の目的ないし機能には3つの要素が含まれ得ると解している。この財産分与の3つの要素の内容について、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:
  1. 婚姻中の共同財産の清算及び離婚後の一方の生計維持ならびに精神的損害の賠償を含む。(40字)
  2. 婚姻中の夫婦財産の清算、離婚後の生活に困窮する配偶者の扶養、離婚に伴う慰謝料を含む。(41字)

【解説】

問題文について

民法768条では「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と規定されています。

そして、判例は、「離婚に伴う財産分与の目的ないし機能」には3つの要素が含まれ得る、と解しています。

質問内容

この財産分与の目的・機能の3つの要素が何か?

という質問内容です。

なので、3つの目的・機能を記述すればよいです。

そして、判例では、下記3つを判示しています。

  1. 婚姻中の夫婦共有財産の清算
  2. 離婚後の生活の扶養
  3. 離婚による慰謝料

例えば、会社員と専業主婦の夫婦の離婚を考えると

  1. 夫婦が結婚してから離婚するまでの間に築き上げてきた財産を分配します。
  2. 離婚後、元妻が生活費を得ることができるようになるまで、生活費が必要なので、そのお金も必要です。
  3. さらに、離婚に伴う精神的苦痛も考慮する必要があるので、その慰謝料も支払われます。

これらの3つを文章の中に入れるわけです。

すると、下記文章となります。

  1. 婚姻中の共同財産の清算及び離婚後の一方の生計維持ならびに精神的損害の賠償を含む。(40字)
  2. 婚姻中の夫婦財産の清算、離婚後の生活に困窮する配偶者の扶養、離婚に伴う慰謝料を含む。(41字)

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問45|民法・記述

改正民法により、問題不成立(解かなくても大丈夫です)
Aは、Bとの間でB所有の甲土地(以下「甲」という。)につき売買契約(以下「契約」という。)を締結し、その後、契約に基づいて、Bに対し売買代金を完済して、Bから甲の引き渡しを受け、その旨の登記がなされた。ただ、甲については、契約の締結に先だって、BがCから借り受けた金銭債務を担保するために、Cのために抵当権が設定され、その旨の登記がなされていた。この場合において、Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、どのようになったときに、どのような主張をすることができるかについて、民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、本問においては、Aは、Cに対する第三者としての弁済、Cの請求に応じた代価弁済、または、Cに対する抵当権消滅請求は行わないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:
  • 抵当権が実行されて、甲の所有権を失ったときに、契約の解除および損害賠償を主張できる。(42文字)
  • Aは、抵当権が実行されたときに、契約の解除と受けた損害の賠償請求を主張できる。(39字)

【解説】

問題文の状況

まず、問題文の状況を時系列にすると下記流れになります。

  1. 甲については、BがCから借り受けた金銭債務を担保するために、Cのために抵当権が設定され、その旨の登記がなされていた。
  2. Aは、Bとの間でB所有の甲土地(甲)につき売買契約を締結した=売主B、買主A
  3. その後、契約に基づいて、買主Aは売主Bに対し売買代金を完済して、売主Bから甲の引き渡しを受け、その旨の登記がなされた。

質問内容

上記状況において、質問内容は下記2点です。

Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、①どのようになったときに、②どのような主張をすることができるか?

ただし、条件として下記3つがあります。

  1. 買主Aは、Cに対する第三者としての弁済はしない
  2. 買主Aは、Cの請求に応じた代価弁済はしない
  3. 買主Aは、Cに対する抵当権消滅請求は行わない

上記状況で、「買主Aが何らかの主張ができる」となると
抵当権が実行されて(競売にかけられて)、Aが所有権を失うことしかありません。

そのため、その点に焦点を当てて考えていきます。

①どのようになったときに

上記の通り、「抵当権が実行されたとき」です。
ちなみに、民法の条文では「競売」という文言は使っていないので上記内容がキーワードとなります。

②どのような主張をすることができるか?

民法567条1項では、「売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができ、また、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる」としています。

したがって、「契約解除」と「損害賠償請求」の2つのキーワードは入れた方がよいでしょう!

これをまとめると、下記のようになります。

  1. 抵当権が実行されて、甲の所有権を失ったときに、契約の解除および損害賠償を主張できる。(42文字)
  2. Aは、抵当権が実行されたときに、契約の解除と受けた損害の賠償請求を主張できる。(39字)

※改正民法により、答えは変わってきます。
修正はまだしておりませんので、ご留意ください。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問44|行政法・記述

A市は、A市路上喫煙禁止条例を制定し、同市の指定した路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙した者について、2万円以下の過料を科す旨を定めている。Xは、路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙し、同市が採用した路上喫煙指導員により発見された。この場合、Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められており、また、同法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか。さらに、行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:A市長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(37字)
この手続は地方自治法に定められており、この過料はA市長により科され、秩序罰という。(41字)
「A市長」については「(普通)地方公共団体の長」でもよいです。

【解説】

問題文の状況

まず、問題文の状況を確認すると下記3つに分けることができます。

  1. A市は、A市路上喫煙禁止条例を制定した
  2. 条例の内容は、同市の指定した路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙した者について、2万円以下の過料を科す旨である
  3. Xは、路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙し、同市が採用した路上喫煙指導員により発見された

質問内容

上記状況において、質問内容は下記3点です。

  1. Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められているか?
  2. 同法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか?
  3. 行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか?

Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められているか?

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。
このルールにしたがって、A市は、2万円以下の過料を科する旨を定めている。
したがって、この過料を科すための手続きは「地方自治法」です。
なので、一つ目のキーワードとして「地方自治法」は解答に入れる必要があります。

地方自治法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか?

普通地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合においては、過料の処分を受ける者に対し、あらかじめその旨を告知するとともに、弁明の機会を与えなければなりません(地方自治法255条の3)。
したがって、条例違反や規則違反により、過料を科することができる機関は「普通地方自治体の長」である「A市長」です。
したがって、「(普通)地方公共団体の長」または「A市長」が2つ目のキーワードなので
どちらか一方は入れる必要があります。

細かい解説については、個別指導で解説します!

行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか?

条例違反や規則違反による過料は「行政罰の一つである『秩序罰』」です。

よって、「秩序罰」が3つ目のキーワードです。

上記3つのキーワードをすべて入れて、文章にまとめると下記解答例になります。

  1. A市長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(37字)
  2. この手続は地方自治法に定められており、この過料はA市長により科され、秩序罰という。(41字)
  3. 地方公共団体の長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(42字)
  4. 地方自治法に定められており、この過料は普通地方公共団体の長により科され、秩序罰という。(43字)

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問46|民法・記述

不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が、いつの時点から何年間行使しないときに消滅するかについて、民法が規定する2つの場合を、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:損害および加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しないとき。(42字)

【解説】

この問題は、民法の条文そのままの内容です。

聞かれている質問内容は

①いつから
②何年間
権利を行使しないときに損害賠償請求権が消滅するか?
2つの場合を答えよ
という基本的な内容です。

改正民法724条では、下記の通り、規定されています。

第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

したがって、これをまとめると

「損害および加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しないとき(42字)」不法行為による損害賠償請求権は時効により消滅します。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問46|民法・記述

甲自動車(以下「甲」という。)を所有するAは、別の新車を取得したため、友人であるBに対して甲を贈与する旨を口頭で約し、Bも喜んでこれに同意した。しかしながら、Aは、しばらくして後悔するようになり、Bとの間で締結した甲に関する贈与契約をなかったことにしたいと考えるに至った。甲の引渡しを求めているBに対し、Aは、民法の規定に従い、どのような理由で、どのような法的主張をすべきか。40字程度で記述しなさい。なお、この贈与契約においては無効および取消しの原因は存在しないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:Aは、書面によらず、履行が終わっていないことを理由に、贈与契約を解除すべき。(38字)

【解説】

問題文の状況整理

質問内容は
「Aは、Bとの贈与契約をなかったことにしたい場合、どのような理由で、どのような法的主張をすべきか?」
です。

つまり、

①どのような理由
②どのような法的主張

この2つを記述することが重要です。

問題文の状況を整理すると

  • Aは、Bと口頭で、甲自動車を贈与する契約を締結した。
  • その後、Aは、当該贈与契約をなかったことにしたいと考えている

という状況です。

解答の検討

贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じます(改正民法549条)。
そして、書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができます(行政書士,過去問,平成30年,2019,問46,民法・記述)。
ただし、履行の終わった部分については、解除できません(同条但し書き)。

本問を見ると、口頭で贈与契約をしています。
したがって、書面によらない贈与です。
書面によらない贈与(口頭による贈与)において、甲自動車の贈与契約をなかったことにするには、「履行が終わっていないこと」が必要です。

そして、法的主張については、「解除」です。

したがって、
Aは、書面によらず、履行が終わっていないことを理由に、贈与契約を解除すべき。(38字)

平成30年・2018|問45|民法・記述

画家Aは、BからAの絵画(以下「本件絵画」といい、評価額は500万円~600万円であるとする。)を購入したい旨の申込みがあったため、500万円で売却することにした。ところが、A・B間で同売買契約(本問では、「本件契約」とする。)を締結したときに、Bは、成年被後見人であったことが判明したため(成年後見人はCであり、その状況は現在も変わらない。)、Aは、本件契約が維持されるか否かについて懸念していたところ、Dから本件絵画を気に入っているため600万円ですぐにでも購入したい旨の申込みがあった。Aは、本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている。Aが本件絵画をDに売却する前提として、Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか。なお、AおよびDは、制限行為能力者ではない。
「Aは、」に続け、下線部分につき40字程度で記述しなさい。記述に当たっては、「本件契約」を入れることとし、他方、「1か月以上の期間を定めて」および「その期間内に」の記述は省略すること。

>解答と解説はこちら


【答え】:「Aは、」Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得る。(40字)

【解説】

問題文の状況整理

質問内容は
「Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか。」

①誰に対して
②どのような催告をし
③どのような結果を得る必要があるか

この3つを記述することが重要です。

問題文の状況を整理すると

  1. 画家AはBに絵画を売却した(本件契約)。
  2. しかし、売却した当時、買主Bは、成年被後見人であった。
    (成年後見人はC)
  3. 現在も、Bは成年被後見人である。
  4. 一方、Aは、Dから本件絵画の購入したい旨の申込みがあった。
  5. Aは、本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている。
  6. Aが本件絵画をDに売却することを前提した場合、Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか?
  7. なお、AおよびDは、制限行為能力者ではない。

という内容です。

解答の検討

AはDに売りたいと思っているので、AB間の売買契約を取消す必要があります。

その場合のどのような手続きが必要か?

最終的には、相手方(B側)に追認拒絶をしてもらえれば、契約取消しとなり、AはDに売却できます。

成年被後見人に対して催告しても、催告自体無効です。
「追認するかどうかの催告」は、保護者である成年後見人Cに対して行う必要があります

そして、成年後見人Cが追認拒絶をしてくれれば、無事AはDに売却できます。

上記をまとめると

Aは、Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得ることができれば、Dに絵画を売却できます。

40字でまとめると

「Aは、」Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得る。(40字)

平成30年・2018|問44|行政法・記述

Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。そのために必要な農地法4条1項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
農地法
(農地の転用の制限)
第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。(以下略)
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。
3 農業委員会は、前項の規定により申請書の提出があったときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない。

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【答え】:A県を被告として、不作為の違法確認訴訟と農地転用許可の義務付け訴訟を併合提起すべき。(42字)

【解説】

質問内容は
「Xは、①いかなる被告に対し、②どのような訴訟を提起すべきか」
となっているので、

①被告は誰とすべきか?
②どのような訴訟を提起すべきか?

この2つを記述することが重要です。

①どのような訴訟をすべきか?

農地転用許可を得ることが目的の訴訟です。
つまり、「農地転用許可の義務付け訴訟」は必要です。

そして、申請型の義務付け訴訟を提起するには、
「取消訴訟」、「無効確認の訴え」、「不作為の違法確認訴訟」と併せて提起することが要件となっています。

問題文を見ると、
『申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。』
と記載されています。
つまり、申請書は、B市農業委員会に到達しています。
よって、行政庁は、遅滞なく審査を開始しなければなりません(行政手続法7条)。
それにもかかわらず、「この申請書は受理できません。」と返答が来たわけです。
行政庁は、受理しないということはできないため、
処分を行っていない以上、不作為状態にあるといえます。

したがって、本問の場合、「不作為の違法確認訴訟」と併せて提起する必要があります。

そのため、「不作為の違法確認訴訟」と「農地転用許可の義務付け訴訟」を併合して提起しなければなりません。

①被告は誰とすべきか?

処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、処分または裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条取消訴訟の被告適格)。

本問の場合、「A県知事宛ての農地転用許可を申請」したにも関わらず不作為状態なので、A県知事を被告とします。

よって、まとめると、
A県を被告として、不作為の違法確認訴訟と農地転用許可の義務付け訴訟を併合提起すべき。(42字)
となります。