日本の生活保護制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 生活扶助は被保護者の居宅において行うこととされているが、ホームレスなどのように安定した居住地がない場合であっても、保護の申請を行うことは認められている。
- 生活保護法では、生活困窮者に対する最低限度の生活保障が規定されているが、その扶助はすべて現金での給付によるものとされ、財やサービスの現物給付による保障は行われていない。
- たとえ生活に困窮する高齢者であっても、公的年金の給付を受けている場合には、生活保護の受給権は認められない。
- 生活保護は、世帯ではなく個人を単位とした申請主義をとることとされており、保護を受けるためには、保護を必要とする者が、自ら申請を行わなくてはならない。
- 地方自治体では、被保護者の自立促進を目的とした自立支援プログラムを策定しており、生活習慣改善などの取組が推進されているが、職業訓練や職業紹介などの就労支援は公共職業安定所の役割とされ、これには含まれていない。
【答え】:1
【解説】
1.生活扶助は被保護者の居宅において行うこととされているが、ホームレスなどのように安定した居住地がない場合であっても、保護の申請を行うことは認められている。
1・・・妥当
生活扶助は、被保護者の居宅において行います。ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができます(生活保護法30条)。つまり、ホームレスなどのように安定した居住地がない場合であっても、保護の申請を行うことは認められています。
生活扶助は、被保護者の居宅において行います。ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができます(生活保護法30条)。つまり、ホームレスなどのように安定した居住地がない場合であっても、保護の申請を行うことは認められています。
2.生活保護法では、生活困窮者に対する最低限度の生活保障が規定されているが、その扶助はすべて現金での給付によるものとされ、財やサービスの現物給付による保障は行われていない。
2・・・妥当ではない
生活扶助は、原則、金銭給付によって行います。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができます(生活保護法31条1項)。よって、本肢の「財やサービスの現物給付による保障は行われていない」は誤りです。
生活扶助は、原則、金銭給付によって行います。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができます(生活保護法31条1項)。よって、本肢の「財やサービスの現物給付による保障は行われていない」は誤りです。
3.たとえ生活に困窮する高齢者であっても、公的年金の給付を受けている場合には、生活保護の受給権は認められない。
3・・・妥当ではない
公的年金の給付を受けている場合であっても、その収入が最低生活費に満たない場合には生活保護の受給権が認められます。
公的年金の給付を受けている場合であっても、その収入が最低生活費に満たない場合には生活保護の受給権が認められます。
この場合、最低生活費から年金額を差し引いた差額が保護費として支給されます。よって、本肢は、妥当ではありません。
4.生活保護は、世帯ではなく個人を単位とした申請主義をとることとされており、保護を受けるためには、保護を必要とする者が、自ら申請を行わなくてはならない。
4・・・妥当ではない
保護は、原則、世帯を単位としてその要否及び程度を定めます(生活保護法10条)。
そして、申請は、要保護者(本人)、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行います(同法7条)。よって、「保護を必要とする者が、自ら申請を行わなくてはならない」は妥当ではありません。
保護は、原則、世帯を単位としてその要否及び程度を定めます(生活保護法10条)。
そして、申請は、要保護者(本人)、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行います(同法7条)。よって、「保護を必要とする者が、自ら申請を行わなくてはならない」は妥当ではありません。
5.地方自治体では、被保護者の自立促進を目的とした自立支援プログラムを策定しており、生活習慣改善などの取組が推進されているが、職業訓練や職業紹介などの就労支援は公共職業安定所の役割とされ、これには含まれていない。
5・・・妥当ではない
地方自治体では、被保護者の自立促進を目的とした自立支援プログラムを策定しています。自立支援プログラムの具体例として、「生活習慣改善」のほか「職業訓練や職業紹介などの就労支援」も行っています。
地方自治体では、被保護者の自立促進を目的とした自立支援プログラムを策定しています。自立支援プログラムの具体例として、「生活習慣改善」のほか「職業訓練や職業紹介などの就労支援」も行っています。
よって、「職業訓練や職業紹介などの就労支援は公共職業安定所の役割とされ、これには含まれていない」は妥当ではありません。
平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 職業選択の自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 学問の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |