わが国の教育制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 教育委員会は、政治的中立性の確保や合議制による慎重な意思決定等を目的として設けられた行政委員会であり、国、都道府県、市町村にそれぞれ設置されている。
- 教育委員会を構成する教育委員は、かつては住民の選挙によって選ばれていたが、現在では地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する制度となっている。
- 小中学校の教員の採用や給与の支払いについては、かつては県費負担教職員制度の下で都道府県が実施していたが、地方分権改革の下でこの制度が廃止され、現在は各市町村が実施している。
- 学校の自立的な運営体制をつくるため、教員免許を有する者であれば、教育に関する職の経験がなくても、校長に任用できる制度が新たに導入され、現在、いわゆる民間人校長が多数誕生している。
- 従来、小中学校について通学すべき区域を定める学区制がとられていたが、現在この制度は法令上廃止され、保護者の希望によって通学校を選択する学校選択制に切り替えられた。
【答え】:2
【解説】
1.教育委員会は、政治的中立性の確保や合議制による慎重な意思決定等を目的として設けられた行政委員会であり、国、都道府県、市町村にそれぞれ設置されている。
1・・・妥当ではない
教育委員会は、都道府県、市町村(特別区を含む。)には設置されているが、国は置かれていません(地方自治法180条の5、地方教育行政の組織及び運営に関する法律2条)。よって、「教育委員会は、・・・国に設置されている」が妥当ではありません。
教育委員会は、都道府県、市町村(特別区を含む。)には設置されているが、国は置かれていません(地方自治法180条の5、地方教育行政の組織及び運営に関する法律2条)。よって、「教育委員会は、・・・国に設置されている」が妥当ではありません。
2.教育委員会を構成する教育委員は、かつては住民の選挙によって選ばれていたが、現在では地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する制度となっている。
2・・・妥当
教育委員会を構成する教育委員は、1948年(昭和23年)~1956年(昭和31年)にかけて「住民の選挙」によって選ばれていました。しかし、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害があったため、1956年(昭和31年)に「住民の選挙(公選制)」は廃止されました。
教育委員会を構成する教育委員は、1948年(昭和23年)~1956年(昭和31年)にかけて「住民の選挙」によって選ばれていました。しかし、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害があったため、1956年(昭和31年)に「住民の選挙(公選制)」は廃止されました。
そして、現在では、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命することになっています(地方教育行政の組織及び運営に関する法律4条)。
よって、本肢は妥当です。
3.小中学校の教員の採用や給与の支払いについては、かつては県費負担教職員制度の下で都道府県が実施していたが、地方分権改革の下でこの制度が廃止され、現在は各市町村が実施している。
3・・・妥当ではない
県費負担教職員制度とは、市町村立学校の教職員の給与等を都道府県が負担する制度です(市町村立学校職員給与負担法1条)。本制度は、政令指定都市における任命権者と給与負担者のねじれ現象等の問題があり、文部科学省の協議会で審議されているが、廃止はされていません。
県費負担教職員制度とは、市町村立学校の教職員の給与等を都道府県が負担する制度です(市町村立学校職員給与負担法1条)。本制度は、政令指定都市における任命権者と給与負担者のねじれ現象等の問題があり、文部科学省の協議会で審議されているが、廃止はされていません。
本肢は「県費負担教職員制度が廃止され」となっているので、妥当ではないです。
4.学校の自立的な運営体制をつくるため、教員免許を有する者であれば、教育に関する職の経験がなくても、校長に任用できる制度が新たに導入され、現在、いわゆる民間人校長が多数誕生している。
4・・・妥当ではない
学校の自立的な運営体制をつくるため、2000年(平成12年)に民間人校長の任用制度が導入されており、教員免許を持たない者も、校長になれます(学校教育法施行規則22条)。よって、「教員免許を有する者であれば」が妥当ではないです。
学校の自立的な運営体制をつくるため、2000年(平成12年)に民間人校長の任用制度が導入されており、教員免許を持たない者も、校長になれます(学校教育法施行規則22条)。よって、「教員免許を有する者であれば」が妥当ではないです。
5.従来、小中学校について通学すべき区域を定める学区制がとられていたが、現在この制度は法令上廃止され、保護者の希望によって通学校を選択する学校選択制に切り替えられた。
5・・・妥当ではない
市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校又は中学校が2校以上ある場合、就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければなりません(学校教育法施行令5条2項)。現在もこの学区制は法令上廃止されてはいません。
市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校又は中学校が2校以上ある場合、就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければなりません(学校教育法施行令5条2項)。現在もこの学区制は法令上廃止されてはいません。
よって、本肢は、妥当ではないです。
平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 職業選択の自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 学問の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |