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令和5年・2023|問1|基礎法学

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

明治8年太政官布告103号裁判事務心得の3条には、「民事の裁判に成文の法律なきものは[ ア ]に依り[ ア ]なきものは[ イ ]を推考して裁判すべし」という規定があり、民事裁判について「法の欠如」があるばあいに[ イ ]によるべきことがうたわれている。[ ウ ]の支配する刑法では罰則の欠如は当の行為につき犯罪の成立を否定する趣旨であるから、それは「法の欠如」ではない。ところが、民事裁判では、法の欠如があっても当事者に対して[ エ ](フランス民法4条)をすることはできず(憲法32条参照)、また、当然に原告を敗訴にすることももちろん法の趣旨ではない。 (出典 団藤重光「法学の基礎〔第2版〕」から<文章を一部省略した。>)

  1. ア:習慣 イ:条理 ウ:罪刑法定主義 エ:裁判の拒否
  2. ア:先例 イ:習慣 ウ:罪刑法定主義 エ:裁判の拒否
  3. ア:先例 イ:条理 ウ:適正手続 エ:和解の勧奨
  4. ア:習慣 イ:条理 ウ:責任主義 エ:裁判の拒否
  5. ア:先例 イ:習慣 ウ:責任主義 エ:和解の勧奨

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【答え】:1

【解説】
明治8年太政官布告103号裁判事務心得の3条には、「民事の裁判に成文の法律なきものは[ア:習慣]に依り[ア:習慣]なきものは[イ:条理]を推考して裁判すべし」という規定があり、民事裁判について「法の欠如」があるばあいに[イ:条理]によるべきことがうたわれている。[ウ:罪刑法定主義]の支配する刑法では罰則の欠如は当の行為につき犯罪の成立を否定する趣旨であるから、それは「法の欠如」ではない。ところが、民事裁判では、法の欠如があっても当事者に対して[エ:裁判の拒否](フランス民法4条)をすることはできず(憲法32条参照)、また、当然に原告を敗訴することももちろん法の趣旨ではない。
ア. 明治8年太政官布告103号裁判事務心得の3条には、「民事の裁判に成文の法律なきものは[ ア ]に依り[ ア ]なきものは[ イ ]を推考して裁判すべし」という規定があり、民事裁判について「法の欠如」があるばあいに[ イ ]によるべきことがうたわれている。

ア・・・習慣

この問題は「裁判事務心得3条」が分からなくても答えを導けます。「民事の裁判に成文の法律なきものは[ ア ]に依り[ ア ]なきものは[ イ ]を推考して裁判すべし」という部分から、成文の法律なきもの(法律に規定されていない場合)、何を推考して(推測して考えて)裁判すべきかを考えます。すると、「法の適用に関する通則法3条」に下記規定があります。

第3条 公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。
つまり、法律に規定されていない事柄は、慣習が、法律と同一の効力を有するので、慣習を基準として裁判すると考えることができます。 よって、アには「慣習」が入ります。

イ.明治8年太政官布告103号裁判事務心得の3条には、「民事の裁判に成文の法律なきものは[ ア:慣習 ]に依り[ ア:慣習 ]なきものは[ イ ]を推考して裁判すべし」という規定があり、民事裁判について「法の欠如」があるばあいに[ イ ]によるべきことがうたわれている。

イ・・・条理

「[ ア:慣習 ]なきものは[ イ ]を推考して裁判すべし」という部分から、慣習がない場合は、何を推考して(推測して考えて)裁判すべきかを考えるのですが、選択肢を見ると、イには「条理」もしくは「習慣」のどちらかが入ります。「アに習慣」を入れているので、「イは条理」と導けます。条理とは、ものごとの筋道や道理です。一般人であれば誰もが納得し得るような考え方・理由に基づいて裁判をするということです。

ウ.[ ウ ]の支配する刑法では罰則の欠如は当の行為につき犯罪の成立を否定する趣旨であるから、それは「法の欠如」ではない。

ウ・・・罪刑法定主義

「刑法では罰則の欠如は当の行為につき犯罪の成立を否定する趣旨である」とは、「罰則の欠如」とは、「罰則が法令に規定されていない」ことを指します。また「当の行為につき犯罪の成立を否定する」とは、「その行為について犯罪は成立しない」という意味です。つまり、「ある行為がなされて、その行為について、法令に罰則が規定されていない場合、その行為の犯罪は成立しない」ということです。これはまさしく「罪刑法定主義」です。よって、ウには「罪刑法定主義」が入ります。

エ.民事裁判では、法の欠如があっても当事者に対して[ エ ](フランス民法4条)をすることはできず(憲法32条参照)、また、当然に原告を敗訴にすることももちろん法の趣旨ではない。

エ・・・裁判の拒否

憲法32条では「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定しています。そして、「法の欠如」とは、法律上の規定が不十分である状態を指します。具体的には、特定の法律や規則が存在しない、またはある問題や事案に対する法的な規定が明確にされていない状況を指します。そういった場合でも、裁判を受ける権利があるので、裁判所としては「裁判を拒否」することはできないということです。 選択肢を見ると、エには「裁判の拒否」または「和解の勧奨」のいずれかが入ります。「和解の推奨」は、憲法32条の趣旨とは異なるので、エには「裁判の拒否」が入ります。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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