次の文章のうち、そこで想定される「実質的意味の憲法」の理解の仕方が、憲法学における伝統的な分類に従えば、他とは異なっているものはどれか。
- 権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、憲法をもっているとはいえない。
- 固有の意味での憲法を論ずるには、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。
- 日本の憲法の歴史は、大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない。
- 近代立憲主義が定着したフランス第三共和制においては、その体制の基本を定める法律を「憲法的」と形容して、憲法的法律と呼んでいた。
- 絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制が、19世紀ヨーロッパの憲法体制では広く普及し、明治時代の日本もこれにならった。
【答え】:2
【解説】
1.権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、憲法をもっているとはいえない。
1・・・他と同じ(立憲的意味の憲法)
実質的意味の憲法には、「立憲的意味の憲法」と「固有の意味の憲法」があります。
実質的意味の憲法には、「立憲的意味の憲法」と「固有の意味の憲法」があります。
- 立憲的意味の憲法 : 国家権力を制限し、自由を守るための憲法(すべての国家がこれを有するわけではない)
- 固有の意味の憲法 : 国を治める基本をまとめた憲法(国家には必ず存在する)
「権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会」は、 国家権力が制限されておらず、国民の自由を守られていないので、立憲的意味の憲法を持っているとはいえないです。
よって、本肢の憲法の意味は「立憲的意味の憲法」です。
2.固有の意味での憲法を論ずるには、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。
2・・・他と異なる(固有の意味の憲法)
本肢の憲法は、「国家権力を制限し、自由を守るための憲法」を言っているのではなく、内容に関係なく、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、憲法というものがあると言っているだけです。つまり、本肢の憲法の意味は、「固有の意味での憲法」で、すべての国家に存在するものです。
本肢の憲法は、「国家権力を制限し、自由を守るための憲法」を言っているのではなく、内容に関係なく、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、憲法というものがあると言っているだけです。つまり、本肢の憲法の意味は、「固有の意味での憲法」で、すべての国家に存在するものです。
3.日本の憲法の歴史は、大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない。
3・・・他と同じ(立憲的意味の憲法)
「日本の憲法の歴史は、・・・西洋諸国に対する「開国」を出発点として叙述されなくてはならない」という内容から、日本の憲法はここかはら始まったと言っています。大日本帝国憲法は、ドイツのプロイセン憲法を手本に作られており、天皇が、司法・立法・行政をすべて統治権を持っていました。
そこから、現在の日本国憲法は、国家権力の制限、国民の自由の尊重へと発展していきました。
「日本の憲法の歴史は、・・・西洋諸国に対する「開国」を出発点として叙述されなくてはならない」という内容から、日本の憲法はここかはら始まったと言っています。大日本帝国憲法は、ドイツのプロイセン憲法を手本に作られており、天皇が、司法・立法・行政をすべて統治権を持っていました。
そこから、現在の日本国憲法は、国家権力の制限、国民の自由の尊重へと発展していきました。
つまり、「立憲的意味の憲法」が、西洋諸国に対する「開国」を出発点として始まったと言えます。
よって、本肢の憲法の意味は「立憲的意味の憲法」です。
4.近代立憲主義が定着したフランス第三共和制においては、その体制の基本を定める法律を「憲法的」と形容して、憲法的法律と呼んでいた。
5.絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制が、19世紀ヨーロッパの憲法体制では広く普及し、明治時代の日本もこれにならった。
平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 職業選択の自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 学問の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |