令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和2年・2020|問48|基礎知識

「フランス人権宣言」に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 個人の権利としての人権を否定して、フランスの第三身分の階級的な権利を宣言したものである。
  2. 人権の不知、忘却または蔑視が、公共の不幸と政府の腐敗の原因に他ならない、とされている。
  3. 人は生まれながらに不平等ではあるが、教育をすることによって人としての権利を得る、とされている。
  4. あらゆる主権の源泉は、神や国王あるいは国民ではなく、本質的に領土に由来する、とされている。
  5. 権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は公の武力を持ってはならない、とされている。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.個人の権利としての人権を否定して、フランスの第三身分の階級的な権利を宣言したものである。

1・・・妥当ではない

フランス人権宣言は、「アメリカ独立宣言」や「ルソーの思想」などの影響を受けて1789年に採択されました。

内容としては、「国民の自由と平等、国民主権、市民の立法参加権、罪刑法定主義、権力分立、私有財産の不可侵などを規定しています。

つまり、「個人の権利としての人権を肯定」しているので、「個人の権利としての人権を否定」は妥当ではないです。

また、「フランスの第三身分の階級的な権利を宣言」していません。

2.人権の不知、忘却または蔑視が、公共の不幸と政府の腐敗の原因に他ならない、とされている。

2・・・妥当

フランス人権宣言の前文には

「国民議会として構成されたフランス人民の代表者たちは、人の権利に対する無知、忘却、または軽視が、公の不幸と政府の腐敗の唯一の原因であることを考慮し、人の譲りわたすことのできない神聖な自然的権利を、厳粛な宣言において提示することを決意した。」

と規定されています。

つまり、「人の権利に対する無知、忘却、または軽視」は、「公の不幸と政府の腐敗」の唯一の原因であると言っています。

よって、妥当です。

3.人は生まれながらに不平等ではあるが、教育をすることによって人としての権利を得る、とされている。

3・・・妥当ではない

フランス人権宣言の1条と6条にはそれぞれ

「人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、設けられない。(1条)」

「すべての市民は、法律の前に平等であるから、その能力にしたがって、かつ、その徳行と才能以外の差別なしに、等しく、すべての位階、地位および公職に就くことができる。(6条)」

と規定しています。

つまり、「市民は全員平等」だといっているので

本肢は全文妥当ではありません。

4.あらゆる主権の源泉は、神や国王あるいは国民ではなく、本質的に領土に由来する、とされている。

4・・・妥当ではない

フランス人権宣言の3条には

「すべての主権の源(みなもと)は、本質的に国民にある。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。」

と規定しています。

つまり、本肢は「主権の源は、領土にある」としているので妥当ではないです。

5.権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は公の武力を持ってはならない、とされている。

5・・・妥当ではない

フランス人権宣言の12条には

「人および市民の権利の保障は、公の武力を必要とする。したがって、この武力は、すべての者の利益のために設けられるのであり、それが委託される者の特定の利益のために設けられるのではない。」

と規定されています。

つまり、「公の武力を持つ」ことは肯定しています。

よって妥当ではありません。

フランス人権宣言の16条には

「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない。」

と規定されています。

なので、本肢の「公の武力を持ってはならない」を「憲法をもたない」に変えると、妥当な記述になります。

この16条については、

権利保障がなく、権力分立がしていない社会は、憲法があっても、それは意味のない憲法だということを宣言しています。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

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