不動産先取特権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先する。
- 不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
- 不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を登記したときでも、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先しない。
- 債権者が不動産先取特権の登記をした後、債務者がその不動産を第三者に売却した場合、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができる。
- 同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
【解説】
1.不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先する。
1・・・正しい
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければなりません(民法337条)。登記をした不動産保存又は不動産工事先取特権は、抵当権に先立って行使することができます(民法339条)。つまり、不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存(昔に登記された)の抵当権に優先する。「不動産の保存の先取特権」がどのようなものか、関連ポイントは何があるかについては個別指導で解説します!
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければなりません(民法337条)。登記をした不動産保存又は不動産工事先取特権は、抵当権に先立って行使することができます(民法339条)。つまり、不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存(昔に登記された)の抵当権に優先する。「不動産の保存の先取特権」がどのようなものか、関連ポイントは何があるかについては個別指導で解説します!
2.不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
2・・・正しい
不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在します(民法327条)。「不動産の工事」とは、「屋根の修理」や「リフォーム」等です。
不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在します(民法327条)。「不動産の工事」とは、「屋根の修理」や「リフォーム」等です。
よって、本肢は正しいです。具体例については、個別指導で解説します!
3.不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を登記したときでも、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先しない。
3・・・正しい
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければなりません(民法340条)。抵当権について、
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後によります(民法373条)。そして、不動産売買の先取特権の効力については、上記抵当権に関する規定を準用します(民法341条)。つまり、不動産売買の先取特権は、既存の抵当権に優先しないので正しいです。
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければなりません(民法340条)。抵当権について、
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後によります(民法373条)。そして、不動産売買の先取特権の効力については、上記抵当権に関する規定を準用します(民法341条)。つまり、不動産売買の先取特権は、既存の抵当権に優先しないので正しいです。
4.債権者が不動産先取特権の登記をした後、債務者がその不動産を第三者に売却した場合、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができる。
4・・・正しい
「不動産先取特権者」と「第三取得者」は、特別な規定がないため、一般的な対抗関係のルールに従って、登記をした者が優先します(勝ちます)(民法177条)。よって、本肢の場合、不動産先取特権が先に登記されているので、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができます。
「不動産先取特権者」と「第三取得者」は、特別な規定がないため、一般的な対抗関係のルールに従って、登記をした者が優先します(勝ちます)(民法177条)。よって、本肢の場合、不動産先取特権が先に登記されているので、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができます。
5.同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
5・・・誤り
「不動産の保存」「不動産の工事」「不動産の売買」の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、「1.不動産の保存」「2.不動産の工事」「3.不動産の売買」の順序に従います(民法331条1項)。つまり、不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、不動産保存の先取特権の勝ちです。
「不動産の保存」「不動産の工事」「不動産の売買」の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、「1.不動産の保存」「2.不動産の工事」「3.不動産の売買」の順序に従います(民法331条1項)。つまり、不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、不動産保存の先取特権の勝ちです。
平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 国民審査 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | プライバシー権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 国会 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 信教の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政裁量 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政事件訴訟法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政事件訴訟法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・公文書管理法 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |