令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

平成28年・2016|問24|地方自治法

地方財務に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 普通地方公共団体は、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができるが、起債前に財務大臣の許可を受けなければならない。
  2. 普通地方公共団体は、分担金、使用料、加入金および手数料を設ける場合、条例でこれを定めなければならない。
  3. 選挙権を有する普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の条例の制定または改廃を請求する権利を有するが、地方税の賦課徴収に関する条例については、その制定または改廃を請求することはできない。
  4. 市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきである。
  5. 地方税法の法定普通税の規定に反する内容の定めを条例に設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することは、それが法定外普通税に関する条例であっても、地方税法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない。

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【答え】:1

【解説】

1.普通地方公共団体は、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができるが、起債前に財務大臣の許可を受けなければならない。
1・・・誤り
地方公共団体が地方債を発行するときは、原則として、
都道府県及び指定都市の場合は総務大臣と協議」し、
市町村の場合は都道府県知事と協議」しなければなりません(地方財政法5条の3)。ただし、財政状況が悪化している地方公共団体が地方債を起債するときは、総務大臣または都道府県知事の許可が必要とされており、総務大臣は同意または許可をしようとするときは、あらかじめ財務大臣と協議することが必要です(地方財政法5条の4)。

したがって、本肢の「財務大臣の許可を受けなければならない」が誤りです。
正しくは「総務大臣又は都道府県知事に協議しなければならない」です。

2.普通地方公共団体は、分担金、使用料、加入金および手数料を設ける場合、条例でこれを定めなければならない。
2・・・正しい
分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法228条1項)。
したがって、本肢は正しいです。
3.選挙権を有する普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の条例の制定または改廃を請求する権利を有するが、地方税の賦課徴収に関する条例については、その制定または改廃を請求することはできない。
3・・・正しい
日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有します。上記の通り、「条例制定の請求」「条例改廃の請求」について
「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例」は除かれています。
つまり、「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例」については条例制定請求、条例改廃請求はできません
4.市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきである。
4・・・正しい
判例によると
市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収されている。
よって、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法第84条の趣旨が及ぶと解すべきであるとしている」
と判示しています。
したがって、本肢は正しいです。
5.地方税法の法定普通税の規定に反する内容の定めを条例に設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することは、それが法定外普通税に関する条例であっても、地方税法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない。
5・・・正しい
判例によると
「法定普通税に関する条例において、地方税法の定める法定普通税についての強行規定の内容を変更することは、同法に違反して許されない。そして、法定外普通税に関する条例において、同法の定める法定普通税についての強行規定に反する内容の定めを設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することも、これと同様に、同法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない
と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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