2016年過去問

平成28年・2016|問24|地方自治法

地方財務に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 普通地方公共団体は、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができるが、起債前に財務大臣の許可を受けなければならない。
  2. 普通地方公共団体は、分担金、使用料、加入金および手数料を設ける場合、条例でこれを定めなければならない。
  3. 選挙権を有する普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の条例の制定または改廃を請求する権利を有するが、地方税の賦課徴収に関する条例については、その制定または改廃を請求することはできない。
  4. 市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきである。
  5. 地方税法の法定普通税の規定に反する内容の定めを条例に設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することは、それが法定外普通税に関する条例であっても、地方税法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない。

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【答え】:1

【解説】

1.普通地方公共団体は、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができるが、起債前に財務大臣の許可を受けなければならない。
1・・・誤り
地方公共団体が地方債を発行するときは、原則として、
都道府県及び指定都市の場合は総務大臣と協議」し、
市町村の場合は都道府県知事と協議」しなければなりません(地方財政法5条の3)。ただし、財政状況が悪化している地方公共団体が地方債を起債するときは、総務大臣または都道府県知事の許可が必要とされており、総務大臣は同意または許可をしようとするときは、あらかじめ財務大臣と協議することが必要です(地方財政法5条の4)。

したがって、本肢の「財務大臣の許可を受けなければならない」が誤りです。
正しくは「総務大臣又は都道府県知事に協議しなければならない」です。

2.普通地方公共団体は、分担金、使用料、加入金および手数料を設ける場合、条例でこれを定めなければならない。
2・・・正しい
分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法228条1項)。
したがって、本肢は正しいです。
3.選挙権を有する普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の条例の制定または改廃を請求する権利を有するが、地方税の賦課徴収に関する条例については、その制定または改廃を請求することはできない。
3・・・正しい
日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有します。上記の通り、「条例制定の請求」「条例改廃の請求」について
「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例」は除かれています。
つまり、「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例」については条例制定請求、条例改廃請求はできません
4.市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきである。
4・・・正しい
判例によると
市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収されている。
よって、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法第84条の趣旨が及ぶと解すべきであるとしている」
と判示しています。
したがって、本肢は正しいです。
5.地方税法の法定普通税の規定に反する内容の定めを条例に設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することは、それが法定外普通税に関する条例であっても、地方税法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない。
5・・・正しい
判例によると
「法定普通税に関する条例において、地方税法の定める法定普通税についての強行規定の内容を変更することは、同法に違反して許されない。そして、法定外普通税に関する条例において、同法の定める法定普通税についての強行規定に反する内容の定めを設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することも、これと同様に、同法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない
と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問23|地方自治法

地方自治法が定める地方公共団体の事務に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 自治事務とは、自らの条例またはこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理することとした事務であり、都道府県、市町村および特別区は、当該条例または規則に違反してその事務を処理してはならない。

イ 第一号法定受託事務とは、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものである。

ウ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

エ 各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正または改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。

オ 各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の法定受託事務の執行が法令の規定に違反する場合、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告し、さらに、指示することができるが、当該都道府県知事が期限までに当該事項を行わないときは、地方裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア 自治事務とは、自らの条例またはこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理することとした事務であり、都道府県、市町村および特別区は、当該条例または規則に違反してその事務を処理してはならない。
ア・・・誤り
自治事務とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。
つまり、法定受託事務以外の事務はすべて自治事務になるわけです。
そして、自らの条例や規則を定めて、事務を処理することも可能です。
イ 第一号法定受託事務とは、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものである。
イ・・・正しい
この法律において「法定受託事務」とは、下記2つの事務をいいます(地方自治法2条9項)。
  1. 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(第1号法定受託事務
  2. 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(第2号法定受託事務

本肢は第1号法定受託事務の内容です。

ウ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
ウ・・・正しい
各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求める(是正勧告)ことができます(地方自治法245条の5第1項:是正の要求)。
したがって、本肢は正しいです。
エ 各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正または改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
エ・・・正しい
各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができます(地方自治法245条の7第1項:是正指示)。
オ 各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の法定受託事務の執行が法令の規定に違反する場合、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告し、さらに、指示することができるが、当該都道府県知事が期限までに当該事項を行わないときは、地方裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
オ・・・誤り
本肢は「地方裁判所」が誤りです。
正しくは「高等裁判所」です。
各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が、
①法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は
②当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、
(1)その是正を図ることが困難であり、かつ、
(2)それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、
文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができます(地方自治法245条の8第1項)。
そして、勧告に従わない場合、各大臣は、都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができます(同条2項)。
さらに、指示にも従わない場合、各大臣は、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができます(同条3項:代執行)。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問21|損失補償

損失補償に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 火災の際の消防活動において、消防長等は、消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときは、消防対象物ないし延焼対象物以外の建築物等を破壊することができるが、当該行為は延焼を防ぐために必要な緊急の措置であるため、損害を受けた者は、消防法による損失補償を請求することができない。
  2. 都市計画法上の用途地域の指定について、土地の利用規制を受けることとなった者は、当該都市計画を定める地方公共団体に対して、通常生ずべき損害の補償を求めることができる旨が同法に規定されているため、利用規制を受けたことによって被った損失の補償を求めることができる。
  3. 都市計画事業のために土地が収用される場合、被収用地に都市計画決定による建築制限が課されていても、被収用者に対して土地収用法によって補償すべき相当な価格とは、被収用地が、建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいう。
  4. 土地収用による損失補償の額を不服として、土地所有者または関係人が訴えを提起する場合には、補償額を決定した裁決を行った収用委員会の所属する都道府県を被告として、裁決の取消しの訴えを提起する必要がある。
  5. 道路管理者である地方公共団体が行った地下横断歩道の新たな設置によって自己の所有する地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となり、事業者が当該ガソリンタンクを移転した場合には、事業者は、移転に必要な費用につき道路法による損失補償を求めることができる。

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【答え】:3

【解説】

1.火災の際の消防活動において、消防長等は、消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときは、消防対象物ないし延焼対象物以外の建築物等を破壊することができるが、当該行為は延焼を防ぐために必要な緊急の措置であるため、損害を受けた者は、消防法による損失補償を請求することができない。
1・・・妥当ではない
判例では、
消防対象物および土地以外の消防対象物および土地について、
消防長もしくは消防署長または消防本部を置かない市町村においては消防団の長が、消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときに、
これを使用し、処分しまたはその使用を制限した場合には、
そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があれば、その損失を補償しなければならないことが明らかである。」
と判示しています。
したがって、本肢の場合、損失補償を請求できるので妥当ではありません。
2.都市計画法上の用途地域の指定について、土地の利用規制を受けることとなった者は、当該都市計画を定める地方公共団体に対して、通常生ずべき損害の補償を求めることができる旨が同法に規定されているため、利用規制を受けたことによって被った損失の補償を求めることができる。
2・・・妥当ではない
都市計画で、用途地域が指定されたことで土地の利用が規制された場合、
一定の建物が建てられなくなったとしても
それによって損失補償を請求することはできません。これについては理解すれば解答を導けます!
理解の仕方は個別指導で解説します!
3.都市計画事業のために土地が収用される場合、被収用地に都市計画決定による建築制限が課されていても、被収用者に対して土地収用法によって補償すべき相当な価格とは、被収用地が、建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいう。
3・・・妥当
判例によると
「都市計画事業決定がなされると、都市計画法等に定める建築制限が課せられる。そして、土地収用における損失補償の趣旨からすれば、
被収用者(土地を取られた者)に対し、補償すべき相当な価格とは、
被収用地(取られた土地)が、都市計画事業の決定による建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである。」
と判示しています。
したがって、本肢の内容は妥当です。
「裁決時において有するであろうと認められる価格」については、個別指導で解説します!
4.土地収用による損失補償の額を不服として、土地所有者または関係人が訴えを提起する場合には、補償額を決定した裁決を行った収用委員会の所属する都道府県を被告として、裁決の取消しの訴えを提起する必要がある。
4・・・妥当ではない
土地収用の損失補償額の増額を求める訴訟は、形式的当事者訴訟に類型化される。収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、
これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければなりません(土地収用法第133条第3項)。
したがって本肢は、「都道府県を被告として」という記述が妥当ではありません。
正しくは「起業者」です。
「起業者」とは、収用事業の中心的な施行者を言い
都道府県や市町村、大手の土木事業者等があります。
5.道路管理者である地方公共団体が行った地下横断歩道の新たな設置によって自己の所有する地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となり、事業者が当該ガソリンタンクを移転した場合には、事業者は、移転に必要な費用につき道路法による損失補償を求めることができる。
5・・・妥当ではない
判例によると
「道路管理者である地方公共団体が行った地下横断歩道の新たな設置によって
自己(ガソリンスタンド事業者)の所有する地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となり、
その結果、事業者が当該ガソリンタンクを移転した場合、
当該移転に必要な費用は、損失補償の対象にならない
としています。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問20|国家賠償法

A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。この事例につき、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。

  1. Yの給与をA県が負担していても、Xは、A県に国家賠償を求めることはできず、B市に求めるべきこととなる。
  2. Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、Xは、B市に国家賠償を求めることができる。
  3. B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市は、Yに故意が認められなければ、Yに求償することはできない。
  4. B市がYの選任および監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない。
  5. Xは、Yに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んで、Yに対して民法上の損害賠償を求めることができる。

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【答え】:4

【解説】

1.A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。
Yの給与をA県が負担していても、Xは、A県に国家賠償を求めることはできず、B市に求めるべきこととなる。
1・・・妥当ではない
国又は公共団体が損害を賠償する責任がある場合において、「公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者」と「公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者」とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責任を負います(国家賠償法3条)。
したがって、Yの給与をA県が負担している場合、Xは、A県にも、B市にも国家賠償を求めることはできます。
よって、本肢は妥当ではありません。
2.A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。
Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、Xは、B市に国家賠償を求めることができる。
2・・・妥当ではない
国家賠償法は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、当該国家賠償法を適用します(国家賠償法6条)。
相互保証とは、例えば、Xがアメリカ国籍だった場合、アメリカにおいて、日本国民がアメリカに対して賠償できる旨の規定があるとき、Xも日本に対して国家賠償を求めることができる、というものです。
本肢を見ると、「その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合」となっているので妥当ではありません。
正しくは「その国が『日本国民』に対して国家賠償を認めている場合」です。
3.A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。
B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市は、Yに故意が認められなければ、Yに求償することはできない。
3・・・妥当ではない
国又は公共団体が国家賠償した場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有します(国家賠償法1条2項)。
したがって、Yに故意が認められなくても、重大な過失があった時は求償できるので、本肢は妥当ではありません。
4.A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。
B市がYの選任および監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない。
4・・・妥当
民法(715条)では、「使用者が選任及び監督について相当の注意をしていた場合、責任を免れる」というルールがありますが、
国家賠償法では、上記ルールはありません。
したがって、国や公共団体が選任および監督について相当の注意をしていたとしても、国家賠償責任を免れることはできません
5.A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。
Xは、Yに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んで、Yに対して民法上の損害賠償を求めることができる。
5・・・妥当ではない
判例によると
「公務員に過失が認められる場合、国または公共団体が賠償責任を負うのであって、公務員個人は賠償責任を負わない。」
と判示しています。
したがって、本肢は妥当ではありません。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問19|行政事件訴訟法

処分性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童およびその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
  2. 建築基準法42条2項に基づく特定行政庁の告示により、同条1項の道路とみなされる道路(2項道路)の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。
  3. (旧)医療法の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められており、これに従わない場合でも、病院の開設後に、保険医療機関の指定を受けることができなくなる可能性が生じるにすぎないから、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらない。
  4. 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。
  5. 都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて生じる効果は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な権利制限にすぎず、このような効果を生じるということだけから直ちに当該地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟の提起を認めることはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童およびその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
1・・・正しい
判例では、
「改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものである。
そのため、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視することができる。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
2.建築基準法42条2項に基づく特定行政庁の告示により、同条1項の道路とみなされる道路(2項道路)の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。
2・・・正しい
判例では、
「特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。」
と判示しています。
そのため、本肢は正しいです。
3.(旧)医療法の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められており、これに従わない場合でも、病院の開設後に、保険医療機関の指定を受けることができなくなる可能性が生じるにすぎないから、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらない。
3・・・誤り
判例では
「病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められている。しかし、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たる』と解するのが相当である。」
と判示しています。

よって、本肢の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらない、は誤りです。

4.市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。
4・・・正しい
判例によると
「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。したがって、上記事業計画の決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たる』と解するのが相当である。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。

土地区画整理事業については、個別指導で解説します!

5.都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて生じる効果は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な権利制限にすぎず、このような効果を生じるということだけから直ちに当該地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟の提起を認めることはできない。
5・・・正しい
判例では
「都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて生じる効果は、
あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず
このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。」
と判示しています。
したがって、本肢は正しいです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問17|行政事件訴訟法

行政事件訴訟における法律上の利益に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 処分の取消訴訟において、原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として処分の取消しを求めることはできず、こうした理由のみを主張する請求は棄却される。

イ 処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

ウ 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においても、なお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。

エ 不作為の違法確認訴訟は、処分について申請をした者以外の者であっても、当該不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。

オ 民衆訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する訴訟であり、原告は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

ア 処分の取消訴訟において、原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として処分の取消しを求めることはできず、こうした理由のみを主張する請求は棄却される。
ア・・・正しい
取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができず、請求は棄却されます(行政事件訴訟法10条1項)。
したがって、本肢は正しいです。

ここは、理解してほしい部分なので、理解すべき部分は、個別指導で解説いたします!

イ 処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。
イ・・・正しい
無効等確認の訴えは、「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができます(行政事件訴訟法36条)。
したがって、正しいです。

この点は理解をしないと、意味が分からない部分だと思いますので、個別指導では具体例を出して解説いたします!

ウ 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においても、なお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。
ウ・・・正しい
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(取消訴訟)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができます(行政事件訴訟法9条)。
したがって、本肢は正しいです。

この点は具体例があれば理解しやすい内容なので、具体例については、個別指導で解説いたします!

エ 不作為の違法確認訴訟は、処分について申請をした者以外の者であっても、当該不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。
エ・・・誤り
不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができます(行政事件訴訟法37条)。
申請者以外の者は、不作為の違法確認訴訟を提起できません。
よって、本肢は誤りです。
オ 民衆訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する訴訟であり、原告は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起することができる。
オ・・・誤り
民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。
一方、
機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(行政事件訴訟法6条)。
本肢は、民衆訴訟の内容ではなく、機関訴訟の内容なので誤りです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 地方税法に基づく固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することは、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られることになるため、認められない。
  2. 供託法に基づく供託金の取戻請求権は、供託に伴い法律上当然に発生するものであり、一般の私法上の債権と同様、譲渡、質権設定、仮差押等の目的とされるものであるから、その請求が供託官により却下された場合には、民事訴訟により争うべきである。
  3. 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく発電用原子炉の設置許可の無効を主張する者は、その運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない。
  4. 国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟によって、給付されるべき年金の請求を行うことができるが、年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することは認められない。
  5. 登録免許税を過大に納付した者は、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がなされないときは、還付金請求訴訟を提起することができるから、還付の請求に対してなされた拒否通知について、取消訴訟を提起することは認められない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.地方税法に基づく固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することは、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られることになるため、認められない。
1・・・誤り
判例では、
行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについて、あらかじめ当該行政処分について取消しまたは無効確認の判決を得る必要はない。」
と判示しています。
したがって、「固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、国家賠償請求訴訟を提起することは認められています」
よって、本肢は誤りです。
2.供託法に基づく供託金の取戻請求権は、供託に伴い法律上当然に発生するものであり、一般の私法上の債権と同様、譲渡、質権設定、仮差押等の目的とされるものであるから、その請求が供託官により却下された場合には、民事訴訟により争うべきである。
2・・・誤り
判例では、
「供託官が供託物取戻請求を理由がないと認めて却下した行為は行政処分であり、却下した処分に対し、取消訴訟を提起したことは適法というべきである。」
として、民事訴訟ではなく、取消訴訟でも争えるとしています。
また、一方で、民事訴訟によっても争える旨の内容も示されています。
3.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく発電用原子炉の設置許可の無効を主張する者は、その運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない。
3・・・正しい
判例では
周辺住民が原子炉設置者に対して、その建設・運転の差止めを求める民事訴訟を併合提起している間に、原子炉の設置許可処分の無効確認訴訟を提起することは適法である」としています。
したがって、「運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない」ので本肢は正しいです。

この問題は、「提起できないわけではない」という部分がややこしいので、個別指導で、理解の仕方を解説します!

4.国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟によって、給付されるべき年金の請求を行うことができるが、年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することは認められない。
4・・・誤り
国民年金の裁定請求(年金を受け取らせてください!と請求)をし、「年金を支給しない」という決定がされた場合は、その決定に対して取消訴訟を提起できます。
したがって、本肢は誤りです。
5.登録免許税を過大に納付した者は、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がなされないときは、還付金請求訴訟を提起することができるから、還付の請求に対してなされた拒否通知について、取消訴訟を提起することは認められない。
5・・・誤り
判例では
「登記等を受けた者が、登記機関から税務署長に還付通知をすべき旨の請求に対し,登記機関のする拒否通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」と判示しています。
したがって、当該拒否通知に対して、取消訴訟を提起することは可能なので、本肢は誤りです。

個別指導では詳しく解説します!

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問16|行政不服審査法

行政不服審査法の定める審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない。
  2. 処分についての審査請求に対する認容裁決で、当該処分を変更することができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁の場合に限られるが、審査庁が処分庁の場合は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。
  3. 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
  4. 法令に基づく申請を却下し、または棄却する処分の全部または一部を取り消す場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、自らその処分を行うことができる。
  5. 不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は、裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずることはできない。

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【答え】:3

【解説】

1.処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない。
1・・・誤り
処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下します。
一方、
処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却します(行政不服審査法45条)。
2.処分についての審査請求に対する認容裁決で、当該処分を変更することができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁の場合に限られるが、審査庁が処分庁の場合は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。
2・・・誤り
処分についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します。
ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできません(行政不服審査法46条1項)。
したがって、処分の変更をすることができるのは、審査庁が「処分庁の上級行政庁」又は「処分庁」の場合に限られます。しかし、変更できるにしても、審査請求人の不利益に処分を変更することはできません(行政不服審査法48条)。
3.不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
3・・・正しい
不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下します(行政不服審査法49条1項)。
よって、本肢は正しいです。
4.法令に基づく申請を却下し、または棄却する処分の全部または一部を取り消す場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、自らその処分を行うことができる。
4・・・誤り
法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、下記に定める措置をとる(行政不服審査法第46条2項)。
  1. 処分庁の上級行政庁である審査庁の場合、当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる
  2. 処分庁である審査庁の場合、当該処分をする。

本肢の場合、審査庁が上級行政庁なので、自ら処分を行うことはできません。
正しくは「処分庁に、処分を行うよう命じる」です。

5.不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は、裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずることはできない。
5・・・誤り
不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します。
この場合において、下記審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとります(行政不服審査法49条3項)。
  1. 不作為庁の上級行政庁である審査庁の場合、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる
  2. 不作為庁である審査庁の場合:当該処分をする。

本肢は、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合なので、(1)にあたります。
したがって、不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命じます。

よって、本肢は誤りです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問15|行政不服審査法

行政不服審査法における審理員について、妥当な記述はどれか。

  1. 審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない。
  2. 審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない。
  3. 審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる。
  4. 審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない。
  5. 審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない。
1・・・妥当ではない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。
審査請求がされた行政庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条)
よって、「処分についての審査請求」も「不作為についての審査請求」も審理員による審理手続きは行われます
本肢は、「審理員による審理手続は、不作為についての審査請求においてはなされない」という記述が妥当ではありません。
2.審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない。
2・・・妥当
審査請求がされた行政庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条)そして、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めるとともに、これを作成したときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政不服審査法17条)。
したがって、妥当です。
3.審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる。
3・・・妥当ではない
処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(執行停止)をとることができます行政不服審査法25条2項)。
本肢は、「審理員は、執行停止をすべき旨を命じることができる」となっているので誤りです。
正しくは「審査庁」です。
4.審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない。
4・・・妥当ではない
審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成しなければなりません(行政不服審査法42条1項)。
そして、審理員意見書を作成したときは、審理員は、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければなりません(行政不服審査法42条2項)。よって、本肢は、「審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない」という記述が妥当ではありません。「審査庁のなすべき裁決に関する意見」は記載されます。
5.審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない。
5・・・妥当ではない
審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、原則、行政不服審査会等に、諮問しなければなりません(行政不服審査法43条1項)。
本肢は「審理員は、諮問しなければならない」となっているので妥当ではありません。
正しくは「審査庁は」です。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問13|行政手続法

行政手続法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 行政庁は、申請の形式上の要件に適合しない申請については、補正を求めなければならず、ただちにこれを拒否してはならない。
  2. 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を提示しなければならない。
  3. 行政庁は、申請者の求めがあれば、申請に係る審査の進行状況や申請に対する処分時期の見通しを示すよう努めなければならない。
  4. 申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分ではなく、「申請に対する処分」に該当する。
  5. 形式上の要件に適合する届出については、提出先とされる機関の事務所に届出書が到達したときに届出の義務が履行されたものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.行政庁は、申請の形式上の要件に適合しない申請については、補正を求めなければならず、ただちにこれを拒否してはならない。
1・・・誤り
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法7条)。
つまり、申請の形式上の要件に適合しない申請については、「補正を求めるか」または「拒否」をしなければなりません
本肢のように「補正を求めなければならず、ただちにこれを拒否してはならない。」は誤りです。

この点については、対比ポイントがあるので、個別指導で解説いたします!

対比ポイントについては、一緒に勉強するようにしましょう!

個別で一つ一つポイントを覚える方法だと、つながりが見えづらく、頭に残りませんので。。。。

2.行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を提示しなければならない。
2・・・正しい
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません行政手続法8条)。
よって、本肢は正しいです。
関連ポイントについては、個別指導で解説いたします!
3.行政庁は、申請者の求めがあれば、申請に係る審査の進行状況や申請に対する処分時期の見通しを示すよう努めなければならない。
3・・・正しい
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければなりません行政手続法9条)。
よって、本肢は正しいです。
4.申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分ではなく、「申請に対する処分」に該当する。
4・・・正しい
「申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき、当該申請をした者を名あて人としてされる処分(申請に対する拒否処分)」については、「不利益処分」には含めません行政手続法2条4号ロ)。
5.形式上の要件に適合する届出については、提出先とされる機関の事務所に届出書が到達したときに届出の義務が履行されたものとする。
5・・・正しい
届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとします(行政手続法37条)。
よって、本肢は正しい記述です。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略