令和5年度(2023年度)過去問

令和5年・2023|問48|基礎知識・政治

日本のテロ(テロリズム)対策に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。 (注) *1 平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法 *2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

  1. 日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。
  2. 2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」 *1が制定された。
  3. 2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。
  4. 国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」 *2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。
  5. 2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。
(注)

*1 平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法

*2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

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【答え】:5
【解説】
1.日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。

1・・・正しい

日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)です。「航空機内の犯罪防止条約」は、航空機内の安全を確保し、航空機内での犯罪やテロ行為を防止することを目的として、1970年に締結されました。この条約は、日本を含む多くの国々によって批准され、国際的な航空安全の枠組みを確立する上で重要な役割を果たしています。

2.2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」 *1が制定された。

2・・・正しい

2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、日本では、2001年10月29日に通称「テロ対策特別措置法」が制定されました。

3.2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。

3・・・正しい

2015年9月、日本政府はサイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略を閣議決定しました。この戦略は、サイバーセキュリティの強化やサイバー攻撃への対応を目指すものであり、情報インフラの安全確保やサイバー攻撃に対する国際的な協力などが盛り込まれています。

4.国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」 *2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。

4・・・正しい

2017年に行われた「組織犯罪処罰法」の改正により、いわゆる「テロ等準備罪」が新設されました。この改正は、日本が国際組織犯罪防止条約の締結に向けた取り組みの一環として行われました。テロ等準備罪は、テロリズム活動を行うための資金調達、武器の提供、情報提供、計画の立案などの行為を罰するための法的枠組みを提供します。この法改正は、国際的なテロリズムへの対応を強化し、国際的な犯罪組織に対する取り締まりを強化するためのものです。

5.2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。

5・・・誤り

「テロ対策庁」という機関はありません。よって、誤りです。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問47|基礎知識・政治

いわゆるG7サミット(主要国首脳会議)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 2023年現在では、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7ヵ国のみの首脳が集まる会議であり、EU(欧州連合)首脳は参加していない。
  2. 議長国の任期は1月から12月の1年間で、事務レベルの準備会合や関係閣僚会合の開催を通じて、サミットの準備および議事進行を行う。
  3. 2023年の議長国はアメリカであり、日本はこれまで、1979年、1986年、1993年、2000年、2007年、2014年、2021年に議長国を務めた。
  4. フランスのジスカール・デスタン大統領(当時)の提案により、1975年に第1回サミットが開催されたが、日本が参加したのは1979年からである。
  5. 開催地は、かつてはスイスのダボスに固定されていたが、現在では、議長国の国内で行っていることが通例である。

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【答え】:2
【解説】
1.2023年現在では、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7ヵ国のみの首脳が集まる会議であり、EU(欧州連合)首脳は参加していない。

1・・・誤り

G7サミット(主要国首脳会議)は、以下の7つの国が参加しています。

  1. アメリカ合衆国
  2. カナダ
  3. イギリス
  4. フランス(EU)
  5. ドイツ(EU)
  6. イタリア(EU)
  7. 日本
よって、フランス、ドイツ、イタリアについては、EU(欧州連合)首脳が参加しています。ちなみに、イギリスは、2021年にEUから脱退しています。

2.議長国の任期は1月から12月の1年間で、事務レベルの準備会合や関係閣僚会合の開催を通じて、サミットの準備および議事進行を行う。

2・・・正しい

G7サミット(主要国首脳会議)は、議長国の任期が1月から12月の1年間とされています。議長国はその年のG7サミットの主催国であり、事務レベルの準備会合や関係閣僚会合を通じて、サミットの準備や議事進行を行います。

議長国は、サミットにおける議題の設定や議論の進行、合意文書の起草など、重要な役割を担います。また、議長国はその年のテーマや重点事項を決定し、各国の首脳による議論の基盤となるアジェンダを策定します。

事務レベルの準備会合や関係閣僚会合は、サミットの前に行われ、各国の担当官や閣僚が集まって議題を詳細に検討し、合意を形成します。これにより、サミット本会議での議論がスムーズに進むように準備されます。

3.2023年の議長国はアメリカであり、日本はこれまで、1979年、1986年、1993年、2000年、2007年、2014年、2021年に議長国を務めた。

3・・・誤り

2023年のG7サミットは日本が議長国を務めました。よって、「2023年の議長国はアメリカ」は誤りです。また、1979年に日本は、初めてG7サミットの議長国となり、その後、1986年、1993年、2000年、2008年、2016年、2023年と議長国を務めています。

4.フランスのジスカール・デスタン大統領(当時)の提案により、1975年に第1回サミットが開催されたが、日本が参加したのは1979年からである。

4・・・誤り

日本は、実際には第1回のG7サミットに参加しています。1975年に開催された第1回G7サミットには、フランスのジスカール・デスタン大統領(当時)の提案により、日本も参加しました。よって、日本がG7サミットに参加したのは1979年ではなく、実際には1975年の第1回サミットから参加しています。

5.開催地は、かつてはスイスのダボスに固定されていたが、現在では、議長国の国内で行っていることが通例である。

5・・・誤り

G7サミットの開催地は、かつても今もスイスのダボスに固定されていません。よって、誤りです。現在では、議長国の国内で行っていることが通例です。例えば、2023年のG7サミットは日本が議長国を務め、日本(広島)で開催されました。2022年のG7サミットはドイツが議長国を務め、ドイツ(エルマウ)で開催されました。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問46|民法・記述

Aは、Aが所有する土地上に住宅を建築する旨の建築請負契約(以下「本件契約」という。)を工務店Bとの間で締結した。本件契約においては、Bの供する材料を用い、また、同住宅の設計もBに委ねることとされた。本件契約から6ヵ月経過後に、Aは、請負代金全額の支払いと引き換えに、完成した住宅の引渡しを受けた。しかし、その引渡し直後に、当該住宅の雨漏りが3ヵ所生じていることが判明し、Aは、そのことを直ちにBに通知した。この場合において、民法の規定に照らし、Aが、Bに対し、権利行使ができる根拠を示した上で、AのBに対する修補請求以外の3つの権利行使の方法について、40字程度で記述しなさい。

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【答え】:契約不適合責任を根拠に、請負代金減額請求、損害賠償請求及び契約解除ができる。(38字)

【解説】

問題文の状況

  1. AB間で建築請負契約を締結した。(A:注文者、工務店B:請負人)
  2. 材料は、工務店Bが用意し、住宅の設計も工務店Bに委ねることとされた。
  3. 契約から6ヵ月経過後に、Aは、請負代金全額の支払いと引き換えに、完成した住宅の引渡しを受けた。
  4. しかし、その引渡し直後に、当該住宅の雨漏りが3ヵ所生じていること(契約不適合)が判明し、Aは、そのことを直ちにBに通知した。

質問内容

Aが、Bに対し、「①権利行使ができる根拠を示した上」で、「②AのBに対する修補請求以外の3つの権利行使の方法」を答えよ。

解説

請負契約の目的物である住宅について、契約不適合があり、引渡し直後に請負人Bに通知しています。そのため、Aは、Bに対して契約不適合責任を追及できます。具体的には「①履行の追完の請求(修補請求)」「②報酬の減額の請求(請負代金減額請求)」「③損害賠償の請求」「④契約の解除」です。

よって、まとめると、「契約不適合責任を根拠に、請負代金減額請求、損害賠償請求及び契約解除ができる。(38字)」となります。
「請負代金減額請求」は、「代金減額請求」でも「報酬減額請求」でも構いません。
(請負人の担保責任の制限) 第636条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問44|行政法・記述

Y市議会の議員であるXは、2023年7月に開催されたY市議会の委員会において発言(以下「当該発言」という。)を行った。これに対して、当該発言は議会の品位を汚すものであり、Y市議会会議規則α条に違反するとして、Y市議会の懲罰委員会は、20日間の出席停止の懲罰を科すことが相当であるとの決定を行った。Y市議会の議員に対する懲罰は、本会議で議決することによって正式に決定されるところ、本会議の議決は、9月に招集される次の会期の冒頭で行うこととし、会期は終了した。これに対し、Xは、①問題となった当該発言は市政に関係する正当なものであり、議会の品位を汚すものではなく、会議規則には違反しない、②予定されている出席停止の懲罰は20日と期間が長く、これが科されると議員としての職責を果たすことができない、と考えている。

9月招集予定の次の会期までの間において、Xは、出席停止の懲罰を回避するための手段(仮の救済手段も含め、行政事件訴訟法に定められているものに限る。)を検討している。次の会期の議会が招集されるまで1ヵ月程度の短い期間しかないことを考慮に入れたとき、誰に対してどのような手段をとることが有効適切か、40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
地方自治法
134条
  1. 普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
  2. 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。
135条
  1. 懲罰は、左の通りとする。
    一 公開の議場における戒告
    二 公開の議場における陳謝
    三 一定期間の出席停止
    四 除名
  2. 以下略
Y市議会会議規則
α条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。

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【答え】:Y市に対して、出席停止の懲罰の差止訴訟を提起し、仮の差止めを申立てることが有効適切。(42文字)

【解説】

Y市議会の議員であるXは、2023年7月に開催されたY市議会の委員会において発言(以下「当該発言」という。)を行った。これに対して、当該発言は議会の品位を汚すものであり、Y市議会会議規則α条に違反するとして、Y市議会の懲罰委員会は、20日間の出席停止の懲罰を科すことが相当であるとの決定を行った。Y市議会の議員に対する懲罰は、本会議で議決することによって正式に決定されるところ、本会議の議決は、9月に招集される次の会期の冒頭で行うこととし、会期は終了した。これに対し、Xは、①問題となった当該発言は市政に関係する正当なものであり、議会の品位を汚すものではなく、会議規則には違反しない、②予定されている出席停止の懲罰は20日と期間が長く、これが科されると議員としての職責を果たすことができない、と考えている。

9月招集予定の次の会期までの間において、Xは、出席停止の懲罰を回避するための手段(仮の救済手段も含め、行政事件訴訟法に定められているものに限る。)を検討している。次の会期の議会が招集されるまで1ヵ月程度の短い期間しかないことを考慮に入れたとき、誰に対してどのような手段をとることが有効適切か、40字程度で記述しなさい。

問題文の状況

X議員は、Y市議会の委員会で行った発言が議会の品位を汚すものではなく、会議規則に違反していないと主張しています。懲罰委員会は、その発言に対し20日間の出席停止の懲罰を科すことを決定しましたが、正式な議決は次の会期の開始時に行うこととされました。X議員は、予定された出席停止の期間が長く、自らの職責を果たせなくなると主張しています。そして、Xは、出席停止の懲罰を回避するための手段(仮の救済手段も含め、行政事件訴訟法に定められているものに限る。)を検討している。

質問内容

次の会期の議会が招集されるまで1ヵ月程度の短い期間しかないことを考慮に入れたとき、「①誰に対して」「②どのような手段をとることが有効適切か」。この2つを考えます。

解説

まず、②②どのような手段をとることが有効適切かが分かれば、①誰に対してという相手方も分かります。そのため、「②どのような手段をとることが有効適切か」を考えます。

②どのような手段をとることが有効適切か

目的が「出席停止処分」がなされることを防止したいということであり、かつ、1ヵ月程度の短い期間しかないことを考慮すると、「出席停止処分の差止訴訟の提起」した上で、「仮の差止めの申し立て」も必要と判断できます。

注意点

  1. 仮の差止め」は、訴訟ではないので、訴えの提起ではなく、「申し立て」で行う。
  2. 仮の差止め」は、単独では行えず、差止めの訴えを提起した後に申し立てる

(差止めの訴えの要件) 行政事件訴訟法第37条の4 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。
(仮の義務付け及び仮の差止め) 行政事件訴訟法37条の5第2項 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(仮の差止め)ができる。

①誰に対して

出席停止処分をしようとしている行政庁は、「Y市議会の懲罰委員会」です。そして、処分をしようとする行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、差止訴訟は、「処分をしようとする行政庁の所属する国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません。そのため、「Y市」を被告として訴えを提起します。
(被告適格等) 行政事件訴訟法11条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
上記をまとめると下記の通りです。
Y市に対して、出席停止の懲罰の差止訴訟を提起し、仮の差止めを申立てることが有効適切。(42文字)

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問45|民法・記述

AがBに対して有する貸金債権の担保として、Bが所有する甲建物(以下「甲」という。)につき抵当権が設定され、設定登記が経由された。当該貸金債権につきBが債務不履行に陥った後、甲が火災によって焼失し、Bの保険会社Cに対する火災保険金債権が発生した。Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:抵当権に基づく物上代位により、火災保険金の払渡し前に、債権を差押えをしなければならない。(44字)

【解説】
AがBに対して有する貸金債権の担保として、Bが所有する甲建物(以下「甲」という。)につき抵当権が設定され、設定登記が経由された。当該貸金債権につきBが債務不履行に陥った後、甲が火災によって焼失し、Bの保険会社Cに対する火災保険金債権が発生した。Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか。

問題文の状況

令和5年・2023年、行政書士試験、問45の状況を表した図(物上代位によって、火災保険金債権を差押え)

質問内容

Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか。

解説

Aは、甲建物に抵当権を設定しており、この甲建物が火災によって、火災保険金債権に価値が変わっています。この場合、Aは、火災保険金債権から優先弁債してもらえます。その場合における手続きは、民法304条に規定されています。この条文は先取特権の条文ですが、372条で抵当権にも準用されることが規定されているので、抵当権でも同じ手続きで行えます。よって、Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、「抵当権に基づく物上代位により、火災保険金の払渡し前に、火災保険金債権を差押えをしなければならない。(49字)
少し長いので、「火災保険金債権」を「債権」に変更します。
抵当権に基づく物上代位により、火災保険金の払渡し前に、債権を差押えをしなければならない。(44文字)
(物上代位)
民法304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
(留置権等の規定の準用)
第372条 第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問43|行政法・多肢選択

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ ア ]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。

そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、[ イ ]がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が[ ア ]か否かが争われ得るところ、この訴えは[ ウ ]と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。

最高裁判所の判例は、処分が[ ア ]であるというためには、当該処分に[ エ ]な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
1:原始的不能 2:行政不服申立て 3:外見上客観的に明白 4:住民訴訟 5:撤回可能 6:無効確認の訴え 7:不当 8:実質的当事者訴訟 9:重大かつ明白 10:差止めの訴え 11:実体的 12:仮の救済申立て 13:形式的当事者訴訟 14:無効 15:義務付けの訴え 16:重大又は明白 17:客観訴訟 18:手続的 19:争点訴訟 20:不作為の違法確認の訴え

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【答え】:14(無効)、イ:6(無効確認の訴え)、ウ:19(争点訴訟)、エ:9(重大かつ明白)

処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ ア:無効 ]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。

そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、[ イ:無効確認の訴え ]がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が[ ア:無効 ]か否かが争われ得るところ、この訴えは[ ウ:争点訴訟 ]と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。

最高裁判所の判例は、処分が[ ア:無効 ]であるというためには、当該処分に[ エ:重大かつ明白 ]な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
【解説】
ア.処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ ア ]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。

ア・・・無効

原則、出訴期間が経過してしまったら、争うことができなくなってしまいます。しかし、例外的に、処分が無効であれば、出訴期間が経過した後でも争うことができます。よって、アには「無効」が入ります。

イ.ウ.出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ ア:無効 ]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、[ イ ]がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が[ ア:無効 ]か否かが争われ得るところ、この訴えは[ ウ ]と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。

イ・・・無効確認の訴え / ウ・・・争点訴訟

処分が無効の場合、取消訴訟で争うこともできますが、別の訴えで争うことができます。それは、「無効確認訴訟」です。よって、イには「無効確認の訴え」が入ります。
そして、処分等の無効等を前提に「私法上の権利義務(法律関係)」について争うものを「争点訴訟」と言います。したがって、ウには「争点訴訟」が入ります。

エ.最高裁判所の判例は、処分が[ ア:無効 ]であるというためには、当該処分に[ エ ]な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。

エ・・・重大かつ明白

当然無効となる行政行為」とは、重大かつ明白な瑕疵がある行政行為です。そのため、エには「重大かつ明白」が入ります。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問42|行政法・多肢選択

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と[ ア ]の増進に寄与することを目的とするものであって(1条)、この法律によって建設された公営住宅の使用関係については、管理に関する規定を設け、家賃の決定、明渡等について規定し(第3章)、また、法〔=公営住宅法〕の委任(25条)に基づいて制定された条例〔=東京都営住宅条例〕も、使用許可、使用申込、明渡等について具体的な定めをしているところである。右法及び条例の規定によれば、公営住宅の使用関係には、[ イ ]の利用関係として公法的な一面があることは否定しえないところであって、入居者の募集は公募の方法によるべきこと(法16条)などが定められており、また、特定の者が公営住宅に入居するためには、事業主体の長から使用許可を受けなければならない旨定められているのであるが(条例3条)、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような法及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋[ ウ ]と異なるところはなく、このことは、法が賃貸(1条、2条)等私法上の[ ウ ]に通常用いられる用語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなければならない。したがって、公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、[ エ ]の法理の適用があるものと解すべきである。ところで、右法及び条例の規定によれば、事業主体は、公営住宅の入居者を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間には[ エ ]を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の[ エ ]を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。
(最一小判昭和59年12月13日民集38巻12号1411頁〈文章を一部省略した。〉)
1:民間活力 2:私有財産 3:信頼関係 4:所有権移転関係 5:社会福祉 6:普通財産 7:特別権力関係 8:公法関係 9:街づくり 10:物品 11:売買契約関係 12:賃貸借関係 13:公用物 14:事業収益 15:請負契約関係 16:委託契約関係 17:定住環境 18:公の営造物 19:管理関係 20:一般権力関係

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【答え】:ア:5(社会福祉)、イ:18(公の営造物)、ウ:12(賃貸借関係)、エ:3(信頼関係)

公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と[ ア:社会福祉 ]の増進に寄与することを目的とするものであって(1条)、この法律によって建設された公営住宅の使用関係については、管理に関する規定を設け、家賃の決定、明渡等について規定し(第3章)、また、法〔=公営住宅法〕の委任(25条)に基づいて制定された条例〔=東京都営住宅条例〕も、使用許可、使用申込、明渡等について具体的な定めをしているところである。右法及び条例の規定によれば、公営住宅の使用関係には、[ イ:公の営造物 ]の利用関係として公法的な一面があることは否定しえないところであって、入居者の募集は公募の方法によるべきこと(法16条)などが定められており、また、特定の者が公営住宅に入居するためには、事業主体の長から使用許可を受けなければならない旨定められているのであるが(条例3条)、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような法及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋[ ウ:賃貸借関係 ]と異なるところはなく、このことは、法が賃貸(1条、2条)等私法上の[ ウ:賃貸借関係 ]に通常用いられる用語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなければならない。したがって、公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、[ エ:信頼関係 ]の法理の適用があるものと解すべきである。ところで、右法及び条例の規定によれば、事業主体は、公営住宅の入居者を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間には[ エ:信頼関係 ]を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の[ エ:信頼関係 ]を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。
【解説】
ア.公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と[ ア ]の増進に寄与することを目的とするものであって(1条)

ア・・・社会福祉

公営住宅が何の目的で存在するのかを考えると分かりやすいです。定額所得者に対して、安い家賃で賃貸することで、「国民生活の安定」と「社会福祉の増進」に貢献することを目的としています。よって、アには「社会福祉」が入ります。 公営住宅法1条
この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

イ.右法(公営住宅法)及び条例の規定によれば、公営住宅の使用関係には、[ イ ]の利用関係として公法的な一面があることは否定しえない

イ・・・公の営造物

「公営住宅の使用関係には、[ イ ]の利用関係として、公法的な一面があることは否定できない」と書いてあります。「公の営造物」とは、公の目的に供されているモノや設備を言います。例えば、学校、図書館、病院、公園、道路、橋、ダム、空港、公営住宅などが含まれます。これらの施設は、一般の人々が利用することができ、社会全体の利益や福祉を促進するために設けられています。そのため、公営住宅も公の営造物です。よって、イには「公の営造物」が入ります。

ウ.特定の者が公営住宅に入居するためには、事業主体の長から使用許可を受けなければならない旨定められているのであるが(条例3条)、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような法(公営住宅法)及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋[ ウ:賃貸借関係 ]と異なるところはなく、このことは、法(公営住宅法)が賃貸(1条、2条)等私法上の[ ウ:賃貸借関係 ]に通常用いられる用語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなければならない。

ウ・・・賃貸借関係

「前示のような法(公営住宅法)及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋[ ウ ]と異なるところはなく」という部分から、事業主体と入居者との間の法律関係は、民法上の賃貸借の関係と同じと分かります。また、「公営住宅法が、「賃貸」といった民法上の[ ウ ]に関連した用語を使用して公営住宅の使用関係を規定されていることからも明白」だと言っています。ここからもウには「賃貸借関係」が入ります。

エ.賃貸人である事業主体との間の[ エ ]を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできないものと解するのが相当

エ・・・信頼関係

「賃貸人である事業主体との間の[ エ ]を破壊するとは認められない事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできない」と言っています。不動産の賃貸借契約は、当事者同士の信頼関係にもとづいた継続的な契約であるため、簡単には解除が認められません。 ただし、信頼関係を破壊するほどの背信的行為があれば、貸主から契約を解除できます。よって、エには「信頼関係」が入ります。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問41|憲法・多肢選択

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、[ ア ]の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであって、表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ[ イ ]な要件のもとにおいてのみ許容されうるものといわなければならない。 出版物の頒布等の事前差止めは、このような事前抑制に該当するものであって、とりわけ、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが[ ウ ]に関する事項であるということができ、前示のような憲法21条1項の趣旨(略)に照らし、その表現が私人の名誉権に優先する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることにかんがみると、当該表現行為に対する事前差止めは、原則として許されないものといわなければならない。ただ、右のような場合においても、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら[ エ ]を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは、・・・(中略)・・・例外的に事前差止めが許されるものというべきであ〔る〕(以下略)。 (最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁)
1:名誉毀損 2:公正な論評 3:公共の安全 4:私的自治 5:公務の遂行 6:公の批判 7:実質的 8:公益 9:営利 10:公正 11:出版者の収益 12:事実の摘示 13:公共の利害 14:国民の自己統治 15:公権力の行使 16:個別的 17:合理的 18:明確 19:著者の自己実現 20:公共の福祉

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【答え】:ア:6(公の批判)、イ:18(明確)、ウ:13(公共の利害)、エ:8(公益)

表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、[ ア:公の批判 ]の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであって、表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ[ イ:明確 ]な要件のもとにおいてのみ許容されうるものといわなければならない。 出版物の頒布等の事前差止めは、このような事前抑制に該当するものであって、とりわけ、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが[ ウ:公共の利害 ]に関する事項であるということができ、前示のような憲法21条1項の趣旨(略)に照らし、その表現が私人の名誉権に優先する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることにかんがみると、当該表現行為に対する事前差止めは、原則として許されないものといわなければならない。ただ、右のような場合においても、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら[ エ:公益 ]を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは、・・・(中略)・・・例外的に事前差止めが許されるものというべきであ〔る〕(以下略)。 (最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁)
【解説】
ア.表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、[ ア ]の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであって

ア・・・公の批判

上記文章を要約すると下記の通りです。
「表現行為に対する事前抑制は、出版物や放送などの表現物が公の場に出る前に、その内容を抑止したり遅延させたりして、読者や聴衆に届く機会を減少させ、[ ア ]の機会を失わせるものである。また、事前抑制は予測に基づくため広範囲で行われ、濫用の可能性があります。実際には事後制裁よりも効果が高いと考えられます。」

表現物が公の場に出る前に、その内容を抑止したり遅延させたりすると、「①何かの機会を失わせ」また「②濫用の恐れを減らせる」と言っています。①②はいずれも、世間にとってマイナスとなることを失くしたり、減らすことができるということが分かります。すると、アには「公の批判」が入ります。

イ.表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、[ ア:公の批判 ]の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであって、

表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ[ イ ]な要件のもとにおいてのみ許容されうるものといわなければならない。

イ・・・明確

上記文章を要約すると下記の通りです。
「表現行為に対する事前抑制は、出版物や放送などが公に出る前にその内容を抑止し、読者や聴衆に届く機会を減少させ、批判も減らせるものです。事前抑制は予測に基づくため広範囲で行われ、濫用の可能性があります。実際には事後制裁よりも効果が高いと考えられ、

表現行為に対する事前抑制は、憲法21条の表現の自由を保障し検閲を禁止する趣旨に照らして、厳格かつ[ イ ]な要件の下でのみ許容される。」

つまり、事前抑制は事後制裁よりも効果が高いので、その分、制限が厳しいということです。そのため、事前抑制ができる要件は、厳格かつ[ イ ]でなければならず、厳格かつ[ イ ]な要件を満たす場合にのみ事前抑制は可能、と言っています。すると、イには「明確」が入ります。制限の効果が高いため、要件は、明確で、かつ、厳しくしないといけないです。

ウ.出版物の頒布等の事前差止めは、このような事前抑制に該当するものであって、とりわけ、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関するものである場合には、そのこと自体から、一般にそれが[ ウ:公共の利害 ]に関する事項であるということができ

ウ・・・公共の利害

上記文章を要約すると下記の通りです。
「出版物の頒布等の事前差止めは、特に公務員や公職選挙の候補者に関する評価や批判などの表現に対するものであれば、一般的には[ ウ ]に関する事項であると見なされる。」

公務員等は、「公共サービス」を提供し、行政業務を遂行を行います。そのため公務員などに関する評価や批判などの表現自体が公共の利害にも影響します。そのため、ウには「公共の利害」が入ります。

エ.その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら[ エ:公益 ]を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは、・・・(中略)・・・例外的に事前差止めが許されるものというべきであ〔る〕

エ・・・公益

どういった場合に、例外的に事前差止めが許されるのかを考えると
「表現内容」が「真実ではない」または「公益目的ではない」ことが明白であって、「被害者が回復困難な損害を被る可能性が高い場合」、事前差止めが例外的にできる、とすると妥当な文章になります。よって、エには「公益」が入ります。「公益を図る目的」というのは、ワンセットで覚えておきましょう。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問40|会社法・会計参与・会計監査人

会計参与と会計監査人の差異に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 大会社、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、会計監査人の設置が義務付けられているのに対して、当該いずれの会社形態においても、会計参与は任意に設置される機関である。
  2. 会計参与は会社法上「役員」に位置づけられるが、会計監査人は「役員」に含まれない。
  3. 会計参与は定時株主総会において選任決議が必要であるのに対して、会計監査人については、定時株主総会において別段の決議がなされなかったときは、再任されたものとみなす。
  4. 会計参与は、取締役または執行役と共同して計算関係書類を作成するが、会計監査人は計算関係書類の監査を行う。
  5. 会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為等を発見したときは、遅滞なく、これを監査役等に報告しなければならないが、会計参与にはこのような報告義務はない。

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【答え】:5

【解説】
1.大会社、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、会計監査人の設置が義務付けられているのに対して、当該いずれの会社形態においても、会計参与は任意に設置される機関である。

1・・・正しい

監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、必ず会計監査人を置かなければなりません(会社法327条5項)。一方、会計参与の設置は、原則として任意です。よって、正しいです。

2.会計参与は会社法上「役員」に位置づけられるが、会計監査人は「役員」に含まれない。

2・・・正しい

役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項)。つまり、会計参与は会社法上「役員」に位置づけられていますが、会計監査人は「役員」に含まれません。よって、正しいです。関連ポイント個別指導で解説します。

3.会計参与は定時株主総会において選任決議が必要であるのに対して、会計監査人については、定時株主総会において別段の決議がなされなかったときは、再任されたものとみなす。

3・・・正しい

会計参与、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項)。一方、会計監査人は、別段の決議がされなかったときは、定時株主総会において再任されたものとみなされます(会社法338条2項)。よって、正しいです。

4.会計参与は、取締役または執行役と共同して計算関係書類を作成するが、会計監査人は計算関係書類の監査を行う。

4・・・正しい

会計参与は、取締役または執行役と共同して、計算書類等の作成をし、会計参与報告を作成しなければなりません(会社法374条1項、6項)。一方、会計監査人は、株式会社の計算書類等を監査し、会計監査報告を作成しなければなりません(会社法396条1項)。よって、正しいです。

5.会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為等を発見したときは、遅滞なく、これを監査役等に報告しなければならないが、会計参与にはこのような報告義務はない。

5・・・誤り

会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければなりません(会社法397条1項)。

会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監查役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければなりません(会社法375条1項)。つまり、会計監査人、会計参与ともに報告義務があるので誤りです。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問39|会社法

役員等の責任に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 利益相反取引によって株式会社に損害が生じた場合には、株主総会または取締役会の承認の有無にかかわらず、株式会社と利益が相反する取引をした取締役または執行役は任務を怠ったものと推定する。
  2. 取締役または執行役が競業取引の制限に関する規定に違反して取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役または第三者が得た利益の額は、賠償責任を負う損害の額と推定する。
  3. 監査等委員会設置会社の取締役の利益相反取引により株式会社に損害が生じた場合において、当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、当該取締役が監査等委員であるかどうかにかかわらず、当該取締役が任務を怠ったものと推定されることはない。
  4. 非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度として責任を負うとする契約を株式会社と締結することができる。
  5. 自己のために株式会社と取引をした取締役または執行役は、任務を怠ったことが当該取締役または執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって損害賠償責任を免れることはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】
1.利益相反取引によって株式会社に損害が生じた場合には、株主総会または取締役会の承認の有無にかかわらず、株式会社と利益が相反する取引をした取締役または執行役は任務を怠ったものと推定する。

1・・・正しい

取締役又は執行役が行った利益相反取引により会社に損害が発生した場合、当該利益相反取引を行った取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定されます(会社法423条3項1号)。よって、正しいです。

【具体例】 例えば、「会社Aの取締役」が、自分の友人や親しい関係者が経営する会社Bと取引をし、その取引によって自分自身が利益を得た場合、その取引が会社Aにとって不利益である場合、その取締役は、自らの利益を優先して会社Aの利益を守ることを怠ったとみなされます。会社法では、取締役や執行役には、会社の利益を最優先に考え、自己の利益との利益相反を避ける義務が課されています。

2.取締役または執行役が競業取引の制限に関する規定に違反して取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役または第三者が得た利益の額は、賠償責任を負う損害の額と推定する。

2・・・正しい

取締役または執行役が競業取引の制限に関する規定に違反して取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役または第三者が得た利益の額は、賠償責任を負う損害の額と推定されます(会社法423条2項)。よって、正しいです。具体例は、個別指導で解説します。

3.監査等委員会設置会社の取締役の利益相反取引により株式会社に損害が生じた場合において、当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、当該取締役が監査等委員であるかどうかにかかわらず、当該取締役が任務を怠ったものと推定されることはない。

3・・・誤り

株式会社には、取締役が監査等委員会からの承認を受けて行った取引がある場合、その取締役が任務を怠ったとみなされない特別なルールがあります。監査等委員会設置会社の取締役の利益相反により株式会社に損害が生じた場合において、当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、当該取締役が監査等委員である場合を除き、当該取締役が任務を怠ったものと推定されません(任務懈怠責任を負わない)(会社法423条4項)。具体例は、個別指導で解説します。

4.非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度として責任を負うとする契約を株式会社と締結することができる。

4・・・正しい

非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度として責任を負うとする契約を株式会社と締結することができます(会社法427条)。この契約を責任限定契約といいます。これは理解すると分かりやすいので個別指導で解説します。

5.自己のために株式会社と取引をした取締役または執行役は、任務を怠ったことが当該取締役または執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって損害賠償責任を免れることはできない。

5・・・正しい

株式会社と直接自己のために取引をした取締役等は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができません(会社法428条1項)。つまり、取締役などの役員が自分の利益のために会社との取引を行い、その取引によって会社に損害が発生した場合、役員が「任務を怠っていないこと」を証明しても、その責任を免れることはできません。役員が自分の利益のために会社との取引を行うことは、法律違反であり、損害賠償責任を負うことになります。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略