行政法の過去問

平成21年・2009|問20|国家賠償法

権限の不行使と国家賠償責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたとしても、当該免許制度は業者の人格・資質等を一般的に保証するものとはにわかに解しがたく、免許権者が更新を拒否しなかったことは、被害を受けた者との関係において直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  2. 医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  3. 国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
  4. 鉱山労働者を保護するための省令が後に科学的知見に適合しない不十分な内容となったとしても、制定当時の科学的知見に従った適切なものである場合には、省令を改正しないことが、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
  5. 犯罪被害者が公訴の提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないので、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。

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【答え】:4
【解説】
1.宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたとしても、当該免許制度は業者の人格・資質等を一般的に保証するものとはにわかに解しがたく、免許権者が更新を拒否しなかったことは、被害を受けた者との関係において直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
1・・・正しい
判例によると「免許制度も、究極的には取引関係者の利益の保護に資するものではあるが、・・・
免許を付与した宅建業者の人格・資質等を一般的に保証し、ひいては当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的とするものとはにわかに解し難く、かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきであるから、知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たるものではないというべきである。」

と判示しています。

2.医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
2・・・正しい
判例によると「医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、厚生大臣が当該医薬品の副作用による被害の発生を防止するために前記の各権限を行使しなかったことが直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるものではなく、副作用を含めた当該医薬品に関するその時点における医学的、薬学的知見の下において、前記のような薬事法の目的及び厚生大臣に付与された権限の性質等に照らし、右権限の不行使がその許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使は、副作用による被害を受けた者との関係において同項の適用上違法となるものと解するのが相当である。」と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

3.国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
3・・・正しい
判例によると「国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である」と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

4.鉱山労働者を保護するための省令が後に科学的知見に適合しない不十分な内容となったとしても、制定当時の科学的知見に従った適切なものである場合には、省令を改正しないことが、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
4・・・誤り
選択肢3と同様の判例によると「炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において、炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて、じん肺法が成立した。

しかし、そのころまでには、さく岩機の湿式型化によりじん肺の発生の原因となる粉じんの発生を著しく抑制することができるとの工学的知見が明らかとなっており、さく岩機の湿式型化を図ることに特段の障害はなかったのに、同法成立の時までに、鉱山保安法に基づく省令の改正を行わず、さく岩機の湿式型化等を一般的な保安規制はしなかった。

上記のようにじん肺法が成立した後、通商産業大臣が鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。」

と判示しています。

よって、本肢は誤りです。

5.犯罪被害者が公訴の提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないので、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。
5・・・正しい
判例によると「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではない。また、告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、検察官の職権発動を促すものにすぎない。

よって、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないというべきである。」

と判示しています。

したがって、検察官の不起訴処分は、犯罪被害者との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえません

よって、本肢は正しいです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問43|行政法

行政裁量に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ ア ]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

1:訴訟要件 2:目的 3:信義則 4:相当の期間の経過 5:効果 6:補充性要件 7:理由の提示 8:判断過程 9:過失 10:行政便宜主義 11:時の裁量 12:手続規定 13:紛争の成熟性 14:違法性阻却事由 15:保護義務 16:要件 17:行政規則 18:比例原則 19:手段 20:行政の内部問題

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【答え】:ア:16、イ:5、ウ:18、エ:8
【解説】

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ア:要件]に当たると判断される場合、処分の[イ:効果]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ウ:比例原則]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ア:要件]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[エ:判断過程]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

ア.イ.国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。

ア・・・要件
イ・・・効果
上記内容としては「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」

「懲戒処分をうける」

ということです。

そして、

「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」:要件

「懲戒処分をうける」:効果

と言います。

どういった場合(要件)に、どうなるか?(効果)、ということです。

よって、「アには要件」が入ります。

そして、「懲戒処分については、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる(裁量による)」と書いてあります。

つまり、「処分の効果(懲戒処分)について裁量が認められるとするならば、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる」ということです。

よって、「イには効果」が入ります。

ウ.当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。

ウ・・・比例原則
「非行が軽微(罪が軽い)」にも関わらず、「一番重い罰である免職」の処分を下すことは、比例原則違反(罪との罰のバランスが悪いから違反)となります。よって、「ウには、比例原則」が入ります。

エ.判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

エ・・・判断過程
上記「本来・・・評価し」の部分については、裁量の判断過程を、裁判所が着目して、裁量権の濫用・踰越(ゆえつ:超えること)と判断したわけです。よって、「エには判断過程」が入ります。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問42|行政法

行政上の義務違反に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。 [ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。[ イ ]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。[ ウ ]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。
1:秩序罰 2:行政代執行法 3:科料 4:公表 5:懲役 6:行政罰 7:代執行 8:強制執行 9:罰金 10:刑事訴訟法 11:間接強制 12:過料 13:課徴金 14:非訟事件手続法 15:行政刑罰 16:直接強制 17:禁錮 18:懲戒罰 19:行政事件訴訟法 20:地方自治法
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【答え】:ア:6、イ:1、ウ:12、エ:20 【解説】
行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ア:行政罰]という。 [ア:行政罰]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[イ:秩序罰]とがある。[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ウ:過料]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ウ:過料]を科す旨の規定を設けることができる。[ウ:過料]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ウ:過料]は、[エ:地方自治法]に定める手続により科される。
ア.イ.行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。 [ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。
ア・・・行政罰 イ・・・秩序罰まず、行政上の義務違反に対し、制裁として科せられるは「行政罰」です。 そして、行政罰には、「行政刑罰」と「行政上の秩序罰」の2つあります。
  • 行政刑罰(刑法における罰)
  • 行政上の秩序罰(ちょっとした義務違反)
したがって、「アには行政罰」「イには秩序罰」が入ります。
ウ.[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。
ウ・・・過料 秩序罰とは、行政上の義務違反のうち、軽微な違反行為について過料を科す制裁です。一方、科料は、刑罰の一種であり、秩序罰として科すことはできません。 さらに、普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、「2年以下の懲役若しくは禁錮」、「100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑」又は「5万円以下の過料」を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。
エ.条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。
エ・・・地方自治法 条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す過料は、地方自治法に定める手続により科されます。一方、法令に基づく過料は、非訟事件手続法によって地方裁判所が科します。 対比して頭に入れておきましょう!

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問26|行政法

国の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国家行政組織法は、内閣府を含む内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定める法律である。
  2. 内閣府は、内閣に置かれる行政機関であって、その長は内閣総理大臣である。
  3. 省には外局として、委員会及び庁が置かれるが、内閣府にはそのような外局は置かれない。
  4. 各省および内閣府には、必置の機関として事務次官を置くほか、内閣が必要と認めるときは、閣議決定により副大臣を置くことができる。
  5. 内閣は、政令を制定するほか、内閣府の所掌事務について、内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有する。

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【答え】:2
【解説】
1.国家行政組織法は、内閣府を含む内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定める法律である。
1・・・誤り
国家行政組織法は、内閣の統轄の下における行政機関で内閣府以外のもの(以下「国の行政機関」という。)の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とします(国家行政組織法1条)。よって、内閣府は、国家行政組織法の行政機関の組織に含みません。

したがって、誤りです。

2.内閣府は、内閣に置かれる行政機関であって、その長は内閣総理大臣である。
2・・・正しい
内閣に、内閣府が置かれています内閣府設置法2条)。
そして、内閣府の長は、内閣総理大臣です(同法6条)。よって、本肢は正しいです。
3.省には外局として、委員会及び庁が置かれるが、内閣府にはそのような外局は置かれない。
3・・・誤り
内閣府には、その外局として、委員会及び庁を置くことができます内閣府設置法49条1項)。
よって、本肢は誤りです。内閣府の外局には「公正取引委員会」「金融庁」「消費者庁」「個人情報保護委員会」等があります。

各省についても、外局として、委員会及び庁を置きます国家行政組織法3条3項)。

4.各省および内閣府には、必置の機関として事務次官を置くほか、内閣が必要と認めるときは、閣議決定により副大臣を置くことができる。
4・・・誤り
事務次官については、必置の機関として各省および内閣府必ず1人置かれます(国家行政組織法18条1項、内閣府設置法15条1項)また、副大臣についても必置の機関として各省に必ず1人置かれ(国家行政組織法16条1項)、内閣府には、必ず3人置かれます(内閣府設置法13条1項)。

よって、本肢は、「置くことができる:任意」となっているので誤りです。

5.内閣は、政令を制定するほか、内閣府の所掌事務について、内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有する。
5・・・誤り
内閣は、政令を制定します。内閣府の所掌事務について、内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有するのは内閣総理大臣です(内閣府設置法7条3項)。

本肢は「内閣が内閣府令を発する」となっているので誤りです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問25|国家公務員法

国家公務員についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  1. 国家公務員には、一般職と特別職があるが、国家公務員法は、両者に等しく適用される。
  2. 独立行政法人は、国とは独立した法人であるから、その職員が国家公務員法上の公務員としての地位を有することはない。
  3. その不法行為について国が国家賠償法1条1項により賠償責任を負うのは、国家公務員法上の公務員に限られる。
  4. 国家公務員の懲戒免職は、行政処分であると解されており、審査請求の対象となる。
  5. 国家公務員の人事行政に関する各種の事務をつかさどるため、総務省の外局として人事院が設置されている。
>解答と解説はこちら
【答え】:4 【解説】
1.国家公務員には、一般職と特別職があるが、国家公務員法は、両者に等しく適用される。
1・・・妥当ではない 国家公務員の職は、これを「一般職」と「特別職」とに分けることができます(国家公務員法2条1項)。 国家公務員法は、一般職の者に適用され、特別職の者には適用されません。特別職とは、例えば、内閣総理大臣や大臣、副大臣等です(同条3項)。
2.独立行政法人は、国とは独立した法人であるから、その職員が国家公務員法上の公務員としての地位を有することはない。
2・・・妥当ではない 独立行政法人は「中期目標管理法人」、「国立研究開発法人」、「行政執行法人」の3つに分類されます(独立行政法人通則法2条1項)。このうち、「行政執行法人」の役員及び職員には国家公務員の身分が与えられます(同法51条)。行政執行法人とは、例えば、 国立公文書館、統計センター、造幣局等があります。
3.その不法行為について国が国家賠償法1条1項により賠償責任を負うのは、国家公務員法上の公務員に限られる。
3・・・妥当ではない 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責任を持ちます(国賠法1条)。そして、上記「公務員」には、国家公務員法や地方公務員法の公務員に限らず、「公権力の行使」にあたる行為をゆだねられた民間人も含まれます
4.国家公務員の懲戒免職は、行政処分であると解されており、審査請求の対象となる。
4・・・妥当 国家公務員の懲戒処分は、行政処分であると解されています。そして、懲戒処分を受けた職員は、人事院に対してのみ審査請求をすることができます(国家公務員法90条1項)。
5.国家公務員の人事行政に関する各種の事務をつかさどるため、総務省の外局として人事院が設置されている。
5・・・妥当ではない 人事院内閣の所轄の下に置かれています(国家公務員法3条)よって、本肢は、「総務省の外局」が妥当ではありません。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問24|地方自治法

住民監査請求についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民に限られ、それ以外の者が請求することは認められていない。
  2. 住民監査請求の対象は、公金の支出などの地方公共団体の職員等の作為に限られ、公金の賦課徴収を怠るなどの不作為は、対象とならない。
  3. 地方公共団体の長の行為についての住民監査請求は、長に対してすべきこととなるが、長は、監査委員の意見を聴いて、監査結果を通知すべきこととされている。
  4. 住民監査請求によって請求できる内容は、当該行為の差止めなど、法定された4類型に限定されている。
  5. 監査結果などに不服がある場合は、請求人に限らず、何人もこれに対する住民訴訟を提起することが認められている。

>解答と解説はこちら


【答え】:1
【解説】
1.住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民に限られ、それ以外の者が請求することは認められていない。
1・・・妥当
普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、
  • 違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担があると認めるとき、又は
  • 違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、

これらを証する書面を添え、監査委員に対し

監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができます(地方自治法242条:住民監査請求)。

したがって、住民監査請求ができるのは、当該地方公共団体の住民のみです。

2.住民監査請求の対象は、公金の支出などの地方公共団体の職員等の作為に限られ、公金の賦課徴収を怠るなどの不作為は、対象とならない。
2・・・妥当ではない
選択肢1の解説の通り、公金の賦課徴収を「怠る事実(不作為)」も住民監査請求の対象です。よって、誤りです。
3.地方公共団体の長の行為についての住民監査請求は、長に対してすべきこととなるが、長は、監査委員の意見を聴いて、監査結果を通知すべきこととされている。
3・・・妥当ではない
選択肢1の解説の通り、住民監査請求の請求先は「監査委員」です。よって、本肢は「長に対して」となっているので誤りです。
4.住民監査請求によって請求できる内容は、当該行為の差止めなど、法定された4類型に限定されている。
4・・・妥当ではない
選択肢1の解説の通り、住民監査請求では、監査委員に対し、「①監査を求め」、「②当該行為を防止し」、若しくは「③是正し」、若しくは「④当該怠る事実を改め」、又は「⑤当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求」することができる(地方自治法242条1項)。よって、本肢は誤りです。

行為の差止め等法定された4類型に限定されるのは、住民訴訟です。

5.監査結果などに不服がある場合は、請求人に限らず、何人もこれに対する住民訴訟を提起することが認められている。
5・・・妥当ではない
監査結果などに不服がある場合、住民監査請求をした者に限って、住民訴訟を提起できます(地方自治法242条の2の1項)。よって、「請求人に限らず、何人も」が妥当ではありません。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問23|地方自治法

一部事務組合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  1. 一部事務組合は、地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するために設ける組織であるが、その例としては、土地区画整理組合、市街地再開発組合などがある。
  2. 市町村や特別区は、一部事務組合に加入できるが、都道府県は、これに加入することができない。
  3. 一部事務組合には議会が設置されることはないので、その独自の条例が制定されることもない。
  4. 地方自治法の定める「地方公共団体の組合」は、一部事務組合及び広域連合の2種類である。
  5. 一部事務組合自体は、地方公共団体ではないから、その活動について、住民監査請求や住民訴訟が認められることはない。
>解答と解説はこちら
【答え】:4 【解説】
1.一部事務組合は、地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するために設ける組織であるが、その例としては、土地区画整理組合、市街地再開発組合などがある。
1・・・妥当ではない 地方公共団体の組合は、一部事務組合及び広域連合の2種類があります(地方自治法284条1項)。そして、普通地方公共団体及び特別区は、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、
  • 都道府県の加入するものにあっては総務大臣の許可を得て
  • その他のものにあっては都道府県知事の許可を得て、
一部事務組合を設けることができます(同条2項)。 一部事務組合の具体例は、「介護保険事業の認定や給付」、「ごみ処理事業」「消防事業」「上下水道事業」等です。 土地区画整理組合、市街地開発組合は一部事務組合ではありません
2.市町村や特別区は、一部事務組合に加入できるが、都道府県は、これに加入することができない。
2・・・妥当ではない 選択肢1の解説の通り、一部事務組合の対象は「普通地方公共団体及び特別区」です。つまり、都道府県・市町村・特別区すべて、一部事務組合に加入できるので、本肢は妥当ではありません。
3.一部事務組合には議会が設置されることはないので、その独自の条例が制定されることもない。
3・・・妥当ではない 一部事務組合の規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければなりません(地方自治法287条1項)。
  1. 一部事務組合の名称
  2. 一部事務組合の構成団体
  3. 一部事務組合の共同処理する事務
  4. 一部事務組合の事務所の位置
  5. 一部事務組合の議会の組織及び議員の選挙の方法
  6. 一部事務組合の執行機関の組織及び選任の方法
  7. 一部事務組合の経費の支弁の方法
上記5号から、一部事務組合には議会が設置されることが分かります。 よって、誤りです。 さらに、一部事務組合は、独自の条例を定めることができます
4.地方自治法の定める「地方公共団体の組合」は、一部事務組合及び広域連合の2種類である。
4・・・妥当 選択肢1の解説の通り、 地方自治法の定める「地方公共団体の組合」は、一部事務組合及び広域連合の2種類です(地方自治法284条1項)。
5.一部事務組合自体は、地方公共団体ではないから、その活動について、住民監査請求や住民訴訟が認められることはない。
5・・・妥当ではない 地方公共団体の中に、一部事務組合が存在することから、一部事務組合自体、地方公共団体です。よって、一部事務組合の活動に対する住民監査請求も住民訴訟も可能です。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問22|地方自治法

地方自治法の定める監査制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
  2. 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
  3. 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
  4. 監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
  5. 監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
1・・・誤り
平成9年の地方自治法改正で、外部監査制度は導入されました。つまり、戦後すぐに制定された地方自治法には外部監査制度の規定はありませんでした。

内部監査だけでは、馴れ合い的な監査になってしまい、監査の目的を達成できないことあります。

そのため、第三者である外部から監査させるために、外部監査制度が導入されました。

2.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
2・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条)。よって、本肢の「1人でも行うことができる」は誤りです。

1人でも行うことができるのは、「住民監査請求」です。

3.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
3・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条1項)。そして、選挙権を有する者とは、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」を指します(地方自治法18条)。

よって、外国人は、事務監査請求ができません

したがって、誤りです。

4.監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
4・・・誤り
監査委員は、毎会計年度少くとも一回以上期日を定めて監査をしなければなりません(地方自治法199条4項)。
また、監査委員は、上記のほか、必要があると認めるときは、いつでも監査をすることができます(地方自治法199条5項)。したがって、監査委員による監査は、請求がなくても行う行うことができます。
5.監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。
5・・・正しい
監査委員は、必要があると認めるときは、
  • 自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除く自治事務について
  • 法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものを除く法定受託事務について

監査をすることができます(地方自治法199条2項)。

よって、法定受託事務も、監査委員による監査対象なので、正しいです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問21|地方自治法

以下の記述のうち、地方自治法に規定されている内容として、誤っているものはどれか。
  1. 地方自治法に定める「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
  2. 地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
  3. 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
  4. 市町村が当該都道府県の条例に違反して事務を処理した場合には、その市町村の行為は無効とされる。
  5. 市町村は、その事務を処理するに当たり、当該都道府県知事の認可を得て、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定めなければならない。
>解答と解説はこちら
【答え】:5 【解説】
1.地方自治法に定める「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
1・・・正しい自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。よって、本肢は正しいです。
2.地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
2・・・正しい 地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければなりません(地方自治法2条14項)。よって、本肢は正しいです。 また、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担います(地方自治法1条の2の1項)。
3.地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
3・・・正しい 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければなりません地方自治法2条15項)。よって、正しいです。 また、地方自治法の目的は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することです(地方自治法1条)。
4.市町村が当該都道府県の条例に違反して事務を処理した場合には、その市町村の行為は無効とされる。
4・・・正しい 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはなりません。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはなりません地方自治法2条16項)。 また、上記に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効となります(同条17項)。 よって、本肢は正しいです。
5.市町村は、その事務を処理するに当たり、当該都道府県知事の認可を得て、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定めなければならない。
5・・・誤り 平成23年の地方自治法の改正で、「市町村が基本構想を定める義務」はなくなりました。よって、誤りです。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法の定める当事者訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものは、当事者訴訟である。
  2. 地方自治法の定める住民訴訟のうち、当該執行機関または職員に対する怠る事実の違法確認請求は、当事者訴訟である。
  3. 国または公共団体の機関相互間における権限の存否に関する紛争についての訴訟は、公法上の法律関係に関するものであるから、当事者訴訟である。
  4. 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟は、当事者訴訟である。
  5. 公職選挙法に定める選挙無効訴訟は、国民の選挙権に関する訴訟であるから、当事者訴訟である。
>解答と解説はこちら
【答え】:1 【解説】
1.当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものは、当事者訴訟である。
1・・・正しい 当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものを「形式的当事者訴訟(当事者訴訟の1つ)」と言います(行政事件訴訟法4条前段)。よって、本肢は正しいです。
2.地方自治法の定める住民訴訟のうち、当該執行機関または職員に対する怠る事実の違法確認請求は、当事者訴訟である。
2・・・誤り 「地方自治法の定める住民訴訟」は、民衆訴訟に当たります。「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。
3.国または公共団体の機関相互間における権限の存否に関する紛争についての訴訟は、公法上の法律関係に関するものであるから、当事者訴訟である。
3・・・誤り 国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟を「機関訴訟」と言います(行政事件訴訟法6条)。つまり、本肢は「機関訴訟」が正しいです。
4.行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟は、当事者訴訟である。
4・・・誤り 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときに、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟を「義務付け訴訟(非申請型)」いいます(行政事件訴訟法3条6項1号)。よって、本肢は誤りです。
5.公職選挙法に定める選挙無効訴訟は、国民の選挙権に関する訴訟であるから、当事者訴訟である。
5・・・誤り 公職選挙法に定める選挙無効訴訟は「民衆訴訟」です。選択肢2の通り、「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟です。 公職選挙法に違反しているとして、選挙無効を主張しているので、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟と言えます。 よって、本肢は民衆訴訟です。

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平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略