令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

平成28年・2016|問8|行政法

下記の〔設例〕に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

〔設例〕 Xは、旅館業法3条1項に基づく許可(以下「営業許可」という。)を得て、旅館業を営んでいたが同法によって義務付けられた営業者の講ずべき衛生措置を講じなかったことを理由に、所轄都道府県知事から、同法8条1項に基づく許可の取消処分(以下「取消処分」という。)を受けた。

(参照条文)
旅館業法
第3条第1項
旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事・・・の許可を受けなければならない。(以下略)

第8条第1項
都道府県知事は、営業者が、この法律若しくはこの法律に基づく処分に違反したとき・・・は、同条〔注:旅館業法第3条〕第1項の許可を取り消〔す〕・・・ことができる。(以下略)

ア Xに対してなされた取消処分は、違法になされた営業許可を取り消し、法律による行政の原理に反する状態を是正することを目的とする行政行為である。

イ Xに対してなされた取消処分は、いったんなされた営業許可を前提とするものであるから、独立の行政行為とはみなされず、行政手続法が規定する「処分」にも当たらない。

ウ Xに対してなされた取消処分が取消判決によって取り消された場合に、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができる。

エ Xに対してなされた取消処分によって、Xが有していた営業許可の効力は、それがなされたときにさかのぼって効力を失うことになる。

オ Xに対してなされた取消処分は、営業許可がなされた時点では瑕疵がなかったが、その後においてそれによって成立した法律関係を存続させることが妥当ではない事情が生じたときに、当該法律関係を消滅させる行政行為である。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

ア Xに対してなされた取消処分は、違法になされた営業許可を取り消し、法律による行政の原理に反する状態を是正することを目的とする行政行為である。
ア・・・誤り
Xは、適法に営業許可を受けました。
しかし、その後、営業者の講ずべき衛生措置を講じなかったことを理由に、知事から許可の取消処分を受けています。
つまり、後発的事情(許可の後の事情)により将来に向かってその行政行為の効力を失わせる
もの(許可取消)なので、講学上の「撤回」に当たります。
本肢は、「違法になされた営業許可」としている本肢は誤りである。
イ Xに対してなされた取消処分は、いったんなされた営業許可を前提とするものであるから、独立の行政行為とはみなされず、行政手続法が規定する「処分」にも当たらない。
イ・・・誤り
処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を言います(行政手続法2条2号)。
そして、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分を「不利益処分」いい(行政手続法2条4号)、営業許可を取り消す処分は、「権利を制限する処分」と言えるため、不利益処分に該当します。
よって、本肢の「行政手続法が規定する「処分」にも当たらない」は誤りです。
ウ Xに対してなされた取消処分が取消判決によって取り消された場合に、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができる。
ウ・・・正しい
本肢は、取消判決による「形成力」に関する記述です。
取消判決の確定によって、処分または裁決は、当然に処分時または裁決時にさかのぼって効力を失うという効力を「形成力」と言います。
本肢のように、取消処分が取消判決によって取り消された場合、形成力により、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができます。
エ Xに対してなされた取消処分によって、Xが有していた営業許可の効力は、それがなされたときにさかのぼって効力を失うことになる。
エ・・・誤り
選択肢アでも解説した通り、本問「取消処分」は、適法に営業許可を与え、その後の事情によって、許可取り消しとなっているので、講学上の「撤回」に当たります。
本肢のような「取消し」の内容ではないので誤りです。
オ Xに対してなされた取消処分は、営業許可がなされた時点では瑕疵がなかったが、その後においてそれによって成立した法律関係を存続させることが妥当ではない事情が生じたときに、当該法律関係を消滅させる行政行為である。
オ・・・正しい
選択肢ア、エの通り、本問の取消処分は「撤回」です。
本肢の内容も「撤回」にあたるので正しいです。

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平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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